「ぇ、強権の鉄剣ですか? 強権の鋼鉄剣ではなく?」
騎士が聞き返してきたので肯定すると、彼は少し考えて答える。
「妨害の銅剣と比べると、単体で使い道がある分需要はあると思われます」
同じ両手剣でも鉄剣と鋼鉄剣ではかなり攻撃力の差があるだろう。
「いえ、ボス部屋で拾いまして
もしも俺が腰に聖剣を差していたら、ルウのような複雑な表情をされたと思うが騎士は納得したように言う。
「そうでしたか。勿論、騎士団には獣人族以外もおりますので使えるものもおります。ただ私の独断では決められませんので、回答は待ってもらっても大丈夫でしょうか?」
「大丈夫です。明日の正午に騎士団に参りますのでご返事をいただけると助かります」
騎士達に別れを告げて、街へと歩き出した。
「よろしかったのですか?」
「現状、信用できる仲買人を探せてないし騎士団に貢献しておくのも悪くないだろう」
「そうですね。仲買人無しでオークションを利用しても失敗するでしょうし」
「?」
もしも交渉に武器商人や商人が混じれば3割増しも狙える。
悪い顔をしている俺とルウに、ライラーは今日のお昼ご飯のことを考えていた。
リーベ
自 宅
「遮蔽セメントが使われている建物へも飛べるのですね……」
「飛べてしまった……」
ルウが呆れたような顔をしているが、俺はMPが枯れて死にそうな顔で親指を立てる。
遮蔽セメントはフィールドウォークなどが使えなくなる不思議な建材だ。
ゴーレムの魔物のドロップアイテム、岩がセメントの材料だったと思うので上位ゴーレムが落とすのかもしれない。
絶対、魔法無効にしてくるタイプの厄介ボスだろうと容易に予想できる。
昼は定番の飯屋で済まして、食休みは自宅で取ることにしたが現在リバースしそうな青い顔で後悔している。
「午後からはベッドのマットレスが届くのでしたね」
「新品、です」
「あぁ、今日の夕飯は俺が作ろうと思うので必要な物を買ってくるのでルウは留守番を頼む」
姉妹に背中をさすってもらいながらMPが回復するのを待つ。
「料理は
「焼く、です」
ライラーの得意料理は丸焼きかぁ。
「いや、普段は任せようと思うが俺が知っている料理のレシピを覚えてほしい」
ドワーフが郷土料理でボルシチっぽい料理を作る世界だが、色々な料理法を共有したいと思う。
原作主人公は蒸しパンやジンギスカンモドキなど作っていた。
男料理なのであまり複雑なものは作れないし、女子の手作り料理の方がきっと美味しいだろう。
「マットレスは移動魔法で運ぶので1階の広間に置いてもらってくれ」
「分かりました。少し掃除をしておきます」
MPが全快すると、ルウに予備の鍵を渡してライラーを連れて町に買い物に出かけた。
リーベ
商店通り
現代ではショッピングモールやデパート、コンビニで大体の物が揃ったがこの世界では個人商店が多く商いをしている。
「ルウに箒や掃除道具を持っていってやってくれ」
「行く、です」
雑貨店で掃除に使えそうな道具を買うと、店の陰でワープでライラーだけ移動させて、すぐに戻ってきた。
「姉さん感謝してます、です」
ライラーを撫でてやると、別の店で鍋など料理道具を買った。
「アラキーザ、です」
「これが噂のアラキーザ」
ただの五徳である。
何となく金属でできたソレをライラーの頭に乗せると、全てを知ってしまった猫のような表情をしていた。
店員にイチャイチャするなと視線を向けられたが、3割引きスキルで購入して店を出た。
「キッチンに置いておいてくれ」
「参る、です」
少し知力上がってる?
ライラーの黒猫宅配便をワープでお届けした。
「夕飯は何が食べたい?」
「にく、です」
「魚とかは好きでない?」
「にく、です」
原作の猫人族は魚狂いだったが、我が家の猫は肉食のようです。
「ルウは何か好物とかあるのか?」
「…………にく、です」
ダウトォ!
まぁそこまで肉が食べたいなら夕飯は肉でもいいか。
「豚ロースをくれ」
「ほい、
肉屋と魚屋を兼ねる探索者がアイテムボックスから肉を取り出して販売してくれる。
冷蔵庫は存在しないので、新鮮な食材はダンジョン産のアイテムになるのは仕方ないと思う。
回復魔法や回復薬がある異世界で医療が発展しにくいように、移動魔法やアイテムボックスがあるこの世界では輸送や保管は探索者や冒険者の仕事の一部となっている。
分厚い豚肉の塊にライラーが目を輝かせている。
第12階層以降の豚の魔物が豚肉を落とした記憶なので一緒に頑張ろうな。
アンドリー南は第13階層以降なのは確定してるけど。
リーベ
自 宅
「おかえりなさいませ」
出迎えてくれるルウを見て、資金に余裕ができたらメイド服を買うのもいいなぁと思った。
猫耳メイド姉妹、俺は世界の真理に少し近づいた気がする。