異世界迷宮でプライドを   作:ブラック微糖

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第2章
029 半端


 

 雨が降った日から6日が経過した。

 

 途中また市が立ったのだが、珍しいものはなく資金を貯めるため装備を更新しなかった。

 

 リーベの店の聖槍は即日売れたらしく、アンドリーの武器屋はスロなしの聖剣をまた入荷してた。

 

 そもそも最下層を探索するのは皮や革の装備の者が多く、硬革や竜革はオーバースペックなのだ。

 狂戦士の影響を考慮しても防御力は過剰であり、魔物部屋を生き延びられたのも正直これが大きいと思う。

 

 冒険者ギルドで避妊素材を買えるか確認したところ、飛膜は買えるが薬品素材である蝙蝠の牙は購入できなかった。

 俺が我慢すれば済む消耗品の為に資金を崩してまで、地味にお高い皮膜や避妊薬を買うかと言われると……

 

 万が一があるといけないので1個ずつだけ買ってアイテムボックスに収納してある。

 我慢ができて偉いぞ、俺!

 

 そもそも第12階層が狩場になれば入手し放題な上に、それまで気持ちの整理の時間を作った意味も大きい。

 

 覚悟の準備をしておいてください!

 

   リーベ小島の迷宮

     第7階層

 

  ナイーブオリーブ LV7 

  エスケープゴート LV7 

  スローラビット  LV7 

 

「魔物です!」

 

 魔物の群れは3匹。

 エスケープシープは体力が低くなると逃げる山羊。

 

 スローラビットは普通のウサギに見えるが、ダンジョンに野生の動物がいるはずもない。

 ぴょんぴょんと動きは遅いが、体当たりは当たると防具無しだと骨折する威力がある。

 

 ナイーブオリーブは無警戒(ナイーブ)で攻撃するまでは全く動かない。

 こいつの厄介なのは攻撃を当てると武器に油が付着して攻撃力が下がるデバフ持ちなのだ。

 

「いくぞ、ファイアーストーム!

 

 全体魔法が魔物たちに炸裂すると、炎の嵐が吹き荒れる。

 

 ファイアーストーム!

 

 炎に焼かれながら接近する魔物たちにクールタイムが終わった全体魔法を再度浴びせていく。

 

 目の前で反転してエスケープゴートが逃げようとするが、魔物の間を駆け抜けたライラーが退路を塞ぐ。

 逃げずに向かってくるスローラビットはルウが鋼鉄の槍で牽制して動きを止める。

 

 ファイアーストーム!

 

 3発目の全体魔法で魔物達が煙に変わり、ドロップアイテムをライラーが回収しながら戻ってくる。

 

  オリーブオイル 

  山羊の乳 

  ウサギの皮 

 

「はい、です」

 

 オリーブオイルは説明するまでもなく、料理などに使える安価な油。

 

 山羊の乳は好き嫌いが分かれる独特な臭みがある乳で、アイテムボックスに入れないと数日でチーズに変わるらしい。

 この世界、チーズが一般的に普及していた気がするのはこれで作られているのだろう。

 

 ウサギの皮は防具などには向いておらず、寒冷地のコートや内布などで使われているらしく服屋などが大量買い取りしている。

 

「かなり順調に倒せるようになったな」

 

 アイテムボックスに収納すると、姉妹も頷いた。

 

「やはり魔法は強いですね。上層以上の攻略にはパーティーに魔法使いが必須と言われるはずです」

 

「つよつよ、です」

 

 ルウの意見も聞きながら、試行錯誤して現在の魔法を使うスタイルが安定した。

 

 シロウ・トラシマ

 探索者LV24/狂戦士LV15/戦士LV23/魔法使いLV20/商人LV18

 装備:聖剣

 BP         0/123

 必要経験値3分の1   7

 獲得経験値20倍   63

 MP回復速度10倍  31

 5thジョブ     15

 詠唱省略        3

 鑑定          1

 ワープ         1

 ジョブ設定       1

 キャラクター再設定   1

 

 ワンドと聖剣で魔法の威力を確認してみたら、さすがに聖剣の方が強かった。

 たしかスタッフよりも強かった記憶なのでしばらく杖の更新は考えなくてもいい。

 

 武器としては剣というより重い鈍器を持っているような感覚がある。

 使えなくはないが俊敏が下がっているので、前衛で戦うのには若干の不安が残る。

 

 もっとレベルを上げて使えるようになれば、MP吸収を付けるだけでかなり使い勝手が変わるだろう。

 

 MPが減ったら獲得経験値20倍を三日月槍に変えて、商人を剣士に変えて戦うだけだ。

 

 経験値倍率60倍のレベル優先編成。

 パーティー全体に恩恵のある獲得経験値20倍を本当は残したいが、原作では必要経験値を入れ替えると挙動がおかしくなるかもしれないと危惧しており、可能性として考えられるのは切り替えた時点で経験値がリセットされるパターンだろう。

 残り経験値が3倍に増えるのも意味不明なのでありえるかもしれない。

 経験値テーブルも残り経験値も見えないので検証が難しいのでここは原作に倣う。

 

 育てたいジョブがある時に使うくらいで普段は獲得経験値優先の方が使いやすい。

 

 ジョブ設定は、必要時に鑑定やワープと切り替えていたが3~4戦闘後に1回はMP回復しなければならないので常備することにした。

 

 

 しかし、このまま魔法ビルドに進むべきか悩むところではある。

 身体能力が高くなった獣人の身体でも知力は上がっていない、教養の部分でも高校生の原作主人公に若干負けている可能性は考えたくない。

 やはり前衛でも戦えるスペックを使わないのは勿体ないので魔法と物理を使うビルドが向いている気がする。

 

 魔法戦士と書いて、中途半端と読むのは良くないと思うよ。

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