リジェネレイト・トリップ~アルとアイザの異世界旅行記~   作:自由山明

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1章31話 王都で初めての依頼

 翌朝、朝食の白パンと大豆の甘辛炒め、サラダを味わって食べて、お昼のお弁当をもらってから、ギルドに向かった。

 朝早いので、依頼を探している冒険者はまだ少ない。

 アイザと一緒に良い依頼を探す。

 

「……! アイザ、この依頼どう?」

 

依頼:行方不明者一人の捜索

ランク:C

依頼達成条件:行方不明者の発見、もしくは救出

報酬:銀貨九枚

説明:誘拐事件の可能性大

備考:依頼者との面会が必要

 

「なるほど、私たちの索敵能力があれば救出対象を見つけるのも容易でしょうね。隠密能力も十分ありますし私たちに向いている依頼と言えるでしょう。報酬は相場よりも少し安いですが、まあ許容範囲ですね」

 

 受付に依頼書を持っていく。

 

「あら~? 依頼を受けるのかしら? すぐに手続きするわね~」

 

 名札にイルミナと書かれたおっとりとした感じの受付の人に手続きをしてもらい、依頼書を貰ってからギルドの応接室で依頼人が面会しに来るのを待つ。

 三十分ほど待っていると、依頼人である三十代の男性がやってきた。

「初めまして、依頼人のマルセルです。よろしくお願いします」

 お互い挨拶を済ませ、早速依頼の詳細を確認する。

 

「今回探してほしいのは最近頻発している誘拐事件に巻き込まれた娘のユリアです。衛兵の人にも話しましたが捜査が難航しているとしか言われないので、不安になって今回依頼させてもらいました。あまりお金がないので銀貨九枚しか出せませんがどうか、どうか娘を見つけて下さい!」

 

「わかりました、全力を尽くします!」

 

 お互い固い握手を交わしてから、ギルドを出て捜索を開始する。

 まあ、もう捕まっている場所には目星がついているんだけどね。

 レーダーで調べたらスラム街にある家屋の一つに異常に人が集められているから、そこを探してみよう。

 そうして僕たちはスラム街に向かう。

 スラム街は治安がとても悪いので、アイザ曰く数歩歩けば絡まれるらしいけど面倒だし犯人に感付かれる可能性もあるので、屋根を伝って目的地に向かうことにした。

 

「マスター、あそこです」

 

 見た感じはただのボロい家だが調べてみると、この世界では珍しい地下があるらしい。

 

「マスター。光学迷彩か透視を使用しますか? 今回のケースなら承認されると思いますが……」

 

「いや、まずは偵察をしよう。アイザ、コア機出して」

 

「了解しました」

 

 アイザがコア機を出す。

 コア機は僕の胸部の中に収まるくらい小さいので偵察にはピッタリだ。

 コア機を飛ばし、建物の通気口から侵入させる。

 一階には犯人グループと思われる人物が十人ほどおり、会議をしている。

 距離があるので聴覚センサーの感度を上げ、犯人の会話を聞き取る。

 

「よし、これから定期報告会を始める。何か報告することはあるか?」

 

「へい、今日までに二一人の女子供が集まり、キュノクス伯爵の要求人数に達しやした」

 

 ゲッ、貴族が関わっているのか……めんどくさいなぁ。

 

「他には何かあるか?」

 

「キュノクス伯爵が衛兵に圧力をかけていますがそろそろ厳しくなってきたとのことです。そろっとずらがりますか?」

 

「よし、明日の夜に伯爵の息がかかった衛兵のいる東門から脱出し伯爵領に届ける。馬車を用意しろ」

 

 必要な情報は聞けたのでアイザと作戦会議をする。

 

「アイザどうする? 伯爵が関わっているみたいだけど」

 

「取りあえず、捕まっている人を明日までに助け出すのは確定として、問題は伯爵への対処ですね。かなり権力を持っている相手のようですから、衛兵に届けても揉み消されるでしょうし……王様に直訴でもしますか?」

 

「いや、それはやめよう。手っ取り早いけど、ばれたら面倒だし。取りあえず伯爵の件は証拠だけ手に入れておくとして、誘拐された人の救出を優先しよう」

 

 犯人たちが眠るまで弁当を食べたりしながら待つ。

 夜中に途中で透明になれる魔道具をかぶった犯人グループの一味が新たに誘拐してきたであろう眠っている少女が連れ込まれていくのを確認した。

 

「なるほど、可視光線を屈折させて人間の目では完全に見えないようにする魔道具か。こんなのも作れるなんて魔法ってすごいなぁ」

 

「まあ、可視光線以外は隠せないのでサーモ、赤外線カメラやレーダーにはばっちり映っていますがね。この世界の人間はこれと似たような索敵能力を持っている人類もいるため、過信はできませんね」

 

 この世界の人間すげぇー、今の情報はちょっと驚いたよ。

 連れ込まれた少女を救出するという大義名分もできたので、犯人たちが眠るのを待ってからコア機に証拠になりそうな物を収納にしまわせる。

 その辺に置いてあるものや透明になる魔道具、鍵付きの箱や金庫に入っているものを中身だけしまったりして証拠品の収集が完了した。

 それと余談だが、この誘拐を実行したグループはアイザ曰くその筋の人間から恐れられているほどのすごい裏組織らしい。

 証拠品をすべて集めたのを確認してから、救出作戦を実行する。

 アジトの壁をプラズマブレードでくりぬいて、階段から地下の牢屋に向かう。

 見張りの男がいたので無色透明のプラズマシールドを顔の周りに展開して、呼吸はできても声が漏れないようにしてから男の肩を叩いて起こす。

 

「……!? ……! …………!」

 

 男が何か言いながら攻撃してきたので、一度やってみたかった首トンで気絶させる。

 見張りの無力化に成功したので捕まえられている人たちに声をかける。

 しっかし、まあ見事に奇麗所ばかりたくさん集められているな。

 どうやら伯爵はかなり女癖が悪いらしい。

 

「やあ、夜分遅くにごめんね? 僕はCランクパーティー、永遠の旅のアルティマとアイザだよ。依頼を受けて助けに来たんだ。これから脱出するから静かにしていてね?」

 

 みんなコクコクと頷く。

 檻をプラズマカッターで切って人が通れるようにし、みんなを檻から出してから脱出する。

 

「アイザ、階段の入り口見張っておいて」

 

「了解しました」

 

 僕が先に出て全員が壁の穴から脱出したのを確認してからアイザも外に出てくる。

 みんなを護衛しながら、取りあえずギルドに向かう。

 すでに営業時間が終了していたが、イルミナさんが後ろの誘拐事件の被害者を見て例外的に開けてくれた。

 

「アルティマさ~ん、この人たちは私たち職員一同が何とかしますからギルドマスターに会っていただけますか~?」

 

「わかりました。では、この人たちのことは任せますね」

 

 助けたみんなにお礼を言われながらギルドマスター室に向かう。

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