一般通過冒険者が知り合い達に狙われる話   作:一般通過冒険者

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ナマイキなアイツ

 

 

 

 吾輩は冒険者である、名声と富はまだ無い

タダの一般通過冒険者である

 

 

いつか英雄と呼ばれる事を夢見て早幾星霜

辺境の街、ダンカルクの地でスッカリ燻っている

 

 

不思議なモノである この街に流れ着くまでは1年1年が途方も無く長く感じたが此処に居着いてからは妙に時の流れが早い

 

まさに光陰矢の如しである

 

そのせいかすっかり気が弱くなり今の夢は英雄になることでは無く自分の家を持つ事になってしまった。

 

認めたくないモノである

老いと云うモノは

 

 

 依頼に向かう前に飲むミルクをたっぷり入れた珈琲1杯を一気に飲み干し脇に置いてあるバケツの様な鉄兜を深く被り立ち上がって会計を頼む

 

 

「珈琲一杯銅貨10枚だ」

 

ダンディなマスターがグラスを磨きながら珈琲の値段を言う

渋い容姿の為か街の淑女様方からの評価は高い 

 

 

だがロリコンである

 

 

それはさて置き、また高くなっている……以前なら小銅貨8枚だった

北方の戦の所為であろうか

 

 

全く戦争とは傍迷惑なモノである。

戦争で得をするのは古来より政治屋と銭化け狸どもだけと相場が決まっている。

 

支払いを終え店の外に出ればスラリとして小柄な体型の灰色の髪に糸目がトレードマークの女性がいた

 

それは今吾輩が一番顔を合わせたくない女だった

 

 

「久しぶりぃ〜元気か?」

 

 

お陰様ですっかり具合が悪くなってしまった。

 

 

「無視か〜?」

 

 

吾輩の顔を下から覗き込む彼女、リリスとは5年来の付き合いである。

 

今から5年ほど前 丁度このダンカルクに流れ着いた時に北方から流れて来た魔物の大規模な群れが向かっている報が届いた

 

ダンカルクの街は平地にあり守りには向かない。

その為国から退去の指示が出て多くの人が街から離れる中、一部の町人や冒険者達が独断で防衛隊を結成した。

 

そんな時にダンカルクに流れ着いた吾輩は流されるままに防衛隊に組み込まれてしまったのだ。

 

そんな時、彼女と同じ部隊に配属され背を預けて戦ったのだ。

 

何とか街を守り抜いて防衛隊は解散になった。

だが何故か彼女に今もチョイチョイちょっかいを掛けられ今に至る、遺憾である。

 

吾輩が昔の事を思い出して居ると彼女が誂うように言う

 

 

「久しぶりに呑もぜぇ?」

 

 

そうこの女、吾輩が童貞である事を良い事に弄ってくるのだ。

後、毎回奢らさせられる為に断固として断る

 

「良いのかー?こんな美女と呑めるんだぞー?普通は喜ぶよな?喜べよ」

 

美女は自分の事を美女とは言わないのだ

後さり気なく腕を掴むな

 

それに吾輩は商隊の護衛の依頼を受けている、今から呑んでる時間等無いのだ。

 

「へぇ…何処の商会?」

 

ん?この街から出る商隊と言ったらベリス商会しか無い為勿論ベリス商会である

 

「商隊のリーダーは?」

 

それは勿論、ベリス殿の孫娘のエリカ嬢である。

あの様な美しい女性と吾輩も恋をしてみたいモノである。

 

 

「ほーん…」

 

 

何か気温が下がった気がする

今日は日が出て暖かい筈だが昨日暑いからといって半裸で寝た所為で風邪でも引いたのかもしれない。

 

それではそろそろ集合の時間の為お暇させて貰うのである。

 

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