異世界迷宮でプライドを   作:ブラック微糖

62 / 64
062 尻尾

 

   リーベ

   自 宅

 

「お帰りなさいませ、皆様方」

 

 我が家に帰ると美人のエルフが出迎えてくれる。だが男だ。

 

「ただいま、エルカトル。何か変わったことはあった?」

 

「特にございません。頂いたお金で夕食を用意してあります、直ぐにお召し上がりになりますか?」

 

 ご飯します?お風呂にします?の選択肢がないのは風呂を準備できるのは俺だけだ。

 

「準備ありがとう。折角エルカトルが作ってくれたし温かいうちに食べることにしよう」

 

「すぐ温めますのでお待ちください!」

 

 新妻感あるよな。本当に男なのが勿体ないくらい……。

 

「他の皆は武具を外して整備の準備だけして台所に集合だ」

 

 本当は先に風呂に入って埃を落としたいのだが、手洗いとうがいだけにしておく。

 

 シロウ・トラシマ

 探索者LV28/狂戦士LV18/戦士LV28/魔法使いLV26/曲芸師LV15

 

 ルウ    巫女LV19

 

 ライラー  曲芸師LV11

 

 アビィ   鍛冶師LV11

 

 エルカトル 探索者LV9

 

 女性陣の準備を待ちながら机に座りジョブを確認している。

 鍛冶師は種族固有ジョブで成長が遅いが、隠しジョブの曲芸師も成長は同じくらいか。

 逆に初級ジョブである探索者の伸びがいいのは仕方ないか。

 

「エルカトル、アイテムボックスで食材を預かってほしい」

 

「少々お待ちください。~アイテムボックス オープン

 

 探索者のアイテムボックスはレベル依存なので9×9枠で81個収納できる。

 羊肉は獲得できなかったが枠を取っていた山羊肉や兎肉、コボルトソルトやオリーブオイルなどを移動させる。

 整備用にアビィのアイテムボックスにもオリーブオイルは入っているので、残りは売却でもいいかもしれない。

 確か消去法でアンドリー南の迷宮の10階層はナイーブオリーブの筈だ。

 

 目標の12階まであと少しに迫ってきて、新たなジョブが解放されるLV30も目前である。

 

 女性陣が集まってきて、机の上に美味しそうな料理が並んでいく。

 

「ご主人様は御機嫌のようですが、何か良いことがありましたか?」

 

「分かるのか?」

 

「尻尾が動いておられますので」

 

 え?

 

 ルウやライラーの耳や尻尾が存分にモフったり堪能しているが、自分の尻尾は全く意識していなかった。

 

 椅子に座るときや寝転ぶときも無意識に動いているようで一度も尻に引いたこともないよな。

 

「ご存じなかったのですか?」

 

 アビィの言葉に背筋に冷たい汗が流れる。

 いつからだ? いつから俺の尻尾は野放しにされていた?

 

「猫人族はあまり尻尾を動かさないように子供の際に教育されます」

「はしたない、です」

 

 いやいや、結構君たち姉妹の尻尾も教育不足だからね!

 

「その、虎人族の方は珍しいので尻尾の動きが表現豊かだと感じておりました」

 

 エルカトルの言葉に、机で頭を抱えることになる。

 

 清く?誠実に生きてはいたけど、尻尾で全部バレてたなら超恥ずかしい。

 

「尻尾を動かさないようにするにはどうしたらいいと思う?」

 

 切断するとかは痛そうなので却下するが質問してみる。

 

(おもり)を付けるとか?」

 

「気合、です」

 

「鈴を付けて動かしたら分かるようにしていた子供もいました」

 

 錘は戦闘に支障が出そうだが、鈴は一考の余地あるよな。

 どちらにしても迷宮探索に支障が出るので外すことになるので同じか。

 

 尻尾のことはとりあえず保留にして美味しい夕飯を食べることにした。

 

「尻尾、動いてますよ?」

 

 全自動で動く虎の尻尾を意識させてくれるだけなら鈴は不要なようだ。

 

   リーベ

  自宅 風呂場

 

 今日はエルカトルに風呂の作法を教えるために、風呂は女性陣が先に入ることに決めた。

 

「明日からは2人ずつ順番に入ろう、しばらくはエルカトルは3番目固定になるから掃除も頼むな」

 

「かしこまりました。お任せください」

 

 いずれ本番が解禁されたら全員で入る酒池肉林スタイルよりもこっちの方が都合がいい。

 

「エルカトルが加わったが一番奴隷はルウだ。姉弟(しまい)仲良く頼む」

 

「妹、です」

 

 ライラーが撫でるそのエルフは男だがな。

 

 風呂に入る前に、ルウが近づいてきて人耳に囁いてくる。

 

「一番奴隷ですのでお情けは一番に頂けますようにお願いします」

 

 たしかにエルカトルは男だから避妊の必要は無いけどさぁ!

 小悪魔な表情を浮かべる姉猫にからかわれたが、早く風呂に入るように促しておいた。

 

「三人が風呂に入っている間に、探索者ギルドでアイテムを売ってくるよ」

 

「ぇ、覗きに行かれないのですか?」

 

 純粋に驚かれてシンプルに傷付いた。

 覗いたらルウとアビィに「やはり来たか」みたいな顔されるだろうが。

 そもそも気配が分かるルウに覗きとか通用しないし!

 

「俺は別に見ようと思えば堂々と見れるし……」

 

「それはそれで男らしいですね……」

 

 覗きは別腹というか、情緒を大事にしたいの分かる? あまり分かってほしくないけどさ。

 

 エルカトルに武具のオイル塗りを任せて、探索者ギルドでアイテムを売却して帰ると湯上りの女性陣が出迎えてくれる。

 

「先にお湯をいただきました、ありがとうざいます」

「覗かなくてよかったのですか?」

「うぇるかむ、です」

 

 体調が悪いのか心配な顔されるので、次からは真剣に覗きを検討することにしたのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告