異世界迷宮でプライドを   作:ブラック微糖

27 / 64
027 市場

 

   アンドリー

   冒険者ギルド

 

 宿屋で夕食を取り、魔結晶と大量のコボルトフラワーを売却しておく。

 

 売却はギルド神殿を経由して算出されるので3割増スキルが適用される。

 買取はギルド職員=村人が販売するので3割引きスキルが適用されない仕様だ。

 

 3割引きで買って、3割増で売れると錬金術のようにも思える。

 この世界は販売額の25%が買取額なので、原価の3割引きで70%で買って、3割増でも32.5%でしか売れない。

 

 実際は原価ほぼ0円のダンジョン産アイテムを地道に売っていくか、スキル付与で価格を10倍にして一気に稼ぐ方法があると思う。

 

 売却が完了し、ギルド神殿から排出された硬貨をギルド職員がトレーに乗せて運んでくる。

 

 金貨1枚と銀貨が数枚。

 最下層の稼ぎとしたら十分過ぎるのだろうが、槍の修理費と宿代、揚げパン代に消える金額だ。

 しかし、3割増しされた以上に得るものがあった。

 

 シロウ・トラシマ

 ジョブ一覧:探索者LV18、狂戦士LV14、戦士LV18、剣士LV16、魔法使いLV7、村人LV8、僧侶LV1、海賊LV1、薬草採取士LV1、商人LV1

 

 やっとジョブが一つ増えた。

 これで10個目。やはり意識して増やしていかないと23個目(遊び人)に届きそうにない。

 

 商人 LV1

 知力小上昇 精神微上昇

 スキル:カルク

 

 5thジョブの魔法使いを商人に付け替えて、カルクのスキルを試してみる。

 

 スキルカードのドロップ率を0.2%だと仮定して160匹倒して1個以上ドロップする期待値は?

 =27.41%

 

 カルクは商人系が持つ無詠唱の計算スキルで、頭の中に直接数字が浮かんできた。

 今回、コボルトケンプファーを約160匹倒してスキルカードは落ちなかったのだが28%程度なら仕方ない気持ちもある。

 

 ちなみに300匹で45.15%と半分は落ちない計算である。

 やはりガチャは悪い文明だ。

 

   アンドリー

    市場

 

 姉妹に新品の槍と俺の槍を手入れしてもらった次の日、待ちに待った?市場の日だ。

 

「やはり人が多いな」

 

 街に普段より人通りが多いのが目に見えて分かる。

 鑑定すると商人や野菜などを売りに来たのか村人も多い。

 

「スリなどにご注意ください」

 

 ルウが真剣な顔で、ライラーと俺の周囲を警戒してくれている。

 しかし武器を持った金髪ヤンキー系獣人一行に近づいてくる人間はいないようで、むしろ遠巻きに警戒されていた。

 見世物ではないのだが?

 

「お?」

 

  カード・蟻 

 

 探索者の人間の男がスキルカードを売っていた。

 

「いくらだ?」

 

「買うのか、3000ナールでいいぜ?」

 

「仲買人を通すと手数料がかかるだろう、2500」

 

「市場の出店料を払ってるんだ、2900」

 

「ギルドの鑑定料もかかるだろう、2800」

 

「分かった、負けておくよ。2800でいい」

 

 ルウが何か言いたげだが、銀貨を28枚払ってスキルカードを入手する。

 蜘蛛は論外だが、安いスキルカードでも3000ナール台だったと思うので手数料も含めるとかなりお得に買えた。

 

「スキルカードの紛い物を販売する詐欺かもしれません」

 

 俺は鑑定スキルがあって本物かは判別できるのだが、まだ説明してなかったか。

 

「それにカードの価格が安すぎて怪しいです」

 

「ダンジョンの1匹目で落ちたカードが売れて儲かったぜ~」

 

「ほらな、大丈夫だろ?」

 

「です、です」

 

 どうも他の種族は獣人の聴力を侮っている感じがするな。

 獣人側も言う必要がないので、一般的ではないのかもしれない。

 

 他はあまり興味が出るような物はなかったが、肉串を買い食いしたり、タプス?と呼ばれていた皮厚の柑橘を3人で分けて食べた。

 

   アンドリー

    武器屋

 

  聖剣 〇 

 

「……」

 

 この店は定期的に聖剣を店売りしているのか?

 

 ルウと店員の正反対の視線が刺さる。

 聖剣二刀流スタイルできないのでさすがに買わないし、買ったら所持金が今度こそ終わる。

 俺が竜人族なら考えたかも?

 いやその場合はデュランダルがあるので、やはり不要だな。

 

 店員の聖銀製の武器の説明は省略しつつ、入れ替わっている商品を確認していく。

 スロットの無いダマスカスの槍などもあったが、鋼鉄の槍を直したばかりと遠慮する。

 

 結局何も買わなかったが、聖剣はスロット5個の方を買って正解だったと思う。

 

 聖剣なら俺のアイテムボックスで寝てるよ?

 

   リーベ

   武器屋

 

  聖槍 〇 

 

「……」

 

「シロウ様、体調が優れませんか?」

 

「薬のむ、です」

 

 リーベまでの移動は、魔法使いのMP上昇の恩恵もあって倒れることはなかった。

 

 武器屋で立ち眩みのような状態になっている俺に姉妹が心配してくれている。

 

「こちらはご存じの通り魔法の威力が上がる聖銀製の槍ざます。40万ナールで販売させていただいておりまーすが、オークションに出れば倍以上の価格にもなる人気商品ざます」

 

 普通に買えない。

 いや3割引きスキルを使えば無駄使いとかしてなかったら買えたかもしれない。

 

 いやいや、聖剣を買わなかったらドワーフ買ってただろうから結局買えなかっただろう。

 

 あそこに聖槍がありますね?

 ありますね。

 ドワーフに合成させた武器を売っていればあれば買えたのですよ?

 

「ざます、です」

 

 勉強ママみたいな口調の店員にライラーが首を傾げているのに癒されつつ、MPが全快すると決断した。

 

「今回は止めておこう」

 

「人気商品ざますよ!すぐ売れるざます!もっと勉強するざますよ?」

 

 別の意味に聞こえるので、もはや少し笑いをこらえるのが大変だった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告