白上縁起恋灯絵巻【完結】   作:DX鶏がらスープ

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新章開始です!


第二章
教室の喧騒


 

冥界の門マガツトボソの再封印から少しの時間が経過した

 

その間に夏休みは終わり、季節は徐々に秋に変わりつつあるが、結局門の封印を解いた人物は見つかっていない

 

やはり決定的な手がかりがない現状ではいるかどうかも分からない犯人を見つけるのは難しく、捜査は難航してる

 

とは言えあれから特に事件らしい事件は起こっておらず、僕は平和であるうちに、先日目覚めた白上神社の神主の力とやらを使いこなすために、今でも定期的に白上神社に通っている

 

また夏休みが終わった事で僕は隣街の高校に編入する事になった訳だけど、幸い特に問題なくクラスに馴染むことができていると思う

元々勉強は苦手じゃないのでそのあたりも手抜かりはない

 

こう聞くと概ね僕の生活は安定しているように聞こえるかもしれないけど、実は意外とそうでもない

例えば、僕は元々磐ノ斗の地の人間じゃない

だからそれで困る事が時々ある訳で…

 

「『自分の住んでいる地域の事について調べてレポートにまとめなさい』…か」

 

そう呟きながら僕は社会科の課題として出されたプリントをもう一度見つめる

とは言え何度見つめてもその文面が変わる事はない

だから僕はプリントを見てため息をつく

 

(参ったな…)

 

比較的最近ここに来たばかりの僕にはこの磐ノ斗の地に対する知識も土地勘もない

夏休みの間ほぼ毎日通っていた白上神社の事なら多少は分かるけど、逆に言うと僕が磐ノ斗で知ってる場所はその位

 

(いっその事、大神さんか白上さんに聞いてみようか?)

 

一瞬だけそう思うも断念する

なぜなら、確かに彼女達は詳しいだろうが、そもそも一般人の目には見えず、その存在を証明できないからインタビュー先としては不向きだ

 

仮にそれが何とかなったとしても、『インタビュー相手:白上神社の神様』とか提出したら、そのまま保健室に連れていかれるに違いない

 

(発想自体は悪くないと思うんだけどな…)

 

とは言え現実的に不可能なら仕方がない

 

「大人しく図書室で調べて書くか…」

 

そう呟いたその時だった

 

 

 

「いやいや、それは無いんじゃないかな~海斗」

 

 

 

そんな声に振り向いてみれば、そこにいたのは同級生の夏色さんと星街さん

 

帰りのホームルームが終わり、弛緩した空気が流れる教室

思い思いに過ごす生徒達の中でこちらに近づいて来る二人の顔には、実に底意地の悪いニヤニヤとした表情が浮かんでいて

 

「そりゃすいちゃん達みたいにずっと村に住んでいた人間ならそれでも良いかもしれないけどさ、海斗はここに来てからまだ日も浅いでしょ?

もったいなくない?」

「そうそう

せっかく転校して来たんだからさ、

自分が住むことになる土地を実際に見て知る事も大切だとまつりは思うんだよね~

だからどう?週末にでもフィールドワークと洒落込まない?まつり達ならこの村のオススメスポット、教えてあげられるよ?」

 

どう?と問う夏色さんと、それに対してうんうんと頷く星街さん

 

だから僕は少し考えて

 

 

 

「…二人とも、本音は?」

 

「「課題手伝うので勉強教えてください!!」」

 

 

 

間髪入れずにガバッと頭を下げる二人

そんな彼女達を見てやっぱりかと内心呆れながらも僕は口を開く

 

「星街さんはともかく…夏色さんは珍しいね」

「ちょっと?」

「あはは…実は面白いゲーム見つけちゃってついついね…」

 

たははと夏色さんは罰が悪そうな顔で頭をかく

しかし

 

「でも勿体無いなって思ってるのは本当だよ?

良い機会だし、まつり達がこの村を案内してあげるよ」

 

そう語る夏色さんの言葉には純粋な善意が溢れている

そして僕としても、課題をするにあたって現地の事情に詳しい人間のアドバイスは普通に欲しい

 

だから、どのみち次に続く僕の言葉は最初から決まっていたようなものだった

 

「…分かった

それじゃあせっかくだし、二人ともお願いしても良いかな?」

「やりぃ!」

「そうこなくちゃ!」

 

素直にはしゃぐ二人だが、正直僕としても本当に助かる

後で二人に勉強を教える時間を取る必要があることを考えても、十分にお釣りが来るだろう

先達はあらまほしきことなり、である

 

などと考えていると教室のドアが開き、「話は聞かせてもらったぜ…」という言葉と共にみこさんが現れる

 

「その話、俺も一枚かませてもらおうか?」

 

そうキザな口調で言いながら入ってくる彼女だったが、しかし星街さんがすげなく手を振る

 

「しっし、ここはおめぇみたいなガキが入れるような場所じゃねぇんだよ」

「あんだとぉ!?たかだか一つ年上だからって偉そうに!!」

「実際偉いんだよ!すいちゃんの方が!!」

「ああん?」

「やんのかオラ?」

「まぁまぁ」

 

気が付くと、流れるような動作で喧嘩の態勢に入っている二人を仲裁する

彼女達が出会い頭にシームレスに喧嘩(もしくはじゃれ合い?)に移行するのはいつもの事だが、流石にこのままでは話が進まないので今回は早めに終わらせて要点をまとめる

 

つまり

 

「ーーそれでみこさんも一緒に行きたいって事で良いんだよね?

二人はどう?」

「別に大丈夫だよ~」

「まぁ良いけど…」

「それじゃあ決まりだね」

「やった!」

 

という事で、急遽僕達の磐ノ斗観光ツアーの開催が決定される事になるのだった

 

 





と言うわけで、夏色まつりさんと星街すいせいさんの登場回でした!
二人は主人公と同級生という設定です

…さくらみこさんを後輩にした理由?
この作品を書く理由になった動画の方にはさくらみこさんも出演していたんですが、その際後輩設定だったのでそこから引っ張ってきました
あと、作者の癖です
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