異世界迷宮でプライドを   作:ブラック微糖

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041 竜人

 

 ミノとの戦闘に乱入してくる二人組をとっさに鑑定する。

 

  リューン ♂16歳 竜騎士LV7 

  ダーリナ ♀16歳 探索者LV9 

 

 邪魔をするな!

 

 何故という気持ちと沸騰しそうになる感情を抑えることに成功する。

 ジェノサイドアタックさんが邪魔者ごと斬ってしまおうぜ? と誘惑してくるが封印だ。

 

 全身鉄の装備を纏った二人だが、武具の隙間からはみ出た棘で竜人族だと判断する。

 竜人族の固有ジョブである竜騎士には二刀流のスキルがあり、本来両手でしか扱えない武器が片手で扱える。

 両手に大剣や大盾を持ち替えて攻めにも守りにも特化できるかなり優遇された種族だ。

 

 竜騎士

 体力中上昇、体力小上昇、体力微上昇

 スキル:二刀流、クリティカル発生、ダメージ軽減

 

 体力お化けな上にダメージ軽減まである。

 攻撃スキルは無いが両手に武器を持って、会心の一撃を繰り出す前衛に一人は欲しい人気職。

 耐久面が低い俺のパーティーの弱点を補うために密かにメンバー選ぶ候補の一つではあった。

 

 竜騎士の男は両手で鉄の剣を振り回してミノを乱打し、探索者の女は剣と盾でバランスよくミノを抑え込む。

 

 ジェノサイドアタックが使えなくなったのでラッシュに切り替えて倒したが、俺が最初にダメージを与えた1匹は二人が倒してしまった。

 

 革が4枚落ちるが、誰も拾おうとしない。

 

「どうして助けてくれた?」

 

 微妙に棘のある言い方になってしまうが、まだ思考が冷静になっていない。

 

 ジェノサイドアタックは見られたかもしれないがエフェクトがある訳ではないので特定はできないだろうし魔法も使っていない。

 

 口止め云々考えなくていいのはいいがまだ彼らの行動の意図が分からない。

 

「そんな言い方をするか?」

 

「リュー! 喧嘩腰は良くないわ」

 

 竜人の二人、特に男の方は俺の言葉に不満そうだった。

 

 探索者の不文律に他のパーティーの戦闘中に干渉しないというものがある。

 彼らはそれを破った挙句、ピンチに見えた俺があっさりと牛を撃破して気まずいのかもしれない。

 

 冷静になってくると牛4体に囲まれたソロ探索者を助けようとした正義感なのかもしれない。

 同じ16歳ではあるが、心は36歳の俺が大人げない対応を続けるのも良くないだろう。

 

「助かったのは事実だ、ドロップ品は半分にしよう」

 

 結果的に討伐が早く終わって夕飯に帰れると俺が2枚拾って去ろうとすると、竜人の男が呼び止めた。

 

「待てよ、俺らは1匹しか倒してない」

 

 ルウならどう裁いただろうか?

 彼女達がこの場にいれば乱入は発生しないのだから俺が悪いか。

 

「そっちは二人だろ。彼女さんにあまり迷惑をかけるなよ」

 

「彼女ではない!」

「違うわよ!」

 

 え? と彼らが両方否定して勝手にショックを受けているその隙にダンジョンから脱出した。

 

   リーベ

   自 宅

 

 ダンジョンの辛気臭い空気が消え、我が家に戻ってきたと実感する。

 ストレス解消のつもりが逆にストレスを抱えた気分だがこれはMPが減った影響だろうか。

 

「おかえりなさいませ」

「おつかれさま、です」

 

 ルウが温かい濡れ布を渡してくれたので顔の土埃を拭いてサッパリする。

 

「ありがとう」

 

 二人を抱きしめて寂しさを感じていた胸が温かくなるのを感じる。

 あれ? この布って……。

 

 下着を新品にしたので不要になったカボチャパンツでは?

 

「ボス喜ぶ、です」

 

 主人思いの奴隷を持って俺は何故か泣きたくなったよ。

 

   リーベ

  自宅 台所

 

「申し訳ありませんでした。きっと私たちが移動した後に階層に上がってきたパーティーでしょう」

 

 夕食を食べながら二人に先ほどの話をするとルウが謝罪する。

 

「いや俺も無理に倒そうとせずにワープで逃げればよかったし、他のパーティーが来ることを想定してなかった」

 

 毒持ち魔物ゾーンを越えて、皮が確定ドロップになる8階層だ。

 他のパーティーが来る可能性もあるだろうし人が少なくなる夜だからこそ逆にダンジョンに入る者もいる。

 

 彼らのような耐久のあるパーティーなら第8層は相性が良さそうだ。

 

「でも、ドロップ品を分けるのは善くなかったかもしれません」

 

「そうなのか」

 

「乱入すればおこぼれが貰えると覚えたりすると面倒です」

 

 野良犬か熊か何かかな?

 

「まぁ、もう闇雲に乱入することはないだろうと思うぞ」

 

「どうしてですか?」

 

「男には見栄って厄介な物があるからな」

 

 おこぼれを貰うのと、()()()もらうのには違いがあるというだけの話。

 

「?」

 

 納得いかないルウだが、俺はよく焼けた肉を口に運んで咀嚼する。

 

「山羊の肉も美味いな」

 

自慢作(じまんさく)、です」

 

「こっちのスープも食べてみてください!」

 

 和気藹々と夕食を楽しんだ。

 やはり美少女の手料理ってだけで価値があるなぁ、ダンジョン食材を美味しくなく調理できたら逆に才能あるかもしれないが。

 

   リーベ

  自宅 洗濯部屋

 

 翌日、待ちに待った大きな桶が届いたので洗濯部屋に設置した。

 

「洗濯に使うには大き過ぎる気がしますが?」

 

「魚飼う、です?」

 

 姉妹が不思議そうに大桶を覗き込んでいる。

 

「何を隠そう、これは風呂を入れるための桶だ!」

 

 何を言っているのだコイツみたいな冷たい目をされて少し泣きたくなった。

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