白上縁起恋灯絵巻【完結】   作:DX鶏がらスープ

39 / 42

今更ですが、黒上さんと雪花さんの絡みなんていう珍しい組み合わせ、ここくらいでしかやってないのでは?

でもホロウィッチで船長の闇落ち回みたいなのあったし、似たようなパターンで案外公式でこの組み合わせを拝める日がワンチャン来たりして?



結婚前夜編 真実

 

ーー薄々考えていた事ではあったんだ

自分がまともな存在じゃないなんて事くらいは

 

白上フブキの分け御霊のようなものであり、同時に冥獣ケガレでもあるワタシには、存在の核といえるものがない

 

例えば、ワタシの魂は白上フブキのそれのコピーと言っても良いし、記憶もまた同様

そして出自からして最初から死んでいるようなものだし、だからと言って冥獣ケガレとして自身を定義するのもなんだか違う気がする

 

だから、ワタシ自身の存在定義というものは、実のところどこにも存在しない

あの白上祭りの日に、皮肉も込めて自身の事を黒上フブキと名乗ったが、それですら即興のものであり、本当のワタシというものはどこにも存在しない

 

そして当初は別にそれでも良かった

現世を冥界へと沈められるのなら

ワタシが味わった苦しみで世界を包めるのなら

ワタシはそれでも良かった

 

でも結局それが上手くいかなくて

ボロボロになって逃げた先でラミィに出会い、そしてクロという名前をラミィから貰った時、初めて自分だけの名前を、存在証明を手に入れた時に思ったんだ

 

あれ?悪くないな?って

 

…正直ネーミングセンスに関してだけは、今でも物申したいと思ってるけど…

それでもあの時、ワタシは初めてこの世に生まれてこれたような気がして

ここにいても良いんだよって言われたような気がして

 

(それなら...まぁ、しょうがないよな?)

 

だってワタシはクロ…ラミィのペットなんだ

それならこの家に留まっても...ラミィと一緒にいても、仕方がないよな?

 

そんな事を考えている内に、いつの間にか月日は流れ…

ほとんどただの習慣と化した瘴気溜まり巡りのおかげで、全盛期とまでは行かなくてもある程度の力を取り戻したワタシは、しかし相変わらずラミィの家に入り浸っていた

 

(まぁ、この家にいれば少なくとも寝床と食い物には困らないしな…)

 

そう嘯きながらも、本当はそれだけでない事くらい自分でも分かっていた

そもそも、そうでないならわざわざ寝落ちしたアイツを人化の術で人の姿になってこっそり布団に運んだりしないし、仕事が忙しくて手が回らなかった家事を代行したりなんてしない

 

まぁ、ラミィの事だからワタシのおかげだなんて全く気が付いていないだろうが…

それでも、そんな事をするのは一重にラミィの事が大切だからで...

 

あぁ、だからこそ…

 

 

 

(「ですから...お前達、この方の四肢の骨を折りなさい」)

 

 

 

ーーその言葉を聞いた瞬間に、全身の血が沸騰した

久しく忘れていた殺意という感情が身体中を駆け巡り、どうしようもない程の怒りの奔流が頭のてっぺんから指先にまで行き渡る

 

(よくもまぁ、そんな事をワタシの前で言えたものだな?)

 

来客への対応に時間がかかりすぎてるような気がして、様子を見に来て見ればこれだ

 

状況は不明だが、どちらに非があるかなんてことは、それこそ火を見るよりも明らかだし、そもそも一人の女の子を数人の男が囲っていたぶろうとしている段階で、すでに慈悲などいらないだろう

そして何よりその相手はラミィ…ワタシの大切な飼い主なのだ

それだけでもう万死に値する

 

(よっぽど命がいらないようだな…)

 

あまりの怒りに逆に動けなくなる

だが、そうしている間にも事態は動き続いていて…

 

「…ほぉ?

