戦場のプロローグⅠ
別に転生したから異世界無双したいとか、チーレム作りたいとか、お金持ちになりたいとか、そういう理由で戦場に居るわけじゃない。地位や名誉も必要ない。ただ、そうせざるを得ないように追い込まれているだけで、叶うなら戦場から今すぐ逃げ出したい。戦場はテレビや本で読む以上に地獄だ……。
ただ、偶然にも戦えるだけの力を突然与えられて、見捨てるのは嫌だから戦っている。若干強制されている部分はあるが、誰が言っていたかな、“バルトフェルド”さんがSEEDで言ってたかな。人は直ぐに慣れる。うん、間違いではないけど本当に辛い。
具体的に何が辛いって、戦場で戦っている最中にヴァールに殺害された人の遺体や鳴り止まない銃声、何より人々の阿鼻叫喚を聞くのが本当に辛い。VFやリガード、クァドランに乗ってるヴァールはダルマにして放置していればいいけど、生身で銃を乱射してる奴は最悪二次被害を出す前に撃たなきゃいけないのが本当に辛い。もうストレスが凄すぎて数週間まともに食事なんて出来なかった……。
あぁ、本当に辛い……。なんでこうも俺は戦ってるんだろう。今日も今日とてヴァールが発生すれば強制的に戦場に駆り出され、デルタ小隊とワルキューレが到着するまでの耐久戦。ほんと勘弁してほしい。確かに助けられるのなら助けた方がいいのは人としてはそうなんですが、転生するまで普通の一般人だった俺に最悪殺しを要求するのは酷だと思う……。
本当に最悪だ……。
いや、現地でヴァールに襲われている人の方が最悪な気分で辛いか。俺は機体のコックピットの中に居て、ただ機動兵器に乗っているヴァールを無力化することぐらいしかできない。でも極限状態だと他人のことを考える余裕はない、とはよく言ったものだ。
こんな人間がなんで戦ってるんだろ……。
『はぁっ!、はぁっ!、はぁっ!』
ヴァール化した本人もまた地獄だ。自我を失い、暴徒になって他者を傷つけてしまう。最近はヴァールによる死傷者の数は右肩上がりの傾向にある。彼らも無念だろう。謎の奇病によって本来守るべき存在に銃を向けてしまう。人々の平和と安寧を壊す存在になるのだから。
それと体が兵器の扱い方を覚えている特性は厄介だ……。あれどうにかならないかな。言い方は酷いかもしれないけど理性が残っていないおかげでどれだけ群れようとも戦術性は皆無だ。個々がそれぞれ破壊衝動に突き動かされるままに機体の火器を乱射するわけだが、民間人を守りながら戦う必要があるこちらとしては早々にそういった機体から無力化しないといけないから対応する順番は間違えられない。
『ゔゔゔゔゔゔゔっ!!!』
今すぐ楽にしてあげた方が良いのかもしれない。だけど、ワルキューレの歌があれば暴徒から元の人間に戻ることが出来る。後遺症はあれど、生きることが出来る。僅かでも生きる可能性があるのなら、たとえ苦しいのだとしても解決するまではコックピットに閉じ込めておくべきか……。
『ゔゔゔゔゔゔゔっ!!!』
「痛いかもしれないけどごめんよ」
アサルトナイフを手に、ヴァール化した兵士の駆るVF-171、ナイトメアプラスの近接戦に対し、ストライクフリーダムはアサルトナイフを装備した右腕に対し、サブスラスターを吹かせ、遠心力を利用した回し蹴りを叩き入れることによって強烈な打撃となってVF-171の右腕をフレームごと歪める。機能しなくなった右腕は腕が折れてしまった人間の腕のようにグラグラと揺れる鉄の塊と化した。
更に戦闘力を奪う為にストライクフリーダムの腰部の左右に装備されたレール砲、“フォランスアスタレール砲”の砲身を折り畳み状態から前方に向けて展開し、計五発VF-171へと向けて放つ。目標はVF-171の主翼、頭、そして四肢。正常状態であれば機体をバトロイドからガウォーク、ファイターの三形態を駆使して避けることもできたのかもしれないが、ヴァール化した兵士には不可能な芸当であった。
