異世界迷宮でプライドを   作:ブラック微糖

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038 下心

 

「合わせて、新品の下着はいかがでしょう?」

 

 服を会計しようとすると店員が近くの棚に陳列された下着を勧めてくる。

 

「そうだな、下着も3着ずつ買っておこう」

 

 男女兼用のかぼちゃパンツも最初は物珍しさから良かったが、下着くらいは肌触りが良いものがいいだろう。

 

「こんな上質な生地の物は必要ありません」

「絹、です」

 

 俺は遠慮する姉妹がどうすれば選んでくれるか少し考える。

 

「これを着てくれると俺が嬉しい」

 

 ルウの耳に囁くと、真っ赤になった彼女は下着を選び始めた。

 

「これを着るなら今夜も肉にする」

 

 ライラーの耳にも囁くと目を輝かせて姉に続いた。

 

 こいつらチョロいなぁと、店員に思われているだろうけど「下着も購入いただきましたので」と3割引きスキルを使ったのでお互い様である。

 

   アンドリー

   騎士団詰所

 

 折角なので新品の服に着替えて、そのままアンドリー南のダンジョンに行けるように武具を纏って騎士団の詰所に向かった。

 

「虎の人、待ってましたよ」

 

 入り口の騎士に用件を伝えると、奥から昨日の騎士が出迎えてくれた。

 彼は俺たちを奥に案内しながら話を続ける。

 

「上司に相談したところ、有用なスキルが付いた武器は貴重なので購入されるそうです」

 

 第一関門はクリアーといったところか。

 

 どうぞ、と奥の部屋に通されると見覚えのあるバケツ兜の聖騎士が待っていた。

 

「貴公、よくぞ参った」

 

 第二関門でいきなり辺境伯(ラスボス)出てきたのですが!?

 

「騎士様もお元気そうでなりよりでございます!」

 

 貴族式の礼を正しくできる気がしないので、長年染み付いた深いお辞儀で対応する。

 姉妹もかなり緊張していたが同じようにお辞儀をしたようだ。

 

「そこまで緊張せずともよい。頭を上げよ」

 

 皇帝クラスだと確か頭を上げていいと言われても1回目は上げないとか貴族ルールは複雑過ぎる。

 この緊張は警官と話している時に何も悪いことをしていないのに緊張するアレに似ている。

 

「ご無沙汰しております」

 

「何処か遠くにでも行っておったのか?」

 

「ここ数日はリーベのダンジョンを探索しておりました」

 

「ほう、リーベに」

 

 世間話というより尋問みたいになっているが、ここから入れる商談はありますか?

 

「二人に経験を積ませるべく、リーベとアンドリー南のダンジョンを交互に攻略しております」

 

「貴公はその女子達もダンジョンに伴っているのか?」

 

 ハーレムメンバーにするとは言いましたけど、パーティーメンバーも兼ねるとは言ってませんでしたね。

 3人とも服こそ新品であるが、硬革と竜革の防具を着こなしているように見えるだろう。

 

「頂上、目指しておりますので」

 

 辺境伯は無言で頷いている。

 ハーレム王に俺はなる!の意味で使っているけど、ダンジョンの最上層を討伐目指してます!の意味に聞こえるな。

 

「アンドリー南を討伐しても貴族にはなれぬぞ」

 

「因縁がありますので」

 

 初期スポーン地点なので原作主人公の最初の村のように特別というか執着はある。

 

「貴公もか……」

 

 バケツの中で消えるほどに小さな呟きだったが獣人の耳で拾うことができた。

 どうやら辺境伯もあの場所に因縁があるそうである。

 まぁ、部下を数名亡くしててもおかしくない殺意の塊のようなダンジョンであるが。

 

「攻略するダンジョンについては、リーベに拠点を構えましたので腰を据えて探していきたいと思います」

 

 少し場の空気が変わったので、汗が流れる。

 

「リーベに拠点、貴公は未だ探索者であろう?」

 

「が、頑張れば冒険者を目指せると考えております」

 

 まだLV50まで折り返し地点にすら行ってないのだが、経験値ブーストで頑張って目指せば解決する。

 

 問題は、辺境伯の部下にもなりません、街にも住みませんと宣言した部分か。

 ここから入れる保険はありますか?

 

 ルウが小声で囁いた。

 

「リーベはアンドリー辺境伯の代官が治める土地なので大丈夫です」

 

「あそこは我の倅がいるが、良い場所を選んだな」

 

 セーーーフ!!

 

 ルウの機転に助けられてホッとしていると、部屋がノックされて来客が入ってくた。

 

  武器商人 ♂ LV5 

 

 ぁ、そういえば強権の鉄剣を買ってもらいに来たのだった。

 

「騎士団と付き合いのある武器商人である。鑑定はこの者にさせるが良いな?」

 

「問題ありません。では失礼して、~アイテムボックス オープン。こちらをお願いします」

 

 さすがに詠唱省略するヘマはせず、詠唱して鉄剣を取り出すと武器商人に手渡した。

 

「では、武器に宿りし魂よ その力を解き放て 武器鑑定

 

 この世界の詠唱は格好良くて好きなのだけど、戦闘だと省略が便利過ぎて使う機会があまりない。

 

「間違いありません。強権の鉄剣です」

 

 武器商人が聖騎士に鉄剣を差しだすと、代わりに金貨が入った布袋を受け取って俺に渡してくれる。

 

「貴公の(こころざし)を鼓舞する意味を込めて20万ナールで買い取ろう」

 

「精進いたします!」

 

 あれ? これ3割増しスキル発動してないよね。

 調べてきた強権の鉄剣の相場は15万ナール、3割増しで19万5千ナールにしかならない。

 武器商人が鑑定に来ると予想して、不要な武器や蜘蛛のスキルカードを使うつもりだったが想定以上の金額を貰えている。

 

 辺境伯様、部下にも住民にもなりませんが、感謝の気持ちは忘れません!

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