「…やった…?」
仰向けに気絶する千光院青龍…。
「グ…ウゥ…。」
それと同時に倒れ込む、サクセス側の4代表…。彼らは千光院青龍によるテレパシーを受けて行動していた。青龍からの指示がなければ動けない。
「…まさか、勝ってしまうとハ。セキュリティ最強の男ニ…。」
「滅多なこと言うなよな。…確実に勝てると思ってたわけでもねェがよ。」
千光院リオウと獅鷹アケビが7つ星に合流した。
「ご苦労。皆。…まだ作戦は終わっていない。サクセスを破壊するんだ。私たちにできることを、迅速に行うのだ。」
「4代表と青龍は私と千光院君で見張っておきます。」
震電タイガが口を挟む。
「…わざわざ全員で行くこともないだろう。サクセスの位置を把握できる俺と、様々な状況に対処できるレイ、ここの奥地にいるファリンに用があるクガン…この3人でサクセスを破壊してくる。セナ、マコト。どっちかはこっちに着いてきてくれ。残りは御堂イカズチの救援だ。」
「───そうだ。御堂サンが、まだ…!」
「…用心してくれ。」
「いざとなったら、私たちに連絡してくれ。すぐ駆けつける…。さぁ、行動開始だ!」
サクセスの破壊は震電タイガ、天照レイ、クガン、血伊吹セナ。
青龍達の見張りは千光院リオウ、獅鷹アケビ。
御堂イカズチの救援に新月ルリ、新月マコト、破天トオル、糸紬ヨリトと別れ、行動が始まった…!
───エピソード.25
「───よく来た。7つ星…。新月ルリとは、ファイトゲーム屋の一件以来か。」
「まさか。そんな…あり得ない…!」
対面する新月ルリ一行とオルトロス。
視界の中には、彼らにとって信じられないもの───御堂イカズチの死体があった。
「再生能力者を、殺した…!?」
「ま、そこは企業秘密ってこったな。…帰れ。」
「…!?」
「俺は御堂イカズチを殺せりゃ、それで任務達成だ。…帰れ。」
その発言には、違和感が残る。戦いたくないのであるならば、去るのはオルトロスの方だ。御堂イカズチが既に死亡して、再生の余地がないのであれば、尚更。
「へっ。下手な嘘つきやがって───御堂イカズチは、まだ死んでいない。」
「……。」
「お前は御堂サンを再生させないために、ここにいる。強奪みたいな能力を使って、再生させないようにしてるんだ。」
あの時、千光院青龍を倒した時に聞いた、謎の声…おそらく、声の主は御堂イカズチ。
御堂イカズチは死に体ながらも、エネルギーが尽きていなかった。
黒の地平に意識を移し、7つ星の意識へと介入し───白の地平に新月ルリを誘った。
「さぁ、どうだ?採点してくれよ…!オルトロスッ!」
「…伊達に、狂犬を託されたわけではないか。」
その推理は全て当たっている。
そもそもが、身体をほぼ全て失っても再生する能力なのだ。…脳みその一片になったとしても、時間をかければ復活する。
とはいえ、猶予はない。黒き力による影響で能力が阻害されている上に、オルトロスによってエネルギーを吸い上げられている。
「───行くぞ皆ッ!こいつをやっつけて、御堂サンを再生させるッ!!」
「───あまり舐めるなよ。プラム…全力で頼む。」
『都合良く使うんじゃねーよ!やるけど!』
プラムは肉体を電気とし、オルトロスにひっついている。御堂イカズチから奪ったエネルギーで、【
「俺に一瞬でも勝てる気でいたのが、お前達の敗因だ…ッ!!」
「撤退だ姉さんッ!あの形態には勝てないッ!千光院さんを呼ぶしかないッ!!」
「───あ、あぁ。そうだな!皆逃げるぞッ!!」
「異論はないよ!」
「逸れるなよッ!お前らッ!」
御堂イカズチと全く同じ技を使ったことに動揺するものの、冷静なマコトが撤退を進言し、ルリもそれに応じる。ヨリトとトオルも走り出した…!
「さて。それは正しい選択かな?」
オルトロスは追わない。なのに余裕そうだ。千光院リオウの千光は、【
視点変わって新月ルリ一行。彼らは千光院リオウとの合流を目指し、経路を辿っていた。が、見覚えのある黒い影───【
「ま、まさか…。」
「そのまさかだ。───自身を複製できるんだよ。俺は…。」
「…反則、だろ…!」
全員、戦闘態勢をとるが…余りに、無力ッ!!
『進化』はガス欠、『光』は威力不足、『強奪』は身体に触れれない、『糸』は鎧を貫けない…!
