「石鹸を作ろうと思っている」
本当は黙っていて驚かせたい気持ちもあったのだが、一緒に行動しているのに無理か。
「石鹸を作れるのですか?」
「材料を知っているだけだが、試してみようと思う」
この世界の石鹸は高級品で、一般庶民は洗浄成分のあるコイチの実のふすま(表皮)を使っている。
コイチの実は使いすぎると生地を傷めると記述されていたので弱アルカリ性なのかもしれない。
原作主人公が髪を洗うのに毎日使うと良くないと感じてたように、弱アルカリ性は髪や動物性繊維に悪影響がある。
異世界転生の定番の石鹸づくりは一般教養レベルなので多分作れると思う。
石鹸は油脂と苛性ソーダを鹸化で化学変化させて作る。
つまりオリーブオイル(油)と同じくダンジョン素材のシェルパウダー(重曹=弱アルカリ性)を加える。
手作り石鹸は1カ月くらい熟成しないと弱アルカリ性のPHが安定して肌に優しい中性寄りの石鹸にならなかった気がする。
そこはダンジョン素材のブーストで何とかなるだろうと信じてみるしかない。
オリーブオイルを取り出すと、薄い膜を割って鍋で温めていく。
このオリーブオイルは武具を手入れするのにも使える。
ダンジョン防具に耐久値があるのか分からないが、小さな傷程度だとオイルを塗った翌日には直っている。
さすがに折れた鋼鉄の槍に塗っても直る気配は全く無かったが。
ダンジョンアイテムには魔力が含まれており、それが美味しいと感じたり、武具の魔力を補充している設定だと面白いな。
そんなことを考えながら十分に温まったら、ルウに摺りつぶしてもらっていたシェルパウダーを加える。
焦げ付かないように混ぜ続けると、粘度を増した物体が出来上がった。
シロウ・トラシマ
ジョブ一覧:探索者LV24、狂戦士LV15、戦士LV24、魔法使いLV21、商人LV22、剣士20、村人LV8、僧侶LV1、海賊LV1、薬草採取士LV1、錬金術師LV1
ジョブを確認すると錬金術師を獲得できているので完成だろう。
錬金術師 LV1
知力小上昇 器用微上昇
スキル:メッキ
メッキのスキルは珍しいバフスキルで、敵味方のターゲットを選んで1回被弾ダメージを減らすことができる。
効果時間とかジョブを切り替えても効果が残るのかは実際に試してみないといけない。
「石鹸ができたと思う」
本当は香料を混ぜるといいのだろうが、匂いには敏感な獣人なので好き嫌いをよく三人で確認してから買いたいと思う。
「この石鹸で何を洗うのでしょうか、あ、新品の服を買われると言われていましたね」
高級消耗品で
奴隷も十分に高級品なのだが、消耗品みたいな扱いなのは納得いかない。
「ただいま、です」
ライラーがパンを買ってきてくれたので石鹸と道具を片付けると、卵とベーコンを焼いて簡単な朝食を食べた。
リーベ
自宅 3階寝室
「できたぞ、また何か問題があったら不動産を通して言ってくれ」
家具屋からドワーフが数人やってきて、ベッドの材料とマットレスを3階に運ぶと一気に組み立ててくれた。
あまりに手際が良すぎて逆に心配になるが、ドワーフの馬力の違いに改めて驚かされた。
「了解した、また何かあったら頼む。これで
銀貨を人数分渡すと髭モジャの顔でニカッと笑って、2階の客室のマットレスも設置してくれて帰っていった。
やはりドワーフは付き合いやすくていいな。
「出かける前に、石鹸のテストをしたいと思う」
「テスト、です?」
腕の後ろと背中に銅貨サイズくらい石鹸を塗って赤く腫れないかパッチテストは大事だろう。
姉妹にはご主人様が丁寧に塗ってやるとかなりくすぐったそうで、これでしか得られない栄養素がある気がする。
調子に乗ってしまったので姉妹から、両手と背中に何個も塗られてしまった。
これで赤く腫れたら
リーベ
服屋
新品の服を置いている店に来たが、当たり前だが臭くない服が並んでいる。
姉妹がこちらを何度も見るので、一人3着ずつ買おうと提案しておいた。
ライラーは興味津々に店内を見ているし、ルウは真剣な顔で1着1着確認している。
「ちなみにオーダーメイドはできるのか?」
「うちは仕入れる専門で仕立てはやってないかな。簡単な丈合わせはできるけど、服を作るなら副都が一番だよ」
副都の冒険者ギルドでは、確かにデザインの重視の服装をしていた気がする。
「ボス、あれが似合うと思うます」
ライラーが指差した先には白いスーツがあったが、あれを着ると安っぽいホストになるから駄目です。
「シロウ様、これが生地が頑丈でいいと思います」
ルウが作業着みたいな服を持ってきたが、これを着ると工事現場で頑張る土方のお兄さんになれるね。
とりあえず作業着は実用性重視で買うとして、俺の彼女たちの服を選ぶのを手伝った。
ルウは白ブラウスにネイビーのタイトスカートで清楚な感じで、ライラーはオーバーオールっぽい活発な服装になった。
「よくお似合い、ですか?」
「似合いますか?」
村娘から町娘くらいに可愛くなったが、いつか副都に行って都会娘にしてあげたいと思った。