「狼人族だったがシスターの親族なのか?」
「違うさね」
シスターはハーブティーを飲むと続ける。
「あの娘とは祖父時代から付き合いだから良くしてやっておくれ」
こちらこそ良い関係を築きたいと思うので問題ない。
「あの方は、嘘が嗅ぎ分けられるとかありますか?」
「驚いたねぇ。あまり知られていないけど嘘を嗅ぎ分けられる狼人族はいるよ」
ルウの疑問にシスターが答える。
彼女も気配察知という特殊能力持ちなので、その可能性に気が付いたのか。
「ダンジョンの魔物の臭いを嗅ぎ分けられる狼人族もいるのか?」
「聞いたこと無いねぇ。私も魔物の臭いは分かるけど、動き回って混ざるから嗅ぎ分けるのは無理さ」
原作の狼人族のスペック高すぎて嘘探知よりも希少なのかもしれない。
続いてアビィに鍛冶師ギルドの報告をさせる。
「鍛冶師ギルドは手数料を払えば転職試験を受けさせてもらえることになりました。奴隷でも転職も可能ですが、希望があればギルドが買取交渉をしてくれるそうです」
ダンジョン攻略における鍛冶師の役割は重要である分、奴隷で酷い扱いをされる鍛冶師を救いたいというドワーフの仲間意識は理解できる。
「私は契約でドワーフの雄が傍にいない方が楽なので買取は希望しませんが」
可愛げがないアビィは可愛いなぁ。
風呂に入って髪がさらさらになった彼女の頭を撫でながら続きを聞いた。
「ギルドに加入するメリットは教本や知識です。義務については、ギルドが指定した武具を作成して納品することでギルドの貢献度を貯める必要があります。毎月の貢献度が足りない者はギルドで修理の依頼などに従事することになります」
教本や知識は、治療費の割引と違って金で解決できないので必須だろう。
貢献度のシステムは原作にあった帝国解放会のポイント制に近いものを感じる。
「納品は材料は用意してもらえるのか?」
「材料についてはギルド割引で安く買って、材料費以上の金額で納めることになります」
損はしないが得にもならないので問題ないか、いや材料が安く手に入るなら装備関連が安くなるのと同じか。
「オリハルコンやミスリルといった素材は貢献度が高い者しか買えません」
貢献度が高い=高レベルでMPが潤沢な鍛冶師や隻眼になるからそう旨い話はないか。
薬を使ってMPを回復させながら納品しても、薬代を考えれば割引の意味がない。
俺は薬草採取士で強壮丸などが作れるので一度に貢献度を稼ぐより普段から多めに納品させておくのは有りだろうな。
「聞いた話ですが、つい先日にギルド割引を利用して聖剣を何本も作って恋人に貢いでいたドワーフが、その恋人に騙されて奴隷として売られてしまったそうです」
何か凄く心当たりがある話だな。
「それはアンドリーの鍛冶師ギルドの話か?」
「どこの支部の話かは教えてもらえませんでしたが、装備の横流しへの注意は厳しくなりそうです」
とりあえず女性陣に同意して「
リーベ小島の迷宮
第8階層
午後からは迷宮でレベルを上げることにする。
結局は、レベルと暴力で解決できることが多い世界なのだ。
本当はエルカトルを探索者にしてレベルを上げ始めたい気持ちもあるが、明日の奴隷契約が済んでからの方が色々と安全だな。
シロウ・トラシマ
探索者LV25/狂戦士LV16/戦士LV25/魔法使いLV23/曲芸師LV3
ルウ 巫女LV17
ライラー 曲芸師LV2
アビィ 鍛冶師LV2
全体的なレベルが下がっているが魔法の威力は変わっていないので問題ないだろう。
ミノ LV8
ナイーブオリーブ LV8
スローラビット LV8
リーベ8階層の魔物はミノで、その階層の魔物の出現率は50%くらいに感じる。
アンドリー南では基本最大数しかでないので麻痺するが、最大が4匹なので3匹編成もあり得るのだ。
「ファイアーストーム!」アンコール!
魔物の群れを二重の炎の嵐が焼き焦がす。
「ライラー、ミノを。ルウは兎、アビィは待機」
魔法のクールタイム中に短く指示すると姉妹が駆け出して、アビィは背面を警戒しつつ待機する。
ファイアーストーム!アンコール!
2発目、正確には4発目の魔法が敵を焼くがまだ倒れない。
燃え盛る炎の大きさからアンコールで遅れて出る炎の大きさは半分くらいしかない。
威力も半分すると3発分のダメージを与えたことになるだろう。
ファイアーストーム!
アンコールを使わない3巡目の魔法で敵が全滅した。
4発目が必要な階層を3ターンで倒せるのだから純粋な強化に思えるが消費MPが4回分から5回分と増えている。
消費MPが増えると三日月槍を出して経験値20倍を外す戦いが増えるのでプラスマイナス0な気もする。
戦闘時間が短くなるとMP自然回復での回復量も減るのでむしろマイナスかもしれない。
「と、考えているのだが皆はどう思う?」
「すごい、です!」
「4ターンも3ターンも誤差なのでシロウ様のご自由になさってください」
「普通は魔物を囲んで何十発も殴って倒すのを理解されています?」
原作主人公の基準で話すと、この世界ではこんな回答になると思い出して苦笑してしまった。