リジェネレイト・トリップ~アルとアイザの異世界旅行記~ 作:自由山明
三人と一緒に家を出て町を案内してもらう。
まずは、一番近い教会に案内してくれるみたいだ。
「アル兄ちゃん、ここが教会だよ。この建物で祈りを捧げたりするの」
案内された教会はとても壮観だった。
入り口には聖騎士と思われる人が門番をしている。
聖騎士の人に会釈をして中に入ると、奥に礼拝堂が見える。
あそこで祈りを捧げたりするのだろう。
とても立派でいかにも教会らしい教会だと思う。
……横に銀行の窓口っぽいものと病院っぽい施設がなければの話だが。
「シェリルさん、横の窓口は何です?」
「あそこはお金を預けたり引き出したりすることができる窓口よ。この町は治安がいいとは言えないから、いっぱいお金を持つのは危険なの。泥棒にお金を取られないようにみんなこぞって教会に預けるわ。安全性が高いから私たちのような庶民に限らず商会の会長や貴族までもがここを利用するのよ」
いやまんま銀行じゃん!
アードリアン村でエルヴィス君に教会の話をちょこっと聞いた時から銀行っぽいな~とは思ってたけど!
まあ、異世界だし? こんなこともあるか……
「あと、預け入れや引き出しには魔力認証が必要だから、他人が引き出せはしないわ」
中々ハイテクじゃん……でも魔力を持たない僕達やハヤト君は使えないっぽいね。
「二百年くらい前は商業ギルドがこれをやってたんだけど、横領や集団による強盗が絶えなかったから誠実で人材が豊富な教会の担当になったの。今や商業ギルドの肩身はとても狭いのよ」
なんというかまあ……すごいなぁ……
「は、はあ。じゃあ、こっちの施設は何ですか?」
「あれは病院ね。教会には聖魔法を使える人が多いから多少のお金を払えば怪我を治してくれるわ。病気は魔法じゃ治せないけどポーションを作れる錬金術師や医者も教会には多くいるから病気になったらまずここに来るわね」
なにこのウルトラスーパートンデモ教会……
取りあえず、せっかく来たのでみんなで祈りをささげることにした。
礼拝堂に入ろうとした時、一人のシスターが声をかけてきた。
「あら? シェリルじゃない。体の具合はもういいの?」
「大丈夫よアルシー。運よく特効薬が手に入ったの。それを飲んでから体調がすこぶるいいわ」
「よかったじゃない! 今日は祈りに来たの? 今から聖書の読み上げを始めるから、祈るのにぴったりよ」
アルシーさんに促されて礼拝堂の椅子に座り神父さんの聖書の読み上げを聞きながら祈りを捧げ始める。
「最初に、神様が天と地、海を創造し——」
十数分ほど読み上げを聞きながら祈りをささげた。
驚いたのは、こういう長時間拘束されることが苦手そうな子供も熱心に祈りを捧げていたことだ。
少し気になったので祈りを捧げ終わった後にシェリルさんに聞いてみる。
「シェリルさん、あの子供たちはなんであんなに熱心に祈りを捧げているんです
か?」
「ああ、あの子たちは教会の孤児院出身の子ね。教会のおかげで生きていけた子も多いから自然と熱心な信徒になるのよ。将来は教会に関わる子も多いわね」
本当に何でもやってるな、この教会……
教会を出てから次の目的地に向かう、今度は領主の館に行くらしい。
「ここがこの町の中心の領主の館よ。まあ、町のシンボルで町の中心にあるから連れてきたけど、外から眺めるくらいしかできないわ。満足したら行きましょう」
領主の館は、町のシンボルというだけあってとても立派だった。
きっと中の装飾も立派なのだろう。
そして、領主の館をしばらく見て満足したので次に向かう。
どうやら次は市場のようだ。
「アル兄ちゃん、ここが市場だよ。ここに来れば大体の食べ物があるんだ!」
市場にはたくさんの商品が並んでいて、それを買い求めるお客もたくさんいる。
「ついでに夕飯の材料も買っていきましょう。何にしようかしら?」
「ぼくは肉野菜炒めがいい!」
「わたしはクリームスープがいい!」
レジー君とイリスちゃんがそれぞれ食べたいものを言って、みんなの視線が僕に注がれた。
え、僕も何かリクエストする感じ?
「えーっと、じゃあ僕はこの前食べたお米が食べたいです。ああ、もちろんお世話になってるので、お金くらいは払わせてください。最近ごちそうしてもらってばかりですから」
そう言うと、シェリルさんは申し訳なさそうにしながらも申し出を受け入れてくれた。
「ありがたいわ。まだ仕事を再開できていないからお金に関しては少し不安があるのよね」
……もっと早くから資金的な援助をすべきだったな。
今まで二人分の食事を追加で用意してもらっちゃったし、大分負担になってしまっただろう。
「お金のことはこれから働けばどうにかなるからあまり気にし過ぎないで。アルさん達はいずれこの町を出るわよね? この町を出る時までなるべく子供たちと一緒にいてあげて頂戴」
そうシェリルさんは二人に聞こえないように小声で言った。
やっぱり鋭いな、シェリルさんは……まあそれに関してはいい案があるから大丈夫。
「それについては夕食の後に二人に話しますよ」
「お願いね」
そうして夕食の材料を買い終わり、この町の有名な場所も見て回ったのでみんなシェリルさんの家に帰ろうとする。
「みんなちょっといい? 試験の合否がもう出たかどうか気になるから僕はギルドに寄ってから帰るよ」
「アル兄ならきっと合格してるよ!」
「行ってらっしゃい!」
「いい知らせを待ってるわ」
そうして僕はギルドに向かう。
ギルドに入ると酒場が大変にぎわっていた。
どうやら依頼が終わったパーティーがたくさん打ち上げをしているらしい。
そんな酒場を横目に見つつ、僕は受付に向かう。
「あ、アルさん。ギルドマスターから来たら連れて来いと言われているので一緒にギルドマスター室に来てもらってもよろしいですか」
「わかりました。すぐにでも行けますよ」
そうして僕はセリアさんに連れられ、ギルドマスター室に向かった。