為す術もなく、レール砲の直撃を受けた機体は全ての機能を失い、重力の流れに逆らうことなく地上へと落下する。落下時に発生する衝撃はコックピットに備わった耐G装置などがある程度は防いでくれるが、完全には防ぎ切ることはできない。パイロットの負傷は免れないが、殺生まで至らない。だが彼らに苦痛を与えてしまう事実は変わらないのがやりきれない気持ちにさせる。
戦闘中に余計な考えは本来いけないことだが、ヴァールの根本的な原因とはなんだったか。本来バジュラに寄生するはずだったフォールド細菌が人間に寄生することによって発症する病だったっけ……。マクロスの知識がうろ覚えなので詳細はあまり記憶にないが、そんな感じだったと思うけどどう解決したらいいのだろうか……。
未然に防ぐ対策なども講じられないのだとしたらヴァールは前世で言うところのインフルエンザのような病的な立ち位置になるのだろうか。だとしたら俺の戦いは未来永劫続くってこと?だとしたらこの地獄を無限に感じないといけないとは一体何の罰ゲームなんだろうか。泣きたくなる。
「ごめん……」
今日何度目になるのか分からない謝罪の言葉。都市の破壊をするヴァールに対して背部の機動兵装ウイングにある左右四対の蒼い遠隔操作兵器、“スーパードラグーン”を射出。それと同時にドラグーンを射出したバックパックには“ヴォアチュール・リュミエール”によって構成される光の翼が展開される。
射出されたドラグーンは市民を襲おうとする銃を持ったヴァールの頭上に位置を取り、一般人を巻き込まないように最低出力のビームを撃つことによってヴァールとなった人間を蒸発させる。そして残像を発生させるほどの高速移動が可能になったフリーダムは、ビームライフルを左右腰部のレール砲にマウントし、レール砲上部にある“ビームサーベル アクータラケルタ”を二本同時に引き抜き、ゼントラーディ軍のリガードやクァドランの砲や脚部、腕部をすれ違い様に切り払う。
───今日もまた、人を殺した。
この事実が、人を殺めたという重責が酷くのしかかる。頭の中では最善の行動を取ったつもりだと自分に言い聞かせるのが日常的で後ろめたさと合わさって更に嫌な気持ちにさせる。頭の中で何度もシミュレーションをした。VFやリガードに乗らない、生身のヴァールを無力化させるにはどうしたらいいか。ワルキューレが到着するまで待つ?否、彼女達が歌う前に大勢の人が死ぬ。
誰かにとって大事な人だったとしても、10を捨ててでも100を救うしかない。それが最善に違いない。そう思わないと戦えない俺は自分自身への苛立ちを募らせる。
「大気圏外にデフォールド反応───デルタ小隊とワルキューレが到着したのか……。ライブが始まるまで凡そ五分程度……」
三分で終わらせる。暴走していたヴァールの兵器は既に八割が沈黙している。残りは駐屯地から出撃しようとするリガードとクァドランのみ。ヴァール化を免れた新統合軍のVF-171が出撃を食い止めようとしているが味方を撃つことに躊躇い、まともに機能をしていない。
「武装と手足だけを破壊すればいいだろうにっ!」
断じて彼らに向けた怒りではない。
これは自分に対して向けた怒りの言葉。彼らに罪はない。本当に、やりきれない。ヴァールは兵士だろうが、兵士じゃなかろうが破壊衝動を持つ故に多くの人に被害を与える。もし知り合いがヴァールになった時、仲間は別に反乱を犯したわけでもない、病にかかった仲間を撃たなければならない。彼らも頭の中で戦闘能力だけを奪えばいいと理解はしていても、リスクを恐れて動くことができない。
これが意味することは、その優しさは誰かを殺す。その優しさがまた誰かを殺してしまう前に止めなければならない。軍人が仲間を撃てないと言うのなら、出来る人が終わらせないといけない。その幕引きをする貧乏くじを引いたのは俺で、俺が終わらせないといけない。
「終わらせる!これでっ!」
ドラグーンの先端にビームサーベルを形成し、有機的な起動を取りながら駐屯地のリガードおよびクァドランの機銃などを切り落とし、“高エネルギービームライフル”による攻撃で脚部を打ち抜かれて立ち上がる能力を奪う。最後にスラスターも切断し、飛行能力を奪うことで機能を沈黙させる。
