異世界迷宮でプライドを   作:ブラック微糖

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052 仲買人

 

   リーベ

  自宅 風呂場

 

 仲買人についてメモを貰った後、さっそく風呂桶にお湯を貯めることにする。

 

「まさか自宅に風呂まであるとは……」

 

 少し呆れ気味のアビィはドワーフの腕力を活かしてポンプを動かす。

 

「アビィはエルフや仲買人に偏見とかはないのか?」

 

「むしろ全ての人種を信用してません」

 

 気になっていたことを聞いてみたが、アビィらしい答えが返ってきた。

 

「警戒してくれているのは助かるが、信用って信じてみないと一生得られないものだと思うぞ」

 

「……善処します」

 

 20歳に16歳が言うことではないのだが、精神年齢が36歳なのでつい諭したくなってしまう。

 

「武具の手入れが終わりました」

 

「お風呂、です!」

 

 姉妹が服を脱いで合流してくるので、アビィがポカンとしている。

 

「服を脱がないと風呂には入れないぞ?」

 

「ぜ、善処します」

 

 一緒に入ると説明していなかったので不意打ちでアビィの顔と耳は真っ赤になった。

 

 アビィが服を脱ぐと、ドワーフにしては不健康そうな白い肌、人形のように細い身体が出てくる。

 

 小柄の身体に謎の犯罪臭があるが年齢は一番高い合法ロリに触れようとすると、ルウが割り込んでくる。

 

「シロウ様の身体をお洗い致します」

「ごしごし、です」

「石鹼まであるのですか」

 

 姉妹に洗ってもらうと、ルウとライラーを順番に泡塗れにしてやる。

 

「ぁ……」

 

 アビィの肌に触れるとこれまでで一番小さな声が漏れる。

 

「未だ言ってなかったが、避妊薬が入手できるようになるまで全員に手を出すつもりはない」

 

 緊張を揉み解すように丁寧に泡を肌に塗りこみながら、真っ赤になった大きな耳に囁いた。

 

「逃がすつもりはないからな」

 

  自主規制の迷宮

   第6回層

 

 湯舟でぐったりとするアビィが沈まないように俺の膝に乗せているが、さすがに4人は狭い。

 

「人数が増えたら交代で入るのがいいかもなぁ」

 

「そうですねぇ」

「順番、です」

「……」

 

 一番奴隷の矜持なのか、膝上の泥棒猫に厳しい視線を向けているルウに言う。

 

「順番といえば、一番奴隷はルウのままで。二番奴隷を選ぶ予定はないので姉妹のように仲良くしてくれ」

 

「分かりました」

「妹、です」

「……ふぁい」

 

 ライラーが撫でているそのドワーフが一番年上だけどな!

 

   リーベ

  商人ギルド

 

 翌朝からそれぞれ動くことにする。

 

 俺とルウが仲買人に会いに商人ギルドに来ており、アビィが鍛冶師ギルドに加入するためにエルカトルの案内で向かい、シスターがエルカトルが奴隷になった際の僧侶ギルドの対応についての確認へ、残ったライラーが孤児院の子供たちの面倒を見ることになった。

 

「ライラーは大丈夫なのか?」

「問題……ありません」

 

 ルウでも即答できないくらいには心配にはなるよな。

 エルカトルも含めてパーティー編成しているので、離れていても元気に走り回っているライラーの位置が分かる。

 

「いらっしゃいませ、本日はどのようなご用件でしょうか?」

 

 商人ギルドに入ると他の仲買人に声を掛けられる前に、受付で用件を伝える。

 

「この仲買人に会いたい。シスター・クラレンスからの紹介と伝えてくれ」

 

「かしこまりました。少々お待ちください」

 

 読んでもこの世界の文字は分からないのでメモごと受付に見せると、受付の女性が仲買人を呼んでくれた。

 

  モナ ♀22歳 商人LV30 

 

「ご指名いただきありがとうございます。商人のモナでございます」

 

 狼人族の若い女性、モナは青いドレススーツを着こなしたキャリアウーマンのような第一印象だ。

 

「シロウと言います。シスター・クラレンスの紹介で来ました」

 

 つい丁寧に挨拶されると丁寧に返事をしてしまった。

 

 少し目を丸くしたモナは、受付から商談室の鍵を借りると俺たちを案内した。

 

 ドレススーツのピッチリした臀部にふさふさの尻尾が揺れるのに目が行きそうになるが、後ろを歩くルウの圧が怖いので我慢する。

 

    リーベ

  商人ギルド商談室

 

 モナは商談室に入ると備え付けられたハーブティーを3人分入れてくれた。

 

「さてシロウ様、仲買人を探されていたということで何か売買いをご希望でしょうか?」

 

 話が早いが、せっかちに思われない独特な間で商談に入る。

 

()()、買いですね。ダンジョン攻略に向けてスキルカードを買いたいです」

 

「スキル付きの武具を買うという選択肢もございますが?」

 

「合成には伝手があるので、スキルカードで大丈夫です」

 

 ここでこちらの手札を一枚切っておく。

 鍛冶師と繋がりがあると伝えることで、スキルカードを多数注文しても違和感が無くなるだろう。

 

「先ずはコボルトと兎のカードを3枚ずつお願いしたいです」

 

「コボルトの直近の落札額が4900、5100、5000。兎が4500、4600、4700。兎は少し値が上がっておりますがその価格帯で入手できると思います」

 

 原作の主人公が利用していた仲買人もそうだが、メモも見ずにスラスラ出てくるのは凄いよな。

 コボルトや兎、山羊のような人気カードは一通り覚えないと相場を読むことなど不可能なのかもしれないが。

 

「でしたらコボルトと兎合わせて金貨1枚まで出しますのでお任せできますか?」

 

「セットで出品されることもありますので、より入手しやすくなると思われます」

 

 セットで出品させるのか仲買人同士の裏取引なんて、物が入手できればどうでもいい。

 

「それでは手数料は1枚500ナールですので6枚で3000ナール、シスター・クラレンスからの紹介ですので2100ナールお願いいたします」

 

 銀貨の支払いを済ませて交渉成立の握手をするが、モナが提案してくる。

 

「堅苦しい交渉(おはなし)は止めにしません?」

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