超能力特区と熱烈なる狂犬   作:K+#ガソ林

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生きるために狂犬となる

───エピソード.14

 

「御堂ォォォォーーッ!!」

「明賀峯晴貴ィーーーッッ!!!」

 

 先に駆け出したのは御堂イカズチ───にも関わらず先手を取る明賀峯。御堂の頭を吹き飛ばす蹴りをお見舞いする。

 

「グウオッ!?」

 

 のけぞる御堂。しかし、学習している。拳闘のインパクトで体を動かせられ続ければ───一方的に負けるだけ…!

 

「ヒャアァ!!」

 

 無理な態勢で踏ん張りも効かない。が、腰と太もも、背筋を酷使───脅威的なバランス感覚で爪を振り抜いた…!

 

「ぐっ!?」

 

 絶対に避けられない態勢であるにも関わらず、明賀峯は脅威的なスピードで足を引っ込め、後退───身体強化は土台が違うことを思い知らされる。が、その足に切り傷…!

 

「…俺が知ってる爪じゃねぇな?」

 

「特別性だァッ!!」

 

 御堂イカズチの爪は、普通に長く伸ばされたモノと、鉤爪の様になるよう調整され生み出されたモノの2種類が存在する。鉤爪は全てにおいて通常の爪より勝るが、緊急で形成できないことが弱点。

 

「なら俺も見せるか…!鳴鬼拳───奥義ッ!」

 

「奥義ィ?お前、そんなお利口さんだったのかよォーーッッ!!」

 

 鉤爪の猛攻が迫る…!以下に身体強化といえど、人間の60%は水!傷つき、血が出れば明賀峯のスタミナは落ちるのだ。狂犬の爪は、鬼の命に届きうるッ!!

 

「石鬼ィ!!」

 

 皮膚が、厚みを増す───。外皮を強化することにより、人間でいうところの薄皮一枚の尺度を、薄皮四千枚に変えたような形だ。

 

「なァにが石だァッ!!」

 

 切り裂かれる肉体───。しかし、血は出ていない!

 

「金棒ッ!!」

 

 カウンターの蹴り───上へ吹き飛ばされる御堂。

 

「ぐっ…キヒッ…!!」

 

 だが、御堂は爪を地面に伸ばし、錨の如く固定し地上へ帰還…!そのまま明賀峯へ突撃する…!

 

「これが俺への対策かよォッ!!」

 

 無限のタフネスを持つ御堂イカズチに、時に鋭いカウンターを入れながらも…鉤爪に翻弄される明賀峯ッ!以前の戦闘ではこのような何度も何度も蘇る御堂に、明賀峯はやられたのだ。

 

「………スゥーーッ。」

 

 精神統一。

 明賀峯晴貴は心を落ち着かせ、身体をゆるませる。もちろん、体型は維持されたままだ。

 

「ヒャアーーーッ!!」

 

 数回の攻防の末、石鬼で貯めた防壁も崩れ落ち、仕掛けなければ、いずれ死ぬ…。外傷は無く、全てにおいて、万全なのはこの時しかない。

 

「感謝するぜぇ。お前が、俺に立ち向かってきてくれていることを…。」

 

 明賀峯の奥義───その終わり。

 確実に、御堂イカズチをぶっ殺す対策───!

 

「百…羅刹───!!」

 

 ゆるみきった肉体は、液体として機能する。一つの流れに向け、多数の筋肉が働き出す───。

 ひとつ、掌底。御堂イカズチの勢いを殺す。

 ふたつ、御堂イカズチを地面に叩きつける。

 みっつ、飛び上がり、空中を足場と見立て、地面に倒れる御堂と平行になり、殴る。

 百まで、そのまま、明賀峯晴貴の体が地面に着くまでの短い間…二腕二足で全霊猛攻するッ!!

 その様はまるで、地球を殴るかのようなモノ。

 地面に叩きつけることで御堂を逃さない。

 空中での連撃に全てを出し尽くすことで、御堂の再生能力を上回る攻撃を放つ!

 

「が、あああああああああッッ!!!」

 

 マシンガンを超える連撃───地面ごと削られる。なすすべもなく、御堂の腕、足、腹、腰、頭、胸…貫かれ、穿たれ、ぐしゃぐしゃになっていく…ッ!!

 

『奪え…!』

 

「ぐおおおおおおッッ!?」

 

『奪え…!!』

 

「ん、んぐ、うわあああああッッ!!」

 

『奪え…ッッ!!!』

 

「ヒャアァーーーーッ!!!」

 

 初めは、些細な抵抗だった。10の拳のうち、ひとつが相殺された。

 そのうち、5の拳のうち、ひとつを相殺するようになった。

 最後にもなると、3の拳のうち、ひとつを相殺した。

 

「御堂…御堂イカズチィーーーッ!!!千羅刹ッ!!」

 

 地面に足がつく…がッそのまま続行!千回攻撃ッ!!

 どうせ、明賀峯晴貴が御堂イカズチに勝つには、その再生能力を上回るほど傷つけるしかない!終わりがなければ、終わりじゃないッ!!

 

「う、る、ラあああああああッ!!!」

 

 鉤爪を伸ばし、決定的なダメージを狙う御堂。いくつかの傷を与え、血を出させるが血闘の内に折られ、逆に刺し返されてしまう…ッしかし!もう2人とも怯まず、止まらず、終わらず、果てが無くッ!!

 

「フッ……ッ!!ハァーーーーッ!!!!」

 

「ヒィーーッ!!!ケヒャァーーーッ!!」

 

 何度も、何度も。

 何度も、何度も───。

 何度も、何度も、応酬を繰り返した果てに…渾身の一撃を受け、倒れたのは御堂イカズチ。

 

「………。」

 

 殴られ尽くされ、すでに再生がオーバーヒートしている。かろうじて生きてはいるが…この状態で放置されたら、彼としても危ない状況だ。

 

「……く…。」

 

 が、明賀峯晴貴も無事ではなかった。血を流しすぎたのだ。最後の一撃を叩き込む前に倒れ込む。身体強化は解けた。解けたということは、己の筋肉で塞いでいた傷口が再び開くことに他ならない。

 

「が……ぁ……!」

 

 血の絨毯が、御堂イカズチを包み込む。

 

「み、ど、う、…………。」

 

 最後に右腕を伸ばす───が、力が抜け、それは落ちた。

 出血性ショックにより気絶───明賀峯晴貴、生死不明…ッ!!

 すなわち、勝負あり。結果引き分けッ!!

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