リジェネレイト・トリップ~アルとアイザの異世界旅行記~   作:自由山明

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1章9話 初めての依頼、でも何かおかしい……

 翌朝、僕はあくびをしながら起床した、今日は雲はあるがいい天気だ。

 

「ふわぁ~、よく寝た。さて! 今日は依頼を受けてみようかな」

 

 そうして、朝食を食べてから、ギルドに向かった。

 ちなみに今日の朝食は食パンに目玉焼きとウインナー、野菜スープだった。

 そうしてギルドに行くと、すでに多くの人が集まっている。

 どうやら依頼の争奪戦が始まっているらしい。

 

「まあ、僕が受ける依頼は最初から決めてるけどね」

 

 そう言って僕は依頼を取り合っている人の横を通り、人気のないであろう常設依頼の一つをとった。

 

依頼:ゴブリン討伐

ランク:E

依頼達成条件:ゴブリンの討伐証明部位の提出で依頼完了

備考:街道の近くのゴブリンが目標

報酬:討伐証明部位一つにつき石貨二枚

 

「これこれ、やっぱり最初の依頼と言ったらゴブリン討伐だよね!」 

 

 薬草採取も捨てがたいけど、やりすぎると自分で作った法律に引っかかる可能性があるから、今回は取りあえずやめとこう。

 ……まあ、そんなこと言ったらゴブリン討伐だって法律に引っかかる可能性が大いにあるんだけど……、これのせいで先制攻撃できないんだよね……、まあ後悔はしていないけど。

 そうして僕は取った依頼を受付に持って行った。

 受付の窓口は二つあるが、どうやら一人は席を外しているらしい。

 

「セリアさん、これを受けるので必要な手続きをお願いします」

 

「おや、アルさん。初めての依頼を受けるんですね! わかりました。すぐに手続きをします」

 

そうして手続きをしていると、不意にセリアさんが聞いてきた。

 

「それにしてもアルさんは人気のある依頼を受けないんですね? 大体の人は、もっと人気のある依頼を受けるものですが……、それにゴブリン討伐は報酬が低くて人気のない依頼ですし、なおさら最初に選ぶ人は少ないんですよ。まあ、ギルドからしたらありがたいのですが、なんでアルさんはこの依頼を受けたんですか?」

 

どうやらこの世界、最初の依頼はゴブリン討伐が相場ではないらしい。

 

「実は僕、最初に受ける依頼はゴブリン討伐と決めていたんですよ!」

 

「へー、珍しいですね。今は忙しくなりそうなので無理ですが、今度その理由を聞かせてくださいね」

 

「ええ、いいですよ」

 

「では、こちらは依頼書です。帰ってくるときに門番に見せてくださいね」

 

「わかりました」

 

 そう言って僕はギルドを出た。

 なんか、後ろから殺気を感じるが、めんどくさいし気にしないでおこう。

 そうして、メインストリートであろう露店が立ち並ぶ道を歩き、北門から外へ出ようとすると昨日の門番の人に声をかけられた。

 

「やあ、君! 聞いたぞ。昨日Dランクになったんだってな。それに、あの悪名高いヴェストールをコテンパンにしたそうじゃないか! これから依頼か? がんばれよ!」

 

 そう言って門番の人は僕を送り出してくれた。

 どうやら、もう昨日のことが広まっているらしい、この町は噂好きな人が多いのだろうか?

 そして僕は街道沿いを人間が出せる常識的な速度で走ってゴブリンが多くいそうな林に入っていった。

 鳥のさえずりが聞こえ、さわやかな風を感じる穏やかないい林だ……ゴブリンが二十二体いることを除けば。

 

「ゴブ」

「ゴブゴブ」

「ゴブ~」

「ゴブ!」

 

 ……ヘー、ゴブリンってホントにゴブゴブ言ってるんだ。

 狩った小さめのウルフの肉を食べたり、中にはウルフの頭で遊んでいる個体もいる。

 道具をいくつか自作したようで、かなり知能があるらしい、剣を持った個体や弓を持った個体、魔法の杖を持った個体や粗末なフルプレートアーマーを着ていてハルバードを持った大きな個体までいる!

