「インテリジェンスカードをチェックせよ」
バケツのような兜を被った聖騎士の言葉に、右手を差し出すとお伴の騎士が詠唱する。
「
手の甲からカードがスッと浮かび上がる。
シロウ・トラシマ ♂ 16歳 探索者・自由民
「シロウ・トラシマ 探索者です!」
本物の詠唱やインテリジェンスカードに感動していると、騎士が高らかに読み上げた。
「苗字持ち? 自由民か。もう良いぞ」
聖騎士の許可が下りたので、カードを上から押すと抵抗もなく手の甲に消えた。
「何があった? 申してみよ」
俺はこの国?につい先ほど来たばかりで、迷宮を見つけて入り口の探索者に声を掛けたところ盗賊であり、襲われたところを撃退したように説明した。
ぎ、ぎりぎり嘘は吐いていないので許されると思いたい。
「そうか、本当であれば難儀であったな」
当然、まだ疑われてるぅ。
「貴公、痛くないのか?」
「ほとんど返り血で、うわっ、何だこれ!?」
指摘されて初めてジャージがボロボロになっており、斬られて大きく裂けた箇所が目立つ。
そういえば盗賊LV20に反撃を受けた気もするが……もしかしてジェノサイドアタックを使用中は痛覚OFFになる?
狂戦士か? 狂戦士だったわ。
「HP吸収の武器を持っていて何とかなりました」
「ほう」
しまった、失言したと気が付いた。
薬で治したと答えることもできたのに、馬鹿正直に貴重品を所持していることをバラしてしまっている。
「であるか」
聖騎士は少し納得すると、騎士達に死体を片付けるように指示する。
彼らは黙々とカードを回収しつつ死体をダンジョンの入り口に放り込んでいく。
ダンジョンは死体を消化する。
死体を吸収することで成長するが、同時に外部にモンスターを出す頻度が下がるのでこれが一般的らしい。
「カードを確認すれば分かるであろう。
「ぁ、有難き幸せ?」
「はっはっは、若いのに堅苦しい言葉を使いおる。最近の
聖騎士の最近の若者への愚痴を聞きながら、馬の後を追い歩く。
いや乗れないから乗せてほしいとは思わないし、立場も考えると猶更言えない。
武勇伝に相槌を打っていると街を囲う岩壁が見えてくる。
「騎士様、ここは何という街でしょう?」
「ここか? ここは西の辺境、アンドリーだ」
薄々感じてはいたが、そっと聖騎士を鑑定する。
アンドリー辺境伯
ザフィーラ・アイゼン・スザーク
♂ 40歳
聖騎士LV28
装備:強権のダマスカスの短槍
ダマスカスの兜
耐毒のダマスカスの鎧
ダマスカスの篭手
ダマスカスの足甲
身代りのミサンガ
辺境伯様かぁ。
アンドリー
騎士団詰所
カードを確認する間に、血塗れを洗うお湯を用意してくれたりと待遇も悪くはなかった。
まぁ、血塗れの獣人が街を歩き回ると騎士の仕事が余計に増えるだけかもしれないが。
「貴公、猫人族かと思っていたが虎人族なのか?」
「ぇ?」
顔や髪の毛の汚れを落として、うっすら赤い桶の水を映して自分の顔を確認すると
染めたような傷んだ金髪、黒毛の混ざるプリン頭に見事な
虎の耳って裏側が黒毛で、白毛がワンポイントで付いてるので分かりやすい。
子虎が親虎の後ろから追いかけやすいように目立つようになってると言われている。
「西では珍しいが、東の出身なのか?」
「そ、そうかもしれません」
ジャパンは東の国なので辺境伯様に嘘を吐いていません!
「虎人族は優れた戦士になると聞く、今後の活躍に期待しよう!」
肩をバンバン叩かれながら盗賊の賞金が入った革袋を受け取った。
辺境伯は俺の横に付いた耳に囁いた。
「この街にはHP吸収付きの武器を持った盗賊の頭目がいる、注意されよ」
疑問符を浮かべる俺に、辺境伯は笑いながら続ける。
「今宵、その盗賊団に殲滅戦を仕掛ける予定だ。貴公には関係なくなるかもしれぬがな」
去っていく彼に頭を下げると騎士団詰所を出る。
「思ったよりあっさりと解放されてしまった」
革袋には金貨が10枚、銀貨が数十枚入っていた。さっそく
とりあえず適当に古着屋でできるだけ臭くない服を買って、ボロボロのジャージを着替える。
原作でも布質が固いと表現されていたが、騎士団で紹介してもらった宿屋に泊まれるドレスコードにはなったと思う。
アンドリー
宿屋202号室
安いビジネスホテルのベッドが柔らかく感じるほどに硬い寝床に横になりながら目を閉じる。
BP 29/99
ボーナス武器6 63
2thジョブ 1
詠唱省略 3
鑑定 1
キャラクター再設定 1
「さてと、やりますか」
決心して飛び起きるとワープで宿屋が見える裏路地に飛んで、