異世界迷宮でプライドを   作:ブラック微糖

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028 夕立

 

   リーベ

    防具屋

 

 結局、硬革をスロット付きの竜革に更新しただけで買い物は終わった。

 

 シロウ・トラシマ

 探索者LV18/狂戦士LV11/戦士LV17/剣士LV14/魔法使いLV7

 装備 硬革の帽子 〇〇

    竜革の鱗鎧 〇〇〇

    硬革の手袋 〇

    竜革の靴  〇〇〇

 

 ルウ 巫女LV7

 装備 硬革のカチューシャ 〇〇

    竜革のローブ    〇〇

    竜革のミトン    〇

    硬革の靴      〇

 

 ライラー 戦士LV7

 装備 硬革のヘアバンド 〇

    竜革のジャケット 〇〇

    竜革の手袋    〇〇〇

    硬革の靴     〇

 

 少しずつ装備が充実しているのを見ると気分がいい。

 聖剣を買わなかったら、全身竜革でスタートできたって?

 チッ、反省してまーす。

 

 鱗鎧(スケイルメイル)は鱗を繋いだチェーンメイルのような防具で、音が少しカチャカチャ鳴るが動きを阻害しない。

 

 ローブとジャケットは明らかに使われている竜革の面積が違うのだが、値段は同じだった。

 動きやすいジャケットの方が人気で、後衛の魔法使いや僧侶が着るローブはあまり売れないらしい。

 魔法使い=貴族が多いので、竜革を着るよりも聖銀防具で揃える方が火力が上がるからなぁ。

 

 使わなくなった硬革を3割増しで売却して、3割引きで購入しても金貨を数枚消費する。

 

 またコボルトスレイヤーになることも考えるが、あの方法はレベルが全く上がらない。

 原作主人公が24階以降の上層のドロップアイテムだけで金貨1枚分稼いでいたので早くそこまで到達したい。

 

 到達するためにはパーティーメンバーと装備が必要で、その為には資金が必要だ。

 

 資金が足りなくなるから、無理してダンジョンに挑んで消えていく。

 

 それがこの世界なのだと改めて痛感するしかない。

 

   リーベ

  宿屋403号室

 

 雨が降る、ですとライラーがぽつりと呟いた。

 

 俺とルウの鼻も独特の土の臭いを感じ、急いで宿屋の絨毯へとワープした。

 

 早く移動したことで濡れることはなかったが、窓の外はバケツをひっくり返したような土砂降りになっている。

 

 異世界にきて初めての雨だな……。

 

 ぼんやりしていると、お湯を貰ってきた姉妹が戻ってきた。

 

 夕食まで時間があり、ワープがあるので宿屋の部屋からダンジョンへ直接移動できるので雨に濡れないで済むが、今日はもう防具を脱いだので行かないことにする。

 

「さて、時間もあるし二人をたっぷりと拭いてやるぞ!」

 

   自主規制の迷宮

    第4回層

 

 食事を済まして特にすることがないので、そのまま寝ることにした。

 

 湿気を帯びた空気の匂い、獣人の耳をくすぐるような雨音。

 

「眠れませんか?」

 

「ベッドが変わったからだろうか」

 

 ルウが既に夢の中にいるライラーを起こさないように小声で聞いてくる。

 彼女は俺の顔を見るとくすりと笑った。

 

「すみません、昔を思い出しました」

 

「昔?」

 

「私達の父は冒険者で、寝る前に色々な町やダンジョンについて話してくれました」

 

「ルウの物知りは父親の影響か」

 

「妹は、きっと父のように凄い冒険者になると思いましたので私は知識で支えようと沢山学びました」

 

 ライラーの寝息が少し変わったので、もしかしたら起きているのかもしれない。

 

「ルウもライラーも凄いぞ。俺は二人に会えてよかったと思う」

 

「勿体ないお言葉です。私たちもシロウ様にお会いできなかったら……」

 

 物好きな貴族に売られるか、盗賊の手先のまま、と言わなくても察する。

 賢いルウはきっと盗賊から逃げる手段を考えていただろうが、ライラーのジョブが海賊になった時点でほぼ詰みだった。

 妹を見捨てれば、もっと違う未来があったかもしれないがそれは一生後悔する人生だろう。

 

「俺は凄く遠い国からここに流れ着いた」

 

「バーカイ・スーやナナーバよりもよりも遠いですか?」

 

「遠い。もう戻れないくらいに遠いと思う」

 

 原作では聞いたことがない町の名前だ。

 クーラタルやペルマスクが存在していれば行ってみたいが、原作主人公に会うのは色々な意味で勇気がいる。

 

「俺のいた国では奴隷はいなかった」

 

 朝から晩まで安い賃金で労働させられる奴隷みたいな人々は沢山いたけどね!

 ルウの白い猫耳ごと髪を撫でながら続ける。

 

「だから正直、奴隷のことはよく分からないし考えたこともなかったけど、主人と奴隷の関係でも二人が傍にいてくれて少し安心している」

 

「私はシロウ様の一番奴隷です」

 

 彼女は俺の身体を包むように抱きしめる。

 背中にいるライラーもそっと近づいて温めてくれる。

 

 双子の温かさを感じつつ、そういえば冒険者ギルドで避妊アイテム買えばいいのでは?と気が付いたが、意識はそのまま雨音のように遠くなっていった。




第1章・完(2025/7/26)
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