Beyond the Wall 〜泥棒とスパイとプリンセス〜 作:ローマン
ベアトリス「はっ……!はぁっ……!」
雨が降りしきるアルビオン王国を走っていたのは、チーム白鳩のメンバー、ベアトリス
彼女は先程までモルゲンホルト卿の屋敷へ潜入していたのだが、敵の罠にはまり、プリンセスが連れ去られてしまった
一緒に潜入したちせは、五エ門を名乗る侍と手下の足止めすることになり、ベアトリスは屋敷を脱出してドロシーと合流しようと考えていたのだが……
ベアトリス(どうしよう……ドロシーさんの車が無い……! ここに停まってたはずなのに……)
ひとまずこの緊急事態を仲間であるドロシーに伝えようとしたのだが、肝心のドロシーと車が見当たらない
このままでは、また追っ手が来るかもしれない
そんな彼女に通りがかった1人の男が話しかけてくる
?「む! 君か!? ベアトリスという娘は!?」
ベアトリス「だ、誰ですか……!?」
銭形「失礼、自己紹介がまだだったな、俺はインターポールの銭形だ。」
ベアトリス「こ、国際警察……」
話しかけてきたのはインターポール所属の刑事、銭形警部だった
ベアトリスは銭形の見せてくれた警察手帳を見て、本物の警察官であると理解した
ベアトリス「そ、それで、私に何の御用ですか?」
銭形「匿名で君を保護するよう連絡があった、詳しい話なら署で……」
ベアトリス「そ、それは駄目です!!」
ベアトリスは銭形の誘いを被せるように、強く否定した
理由は、保護するよう連絡したのがモルゲンホルトではないかと考えたからだ
ベアトリス「それはきっと、モルゲンホルト卿の罠かもしれません!!」
銭形「罠? それは一体どういうことなんだ?」
ベアトリス「あっ……! えっと、それは……」
刑事とはいえ、チーム白鳩が共和国のスパイであることがバレてしまっては、今回の作戦はおろか、コントロールにも計り知れないほどの影響が出てしまう
そして考えを巡らせたベアトリスは、ある作戦を思いつく
ベアトリス「あ、あの! 私、アルビオン王国の姫様の侍女をしているベアトリスと申します! 先程、モルゲンホルト卿の屋敷で姫様が行方不明になってしまって……」
銭形「……お嬢さん、モルゲンホルトの屋敷へ入ったのか?」
ベアトリス「はい、姫様がお誘いを頂いておりましたので……」
銭形「それはマズイな。」
ベアトリス「マズイ、と言いますと……?」
銭形「モルゲンホルトはインターポールもマークしている凶悪な犯罪者だ、決定的な証拠は掴めていないが、奴が裏で悪事を働いているのは間違いない!」
ベアトリス「(ドロシーさんたちとも連絡が取れない今、私に出来ることは……!)ぜ、銭形警部! 私と姫様を助けるのを手伝って下さい!!」
ベアトリスはひとまずプリンセスの救出を優先し、モルゲンホルトを怪しんでいる銭形と協力することを持ちかけた
銭形「分かった、奴の狙いは分からんが、君の友人であるお姫さんの救出に協力しよう。」
ベアトリス「あ、ありがとうございます!」
銭形「だが今日は日も遅い、早くお家へ帰るんだ。」
ベアトリス「あの、私、学校の寮暮らしなんです、今の時間帯だと門限が……」
銭形「む、それもそうか……それなら俺の借りてるアパートでも大丈夫か?」
ベアトリス「銭形さんのアパート?」
銭形「いや、無理にとは言わん、なんなら近くの宿でも……」
ベアトリス「いえ! 是非泊めていただけると助かります!!」
銭形「お、おぉ、そうか……」
ベアトリスは銭形と一緒に行動していれば、モルゲンホルトの陰謀を暴き、プリンセスを救出しノワールを取り返すことができる一石二鳥のチャンスだと考えたのだ
こうしてベアトリスは、銭形の家へと転がり込むことになったのだった
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〜モルゲンホルトの屋敷〜
不二子「さてと、お宝も頂いたことだし、私はこの辺でお暇しようかしら。」
プリンセス「あら不二子さん、そのノワールが本物である確証はあるのかしら?」
不二子「どういうこと? これが偽物だって言うの?」
プリンセス「少し見せて頂けます?」
