リジェネレイト・トリップ~アルとアイザの異世界旅行記~   作:自由山明

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1章33話 王城と執事

 王城に入ると外の武骨な雰囲気とは一変して、煌びやかな内装が目に入る。

 貴族と接したときに不敬にならないように軍帽はあらかじめ取ってある。

 たくさんの職人が腕によりをかけて作ったであろう彫刻や石造、国王様と思しき銅像がある。

 現在はホールと思しき広間にいるが、どこに行けばいいのかわからない。

 すると、モノクルをかけたいかにも執事らしい老齢の男性が声をかけてきた。

 

「失礼、アルティマ様にアイザ様ですね? 私、執事のセバスチャンと申します。今回お二方をご案内させていただきます。以後お見知りおきを」

 

 おお、セバスチャンって言う名前のテンプレ的な執事だ! 

 一回会ってみたかったんだよね~。

 そんな喜びの気持ちを隠しながらアイザと二人で返事をする。

 

「「よろしくお願い致します」」

 

「では、謁見まではまだ日数があるのでお二方がお休みになられる部屋にご案内いたします。こちらへどうぞ」

 

 セバスチャンさんに案内されて王城の一室に案内される。

 食事やこのあとの予定なども聞いてからセバスチャンさんと別れて部屋に入る。

 部屋はさすが王城の一室といった感じで、宿屋とは比べ物にならないくらいのお金がかけられているように見える。

 

「おーやっぱり王城はすごいね。部屋は広いし、快適に過ごすための魔道具もたくさんあるし、ベッドもでっかくて、おまけにトイレだけでなくお風呂まである!」

 

「できればでっかいベッドの上でゴロゴロしたいですが……やめた方がいいでしょうね。仕方ありません、セバスチャン様との礼儀作法の確認の時間まで王城の見学でもしていましょうか」

 

「そうだね。立ち入り禁止区域以外は見ていいって言われたし、せっかくだから楽しもう!」

 

 そして王城の見学を始める、まずは一番近い入り口からだ。

 来たときはあまり後ろを見なかったので気付かなかったが、入り口の門のあたりにも精巧な彫刻が施されている。

 上には魔道具を使ったシャンデリアもある。

 通っている人は貴族か役人か騎士が多いが極僅かに商人などもいる。

 ただし、冒険者は僕たちだけのようだ。

 あまり喋るのに適さない場所なので移動する。

 脇の廊下に入り次の目的地に向かう。

 廊下にも細かい装飾が施されており見るものを飽きさせない。

 廊下を歩いていると食堂が目に入る。

 

「おぉ、おいしそうな料理だ……」

 

「王城の料理人なだけあって腕もいいですね」

 

 次は階段を上って僕たちが行ける一番高い場所である、バルコニーに出てみる。

 

「いやー、高いねー。いい景色だよ」

 

「そうですね。……見てくださいマスター、望遠するとザイールがよく見えますよ」

 

「お! ホントだ、どれどれ……うーん、さすがに町の中は見れないか」

 

 周りの景色をあらかた見たので。次は遊戯室とやらに行ってみる。

 あまり期待していなかったが、いざ入ってみると中にはたくさんの種類のボードゲームやカードゲームがある!

 

「アイザ、ゲームだよゲーム! 早く一緒に遊ぼう!」

 

「わかりました。全力でお相手いたしましょう」

 

 二人でカードゲームやボードゲームをして最後にチェスをしていると、なぜだか観客が集まってきた。

 僕たちの戦いを見て、あーでもないこーでもないと言っている人や、じっくり見ている人もいる。

 やがて僕が負けを認めてアイザが勝利すると、一斉に拍手が巻き起こる。

 試合が終わって大体の観客が去ったが、観客の内の貴族と思しき人が声をかけてきた。

 

「失礼、君はもしかしてアルティマ君かね?」

 

「……! はい、アルティマと申します。貴族様とお見受けいたしますが、私のような一介の冒険者にどのようなご用件でしょうか」

 

「あぁその前に、自己紹介が遅れたね。私は男爵のマキワ・ノアだ」

 

 男爵……そしてノア……エルヴィス君のお父さんかな?

 

「息子が大変お世話になったようだね。息子の様子が聞きたいから、今日の夕食の後にでも私の部屋でワインでも飲みながら二人で話さないかい?」

 

 なるほど、やっぱりエルヴィス君関係か。

 エルヴィス君が不利にならないような言動を心掛けないと。

 

「謹んでお受けいたします」

 

「そうか! 嬉しいよ。では、今夜私の部屋で待っているよ。部屋の場所は王城のメイドが知っているはずだから、来るときに聞いてくれれば大丈夫だよ」

 

 そうして、マキワ様と部屋で飲む約束をした。

 この間アイザは完全に気配を消し、まるで風景の一部のように佇んでいた。

 

「マスター、飲みニケーションをしに行かれるのですね。がんばってください」

 

「あー! 飲むならこの世界の甘いお酒が飲みたいなぁ……」

 

 そんなことをぼやきながら、そろそろいい時間になってきたのでセバスチャンさんとの礼儀作法の確認に間に合うように部屋に戻る。

 しばらく部屋にいるとドア越しにセバスチャンさんが声を掛けてきた。

 

「セバスチャンでございます。お二方、準備が整ったので移動をお願いいたします」

 

 セバスチャンさんに連れられ舞踏室に向かった。

 どうやら個人が練習に使う狭い舞踏室のようで、他には誰もいない。

 

「お二方はすでにギルドで作法を習ったと伺っております。なので作法に間違いがあれば私が指摘していきますので、まずは歩き方を見せていただけますか?」

 

 そうして、特に指摘されることもなく一通りの礼儀作法を見せ終わる。

 

「素晴らしいですね! どの作法も問題ありません。お二方は冒険者ですし服装はそのままで問題ありませんし、そもそもお二方の服装はどこかの正装のようです。他の所でも通用するでしょう。では、これで作法の確認は終了となります。それと、謁見は明日行うこととなりました。朝に私がお迎えに上がりますので、それまでに準備をお願いします」

 

 おお、思ったより早かったな。

 流石シゴデキの国王様といったところか。

 

「戻る前に食事の説明だけさせていただきますね」

 

 セバスチャンさんによると、僕たち一般人は食堂ではなく部屋で食べるらしい。

 貴族は食堂と部屋どちらでも食べれるとのことだ。

 王城の食堂は政治的にも重要なため一般人は立ち入れないのだろう。

 そうして、再度部屋まで案内されてからセバスチャンさんと別れた。

 しばらく時間をつぶしていると、夕食が運ばれてきた。

 今日の夕食は白パンにステーキ、フカヒレスープのようだ。

 フカヒレは今日港で捕れたものをわざわざ空間魔法で転移させて輸送しているため、とても新鮮なんだそうだ。

 ……おかしいな、今日食堂の調理室を覗いた時には一般人用の多少グレードダウンした料理も作られていたんだけど……何で一般人の僕たちにこんな豪勢な料理が届けられるのだろう?

 いまいちよくわからないけど、王様に高く評価されているってことかな?

 若干疑問に思いつつも、美味しい料理は食べたいので素直に食べる。

 

「うん、さすが王城の料理! とても洗練された味だね」

 

「ええ、材料や輸送手段、調理方法全てにおいて手間暇とお金がかかっているようですからね。これだけおいしくなるのも納得です」

 

 夕食も食べ終わったので、たまたまお皿を回収しに来たメイドの人にマキワさんの部屋の場所を聞いて、待たせないよう急いで向かう。

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