「拠点を探されるのですか?」
「宿屋に泊まり続けてもいいのだが、家を借りた方が最終的に節約になる。どうせ借りたとしてもその日から住める訳でもないのだから、宿屋の更新が控えたこのタイミングで探してみたい」
理由はいくつかあるが、そろそろ宿屋の環境から脱したい気持ちも大きい。
ベッドは固いし、左右の部屋は毎晩のように運動会してるのだ。
安眠で狩り効率が上がる訳ではないが、このまま宿屋生活に慣れるのも良くない気がする。
錬金術師や料理人を入手するのには自由にキッチンが使える環境が欲しい。
猫の額ほどの庭もあれば、農民も獲得できる。
「せめてリーベに
「スラムも隠れる場所もないので難しいですね」
治安が良すぎるので賞金首を狩って臨時収入という定番っぽい手段が使えないのである。
リーベでも時々、湖を行き来する船を襲う海賊モドキは出るがそれを狙うのは骨が折れる。
やはり狙うとすればアンドリーのスラムの情報を集めてからになりそうだ。
リーベ
不動産屋
「いらっしゃいませ、家をお探しで?」
商人 女 LV12
店舗に入ると、受付越しに商人の女が話しかけてきた。
商人ギルドで聞いた話によるとリーベには世話役はおらず、すべて不動産屋が管理しているらしい。
砦内という敷地に限りがあるのだから、領主側も直接管理するよりも複数の不動産屋に許可を出して書類などを作らせた方がいい。
これで店主が商人でなかったら別の不動産屋に行く選択肢もあったが、ひとまずここで話を聞いてみようと思う。
「どのような物件をお探しですか?」
「年4~5万ナールで、アパートではなく一軒家。可能であれば小さくても庭があると嬉しい」
ギルドで相場を聞いてきたので要望を伝えると商人女は少し考えて答える。
「お客様は冒険者ですか?」
「いや、探索者だがそろそろ冒険者になれそうなのでこの町に来た」
「なるほど。そのようなお客様は多くいらっしゃいますね」
家を借りるのにインテリジェンスカードを確認するので嘘を言うよりも、もうすぐ冒険者なれそうな探索者とすればいい。
実際の場合はもう数年かかるかもしれないが、俺の場合は経験値ブーストで数か月あれば余裕でLV50を目指せる。
3人とも硬革と竜革の装備で中層以上で戦っていると勝手に思ってくれているだろう。
「冒険者の方には少し不便なのですが、条件に合う物件がございます。さっそく見に行かれますか?」
「お願いしよう」
原作主人公も
リーベ
第4番街
「お、思っていたより大きいな」
連れられてやってきた場所には、三階建ての豪邸が建っていた。
リーベの町は円状の町で、時計のように北から12個の通りに分かれている。
第4番街は4時の方角にある通りで、城壁に常に冒険者が待機している12、3、6、9の通りの方が住むのに人気がある。
冒険者としても絨毯が使えるその通りに住む方が都合がいい。
「はい、この建物は色々条件が重なって不便な面がございますのでお安くなっております」
あまりに立派な建物なので、隣に立っている廃墟みたいな建物を示して「ここです」とズッコケる流れかと思ったが違うらしい。
「事故物件なのか?」
「いいえ、それは違います。通行の邪魔になりますし、中で詳しくお話しいたしますね」
鍵を開けて、建物の中に入ると印象が変わる。
「……店か?」
「ご明察。この建物は元々とある商家の持ち物で、店舗としても使えるようになっております」
1階は店舗部分の大部屋と奥に数部屋あり、2階が客室や倉庫として使える部屋、3階が居住スペースらしい。
商人女に部屋を案内してもらいながら説明を受ける。
「先ほど申しました商家の孫娘がこの物件の購入を希望されています。しかし彼女もまだ若いので購入資金が貯まるまであと10年はかかるでしょう。我々としては売却を待ったとしても、その間に遊ばせておくことはできません」
「つまり10年後には出ていかないとならないと?」
「そう考えられて結構です。むしろ数年後にはお客様は冒険者となられ、もっと便利な物件を検討されると思います」
台所も広くて、ここに机を置いて皆で食べることも十分に可能だろう。
姉妹達も真剣に確認しているが、やはり女性として気になる部分があるのだろうか。
ルウが戻ってくると俺にそっと囁いた。
「台所は奴隷の待機場所も兼ねているので広いのだと思います」
それは確かに真剣に見るよね……、まぁ俺はそうしないと思ってくれてそうだけど。
1階最後の部屋、案内されたのはタイル張りの風呂が無い風呂場という感じの部屋だ。
「ここが洗濯用の部屋になります。このポンプを使えば水が出ますので便利ですよ」
水が……出るだと?