異世界迷宮でプライドを   作:ブラック微糖

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057 合成

 

   リーベ

  自宅 中庭

 

 中庭は無事だった。

 地面が少し抉れているが喧嘩した訳でもなさそうで、和やかに二人は会話していた。

 

「ボス!」

「おかえりなさいです」

 

 どうやらライラーとシャベルでの戦闘をシミュレートしていたらしい。

 

「無事、鍛冶師ギルドに所属できました。手数料と教本代をお支払いした残りをお返しします」

 

 アビィ 鍛冶師LV8

 

 出発前に金貨1枚渡していたお釣りを返そうとするが止める。

 

「その銀貨で素材を買って貢献度を稼いでおいてほしい。不足したら増額するから相談してほしい」

 

「把握しました」

 

 素材はダンジョンで取れる素材を中心に貢献度に変換していくつもりだが、ギルド割引を全く使わないのは不自然だ。

 

 ブランチなどの追加素材は適正レベル帯を抜けたら買った方が効率が良くなるだろう。

 

「これでアビィが正式な鍛冶師になった。エルカトルも探索者になってもらおう」

 

「はい、試験を頑張りますね!」

 

 意気込むエルカトルだが、誰も探索者ギルドに所属させるとは言ってない。

 

   リーベ小島のダンジョン

       第1階層

 

 エルカトルに革の防具を着せてダンジョンに潜る。

 

「うわー、綺麗ですね」

 

 初めて見る迷宮に感動するが、完全に「お前の方が綺麗だよ」案件過ぎて複雑な気持ちになる。

 

「迷宮の外の魔物を倒して僧侶になったので、入るのは今日が初めてです!」

 

 それはパーティー組んだ時点で、ジョブ一覧に探索者が無かったので何となく察していた。

 

 エルカトル 村人LV5→探索者LV1

 

「エルカトル、探索者になったのでアイテムボックスを詠唱してみて」

 

「アイテムボックス?

 これですね、八百千五百のお宝を 収めし蔵の掛け金の アイテムボックス オープン

 

 まだ探索者のレベル依存で1×1枠、つまり1個しか入らない空間が開いて感動しているのは見ていて新鮮だ。

 

「パーティーを組んでいればレベルが上がって更に物が入るようになるぞ。今後は俺のアイテムボックスの食材の保管等を頼みたい」

 

 兎肉を1個取り出して渡すと、自分のアイテムボックスに収納を試してみるエルカトルが言う。

 

「ボクは迷宮に参加しなくてもいいのでしょうか?」

 

「人数が足りないときは参加してもらう場合もあるがエルカトルには家事を期待している。分業できればその分攻略に専念できる、適材適所だな」

 

「はい、お任せください!」

 

 ショーテルを試してみようと魔物を探してみるが、ルウを連れてきていなかったので探すのに苦労してしまった。

 その分、俺の話してはいけない秘密などを説明する時間が取れたとも言えるが。

 

  ニードルウッド LV1 

 

 ラッシュ! アンコール!

 

 瞬殺。

 

  リーフ 

 

 ここでレアドロップを引くのかぁ。

 ついでなのでエルカトルに拾ってもらって薬草採取士を解放しておいた。

 

 ショーテルの使用感だが、聖剣と同じ魔法倍率だとしてメリットは片手剣なので空いた方の手で盾が持てる。

 デメリットは物理攻撃力がおそらく聖剣の半分程度しかないのでスキル威力が落ちる。

 

 結論:聖剣の方が格好いい。

 

   リーベ

   自 宅

 

 自宅に戻るとエルカトルに装備を外させて、アビィに革防具を着替えさせる。

 

「メモ来てた、です」

 

「中身を読んでくれ」

 

「こぼると うさぎ よういできました むな、です」

 

 むな?……仲買人モナからの伝言か!

 昨日の今日でスキルカードを用意できるとか優秀だな。

 

「ルウとアビィは商人ギルドについてきてくれ。ライラーとエルカトルは昼食の準備を頼む」

 

   リーベ

  商人ギルド商談室

 

 商人ギルドに到着してモナを呼ぶと、すぐに彼女が現れて商談室に通された。

 

「ご足労いただきありがとうございます」

 

「こちらこそ、迅速にスキルカードの準備してもらって助かる」

 

「今回は多めにご予算いただきましたのですぐご用意できましたが、次回以降はもう少し時間がかかるかもしれません」

 

 遠回しに次回からも予算の増額をお願いされたが、それで早く手に入るなら利用してもいい。

 

  スキルカード・コボルト ×3

  スキルカード・兎 ×3

 

「兎とコボルトをそれぞれ3枚ずつ、セットで1万ナールでしたので合わせて3万ナールお願いいたします」

 

 ちなみに仲買人との取引は手数料には3割引きスキルが乗るが、代金部分に関しては割引は発生しない。

 

 金貨を3枚支払うとモナがギルド神殿で鑑定されますか?聞くので断った。

 

「急いで用意してもらったし信用したい」

「ありがとうございます」

 

 少し困った顔のモナが俺の後ろに待機するアビィに視線が行ったので紹介しておく。

 

「俺の奴隷の一人、アビィだ」

「商人のモナです。よろしくお願いいたします」

「アビィです。よろしくお願いいたします」

 

 彼女は生まれつき声が小さいと説明しつつ、モナに本題に切り出す。

 

「強権のショーテルの取引はもう終わったのか?」

 

「いえ未だですが、まさかお持ちなのでしょうか?」

 

「いや今から作ってみようと思う」

 

 断りを入れてアイテムボックスからショーテルを取り出すと、机の上のコボルトと兎のスキルカードを1枚ずつアビィに手渡す。

 

「スキルカード合成を頼む」

 

 アビィが頷くと詠唱を開始する。

 

今ぞ来ませる御心(みこころ)の、言祝(ことほ)(かげ)天地(あめつち)の、モンスターカード融合

 

  強権のショーテル 詠唱妨害/〇〇〇 

 

 眩い光が止むと、アビィの手にはスキルが付与されたショーテルがあった。

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