ワルキューレの到着を告げるマルチドローンプレートが戦場に展開されていき、凡そ戦場に似つかわしくない華やかな衣装を纏う四人の姿、声。そしてそれを守護するデルタ小隊の姿を確認した後、これ以上自分にできることはないと言わんばかりにフリーダムはドラグーンを背部のバックパックに呼び戻し、メインスラスターを吹かせて一気に加速し、戦場から離脱する。
「できることは、やったよ……」
その言葉に反応するかのようにストライクフリーダムガンダムのデュアルアイセンサーが光る。まるでそのことを認めてくれているのかのように。そしてフリーダムの前方に空間歪曲型ワープ、“フォールド”する為のゲートが開かれる。そこに機体を潜らせ、この惑星から去った。
■
戦場の跡地、そこは人々の歓声の声に包まれていた。
つい先ほどまでヴァールシンドロームによる災害によって阿鼻叫喚の地獄絵図と化していたのにだ。この歓声の正体は戦術音楽ユニット、ワルキューレの歌によってヴァールシンドロームは完全に鎮静化し、事態が完全に収束したことへの歓声だ。
『無限の星々に!』
「女神の祝福を!」
ワルキューレのメンバー、リーダーである“カナメ・バッカニア”と“レイナ・プラウラー”、“マキナ・中島”。そしてエースボーカルである“美雲・ギンヌメール"”。彼女達四人の歌声には“生体フォールド波”が含まれており、その歌声をヴァールに聴かせることによって発症者を正気に戻すことができる。
衣装に備わっているフォールドプロジェクターに彼女達を守るように取り囲む小型飛行体マルチドローンからは彼女達を際立たせる為の色鮮やかな光を照らしだし、彼女達の歌によってこの絶望した場面に平穏が訪れたことを人々に告げていた。
そんな彼女達の頭上にはワルキューレを護衛する為の部隊、デルタ小隊の駆る“VF-31”、ペットネーム“ジークフリート”が四機、編隊を組んで周囲の様子を伺っていた。その内の一機に、アラド・メルダースは居た。
「隊長、周囲のヴァールは完全に鎮静化。市民に混乱する者はまだ複数居ますが、ここからは軍に任せて撤退しても大丈夫でしょう」
アラドに通信でそう伝えるのは黒の“VF-31F”、背面中央に死神のパーソナルマークを描いた機体を駆るデルタ小隊の副隊長、“メッサー・イーレフェルト”だ。
「あぁ、俺達の役割を終わった。引き上げても大丈夫だろう……」
その役割も、殆ど蒼天使が果たして行ったがなと、心の中で呟きながらアラドはデルタ小隊全機に撤収を命じる。今回のヴァール騒動で、デルタ小隊は本当にワルキューレのバックダンサーとして機能するだけだった。戦闘行為は一切なく、ワルキューレを守るだけの盾だった。
アラドも戦闘行為をしたいわけではない。だが、ヴァール騒動の度に戦闘行為は全て蒼天使が行い、ワルキューレを守ること、パフォーマンスの為に機能している現状を見ているとまるでデルタ小隊はワルキューレの演出の為だけに居る存在で、飛ぶことに意味はないと蒼天使に告げられているような気分だった。
「今回の戦闘も民間人に被害が出ないように最小限で行い、生身のヴァールは大勢の人に被害を及ぼす前にビームで蒸発させる、か……」
「合理的な判断ですね……。こういった言い方は亡くなった方々に失礼かもしれませんが、蒼天使は何よりも事態の収束を優先している。その為の要因は罪がなくとも容赦はしない、でしょうか」
「そうだな……。蒼天使の判断は正しい。もしその判断が一歩でも遅れていたらワルキューレが到着する前により多くの人に被害が出ていただろう。しかし、な」
メッサーの言う通り、蒼天使の判断は合理的で正しい。だが、この事態を理屈ではなく人としての感情だけで捉えた時、蒼天使の判断はあまりにも無慈悲で残酷だ。きっと悪意はないのだろう。悪意があれば民間人への被害を最小限にと考えた動きはしないはずだからだ。
