エルフという種族は原作において、皆美人であると描写されていた。
もれなく困った表情で俺たちの向かい側のソファに座るエルフも美しい顔をしている。
金髪ロングに空色の瞳に華奢な身体。
原作主人公にエルフの中でも一際美しくハイエルフだと言われても信じるとも言わしめた公爵夫人程の美貌は無いだろう。
しかし磨かれていない美しさが、シンデレラですと言われたら納得してしまう儚さと美しさを両立している。
「えっと、改めましてエルカトルです。お話にありました通り脱税奴隷候補です」
緊張しているエルフに就職の面接を思い出した。
まぁ、状況的に将来の就職先と面談しているのだから間違いではないが。
ルウが厳しい口調で言う。
「先ずは貴方がシロウ様に貢献できることを話してみてください」
美貌と言ったら一番奴隷から猫パンチが飛びそうだが、エルカトルは考えながら答える。
「料理、掃除、洗濯の家事に関しては一通りできます。孤児院の子供たちは種族がバラバラなので人間語、獣人語、ドワーフ語、竜人語、エルフ語、そしてブラヒム語が話せます」
凄いな、
2か国語や3か国語と違って6か国語を覚えるには一種の才能が必要だ。
家事がこなせるのは助かるが、俺たちはブラヒム語が話せれば十分なのでメリットしては弱い。
「ダンジョンに関してはご覧の通り体格に恵まれておらず貧弱です。ジョブは僧侶ですので手当で回復できます」
ルウもそうだが弱らせた魔物の注意を引いてもらって殴り倒せば僧侶のジョブは比較的簡単に取得できる。
最近の創作における僧侶キャラは怪力で重たいメイスをブンブン振っているイメージもあるが、この世界では非力な者がなる職業だ。
しかも回復だけに専念させる余裕がないので前衛で戦う必要があり、後衛で大事にされる魔法使いとの差が顕著である。
「残念ながらルウが巫女だから回復は足りている」
「そうですか……」
現状、あまり回復が必須な状況にはなっていないので回復要員は二人もいらないかな。
落ち込むエルカトルに俺は続ける。
「重要な話なので覚悟を聞きたい」
薄いハーブティーを口にすると言う。
「俺には守ってもらいたい機密が沢山あるし、いずれ達成しなけばならない野望もある」
「秘密は必ず守りますし、その野望もお手伝いさせていただたいと思います」
言質を取った!
「俺の野望、ハーレムに入る覚悟があることだな!」
エルカトルは真剣な表情で言った。
「ボクは
エルカトル ♂15歳 僧侶LV4
こいつ男だぁぁぁぁぁぁぁぁ!?
さすがにルウもライラーもその真実に絶句している。
「何故、女物の修道服を着ている? 女装が趣味なのか」
「これはシスターのお古です。趣味ではありませんが、これを着ていると町の皆さんが優しくしてくれるとシスターが言いまして」
あのシスター最高にいい性格しているよ。
何か色々馬鹿らしくなってソファにも沈んで思考する。
→買う
買わない
殺す
脱がせて本当に男か確認する
若干、選択肢も混乱しているがこのエルフは純粋で善い奴なんだろうなぁとは思った。
いつかは男も仲間に加えないといけないと思っていたが、それが男の娘?になっただけだ。
「分かった、脱税奴隷がどうにかできるか次第になるがうちで働いてもらおう」
「よろしくお願いいたします」
エルフの男の娘は深く頭を下げた。
アンドリー
奴隷商館
翌日はアンドリーに飛んで面識がある奴隷商館を訪ねた。
「これはシロウ様!ようこそお越しくださいました。本日はどのようなご用件で?」
奴隷商ヤーロン。
辺境伯から紹介状を書かれるくらいには真っ当な商人なので信用するしかないだろう。
エルカトルについて個人が特定できない程度に事情を説明するとヤーロンは答える。
「結論から言いますと可能でございます」
その言葉に三人が安堵する。
姉妹も奴隷が増えることに複雑な心境だろうが見捨てるような性格ではない。
「税金を3万ナール、その延滞金が1万ナール、諸手続きをさせていただきますので手数料として1万ナール、合計で5万ナール必要でございます」
「問題ない。貴殿に手続きをお願いしたい」
車検とか高く感じるが内容はほとんどが税金だったりする。
金貨を払おうとすると、ヤーロンが止める。
「アンドリーとリーベが同じ領内とはいえ根回しの為に時間を頂きたいのです。まだ4日あるとおっしゃられましたが確認等もございます。そうですね、明後日の朝にアンドリーの商人ギルドにて契約を致しましょう」
さすがは高レベルの奴隷商人、話も仕事が早い。
「ところで、シロウ様は
「迅速な対応感謝する。え?」
何か似たような展開が昨日もあったな。
「シロウ様に是非ともお勧めしたい奴隷がございますがいかがでしょうか?」
「話を聞いてから判断させてもらおうか……」
ここまで話を聞いてもらって、こちらが話を聞かないとかできないの分かってるさ。