異世界迷宮でプライドを   作:ブラック微糖

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055 不器用

 

   リーベ小島の迷宮

   第8階層 待機部屋

 

 シロウ・トラシマ

 探索者LV26/狂戦士LV17/戦士LV26/魔法使いLV24/曲芸師LV10

 

 ルウ   巫女LV18

 ライラー 曲芸師LV8

 アビィ  鍛冶師LV8

 

 夕方まで戦って階層以下だった曲芸師と鍛冶師が順調に育ってきた。

 

 第8階層で全体のレベルを上げるのは大事だが探索者と戦士のレベル上限も上げておきたい。

 

 懸念点としてはアビィの装備が整っていないことだろう。

 そろそろ武器を持たせて前線で戦ってもらいたいが、革防具が一段階弱い。

 

 狂戦士の成長は遅いので火力は伸びないが、体力と精神の減少も緩やかだ。

 アンコールの威力に影響する器用小減少は鍛冶師(アビィ)の器用小上昇で相殺していけるだろう。

 俺とライラーの曲芸師が伸びていけば器用は最終的に気にしなくてもいいだろう。

 

「だとすれば、次に頼むべきスキルカードは挟式かなぁ」

 

「火力を伸ばすよりもMP効率を改善するのも良い選択肢だと思います」

 

 魔法使いビルドだと知力だけを伸ばせば火力があがるが、曲芸師を考慮すると器用も伸ばさないといけない。

 

「ちなみに器用は何のスキルカードだろう?」

 

「器用は「木」のスキルカードです。単体で器用上昇、コボルトと組み合わせて器用2倍です」

 

 持ってる……。

 アイテムボックスの肥やしになっているのに一気に価値が上がってお得感があるな。

 

 原作では木のスキルカードの言及はなかったが、彼は知力とMP以外のステータスをあまり重要視していなかったからなぁ。

 他の二次創作でもスキルがバラバラなのだが、確かに言われてみると最下層で物理と魔法を使いこなす器用な魔物だ。

 狼人族様には当たっていなかったが、攻撃をほぼ命中させていたような気もする。

 

 何よりも、キとキ用で洒落ている可能性が高い。

 

「俺は基本的にコボルト無しの合成はしないと思う」

 

「スキルスロットが分かるのでしたらそうなると思います」

 

 合成すればすぐ火力が上がるが、将来的に作り直すとすれば勿体ないと思ってしまうのは貧乏性かもしれない。

 

   リーベ小島の迷宮

   第8階層 ボス部屋

 

  ハチノス LV8 

 

 アンドリー南で戦ったことがあるがあれは第6階層のボスだったのでHPと攻撃力が上がっている。

 

サンドウォール!アンコール!

 

 突進の構えを取る猛牛の顎下から砂壁が2連で突き上げる。

 

「アビィは突進の射線に絶対に入るな。他はアビィの位置を意識しつつ攻撃してくれ!」

 

 正直、アビィをダンジョンに連れていく必要はないのかもしれないが仲間外れにしたくないだけだ。

 愛馬をダンジョンに連れていった変わり者を笑えないが、失うつもりもない。

 

 猛牛の前に出た砂壁を蹴ってライラーがその背中に飛び乗ると、シミターで滅多切りにする。

 

 ウォーターウォール! アンコール!

 

 二重の水の壁で猛牛の頭と身体を拘束してダメージを与えつつ、動きが鈍ったボスを左右から俺とルウが攻撃を加える。

 

 アビィにはハチノスはHPが減ると無差別に突進してくることを事前に伝えて警戒させている。

 

「来ます!」

 

 ルウの言葉に、俺とライラーが動いた。

 

「行くぞ、ラッシュ!アンコール!

アンコーる、です!」

 

 三連撃が炸裂してボスの巨体が怯んだ。

 その隙に再度ラッシュとアンコールによる二連撃で仕留めた。

 

  皮 

 

「上手くいきましたね」

 

 皮を拾いながらルウが言った。

 

「思ったよりもタイミングが難しいな、ライラーが合わせてくれて助かった」

 

「楽勝、です」

 

 アンコールで攻撃スキルを重ねられないか試してみたが結論から言うと駄目だった。

 

 しかし物理スキルの同時発動によるキャンセルとならずにラッシュが燕返しのような二連撃に変化した。

 

 さらにライラーがアンコールを使ってラッシュを発動し、二撃目に重ねることで疑似的にダブルアタックを実現できた。

 

 魔法と違って物理スキルはクールタイムが短いので瀕死のボスのHPを一気に削りきることに成功した。

 

 単体の敵を素早く倒したいならば物理スキルの方が優秀かもしれない。

 

「アンコールのクールタイムが発動したスキル依存で、魔法を連発できないのが少し残念だな」

 

「普通の魔法やスキルは詠唱が必要なのでクールタイムがあることすら知られていないかと」

 

 早口で詠唱しても魔法が連打できないくらいは知られてそうではあるが。

 

   リーベ

   武器屋

 

 探索者ギルドにドロップ品の売却は混雑するため、逆に空いている閉店間際の武器屋に顔を出す。

 

「いらっしゃいませざます!」

 

 閉店間際の客でも嫌な顔せずに対応してくれる商人の鑑である。

 

「アビィ、この2日間ほどパーティーを観察してもらったが明日からは戦ってもらおうと思うので武器を選んでくれ」

 

 アビィが頷くと武器を選び始める。

 ルウとライラーはこちらが武器を与えてみたが、彼女には別の視点からパーティーに足りないポジションを選んでもらうことにした。

 

 クロスボウを持って後衛で戦いたい、槍を持って中衛を厚くしたい、盾とメイスを持って堅実に戦うなど選択肢と可能性を与えてみたいのだ。

 

「これをお願いします」

 

 アビィが武器を指差した。

 

  鋼鉄のシャベル 〇〇〇 

 

 ん???

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