実際、この都市の被害もインフラ設備や多くの建物の損壊率は驚くほどに低い。現代の技術力を持ってすれば、復旧に一か月から二か月ほどで元の生活には戻れるだろう。軍の設備も同様だ。あくまでも蒼天使はヴァールの駆る兵器のみを無力化させる。そこは二年前に出現した時と一貫している。
「レディMからは何と?」
「蒼天使の調査は引き続き続行。可能なら対話を試み、ケイオスに連れていくことを目標とせよ。正し、戦闘行為は一切禁ずる、だそうだ」
「妥当ですね。何度かデータだけでなく、生で戦闘を見ましたがあれは異常です。隊長が気になるのもご無理はないかと。俺も不要なら蒼天使との戦闘は避けます」
「俺も、絶対に戦いたくなんてないさ」
可能なら味方には引き入れたい。既に“レディM”より蒼天使に関する調査と新統合軍よりも先にコンタクトを取る命令が下っている。最新鋭の設備をもってしてもケイオスを上回るヴァールを探知する能力。何よりも大気圏内を自在にフォールドする凄まじい技術を搭載した人型兵器。その戦闘能力も今やこのブリージンガル球状星団では知らない者は居ないほどに強力だ。
新統合軍の上層部も血眼になって蒼天使を確保しようとしているという良くない噂も聞く。もしデルタ小隊に蒼天使とそのパイロットを迎え入れることが出来たのなら、それはきっとヴァールシンドロームの発生の抑止、例え発生したとしても迅速な鎮静化が可能になるはずだと考えている。
だが───
「天使は女神の元に馳せ参じず、か……」
蒼天使は女神に応えない。単独での鎮圧を試み、事態の収束を図る。そしてデルタ小隊、ワルキューレが登場するや否や颯爽と戦場から立ち去っていく。蒼天使に対する市民の意見は賛否両論だ。ヴァールシンドロームに対して迅速に察知し、軍やケイオスでは不可能な武力介入を行い被害を減らしてくれるという意見。
片や軍が本来すべきことを真似事のように行い、戦場を混乱させている。また軍などにも所属していないアンノウン機の救援など信じられない、軍に所属すべきという意見。
アラドはまだ見ぬ蒼天使のパイロットと話してみたいと思う。何の為に戦うのか、何の為に飛ぶのか。人を想う動きをする彼だからこそ、話してみたいとは思うのだが、当面は叶いそうにないと思いながらデルタ小隊とワルキューレは事態収束を軍に依頼し、母艦へと帰投するのであった。
■
戦闘が終わってから過去のことを振り返る。
どうして自分がこんなことになっているのか、どうしてストライクフリーダムガンダム弐式のパイロットとしてヴァールシンドロームに対抗しているのかを。
そもそもの話、俺はこの世界の人間ではない。
俗に言う転生者と言う存在なんだと思う。だけど自分がどうやって死んで、どうして生まれ変わったのかは分からない。だけど自分には前世というものがあり、普通の人間として生きていた確信だけはある。記憶に薄っすらと残っているのは映画やアニメなどの記憶に残りやすい映像物の記憶だけ。
名前と何の役にも立たなさそうな知識を持ったのが俺であり、気が付けばもうコックピットの中で目が覚めた。フリーダムを通して見た外の景色はどこかの実験施設。フリーダムを取り囲むかのように色んな研究者達が居た。白衣を着た男達には被検体10Aなどと呼ばれていたが、身の危険を感じてフリーダムを起動、無我夢中にその施設を破壊して逃げ出し、今に至る。
逃げ出した先で色々と確認してみたら俺の容姿は“キラ・ヤマト”と瓜二つの姿でここがマクロスの世界だということ。年数を見た時にマクロスFまでは終了していることは時系列的に分かってたけど、当時は持ち物がフリーダムしかなかったから色々と大変だったのが懐かしい。今でもどうしてマクロスの世界にストライクフリーダムガンダム弐式が存在しているのか理解できずに混乱していたのを覚えている。
なけなしの前世の記憶は世界特定の役に立って以降は特に役立ってない。フリーダムのコックピットの中にあった非常食だけで数日を凌いだ日々は忘れない。水の確保も大変だった……。当時はそんな環境に困惑し、途方に暮れてたら通りすがりの“旅人”が色々と俺を助けてくれた。
