それからの事を語ろう
結局冥界の門が開いた事による最終的な被害は境内が半壊した程度で済んだ
死傷者数に関しても、奇跡的に死者が出ることはなく、唯一の負傷者である僕ら四人の怪我も、白上さんと大神さんの神通力、並びにみこさんの巫術によって後遺症を残すことなく完治した
周辺への被害も何とか0に抑えきり、これは冥界の門が開き、大量の冥獣が発生した事を考えると快挙と言っても良い数字だと大神さんは言っていた
実際に戦いに参加した者としてもミオさんの言葉に同感である
だけど、冥界の門の封印がどうして解けたのかについては現状不明だ
今のところは外部犯が一番の有力説だが目撃情報はなく、また仮にそうだったとしてその人物の目的が不明である以上、二度と同じような事が起きないように、白神神社ではいまだに警戒体制が続いている
そして僕がまた白上神社に通う事になったのも、それが少しだけ関わってくる
と言うのも、あの戦いの時に覚醒した僕の力が、実はこの神社にかつて代々使えていた先代神主一族のものそのものだと判明したからである
その力は普通の人が持つにはあまりにも強大過ぎる、とは力の正体を解説してくれた大神さんの言葉
だけど自分でも分かる
この力は使い方を謝れば、自身の首を締める諸刃の剣になりかねない
また、同時にこの力を使いこなす事ができればきっと先の事件のような事を起こさせないようにする事も可能だろう
そういう訳で夏休みも残り少しではあるが、その間に少しでも力を使いこなす為に、僕はまた白上神社で修行をしているのだ
…最も、前みたいな超スパルタ式と言う訳でもないし、9月から本格的に学校が始まれば、流石に頻度は減ると思うけど
と言うわけで、この磐ノ斗の地は平和なようで実はまだそうでもない
先の一件のケリが明確についてない以上、現状は表面的には平和だとしか言えない状態だ
しかし、それでもきっと何とかなるんじゃないかと僕は思っている
何故なら…
「こんにちは、白上さん」
僕の言葉に目の前の少女が振り返る
まるで絹のように艶やかで美しい白い髪に、狐耳と尻尾
文字通り人間離れした容姿の少女、白上さんはまるで花の咲いたような笑顔を浮かべる
「はい、こんにちは海斗くん!
今日も良い天気ですね!!」
「まったくです
少し位雨でも降ってくれれば涼しくなるんですけどね~」
そんな僕の冗談に、白上さんはこてんと不思議そうに首を横に傾ける
「そうですか?
それでは試してみましょうか…むん!」
「え?試すって何を…ってうわっ!?」
突如としてその場に降り注ぐ雨
だけど、当然傘の用意なんてない僕は、そのままずぶ濡れになる
そして、いきなりの雨によって被害を受けたのは僕だけではなかったようで…
「あぁ~!!
みこのお布団が~!?」
詰所の裏手にでもいたのだろう
姿は見えないが、洗濯物を濡らされ、その場に崩れ落ちているであろうみこさんの断末魔が聞こえる
更に、倉庫の蔵書の虫干しでもしていたのだろう
濡れた本を片手に、怒り心頭といった様子で大神さんがこちらに駆けて来る
「…取り敢えず逃げませんか?」
「…そうですね!」
実に良い笑顔で頷いた白上さんと一緒に、そのまま僕らは走り出す
「ちょっとフブキ!?」
「ご、ごめんなさ~い!!」
「謝るなら止まりやがれぇっ!!」
「無理に決まってるじゃないですかみこさん!雷撃浴びたら普通死にますって!?」
そんな風に、怒れる大神さんとみこさんから一緒に逃げる僕ら
だけど、そんなやり取りの中で、隣を走る白上さんの顔はどこか楽しそうで
そんな彼女の笑顔を見ていると、僕もまた心が暖かくなるような気がして…
この村には神様がいる
寂しがり屋で、だけどとってもがんばり屋で優しい狐の神様
そんな神様と…かけがえのない友達と一緒なら、きっとどんな困難も乗り越えられる
僕はそう信じている
・・・・・・
「くそっ!くそっ!くそっ!
白上神社の神主の血筋は絶えたんじゃなかったのかよ!?
これじゃあ全部水の泡だ!!
どうして上手くいかないんだ!
ワタシだって■■■なのに...ワタシだって…ワタシだって…
なのにどうしてアイツだけ上手くいく!
アイツだけ幸せになる!!
おかしいだろ!!
………まぁ、良い
失敗は次に生かせば良い
何、別に急ぐ必要はないんだ
最終的に目的さえ果たせればワタシの勝ちなんだ
それまでせいぜい現世の生活を楽しむが良いさ…
いつか、お前のその虚飾が剥がれ落ちる、その時までな…」
と言う訳で第一章完結です
いかがだったでしょうか?
次の章では別のホロメンが登場し、物語の主な舞台は一時的に白上神社から彼女達がいる場所に移ります
そこでの出来事が主人公や白上さんにどのような影響を与える事になるかは、また次回以降と言うことで…
次回も楽しんでいただければ幸いです