Beyond the Wall 〜泥棒とスパイとプリンセス〜 作:ローマン
〜?〜
アンジェ「……? ここは……」
ドロシー「アンジェ……!」
ちせ「気が付いたようだな。」
アンジェ「……! 私っ……!?」
深い眠りから目覚めたアンジェは、寝かされていたであろうベッドから勢いよく身体を起こそうとしたが……
ドロシー「よせアンジェ! まだ傷口が塞がってないんだ!」
アンジェ「包帯……?」
ちせ「其方の身に起きたこと、覚えておらぬのか?」
アンジェ「私は……」
アンジェは、モルゲンホルトの屋敷での出来事を思い返す
意識を失うまでの微かな記憶では、屋根の上から落下して湖に落ちた後、なんとか岸まで這い上がったのだけは覚えていた
アンジェ「ドロシー、ちせ、私を助けてくれてありがとう。」
ちせ「礼なら私たちではなく……」
ルパン「嬢ちゃん、目覚めたみたいだな〜。」
アンジェたちの居た一室に入って来たのは、なんとルパンだった
だが、ドロシーとちせは警戒する素振りがない
アンジェ「ルパン三世……何故あなたがここに……」
ドロシー「ルパンたちが助けてくれたんだ、おまけに私たちも……」
次元「ほれ、食い物を持ってきたぜ。」
ちせ「助かる。」
五エ門「どうだ、怪我の具合は?」
ルパン「熱は下がったみたいだぜ、後はゆっくり療養すれば大丈夫だろ〜。」
ドロシーとちせ曰く、彼女たちもルパン一味によってこの場所へ連れてこられたようだ
アンジェ「プリンセスは……」
ルパン「モルゲンホルトの屋敷で囚われたまんまだな、だから言ったろ? 嬢ちゃんには相手が悪過ぎるって。」
アンジェ「でも……!」
ルパン「アンジェ、モルゲンホルトの屋敷に潜入して帰ってきた奴はただ1人を除いて居ねぇ、諦めるのも時には大事だぜ?」
アンジェ「あなたに……あなたに何が分かるの……!!」
普段は冷静なアンジェだが、プリンセスの安全が保障されていないという状況に焦りを感じていた彼女は、涙ながらにルパンへ抗議する
アンジェ「プリンセスは……プリンセスは……!!」
ドロシー「アンジェ……」
ルパン「つうわけだ、今度は俺たちがモルゲンホルトのお宝を盗み出す番だな、嬢ちゃんたちは大人しく待ってな。」
アンジェ「待ちなさい!!」
アンジェはベッド脇に置かれていた自身の銃を構える
ルパン「よせやい嬢ちゃん、俺たちとやり合おうってのか?」
アンジェ「渡さない! モルゲンホルトのノワールも! プリンセスも! 私たちが盗み出す!!」
ルパン「……言えたじゃねぇか。」
アンジェ「え……?」
先程まで敵対心を向けていたルパンが突然そう呟き、アンジェは困惑する
ルパン「奪われたものは奪い返す、その気持ちがあるんなら大丈夫だ。」
アンジェ「ルパン、あなた何を言って……」
ルパン「一緒に手を組まねぇか? モルゲンホルトからノワールとプリンセスを盗み出す、どうだ?」
ドロシー「待った、私たちはコントロールから指令を受けたスパイ、そう簡単に泥棒と手を組むわけにはいかない。」
ちせ「同じく。」
ルパンはアンジェに自分たちと協力しないかという提案を持ちかけたが、コントロールからの任務中に敵になりうるルパン一味と手を組むことはできないとドロシーとちせは断るつもりだったが……
アンジェ「……あなたたちを信用しきった訳じゃないけど……分かった、協力してあげるわ。」
ドロシー「お、おいアンジェ!」
ちせ「本気か、アンジェ?」
アンジェ「ルパン一味の実力は本物よ、なら手を組まない理由はないわ。」
ドロシー「し、しかしだなぁ……」
ちせ「私はアンジェの意見に賛成じゃ。」
ドロシー「ちせまで!?……あぁもう分かったよ! こうでもしなきゃプリンセスとノワールは取り返せないしな。」
アンジェはルパン一味の実力を買って、手を組むことにした
ちせはアンジェの意見ならばと賛成し、ドロシーは当初否定的だったものの、最終的には手を組むことに賛同してくれた
ルパン「てなわけで契約成立だな〜! 俺はルパン三世!」
アンジェ「アンジェよ。」
次元「次元大介、ルパンの相棒だ。」
ドロシー「ドロシー、チーム白鳩のリーダーをやってる。」
五エ門「石川五エ門でござる。」
ちせ「ちせだ、よろしく頼む。」
こうして手を組むことになったルパン一味と一部のチーム白鳩は、互いに自己紹介をした
アンジェ「後はプリンセスと、侍女のベアトリスが居るのだけど……そういえばベアトは何処?」
ルパン「あ〜、それはな〜……」
ちせ「確か、お主らを追いかけている警官と行動を共にしているのだったか?」
次元「あぁ、俺たちの最も苦手とする銭形のとこにな。」
ドロシー「まぁつまり、ルパンたちの宿敵の元へ転がり込んだってことだ。」
アンジェ「どうしてそんなことに……?」
どんな行きあたりでベアトリスと銭形が共に行動しているのか困惑する一同だったが、ひとまずスパイであることがバレなければベアトリスは安全だということが保障された
ルパン「ま、とっつあんなら大丈夫だろ! アンジェ、他に何か食いたいものはあるか?」
アンジェ「そうね……あなたの得意料理を食べてみたいわ、なるべく胃に優しいものを。」
ルパン「はいよ〜! 俺様特製のフルコースを作ってやるぜ〜!」
五エ門「ルパンのフルコースは口に合わん、某は日本食を探しに行くでござる。」
次元「五エ門、俺もタバコ切らしちまってるから一緒についてくぜ。」
こうしてルパン、次元、五エ門が同時に席を外したため、残されたのはアンジェ、ドロシー、ちせの3人だけとなった
ドロシー「……アンジェ、本気でルパンたちに協力するつもりなのか?」
アンジェ「協力はする、けど……」
ちせ「ノワールは最後に頂く……というわけじゃな。」
アンジェ「えぇ、それにさっきルパンが話していたけど、モルゲンホルトの屋敷に忍び込んで帰ってきた者が1人だけ居たという話をしてたわね。」
ドロシー「そういやそんな話を……ってまさか!」
アンジェ「その帰ってきた者と言うのは、ルパンで間違いないわね。」
先程の会話を聞いた限り、モルゲンホルトの屋敷へ潜入して生きて帰った者はルパンで間違いなかった
ドロシー「ルパンたちと協力することを、Lに伝えてくる。」
ちせ「アンジェ、お主はどうやってプリンセスを救い出すつもりなのじゃ?」
アンジェ「私はスパイ、全てを欺くだけよ。」
ちせからの質問に、アンジェはスパイとしてそう答えるのであった
一旦協力関係に落ち着いたルパン一味とチーム白鳩
そして、アンジェの真意とは……?
次回もご期待下さい!