わが青春のアルカディア   作:クロス創作者

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第1章 旅立ち編
1話 門出(前編)


“偉大なる航路・とある海上”

 

無限に広がる大海原。空を飛ぶ海鳥の鳴き声が潮風に吹かれていき、地平線の彼方へと消えていく。

 

その海原を一隻の海賊船が進んでいた。その帆と見張り台には黒地に白い髑髏とXの字に交差させた2本の大腿骨を配置した海賊旗がはためいている。

 

その艦尾にある船長室では椅子に座っていた右眼に眼帯をつけた隻眼の男が海を眺めていた。男は瞳を閉じると自分の記憶を遡っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーお前、ムカつくえーー

 

守るべき罪なき市民に向けられた銃口から放たれる一発の弾丸。

 

身体を貫く銃弾、流れる赤い血。苦しみに悶える声。泣き続ける幼い子供。

 

助けることも守ることもできない。

 

もう何度この光景を見ただろうか。不快だった。その全てが。

 

これが自身が所属する組織である海軍や上司である世界政府の姿なのか。この時から海軍の正義がわからなくなってきた。

 

しかし、悲劇は続いていく。

 

ーー「あなた方が欲しいものは全て明け渡します……!ですから戦闘を辞めてください!!」ーー

 

奇しくも海軍は自身が愛した女王である女性が治める国を責めることになってしまった。戦争を回避しようともしたが無駄だった。

 

彼女が治める国を守る為にその国の兄弟とも言うべき双子国と海軍は戦争となり、双方に被害は甚大なものとなった。

 

結果は彼女の降伏と双方への停戦呼びかけにより、終戦へと向かっていった。

 

ーー「ガミラスの総統よ………!これで信じてもらえるか………!?」ーー

 

ーー「よかろう………我が戦友よ」ーー

 

同じく彼女を愛していた若き総統は彼女を守るべく自身に銃口を向けてきた。彼の信頼を得る為に覚悟を決めた自分は自らの右目を抉り出した。その覚悟を見た彼は自分のことを戦友と呼んでくれた。

 

ーー『もう思い残すことは何もありません……!ですが、これだけは言っておきます……。貴方をずっと愛しています……』ーー

 

ーー「スターシャッ!!!」ーー

 

電々虫越しで彼女との最後の会話を終えた後、彼女の治めた国は同じく彼女を愛した総統の治める兄弟国を巻き込んで大爆発を起こした。

 政府や海軍に降伏を宣言した彼女だったが実際は何も渡すつもりは毛頭なく、自身が王国こと自爆するつもりだったのだ。

 

ーー「私は政府や海軍の人間は信用してはいないがお前は別だ。お前だけは話しておこう。我が帝国の再興………それが今の私の宿願だ。例え、この世界中をさすらおうと、必ず我らの新たな大地となる場所を見つけてみせる………!!」ーー

 

自身を戦友と呼んでくれた若き総統は彼女から託された新しい命を腕に抱えながらそう言い残して、去っていった。

 

この時から自分の中では海軍や世界政府への怒りの炎が大きく渦巻き始めていた。そして海軍からの脱退と謀反を考えるようになっていった。

 

また、自分の友人である男も世界政府や海軍の正義には疑問を持っていた。脱退と謀反の話を持ちかけたら、彼は嬉しそうにこう言ったのである。

 

ーー「それはよかったよ、俺も同じこと考えてた。だったらやろうぜ………ハーロック!!今、俺は俺達の理想の羽を造っている………!!」ーー

 

ーー「その船の名はこう呼ぶつもりさ…………!!」ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アルカディア号」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“2年前”

 

ここは海軍本部が置かれる島、マリンフォード。

 

何百年もの間、世界の海の秩序を守ってきた正義の要塞。しかし、海軍はまだ海軍史上最悪の事件が起ころうとはまだ知らなかった。

 

「まだ見つからないのか!?」

 

『申し訳ございません!!島をくまなく探しましたが……未だ発見には至っておりません!!』

 

元帥室にて海軍元帥であるコングは電々虫からの報告に神経を尖らせていた。

 

「センゴクとガープも向かわせたんだぞ………!!それでも見つからんのか!?」

 

『はい!さらに島の中にいたほとんどの海兵達が意識を失っています!ですが、外傷はありません!!』

 

「っ!!?覇王色か………!」

 

コングは電々虫からの報告に舌を巻く。

 

ーーー意識を失っているのに外傷はないーーー

 

捜索対象の人物は数百万人に一人の『王の資質』持つ者が習得できる覇王色の覇気を持っていたのだ。

 

「とにかく草の根を分けてでも探し出せ!絶対に出航などさせるな!!」

 

『はっ!』

 

海兵に命令を伝えたコングは電々虫の受話器を切る。そして彼の眼は沈黙した電伝虫から机の上においてある書類へと向けられる。

 

「一体、何処へいったのだ………!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハーロック…………!!!」

 

歯を喰いしばるコングが見つめる書類には男の写真とそのフルネームが書かれてあった。

 

【ファントム・D・ハーロック中将】

 

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