だったら今すぐその覚悟とやらを見せてみろよ、糞ジジイ」

 

ラミィと話していた男がこん棒を振り上げた瞬間に、ワタシの身体は勝手に動いていた

 

玄関から飛び出した瞬間に、人化の術を使用して人の姿になる

そしてそのまま、驚く男を一旦蹴り飛ばし、その反動で今度はラミィを押さえている男達の方へと向き直ると、自前の爪で切り刻んでラミィを解放させる

 

続いて、着地と同時にラミィを抱え、一度誰もいない場所へと跳躍

その間に怪我をしていない事をざっと確認すると、その場に下ろして結界を構築

ラミィの安全確保が終わると共に、今度こそ一切の容赦なく男達のもとへとワタシは突っ込んだ

 

「っ!?な、なんですかこいつは!!」

「ダチだよ!アイツのな!」

 

咄嗟にワタシの拳をこん棒で受け止める男

更に、気が付くと男のもう片方の手には小ぶりの氷の短剣が握られており、それによる刺突をワタシは紙一重で避ける

 

「へぇ、やるじゃん」

 

だがそれまでだ

続けて対峙していくうちに、次第に状況はワタシの優勢へと傾いていく

高いところから低いところへと水が流れるように、自然と彼我の実力差が浮き彫りになってくる

最初は冷静だった男の顔に、次第に焦燥が浮かんでくるのを冷静に観察しながら、ワタシは目の前の男への判決を下す

 

それはつまり

 

(中々粘った方だとは思うが…)

 

関係ない、殺す

 

そして、最後の一号

男の氷剣による渾身の斬撃をしかし、自分の知る最高の使い手白上フブキのものより緩いとあっさり受け流す

そしてそこに生じた致命の隙へと最後の一撃を叩き込まんとして

 

 

 

「ば、化け物…」

 

 

 

思わず漏れたのであろうその言葉に、そしてその瞳に映った自身の姿に、ワタシは自身の必殺の一撃が僅かに急所を逸れるのを感じた

 

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

 

一号、二号、三号…

打ち合う事合わせて十三号

それが今回、ワタシが地面を転がるまでに要した時間だった

 

「ぐっ…」

 

鈍い音と共にワタシは地面を転がる

衝撃と共に全身に蓄積された痛みが自らの存在を全力で訴える

 

しかしワタシは敢えてそれを無視して、何とか立ち上がる

体は既にボロボロで、無事なところを探す方が難しい

だがそれでも飛びそうになる意識をどうにか繋ぎ、よろめきながらではあるが再び立ち上がる

そしてその一連の動作を相手は静かに見守っている

 

そんなやり取りも、もう何度目だろうか…

流石に朦朧とし始めた意識の中で、ワタシはふと疑問に思う

 

(あれから…どれ位経った?)

 

恐らくまだ半日も経っていないだろうが、それでもその間にワタシが地面を転がった回数は、既に両の指の数では到底足らない

 

そこには互いの技量の差以前に、存在としての格の差という絶望的なものが横たわっていてる

すなわち、ただの狐と神の差が

何十回と挑んでもその度に転がされてしまうほどの圧倒的な力の差が

 

だから

 

「もう…止めませんか」

 

そんな言葉を投げ掛けられるのも、果たして何度目になるだろうか

 

(相変わらず、お優しいことだな…)

 

内心でそう笑うも、状況は変わらない

あっちが上でこっちが下

それは何度やっても変わらない事実であり、

 

「これ以上続けても意味がありません

…本当に、何の意味もありません」

 

その言葉も、あながち間違いとも言い切れない

 

だから…

 

「引いてください、黒上さん

もう、終わりにしましょう」

 

そんな事を言いながらワタシを悲しそうに見つめる白上フブキオリジナル

しかしワタシはそれに対してキッパリと否を突き付けた

 

「何度も言ってるだろう…止めたいのならワタシを殺せと」

 

震える足で、それでも強引に立ち続けるワタシは、目の前の白上フブキを睨む

だが実のところ、もうワタシにはほとんど戦う力は残っていない

それでも何とか虚勢を張って、ワタシは白上フブキの前に立ちはだかり続ける

 

「お前だって分かってるんだろ?

