空の少女と陽の少女   作:タマン

1 / 1
0話なので、ぐだ子のセリフはないです。すみません。

あと、投稿は不定期となりますので、ご了承ください。







<注意書き>
※この二次創作では、主にカルデアに行く前、つまり学生時代のぐだ子を
オリ主視点から描くものとなっています。


0. 空に■■■

"ねえねえ、ママ、パパ見て!”

 

 

”どうしたの?”

”どうした?”  

 

 

”パパとママのえ、つくったの!こっちがパパで、こっちがママ!”

 

 

”すごくそっくり!―—は、ホント絵が上手ね!ね、あなた” 

”ああ、よくできている、頑張ったな”

 

 

”えへへ”

 

 

”でも大事なものが抜けてるわ”

 

 

”え?なにが、なにが?”

 

 

”それは‥”カキカキ

 

 

”‥あ!これ、わたし!?わたしが、えのなかにいる!うれしい!!”

 

 

”ええ、喜んでもらえてこっちも嬉しいわ。どうせなら、額縁に入れて一番目立つところに、飾らない?あなた”

”ああ、いいんじゃないか”

 

 

”やったー、やったー!”

 

 

幼い頃の私は、幸せだった。

だって、何一つ理解していなかったから。

 

 

 

 

 

  

 

”———————!!”

 

”——————!?”

 

”……”

 

”———!”

 

”……”

 

 

 

 

襖を少し開けて覗く世界は、当時よく読んでいた絵本のようで

現実と空想が混ざり合って、長い夢の中を漂っているとも思えた。

 

そして、そんな幸せな幼少期を終え、小学生になった時、

気づけば私もそんな絵本の一部になっていた。

世界を取り戻すために立ち上がる勇敢で優しい主人公なんかじゃなく、

顔も名前も与えられないまま、何もかもが空っぽで、すぐに物語の隅へとはじき出される存在。

 

それが私、私の今までの人生である。

 

そんな私も一度だけ、繰り返される日々から抜け出したくて、学校から飛び出したことである。

 

行く当てもなく、ただひたすらに無我夢中で走り続けて、ある古びたビルの前で私は立ち止まった。

初めて目にした建物であり、特にそのビルに面影を感じたわけでもなかったけど、

私は、吸い込まれるようにビルの中へと足を踏み入れていた。

 

 

 

ビル内のエレベーターに乗り込んで、屋上へと向う。

ドアが開くと共に、突風に襲われた。

髪の毛が自我を持ったように暴れたけど、そんなことなんてどうでもよかった。

 

だって私は、ただひたすら、屋上から広がる景色に圧倒されていた。

その景色を見ると共に、今まで抱えていたものが一瞬で消し飛び、

空っぽになった私は、あの空の向こう側に行ける気がした。

 

試しに、屋上の縁に片足を乗せてみる。

少し、近づいた気がした。

もう片足も前に踏み出す。

さらに近づいた。

右手を伸ばす。

後もう少しで。

 

そう、後もう少しで行けそうな時に、私の左手を掴み、強く引っ張る誰か。

 

後ろを振り返ると、そこには赤毛の髪を揺らす少女が。

彼女は息を荒げ過呼吸になりながら、涙を流し、私の手を強く握りしめていた。

 

言葉はなかった。

私は、黙ってポケットのハンカチを彼女の手に押し付け、

床に倒れこみ、空を見上げる。

 

赤毛の少女が私の前に座り込んで、何か話しかけていたが、

私の耳には何も届いていなかった。

意識はただ、空の向こうにあった。

 

群青の空。

ただひたすらに青い、青すぎるほどの空。

学校とはまた違った、"(から)"を与えてくれる場所。

そんな感傷に耽る中で、私は、不意に思い立った。

私はきっと・・・・・・今も目を離せず、惹かれ続けるこの空にーーーーー恋をしたのだ。

 

 

                   0. (こい)に落ちる 




読んでいただき、ありがとうございます。

次の話は、中学一年生の春から始まると思います。
次回も読んでいただけると、すごく嬉しいです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。