リジェネレイト・トリップ~アルとアイザの異世界旅行記~   作:自由山明

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1章35話 謁見の儀

 この国の謁見の儀には地球の国の謁見とは違いがあるようだ。

 まず、司会は宰相であるという点が地球とは大きく違う。

 セバスチャンさん曰くどうやらこの国では大抵の儀式では宰相が司会を務めるらしい。

 そのため、宰相は通常の業務だけでなく、こういった儀式にも強制参加なため非常に忙しいんだとか。

 そのせいかどうかはわからないが、宰相の頭はハゲている。

 それはもうツルッツルにハゲていて、髪が一本もない。

 ハゲはもう気にならなくなったとばかりに、宰相が堂々と謁見の儀を進行する。

 

「これより、第二百五十九回、謁見の儀を始めます。ギリアム・フォン・コルニー陛下がご登場されます」

 

 一同跪き、国王様に敬意を示す。

 

「皆、面を上げよ。よく来てくれた。今日は重要な知らせがあるため皆を招集した。その知らせとは、予が統治するこの王都フェルデナンドでキュノクス伯爵が裏組織の人間に住民を誘拐させていたことだ!」

 

 多くの人が動揺しているようで、周りがざわつき始めた。

 

「伯爵は魔道具をふんだんに使用して衛兵の目を悉く掻い潜っていた。オリハルコン貨三枚はする透明になれる魔道具も使っていた。確認した証拠によると、砂漠山岳国家ガエタンの資金援助があった可能性が高い!」

 

 どうやらこの国はガエタンと仲が悪いらしく、この情報に驚いている人はいないようだ。

 

「よって、国家反逆罪でキュノクス伯爵を処刑するため、軍を派遣する!」

 

 なるほど、ガエタンは国王様に嫌でも身内同士で争うように仕向けたのか。

 断られさえしなければ、たとえ犯罪が露見しなくてもキュノクス伯爵とのパイプができるし、中々メリットの大きい作戦だと思う。

 国王としては処刑しないと国の沽券にかかわるし、処刑しても多かれ少なかれ伯爵の穴埋めをしないといけない。

 ただ、何でキュノクス伯爵はこんな自分の首を絞めるガエタンの見え透いた罠に掛かったのかは結構気になるな。

 まあ、そんなことは後で考えればいい、

 そろっと僕たちが呼ばれるだろうから、心の準備をしとかないと。

 

「そして、今回はこの情報を入手した冒険者と情報を届けたギルドマスターを招待している。三人とも、前へ!」

 

 事前にセバスチャンさんと確認した通りに動く。

 ギルドマスターが前を歩いてくれるので注目されやすいのはギルドマスターのはずなのだが、やはり証拠をとってきた張本人という事で僕たちの方が視線を集めている。

 国王様の前で一回跪いてから、ギルドマスターが代表して話し始める。

 

「国王様、この度はお招きいただきありがとうございます。ご召喚に応じ参上しました」

 

「うむ、お前たちを呼んだのは他でもない。この証拠を手に入れた時の状況を教えてほしい」

 

 ギルドマスターがこっちをチラッと見る。

 よし、僕の出番だ。

 

「は! 行方不明の少女捜索依頼を受けて怪しい地点に張り込んでいたところ、新たに一人の少女が連れ込まれたところを確認し、犯人グループが衛兵に内通者がいることや、明日にでも脱出することを聞き取れたため、独断で救出と証拠の収集を実行しました!」

 

「うむ、見事だ! お前たち二人には国から報奨金を出す。ギルドマスター、きちんと渡すように」

 

「は! 仰せのままに」

 

「よし、予が聞きたいことは聞けた。下がってよいぞ」

 

 ギルドマスターの後を付いて行くように下がる。

 

「これから、軍の出撃準備で忙しくなるだろう。各自準備を進めよ! 予からは以上だ。宰相」

 

「は! これにて第二百九十五回、謁見の儀を終了します」

 

 貴族や官僚があわただしく謁見の間を出ていく中、ギルドマスターと一緒にセバスチャンさんに入り組んだ通路を案内され部屋に戻る。

 謁見の儀も終わったので荷物をまとめ……って僕たち荷物ないんだった。

 念のため部屋をきれいにしてから退出する。

 王城に来る前にチェックアウトしておいた宿、悠久の安らぎにもう一度チェックインして当面の寝る場所を確保する。

 特にやることもないので、受け取っていなかった依頼の報酬を受け取ろうと思い、ギルドに向かう。

 

「あら~、アルティマさんにアイザさんじゃない~。ちょうどよかったわ~、この前助けた子たちや依頼人のマルセルさんがそろそろあなた達が帰ってくるだろうから、お礼が言いたいって言って応接室で待ってるわ~。ぜひ会ってあげて頂戴~。あ、これは渡し損ねていた報酬と国王様からの報奨金よ~」

 

 そう言ってイルミナさんから報酬の銀貨九枚と報奨金のミスリル貨一枚を渡される。

 おぉ、ミスリルだ! キタキタァ! ファンタジー金属の代表格‼

 後で暇なときに研究しよう!

 そんな心の中の盛り上がりを隠しながら返答する。

 

「ありがとうございます。では、応接室に向かいますね」

 

 応接室に入るとみんなの熱烈な歓迎を受け、あらかじめ用意していたであろうプレゼントを渡してくれた。

 みんなでお金を出し合って買ってくれたというプレゼントの中身は、魔道具の時計二つだった。

 この世界で鐘以外で時間を計れるものって言ったら星以外見たことなかったから、こうやって時計を出されるとこれまた新鮮だね。

 これは、後でしっかり保存しとかないとね。

 

「ありがとう。大切にするよ!」

 

「皆様、ありがとうございます」

 

 その後、みんなに招待されて、マルセルさんの家の庭でパーティーに参加した。

 みんなが持ち寄った食材を焼こうとしたが、主役はどっしり座っていくれと言われてしまったので、おとなしく座る。

 みんなでワイワイ喋りながら食事をして過ごした。

 パーティーは夜遅くまで続き、十二分に楽しんだので宿屋に戻り、就寝した。

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