外では冥獣ケガレが大発生している事くらい

そして、それがワタシの仕業であることも」

 

それなら果たせよ

自分の役目を

 

そう言ってワタシは両手を広げる

 

 

 

「ーーワタシを殺せ、白上フブキ

諸悪の根元を倒してみんなハッピーエンド

それの何が不満なんだ?」

 

 

 

そう凄むも、目の前の彼女の顔はますます悲しげに歪むばかり

そして、同じ顔をしているだけに、まるで自分自身に責められているような気分になって

 

「不満に決まってるじゃないですか!」

 

そう叫ぶ白上フブキ

だが、その瞳にはいつの間にか涙が浮かんでいて

 

「あなたは私でもあるんですよ!

それなのに、こんな事させられて…良い気分になんてなる訳がないじゃないですか!!」

 

そして彼女は決定的な言葉を口にする

 

 

 

「自殺の手伝いなんてさせられて、楽しい訳がないじゃないですかっ!!」

 

 

 

………

 

……

 

 

「…じゃあどうすれば良いんだよ」

 

ぽつりと、思わずそんな言葉が口から溢れる

 

「…ワタシは化け物だ

まともな存在じゃない

そんな奴が、アイツの側にいて良い訳がないだろう?」

 

だったら仕方がないじゃないか

こうするしかないじゃないか

 

「お前だって嫌だろう!

自分と同じ顔をして、自分と同じ記憶を持った偽物が平然生きているのは!!

三度も冥界の扉マガツトボソを開こうとした大罪人が、何のお咎めもなくそこら辺を歩いているのは不安で仕方がないだろう!!」

 

そうだ、だからワタシは理由を用意したんだ

ワタシの事を殺せる理由を持つこいつが、更に後腐れなくワタシを殺せるように、わざわざお膳立てを整えてやったんだ

 

なけなしの力で、ワタシが知る限りのすべての瘴気溜まりを冥界への門に変え、加えて4度目の冥界の扉マガツトボソの解放まで試みたんだ

こんな奴、生かしておいた方が危険だろう?

 

「だったら殺せよ!

ワタシは化け物なんだ!!

お前達が憎むべき、倒すべき悪の権化なんだ!!」

 

だから…だから…!

 

「殺して...くれよ…

ワタシを…殺してくれよ…」

 

気が付けばワタシは泣いていた

どうしようもない孤独と絶望の中で、それでもワタシに出来る事はもう何もなくて…

 

だけど

 

 

 

「…クロちゃん」

 

 

 

突如聞こえたその声に、弾かれたようにワタシはその方向を見る

するとそこにはこの場に絶対にいないはずの存在…いてはならない存在が立っていて…

 

「ら、ラミィ…?」

 

なんで?

どうして?

いつから?

 

昨日ぶりに見るその顔に、様々な疑問と感情がワタシの中を駆け巡る

辛くて嬉しくて、悲しくて愛しい

無数に湧き上がる数多の感情にがんじがらめにされ、動けなくなったワタシのところに、彼女はゆっくりと歩いて来る

そんな彼女から逃げようとして…だけど足が全く動かない

だからワタシには近づいて来るラミィを呆然と見つめ続けることしかできなくて

 

「ラミィ…」

 

遂に目の前まで来た彼女に対して私は何か言おうとして…だけど何も言えない

それは言いたいことがないからではない

逆だ

言いたいことがありすぎて、逆に何も言えなくなっていて

 

だから…

 

「歯、食い縛ってね?」

「へ?」

 

直後

 

 

 

「こんのおバカァァァァッ!!」

 

 

 

渾身の気合いの元に放たれる会心のビンタ

しかし、あまりにも予想外過ぎるそれを、ワタシは咄嗟に避ける事が出来ずまともに喰らってしまう

 

「がはっ!?」

 

スパーンッ、と快音が鳴り、それと共に閃く痛み

勿論それはそこまで大した痛みではない

けど、どうしてか思った以上にそれはワタシの体の芯にまで響く鋭く重い一撃で

 

「な、なにするん…ーー!」

「バカ」

 

流石に反論しようとして

だけどそれは直後に突然ラミィに抱き締められた事で中断される

 

だって

 

「バカバカバカバカバカ!!」

 

そんな事を言いつつワタシをきつく抱き締めるその顔にはいっぱいの涙が浮かんでいて

 

「化け物?まともな存在じゃない?

