リーベ
宿屋の受付
「宿泊したい。ダブルの部屋は空いているだろうか?」
「ぁー、すまない。明後日は市があるから予約で全部屋が一杯なんだ」
鑑定すると旅亭のジョブの男性は申し訳なさそうに言った。
エマーロ族だっけ?
イルカのように交互に左右の脳で寝ることで1日中起きていられる種族。
「キャンセルとかで空いている宿も探せばあるかもしれないが、市の前はどこもこんな感じだよ」
「そうか、なら明後日からは宿泊は可能か?」
亭主が名簿を確認すると答える。
「問題ないよ。前払いになるが予約するかい?」
「お願いしよう」
とりあえず1週間分の宿泊費用を前払いして予約した。
勿論、「部屋が空いていなくて申し訳ないから」と3割引きスキルが適用される。
そういえば、エマーロ族の固有ジョブの旅亭のスキルとかは特に言及されていないな。
3割引きスキルが商人などが所持する「カルク」の計算スキルに干渉していると考察されているので、カルクは持っていそうだが。
情報が少なすぎるからか他の二次創作でも殆ど出番が無いし、戦闘向け固有ジョブでもないので町中でしか見かけない。
ずっと起きていられるなら、ダンジョンで戦い続けてレベリング向け種族だったりする?
寝る必要が無いだけでスタミナが無限ではないので違うと分かるが。
エマーロ族の美少女かぁ。
24時間寝かせないぞ!ができても俺は寝ないと死ぬのでメリットは特に無い。
「シロウ様!」
少々、妄想に浸っていたがルウの声で正気に戻る。
「申し訳ございません。リーベの宿屋事情を知りませんでした」
宿屋が取れずに悩んでいると思ったらしいルウが頭を下げ、ライラーも頭を下げる。
「大丈夫だ。それだけ市に活気があると期待できるし」
姉妹に頭を上げさせて歩きながら説明する。
「一旦アンドリーに戻るが、しばらくリーベを拠点に活動していこうと思っている」
活動しつつ資金を貯めて、町の様子を見つつ住居を借りるのを検討したい。
副都は、まぁ調べる必要もなく物価やハードルが高そうな気がするし。
冒険者ギルドに戻ると、アンドリーにワープで移動した。
アンドリー
冒険者ギルド
俺は、学習しない生き物だ……。
LVが上がっておらずMPが増えてない状況で飛んだらこうなるとミジンコでも分かるぞ。
いやミジンコに失礼な気すらしてくる。
2度目なので学習した姉妹に強壮薬を飲ませてもらい復活する。
少しだけ注目されたが、愛想笑いしながら逃げるように冒険者ギルドを去った。
まだ冒険者のジョブが取れていないので顔を覚えられるのは良くない。
原作主人公がMPに重点を置いて伸ばしていた気持ちが分かってくるなぁ。
アンドリー
宿屋 405号室
利用していた宿屋に行くと、同じ部屋がまだ空いていたので無事泊まることができた。
部屋で夕食を食べて、今後の話を姉妹にも共有する。
彼女たちも賛成してくれたので、明日はレベリングか金策か相談してみる。
「難しいですね。MPのことを考えるとジョブレベル?を上げるのがいいと思いますが、市の為に資金も欲しいです」
「思うます?」
一緒にとりあえず悩むライラーも可愛いのだが、お湯を取りに行ってもらうことにする。
「無理せず2回に分けてもいいからな」
「無理せず、です!」
部屋から送り出したところで、ルウの答えが出たようだ。
「私は経験を積んでMPとボーナスポイント?を伸ばすのがいいと思います。その方が確実に今後の選択肢が広がります」
「やはりそういう結論になるよなぁ」
次の市を重視しないのであれば、当初の予定通りレベリングに専念できる。
そもそも市に欲しいものが無い可能性もあるのだ。
フラグになりそうなのであまり考えないようにしているとドダドタとライラーの足音が聞こえる。
「お湯、です」
両手と頭に桶を載せてきたドヤ顔妹猫に慌てて頭の桶を回収して、撫でてやる。
無理はするなと言ったけど、少し舐めてたわ……。
ライラーを拭き終わると、彼女は俺のズボンに手を掛ける。
「ごほーしする、です」
自主規制の迷宮
第2回層
舐められたのは俺だったわ。
アンドリー南の迷宮
第1階層
「ここはアンドリー南の1階層ですか?」
気配を感じ取って魔物の数が少ないことにルウが疑問に思う。
「念のためボスが1撃で倒せないか試してみたい。他のパーティーの気配が無ければ待機部屋まで飛びたい」
「問題ありません」
ハントアントは防御力がある分、ウドウッドよりも体力が少ない可能性もある。
その場合、防御無視が有効となり一撃で倒せるので今後の周回ボスを選ぶために確認しておきたい。
アンドリー南の迷宮
第1階層ボス部屋
見覚えのあるバイクサイズの黒光りする大蟻が出現すると襲い掛かってくる。
気配遮断でノンアクティブのイメージがあるが、純粋に迫ってくるなら時間短縮にもなる。
ラッシュ!
「あれ?」
スキル一発で倒せてしまった?