その人はプロトカルチャーの遺した遺跡を巡っては珍しい物を見つけ、遠く離れた息子に送っているのだと言う。今は仕事で各地を転々としていて会えないが空で繋がっていると笑いながら話すその姿に救われたのは懐かしいな。旅人さんは元気にしているだろうか。
色々とお世話になったからまた会えたらお礼を言いたい。
旅人さんのおかげで生活の基盤とまではいかないが、最低限の生活を送れるかもと思った。だけど、旅人さんが次の目的地に向けて去った後に最悪な事態が起きた。そう、ヴァールシンドロームの発生だ。最初はフリーダムのコックピットの中に逃げ込んでその場を凌ごうとした。だけど、ヴァールシンドロームが発生するとフリーダムからヴァールが発生をしたことを告げるニュータイプ的なピキーンが発動する。
まるで、機体が戦えと言っているように。
見ない振りをしてもヴァールによって町は炎の赤、血の赤に染まり、空は黒煙に包まれる。頼りの軍もヴァール化したことによって仲間同士で戦う。そんな中逃げ惑う人が目の前で死ぬのが怖かった。何より、自分が死ぬのが怖かった。誰かを助けたいとか、守りたいとか、そんな動機ではなく、ただただ自分が生き残りたいという思いでフリーダムと一緒に初めて戦場に立った。
逃げても良かった。でも、逃げられなかった。ここで逃げたら一生後悔するような気がして、戦った。幸いと言うべきか、この肉体のおかげで本当にキラ・ヤマトが操縦しているかのように機体を自在に操ることはできたけど、逃げる人を助ける為にヴァールになった人を“殺した”。
爆弾を使って自爆しようとしたところを、ビームサーベルで蒸発させた。
俺自身が人を殺めた事実を受け入れることができず、胃の中のものを全て吐き出した。その事実から逃げるように、目を反らすようにその惑星から逃げ出した。それ以降も逃げ出そうとしたけど、ヴァールが発生する度に耳鳴りのように感じる感知音は止まず、あの惨状を見ても尚戦おうとは思わなかった。
だけど、ヴァールシンドロームは銀河の各地で発生している。目を背けても、どこに逃げても何も変わらないと思った。罪の意識からは逃れられないと。フリーダムが、ガンダムがそう言っているような気がした。その戦い以降、ヴァールシンドロームの発生を感知して機体に乗り込むとフリーダムはヴァールが発生した惑星へと自動でフォールドする。ある程度の鎮静化が確認されるまでは離脱は許されない。ヴァールの発生が続けば戦場から戦場へワープすることもあった。
今でこそ少し落ち着いて戦えるようになったけど最初の二年は吐きながら戦うこともあった。ヘルメットの中とコックピットの中はその度に最悪な状態になり、戦闘後に何度も掃除した。そんな生活を続けて早四年の時が経った。未だに事態の収束が付かないこの銀河で俺は生きている。
だから、本当に辛い。
神様はなんでこの世界にしたんだろう。
泣きたい。
マクロスの世界にマクロス技術で開発されたストライクフリーダムガンダム弐式。とっても好きだけど、兵器として人を簡単に殺せてしまう力。今となってはアニメで見ていた姿と現実は乖離していると現実を突きつけられる象徴。
逃げられない。
生きる為とは言え、人を殺めた。ならその責任は果たさないといけないと思う。きっと、本物のキラ・ヤマトなら守る為に戦うはずだから。
「また、ヴァールか……」
頭の中にピキーンとヴァール発生を告げる音が鳴る。コックピットの中にあるメインコンソールにはフォールド先の惑星が既にセットされている。その行先は───
「惑星アル・シャハル……」
機体前方にフォールドする為の円心円状のゲートが展開される。気を引き締め、フリーダムを通常空間から超時空へと突入、“フォールド・イン”させる。フリーダムはデブリが多く散らばる宙域から姿を消し、次の戦場、砂の惑星へと飛翔した。
美雲さんのセリフ一言で終わっちゃった……
今回は主人公の独白なのでちょっと重めかもです。
次回以降も続けられるように頑張ります。