アンドリー
防具屋
昨晩は閉まっていた防具屋に到着した。
盗賊の懸賞金など諸々合わせると金貨は40枚以上になっている。
店売りでランクが高いのは竜革とダマスカスだったか?
正直、現段階で「一番いい装備を頼む」としてもいいのだか防具に対する知識が不足している。
ダンジョン素材の武具は使用者にフィットするようにサイズが変更される。
ドワーフや竜人以外は金属製の重装備が重くて俊敏を損なう、くらいの認識だ。
スロット付きなら確保しておいてもいいが、買ってみて使えませんは困る。
素直に店員のアドバイスを聞きながら、装備を整える。
さすがに皮や革装備を選ぶ必要はないので硬革装備を中心で揃えていく。
シロウ・トラシマ
装備:硬革の帽子 〇〇
硬革の鎧
硬革の手袋 〇
竜革の靴 〇〇〇
ルウ
装備:硬革のカチューシャ 〇〇
硬革のジャケット 〇
竜革のミトン 〇
硬革の靴 〇
ライラー
装備:硬革のヘアバンド 〇
硬革のジャケット 〇
竜革の手袋 〇〇〇
硬革の靴 〇
硬革は数あったのでスキルスロットが開いたものを選んだが、これにスキルを付けるのは勿体ない気がする。
逆に竜革の在庫は予想以上に少なくて、スロット付きを数点入手できただけだ。
5日に1度の市の立つ日が売買が盛んで在庫が入れ替わるらしいので、地道に更新していくしかないな。
俺の狂戦士の
原作主人公パーティーの一人はスキル付きとはいえ皮のミトンのままだったし……。
3割引きスキルで金貨10枚も減らなかったので、武器を買って余裕があれば奴隷商を訪ねてもいいかもしれない。
アンドリー
武器屋
聖剣 〇〇〇〇〇
ぬわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?
あまりに店売りされているとは思わなかった大業物が陳列されていて動揺してしまった。
落ち着け、この店売りデュランダルは罠だ。
俺を含めて獣人メンバーには両手剣は相性は良くない。
今後加入予定があるとしたら、ドワーフの鍛冶師だが聖銀の魔法補助が腐る。
「こちらの商品は大変珍しい聖銀で作られた剣で、オークションまで期間がありますので急に資金が必要になった方が
店員のセールストークも分かる。
聖槍なら即決で買うだろうし、魔法を使うならタクトの方が強い。
後衛で使うなら両手剣のリーチでは不足しているし、前衛の神官や僧侶が殴るのに使うには贅沢な代物だ。
「シミターが3000ナール、鋼鉄の槍が22000ナール、聖剣が15万ナール、合わせて17万5000ナールですが、3本も購入いただきましたので12万2500ナール頂戴致します」
残金貨18枚くらい。
処女奴隷の相場が最低でも30万ナールだからもう無理っぽい。
シロウ・トラシマ
装備:聖剣 〇〇〇〇〇
ルウ
装備:鋼鉄の槍 〇〇
ライラー
装備:シミター 〇
「あの……、奴隷の身で大変申し上げにくいのですが」
玩具の剣を買ってもらった子供のようなテンションの主人にルウが話しかけてきた。
「そろそろお昼の鐘の時間、です」
赤面する彼女のお腹から小動物のような鳴き声が聞こえた。
隣に立つ妹さんはジト目で、お腹で牛蛙飼ってるの?と思えるような音を鳴らしている。
「そういえば、俺も何も食べてないな。お昼を食べに行こう」
色々ありすぎて、こちらの世界にきてまだ何も口にしていないことを思い出した。
近くの食堂に3人で席を確保して、好きなものを頼んでよいと言ったが、姉は遠慮するよりも机を齧りかねない妹を止めてほしい。
「おすすめ3つ!」
「あいよー」
悩んだときはこれで大丈夫。
ほとんど待たずに香りの良い、芋とベーコンをキャベツのような野菜?のスープとパンが提供された。
「いただきます」
「いただきます?」
「ます?」
手を合わせて食べ始めると、二人もそれを真似して食べ始める。
見た目と味から学校給食みたいだなぁ、と感慨に浸る。
コッペパンも何年も食べ続けると飽きてきてこうしてスープに浸して食べた記憶も懐かしい。
自殺を考えたこそ、この世界にいるのだから元の世界に未練など無いはずだが……。
「ボス、泣いてる?」
「お前らも泣いてるだろ……」
温かい食事に感じるものがあったのか気が付けば3人とも涙を流していた。
盗賊の恐怖からようやく解放された姉妹もやっと落ち着けたのかボロボロ泣いていた。
「食え食え、おかわり!」
「おかわりあいよー」
食べ終わったら聖剣を試しに行く予定だったが、3人とも身動きができないくらい食べてしまった。
「休憩にしよう…」
「そうですね」
獣人の多い街なので昼食後の休憩は一般的なのか店の中で休ませてくれるようだ。
妹が丸くなって昼寝を始めると、姉が膝をどうぞと貸してくれる。
少し気恥ずかしいが膝枕を借りて今後の予定を考える。
原作の流れを含めて今後のダンジョン攻略に必要となってくる事項は、鍛冶師の加入、魔法使いの取得、遊び人の取得、拠点の確保、仲買人の選定、思い浮かべると沢山あるな。
まだ異世界で24時間も経っていないのだから焦る必要もないかと考え直すと、ルウの綺麗な瞳と目が合った。
「そういえば、まだ必要なことがあった。ルウ、お前が一番奴隷だ」
「はい、よろしくお願いいたします」