プリンセスは不二子の持っていたノワールを受け取ると、じっくりと観察し始める
プリンセス「……やはり偽物ですわ。」
不二子「偽物!? だってノワールは金庫の中に……」
プリンセス「盗まれる前提の物を金庫に隠して不二子さんに持って来させるなんて、簡単過ぎる話だと思いません?」
不二子「なるほど、この私を騙すなんて、飛んだ悪徳貴族ね。」
プリンセス「ねぇ不二子さん? 私と手を組めばきっとノワールを手に入れられますわ。」
不二子「……はぁ、しょうがないわね、お宝を頂くまではプリンセスに協力してあげるけど……厄介なのがもう1人いるのよ?」
プリンセス「他にノワールを狙ってる方がいらっしゃいますの?」
不二子「ルパンよ。」
プリンセス「もしかして、ルパン三世なのですか!?」
不二子「そ、そうね……」
不二子の口からルパンの名前が飛び出し、思わずテンションが上がるプリンセス
その様子に少しだけ拍子抜けしつつも、不二子は話を進めていく
不二子「さてと、ノワールを頂く前に、まずはあなたのお仲間たちが危険なんじゃないかしら?」
プリンセス「そうですね、先程モルゲンホルトも侵入者を始末しに行くと言っていましたし……」
捕まってしまったプリンセスなりに、目的を遂行するために行動を起こしたが、自分の身を心配しているであろうアンジェたちのことが、今になって彼女の頭の中をよぎった
不二子「プリンセス、あなたはあなたにしかできないことがあるじゃない、きっと仲間は大丈夫よ。」
プリンセス「不二子さん、結構良い人なのですね。」
不二子「失礼ね、私はこう見えても女盗賊よ。」
こうして、プリンセスと不二子は手を組むことになったのだった
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イメージBGM
in the fog
梶浦由記
(TVアニメ プリンセス・プリンシパル オリジナルサウンドトラック「Sound of Foggy London」より)
アンジェ(何とか屋敷の中には忍び込めた……やはり護衛の数が異常に多い箇所があるわね……)
アンジェはルパンと出会った後、モルゲンホルトの屋敷へ侵入していた
地下通路を通り、現在は天井裏に隠れて屋敷内部の様子を窺っている
モルゲンホルト「そろそろ出てきてはどうですかな? 隣国のスパイさん?」
アンジェ(……!? しまった……!)
アンジェの隠れていた天井裏の真下にモルゲンホルトが立つと、突然上を向き、そう問いかける
直後、アンジェの周りに鉄格子が出現し、彼女は囚われてしまった
モルゲンホルト「あなたですか、シャーロット王女のグルである害虫は。」
アンジェ「害虫じゃなくて、黒トカゲ星の宇宙人よ。」
モルゲンホルト「はっはっ! 宇宙人でしたか、これは失敬な真似を。」
アンジェ「話が通じて助かるわ、私をここから出してほしいのだけど。」
モルゲンホルト「いえいえ、それはできませんとも、私の秘密を知ってしまった者は1人も生かさぬ決まりですので。」
すると、モルゲンホルトの手下たちが次々と襲いかかってきた
アンジェは直ぐに鉄格子の鍵を解錠し、手下たちと応戦する
手下「このっ! ぐわぁっ!?」
アンジェ「ふっ!」
手下「どわぁっ!?」
アンジェはCボールを使用し、壁を縦横無尽に移動しながら手下を追い詰めていく
モルゲンホルト「今だ。」
アンジェ「っ……!?」
Cボールの効果が丁度切れたタイミングで、モルゲンホルトは取り出した銃でアンジェの身体を撃ち抜く
手下たちの応戦で必死だったアンジェは、その攻撃をかわせなかった
モルゲンホルト「さぁ、これであなたは……」
負傷したアンジェにモルゲンホルトが近づいたその時、辺りが煙に包まれた
アンジェが仕込んでいた煙幕が作動したのだ
モルゲンホルト「逃げられましたか、まだ遠くへは行っていないはずです、屋敷内を隈なく探しなさい。」
モルゲンホルトは部下に、そう指示するのだった
ベアトリスと銭形警部が出会い、プリンセスと不二子が手を組むことになりました
はたして、敵の凶弾を受けたアンジェの運命は……!?
次回に続きます!!