 うん、おかしい!

 初めてゴブリンに会った僕でもわかる、これは多分普通のゴブリンの群れじゃない。

 分析してみよう。

 

名前:ゴブリンの群れ

戦力:ゴブリン×六/ゴブリンナイト×五/ゴブリンアーチャー×七/ゴブリンメイジ×三/ ゴブリンジェネラル×一

 

(アイザ、ゴブリンってこんなどっかの部隊のような感じじゃないよね? まさか、この世界ではこれが普通だったりする?)

 

(ご安心ください、マスター。これは立派な異常事態ですよ)

 

(異常事態なのにご安心くださいって……まあいいや。そういえば奴らの武器と防具ってどっから持ってきたんだ? ジェネラルのハルバードと鎧なんか明らかに人間用には見えないけど)

 

(どうやらあれは金属を魔力で少しずつ形を変えて作られているようです)

 

(へ~そうなんだ。取りあえず戦闘条件を満たしたら戦うか)

 

 そう思っているとゴブリンジェネラルがこちらに気付いた。

 

「ゴブウウゥゥ‼」

 

 ゴブリンジェネラルが大きく鳴いた後、周りのゴブリンが戦闘態勢に入った。

 こちらも、武器を装備し戦闘態勢に入る。

 今回の武器は、前に盗賊と戦った時にこれっぽっちも使わなかった二つのナイフ、雷光だ。

 まず、ゴブリンアーチャーがいち早く矢を放ち、次いでゴブリンメイジが様々な属性の魔法を放ってきた。

 当たっても問題ないが、あえて当たる義理もないので矢と魔法の弾幕を少ない動きで避けながら、厄介な遠距離攻撃のできる個体に向けて攻撃を放つ。

 

「プラズマレーザー」

 

 そうして両指から放たれたプラズマレーザーが寸分の狂いもなくゴブリンアーチャーとメイジの頭部に命中し、倒れた。

 

「ゴブ⁉」

「ゴブ?」

「ゴ……?」

 

いきなり後衛を倒されゴブリンたちが明らかに動揺したが……。

 

「ゴブウウゥゥゥゥゥ!」

 

 ゴブリンジェネラルが一喝したことによりゴブリンたちは統率を取り戻し、こちらに向かってきた。

 近づいて攻撃してきた個体は雷光で首を刎ねる、そしてこちらの後ろをとろうとする遠距離攻撃をしてきた個体は、プラズマガンで頭部を撃ち抜く。

 まだ攻撃してきていないゴブリンナイトが後ろから襲い掛かってきたが、鎧ごと切り裂き倒す。

 そして、あっという間に残りはゴブリンジェネラルのみとなってしまった。

 

「ゴブウゥ……」

 

 どうやら覚悟を決めたらしい。

 もし、逃げるのだったら深追いはしないつもりだったが、この状況では野暮というものだろう。

 ジェネラルの武器を一撃で斬ってしまってはつまらないので雷光の刀身を切れ味をわざと悪くしたプラズマ刃で延長し、迎え撃つ準備をする。

 

「ゴブウウゥゥゥゥゥ!」

 

 ゴブリンジェネラルが大きな雄たけびを上げこちらに突撃してくる。

 互いの武器がぶつかり、大きな金属音が林に響く。

 

「ゴブウ⁉」

 

 どうやらゴブリンジェネラルはハルバードの重量と自慢の力で押してもびくともしない僕に驚いているようだ。

 お互いにいったん離れ、再度ぶつかり、また離れるのを繰り返す。

 そうして、しばらく戦ったあと、ゴブリンジェネラルが今日一番の鋭い攻撃を放つ。

 

「ゴブウウゥゥゥゥゥ!!」

 

 こちらも今日一番に鋭い攻撃を放ちハルバードごと首を断ち切る。

 ゴブリンジェネラルは痛みも感じないまま一瞬で絶命した。




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