その程度でラミィがクロちゃんの事を捨てるとでも思ったの?」

 

本気で怒っている

だけど同時に心の底からワタシの事を心配していたのが分かるその顔に、ワタシは何も言えなくなって

 

「そんな訳…そんな訳ないじゃん!

クロちゃんはラミィの大切な友達だよ!家族だよ!!

ず~っと一緒にいるんだもん!!」

 

そう言って涙を流すラミィの胸の中は暖かくて…

出会ったばかりの頃、高熱に苦しむワタシを看病してくれた時のあの安心感を思い出してしまったから

 

「………本当に」

 

ーー本当に、ワタシはラミィと一緒にいて良いのか?

 

そんなワタシの言葉に、ラミィは笑顔で頷く

 

「当たり前じゃん!

むしろラミィの方からお願いするよ!!」

「ワタシ…化け物だよ?

出自からして最初から死んでるようなものだし、元々スワンプマンみたいな存在だし…」

「そんな事言ったらラミィだってハーフエルフだよ?

半分人間じゃないし、年齢だってとっくに200歳オーバーだよ?

お婆ちゃんですむレベルじゃないよ?」

 

そう言ってから「って誰がお婆ちゃんだ!誰が!!」と一瞬思わず我に帰るラミィ

あっけにとられるワタシ

だけどその後、そうそう忘れてたと言って、改めてラミィは微笑む

 

「ちょっと言うのが遅れちゃったけど…昨日はラミィの事守ってくれてありがとね、クロちゃん」

 

そう言ってワタシの頭を撫でてくれるラミィ

そして、そうやって撫でられていると、何だか今まで感じていた不安や苦痛が溶けていくような感じがしてきて

 

「あ...」

 

スッと、ワタシの頬をもう一度涙が伝う

ただ、その涙は先に流したものとはまったく意味合いが異なっていて

 

そして

 

「それと…いつも一緒にいてくれてありがとう

大好きだよ、クロちゃん」

 

そう言って改めてワタシを抱き締めるラミィの優しい言葉に、その暖かな体温に、遂にワタシも耐えられなくなって...

 

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

 

「…この度は、大変お騒がせしました」

 

それから

ひとしきり黒上さんと雪花さんはお互いに抱き合って泣いた後、そう言って一緒に僕らに頭を下げてきた

 

「とんでもない事をしたのは分かっています

それでも、これからクロちゃんはこのラミィが責任を持って面倒を見ます」

 

ーーだから、今回の事は水に流していただけないでしょうか

 

そう言って頭を下げる二人

だけど、僕らとしてもこれ以上彼女達をどうこうしようとは最初から思っていない

と言うのも、ついさっき外からかかってきた電話によると、みんなは無事に冥獣ケガレを倒しきれたようで、更にそれによる人的被害も一切出ていないからだ

 

その理由は単純で、冥獣ケガレが発生した場所が山奥や人の近寄らない場所が主であり、単純にそこに人がいなかったからと言うのが大きいようだが…思えばこれまでの黒上さん関連の騒動でも、結果的にではあるが死者は一切出ていない

 

そして、更にその上で先のやり取りだ

人命などの致命的な被害が出ていない今なら、辛うじて彼女のやった事は取り返しが付く範囲内だし、それにきっと、今度こそ黒上さんが暴挙に走る事は二度とないだろう

 

だから…

 

「分かりました

雪花さんの顔に免じて今回の事は水に流しましょう

…それで良いんですね、フブキさん?」

「はい、それで大丈夫です」

「!

