「思った以上に曲芸師は強力なジョブのようだ」
「そうですね」
そう考えると理想は俺と魔道士以外は全員曲芸師になるのか?
「ルウ、ライラーの
「や、やってみます」
BPを調整して三日月槍と銀猫の首輪を装備させて送り出す。
ニートアント LV2
ニートアント LV2
「やー!ふにゃ!」
ルウが勢いよく壁を蹴るが滑り落ちた、ぁ、蟻に噛まれたので毒消し丸を投与しておく。
その後も槍を支えにして戦おうとするが木に登って降りられなくなった子猫のようにしがみ付いたまま動けなくなっていた。
槍から落ちたら蟻から噛まれて可哀想になりそうなので、魔法で全滅させておく。
「……」
「私は無理ですからね」
無言でいるとアビィが断固拒否してくる。
「次こそは頑張りますので」
「根性、です」
向上心があるのは素晴らしいが、かなりの運動神経が求められそうだ。
「しかし重い鎧を着ている騎士が曲芸師になれるイメージがないのだが」
「騎士はダンジョンでも馬に乗っていたそうです」
騎乗!?
それならば俺の背中にルウを乗せて戦うのも一つの案だな。
ダンジョンで騎馬戦をするのは間違いだろうか?
「騎士は給与で買った馬を溺愛して、休日は散歩を兼ねてダンジョンに一緒に潜っていたそうです。馬は本来魔物を怖がりますし、ボス部屋に入れません。ある日、ダンジョン内で愛馬を亡くしたドラクロワは騎士を辞めて戦士ギルドを脱退し、剣士となってダンジョンに敵討ちを誓うのが有名です」
だから変わり者で有名なのか。
サーカスの曲芸で馬や象に乗るイメージはあるので、人以外の動物に乗った状態は空中判定になりそうだな。
「どうする? 我が家でも馬を買うか」
「オススメはできません。購入費や維持費、馬小屋の設置と金貨単位でお金がかかります。人間と違って防具が装備できませんのでダンジョンで命を落とすリスクが高すぎます」
「そうです。馬より猫の方が可愛いです」
「犬、です」
ライラーは犬派かぁと姉妹の発言を半分聞き流しながら、魔道士を習得して必要であれば再検討することで決まった。
リーベ
自 宅
アンドリー南のダンジョンからリーベの自宅に飛ぶがパーティーが4人に増えたので当然のように崩れ落ちる。
今後は曲芸師のMP微上昇が育てば少しは楽になるはず……。
姉妹に流れ作業のように薬を飲ませてもらって復帰すると、アビィが質問するタイミングを窺っていた。
「ここはリーベにある俺らの拠点だ。後で中を案内させるが、遅くなる前に隣にある孤児院に行くぞ」
「了解しました」
リーベ
孤児院
孤児院を訪ねると相変わらずに美人のエルフが現れた。
「ぁ、シロウさん。その様子だと駄目だったのでしょうか……」
「いや、これはMPが足りてないだけで中で話してもいいか?」
「丁度夕飯の時間でしたので食べていってください!」
貧乏な孤児院に御相伴を与るのは少し心苦しいが、他3人のお腹が唸るのでお願いすることにした。
兎肉のシェーマ焼き
香辛料のような香ばしい香りと閉じ込められた肉の焼けた匂いがする。
「これが噂のシェーマ焼き」
「肉、です」
「それはシスターが作られた料理ですよ。シロウさんのお蔭で本日は皆で肉たっぷりのスープを食べてます」
原作の狼人族が作っていた料理の登場に感動していると、エルカトルが皆にスープを配ってくれる。
「ありがとうございます」
「初めましての方ですよね、ボクはエルカトルと言います。よろしくお願いします」
「アビィ。よろしくお願いします」
「新しく俺のハーレムメンバーに入ったアビィだ。声が小さいが、悪い奴ではない。多分」
正直、出会って半日なので自信は無いが口は悪い方だと思う。
「こっちが新しくハーレムメンバーに入る予定のエルカトルだ。顔は良いが、男だ。多分」
アビィがフリーズするが、冷めないうちに料理を食べることにする。
「いただきます」
「いただきます」
「いただきまする」
「主の慈しみに感謝致します」
1名固まったままだが、シェーマの葉を外して肉を口に入れるとピリ辛の焼けた肉の旨味が口に広がる。
「美少女を侍らせて食事とはいい身分だね」
「シスター、貴女の料理は最高だな!」
「うまい、うまい、です」
シスター・クラレンスがやってくるので礼を言う。
「こんな婆さんまで口説くとは節操ないね」
「俺の故郷では産地から料理まで係わった全ての人と食材に感謝する文化があるからな」
「それはいい心掛けだね」
シスター・クラレンスの尻尾がぴくぴくと動くが、婆さんの照れ隠しの需要はないので指摘しないでおく。
食事を済ませると奴隷商の話を伝え、明後日の早朝に契約の手続きをすることを説明する。
「エルカトルを頼むよ。あんたには世話になるから何か返せるものがあればいいのだけど」
さすがに1食以上の手間はかかるが、孤児院から物を貰うのは……そうだ。
「俺はこちらに来たばかりで伝手が無いから人を紹介してくれると助かる。とりあえず腕のいい仲買人を探している」
人脈は貴重だ。
孤児院を任される上位職のシスターなら町中に知人も多いだろう。
「私が現役だった頃の商人はほとんど残ってないねぇ」
それもそうかと思っていると、シスターはニヤリと笑って続けた。
「一人心当たりがあるよ。しかも、
婆さん、本当にいい性格してるぜ。