異世界迷宮でプライドを   作:ブラック微糖

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042 風呂

 

   リーベ

  自宅 裏庭

 

 どうせ風呂に入るなら農民取得の為に土作業をしようと思ってハーブの種と、いい香りのする柑橘を何種類か買ってきた。

 

 裏の空き地は日当たりがよくないので正直どこに畑を作っても変わらない。

 適当に自宅に近い端側に作ることにした。

 

 農作業にはあまり詳しくないが、土を掘り返して(うね)を作ればそれっぽくなるだろう。

 

「すみません、私達の住んでいた村ではあまり農作業は盛んではありませんでした」

 

 ルウの知識はダンジョンなどに尖っている部分があるので仕方ないと思う。

 湖で魚を捕って野菜と交換していたにしても、二人には固有ジョブである()()が無い。

 理由があるとは思うのだが二人からいつか話してくれるのを待ってもいい。

 

 海女

 体力中上昇 HP小上昇 腕力小上昇

 スキル:対水生強化

 

 種族固有ジョブだけあってジョブ補正は優秀だが耐水性強化は最下層ではコラーゲンコーラルにしか効果がない。

 獣戦士の百獣王や鍛冶師の隻眼といった上位ジョブが存在するのは気になるが、現状は剣士と巫女の方を優先でいい。

 

 種族固有ジョブかぁ。

 虎人族の種族固有ジョブの条件は何だろう?

 獣戦士が魔物2匹の攻撃を避ける。

 鍛冶師が魔物2匹を同時に攻撃する。

 竜騎士が魔物2匹を一人で撃破する。

 海女が魚?水生魔物を2匹捕まえる。

 原作で判明している固有ジョブの条件は全て2匹というのが共通しているのが唯一のヒントである。

 

 考えながら作業をしていると土を全て掘り返して、畝を作るとハーブの種を植えて水を撒いた。

 

 シロウ・トラシマ

 探索者LV24、狂戦士LV15、戦士LV24、魔法使いLV22、商人LV22、剣士21、村人LV8、僧侶LV1、海賊LV1、薬草採取士LV1、錬金術師LV1、()()LV1

 

 農民を獲得したが補正が腕力小上昇だけ、スキルが無くて現状使い道がない。

 上位ジョブで豪農とかありそうであり、非戦闘ジョブであればレベルが上がりやすい筈だ。

 遊び人獲得のためのジョブ数稼ぎには使えるかもしれないので覚えておこう。

 

 育てやすいサツマイモのような芋があれば焼いてもスープに入れても美味いので植えてみるかと考えながら畑作業は終了した。

 

   リーベ

  自宅 風呂場 

 

 待ちに待った風呂を入れる時が来た。

 

 MP自然回復20倍を付けているのを確認して姉妹に農作業で使った道具を洗ってもらう横で大桶に向き合う。

 

 ウォーターウォール!

 

 先ずは水魔法を試してみる。

 

 ダンジョンでは主に戦闘中でしか使わないのでじっくり見ることはなかったが、澄んだ水の壁が空中に浮かんでいる。

 

 30秒程経過すると水の壁が崩れて、桶の底を濡らした。

 

 いやいやいや、この待ち時間と溜まる水の量は想像以上にマゾいぞ。

 

 ヒロインと風呂に入りたいという気持ちだけでやり遂げた原作主人公の執念を感じる。

 

 手押しポンプの使い方は不動産屋が教えてくれたので呼び水を入れて準備完了だ。

 

「ライラー、ポンプを押してみてくれるか」

 

「はい、です!」

 

 人類の英知、文明の利器、手押しポンプが火を……いや水を噴き出して桶に水が溜まっていく。

 

 MPは消費しないがポンプを上下させるためにスタミナを使うので3人で交代しながら水を溜めていく。

 見栄を張らずに3人がやっと入れるくらいのサイズの桶にしておいて良かったと思う。

 

 水が溜まると今度こそ魔法の出番である。

 

 ファイアーウォール!

 

 高温の炎の壁が桶の水の中に出現して消えずに燃え盛っている。

 水が音を立てて蒸気が出ているので熱エネルギーで温められている筈だ。

 

 さすがにこの質量の水を数回で終わると思っておらず何度も繰り返すことになる。

 

 強壮丸を使って一気に温めてもいいのだが、原作に倣ってダンジョンでMP回復することにする。

 

   リーベ小島の迷宮

     第2階層

 

「ダンジョンですか?」

 

「魔法を使い続けるのにMPが必要だからな。三日月槍のMP吸収で回復させたい」

 

 ルウがせめて胴体だけ防具を付けようと提案するので、3人の竜革防具をアイテムボックスから出した。

 

「洗濯場が蒸し風呂状態になってくるからダンジョンが涼しく感じるな」

 

「見た目も涼しげですね」

 

「あつい、です」

 

 徐々に水蒸気でサウナ状態になるので、適度に避暑と水分補給しながらダンジョンで敵を倒すのを繰り返した。

 

   リーベ

  自宅 風呂場 

 

「できた!」

 

 ダンジョンを探索する時間を含めて約40分程度で風呂が完成する。

 原作では初回の風呂に2時間以上かけていたので3分の1の時間で成し遂げたことになる。

 

 風呂の湯に買ってきた柑橘を浮かべると香りが蒸気に混ざって部屋中に充満していく。

 

「失礼します」

「失礼しまする」

 

 清拭(せいしき)の際に何度も見た二人の生まれたままの姿であるが胸が高鳴り続ける。

 

「本当に私達も入ってよろしいのでしょうか?」

 

 ルウは困惑しているが、ライラーは柑橘の浮かぶ湯舟に興味津々である。

 

「問題ない。むしろ二人が綺麗になってくれると俺が嬉しい」

 

 姉妹の溢れんばかりの笑顔、この為ならば風呂を頑張った彼の気持ちが分かった気がした。

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