ありがとうございます!!」

 

ほらクロちゃんも!と急かす雪花さんと、そんな彼女の言葉にバツが悪そうにありがとうございます、と呟く黒上さん

 

そんな二人の様子は、端から見るとまるで幼い子供とお母さんのようで、少しだけ微笑ましい

 

そして、そんな二人のやり取りを眺めるフブキさんまで、なぜか少し嬉しそうで

 

(あぁ、そう言えばずっと気にしてたんだっけ…)

 

ふと思い出すのは、先の黒上さんの騒動が一先ず終息した後に交わした会話

彼女の境遇を知り、他人事だとは思えなかったと語るフブキさんの姿だ

 

(「だから、我ながら勝手な願いだとは自分でも思うんですが、私はあの子には生きて欲しいんです

生きて幸せになって欲しいんです…」)

 

そう言って黒上さんの事を案じていたフブキさん

だからこそ、この結果には思うところがあるのだろう

優しい目で彼女達を見つめる彼女に、僕は声をかける

 

「…お疲れ様、フブキさん」

「あ、海斗くん

…ごめんなさい、連絡もなしに突然いなくなっちゃって…」

 

ご心配をおかけしました、と謝るフブキさんに、しかし気にしないで下さいと僕は手を振って止める

 

と言うのも彼女曰く、何か嫌な予感がして冥界の扉マガツトボソの様子を見に来たところで偶然黒上さんと遭遇、そのまま戦闘に入ったという状況だったらしいからだ

 

…今思えば、黒上さんが何らかの手段でフブキさんだけを誘き寄せたのかもしれないが…ともかくそれで手が離せなくなり、当初はこんな事になるとは思ってなかったので、連絡手段の持ち合わせもなく、結局こうして僕らがここに来るまで彼女と戦い続ける事になったのだという

 

そういう事情だっのかと思いながら、とにかくフブキさんが無事で良かったと胸を撫で下ろしていると、そんな僕らに黒上さんが話しかけてきた

 

「…すまなかったな、迷惑かけて」

「全くです!

…とは言え、もう良いですよ

気持ちは分かりますから…」

 

ーーところで、これからどうするつもりですか?

 

そんなフブキさんの素朴な質問に、今度は黒上さんではなく雪花さんが答える

 

「…取り敢えず、一度ラミィはユニーリアに戻ろうと思います」

「え?でも雪花さん、それは…」

「あ、勘違いしないで下さいね?

一度ちゃんとあそこの人達とは話をつけた方が良いと思ってるんです」

 

だからこそ、一度故郷に戻ると言う雪花さん

だけど、聞いている限りでは、それはあまりにも危険な事のように思える

流石に止めた方が良いだろうかと悩む僕らに、しかし別のところから声が上がる

そしてその相手は何を隠そう黒上さんその人で

 

「大丈夫だ、ワタシが同行する

連中にはラミィに指一本触れさせはしないさ」

 

そう言って胸を張る黒上さん

とは言え、確かに彼女なら大丈夫だろう

なんせ、かつて僕ら相手にたった一人で大立ち回りを演じた相手だ

実力は折り紙つきだし、結界術の心得があるから最悪雪花さんを脱出させる位の事は出来るはず

おまけに、実際にユニーリアの精鋭部隊を単身でボコボコにしているのだ

これ以上に頼もしい護衛はいないだろう

 

「と言うわけで、ワタシ達はしばらくユニーリアに行ってくる

それでこれからもこの場所で暮らせるように、ちゃんと話をつけて来ようと思ってるんだが…」

 

そこで黒上さんは白上さんに視線を映す

 

「…その前に、一つだけやる事がある

だから手を出してくれ、白上フブキ」

 

その発言にキョトンとするフブキさん

 

「手…ですか?」

「あぁ、右でも左でもどちらでも良い

恐らくワタシがこの先お前と会うことはないだろうからな…

今この瞬間にしか出来ない事だ」

 

そう言いながら白上さんが差し出した右手を、黒上さんはそっと握って笑う

 

 

 

「何、取って喰おうって訳じゃない

むしろこれは今までの詫びだ

もしお前が望むならの話だが…受け取ってはもらえないか?」

 

 

 

 





次回、後日談その三最終回!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。