「もう逃げられないぜ。…大人しく死ねッ!!」
(まずいッ…あの時の馬力は、もう出ねえ…!…くそ…!)
黒爪が、一行を切り裂く───!
───エピソード.26
『来ましたか。』
「来てやったヨ。…言い残すことは、あるカ?」
遂に対面する、クガンとサクセス…!異常空間とその内部のファリンが見守る中、サクセスは語り出した。
『ええ。ファリンがあなたを執拗に必要としていた理由を、お話ししたいのです。』
血伊吹セナは訝しんだ。散々非道な真似をしてきたサクセスだ。何か別の目的があるかもしれない。
「…タイガ、どうする?時間稼ぎの可能性もあるよ。」
「…気になっていた。聞こう。」
が、タイガはサクセスの話を聞くことにした。
『ありがとうございます。…クガン、あなたの能力は支配。いわば、超広範囲かつ高出力の現実改変能力です。』
「今は封印されていル。」
『その理由は、世界の滅びを願ってしまったから。…ここが肝心なのです。ファリンは、あなたに世界を滅ぼさせようとしている。』
「…。」
【 そこから先は私が説明しましょう クガン 】
「!…ファリン!」
ファリンから思念が飛んでくる。全ての始まりが、語られた。
【 私がオルトロスを過去に送る前の話 】
【 あなたはちょうど今日、私を奪還しようとセキュリティに挑み、仲間も頼り無くそのまま殲滅された 】
【 その時、あなたの願いが発動したのです。あなたは世界を滅ぼした。 】
【 滅びた世界の中、生き残っていたのは、空間凍結によってあらゆる影響を無視できる私と、当時のオルトロス…御堂イカズチのみ。 】
「御堂、イカズチ…!?まさか、そんな…!」
「…ワタシは仲間を得て、セキュリティを打倒した。君を救えル!世界は滅びなイ!」
【 私の計画をお話ししましょう。私は私自身を現実から過去に送り、オルトロスや他の能力者から強奪で収集したエネルギーを使って、『超能力がない世界』に過去を改変します。 】
【 ですが、やりたい放題ではないのですよ。このような大規模な改変は、現実の年代に近づけば近づくほど、本来の現実に戻るよう修正される。 】
ただし──例外がある。
【 それは、現実が滅びている場合。 】
【 いえ、正確に言えば現実に超能力者がいない場合です。 】
【 その場合は過去改変をしても、一切の抵抗を受けることがない。私が作った理想世界を、そのまま現実に持ってこれる 】
「…だから、ワタシに…世界を滅ぼさせようとしているのカ…!?」
【 実に簡単な話です。クガン。あなたは世界を救うことができる。 】
【 サクセスが既に無色無臭の覚醒興奮効果があるガスをこの部屋に散布しました。あなたはじき、コントロールが効かなくなってくる。そして、能力を使うことになる。 】
「!すぐこの部屋から出るんだッ!!」
「その前に…血鎌投げッ!!」
血伊吹セナが血で作った鎌を投擲。鎌は爆散してサクセスの端末を破壊した。
「クガンッ!すぐに出るぞ!!扉のロックは解除した!」
「…ごめン。」
「縁起でもないこと、言わないでください。」
クガンに肩を貸し、セナとタイガは避難を開始する。
「もう、我慢が───うぐっ。」
「タイガ君、何したの!?」
「電気ショックで気絶させたッ!」
が、事態は一度や二度のファインプレーで解決するほど甘くはない。
【 甘い。 】
【 黒の地平は、時空間関係なく超能力者が意識を共有する… すなわち、私とクガンは意識を共有している 】
【 私は…彼の意識の奥の封印を解除することができる。 】
テレパシーの応用で、他者に行動を強制できる。
かなりのエネルギーを使用するが…計画の実行には必要不可欠だ。
「 ぐ、 う、 あ あ あ ! ! !」
気絶したはずのクガンが叫び出す。
「…すまない。セナ…俺が話を聞こうとしなければ、こんなことには。」
「あそこまで周到なら、私たちがここに来なかった場合も想定済みの筈。タイガ君が気にすることはありませんよ。…ただ、洒落になってないのは、事実ですが。」
「…。」
爆発、閃光───セキュリティ本部は倒壊。同時に…ブラックホールのような球状の物質が生成された。
物質は、世界を吸い込んで噛み砕く。ゆっくりと、ゆっくりと…。
世界の終わりが始まる───。
【 あと7時間ほど、お時間いただきます。 】
【 お時間の後、皆様は、超能力などない平和な世界で目覚めるでしょう 】