ホロライブJP最強王決定戦   作:七星かいと

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9.インタールード② 前編

「さぁて皆さん、やってまいりましたホロライブJP最強王決定戦二日目、振り返りのお時間です。そして私はReGLOSSはネタ枠、担当! 儒烏風亭らでんでございます! 本日は敗者復活戦の実況を担当しておりました。準決勝進出を賭けた、一回戦で敗北してしまった五人による熾烈な勝ち抜き戦。全三試合をじっくりとリアルタイムで観させていただきましたが、どれも非常に見ごたえのある戦いでございました。それはそう、古のコロッセオで行われていたであろうグラディエーター達の戦いもかくやというべきでしょうか。二人の戦士が鎬を削り合う熱い熱い戦いの軌跡を、これから――」

 

「なっ、がーい! 長いよらでんちゃん! あ、本選二回戦の実況を担当していたときのそらでーす! らでんちゃん、巻いてって指示出ちゃったよ! 最初なのに!」

 

 

こんそめーw

らでんちゃん絶好調の口上だったな

さすがにいつまでも続きそうだったのでそらちゃんのインターセプト入ったw

まぁ、それだけ興奮する気持ちも分かるけども

熱い試合だったもんなー

バッチバチやで

 

 

「打合せ通りの突っ込みをありがとうございます! いやー、そら先輩だとすっごくにっこにこしながら私の話を聞き続けてしまいかねない懸念がありましたので、しっかり事前打ち合わせの元漫才をやらせていただいております、と。それはさておき、今日はいかがでしたかそら先輩。そら先輩は二回戦を私は敗者復活を実況しておりましたが、白熱の二試合を終えて今、改めて今日の感想などをお聞かせいただければと思います」

 

「打合せしたのバチバチにばらしていくんだね……? まぁ、それはそれとして、今日の二試合、どっちも凄かったよ! 壮絶な殴り合いの結果、あわや敗北の所から奇跡の復活をして大逆転したスバルちゃんに、じっくりとした序盤戦を経て、急転直下の終盤戦になだれ込んで勝利をつかんだミオちゃん。惜しくも負けちゃったノエルちゃんにフブキちゃんの活躍もだけど、どの試合もすっごく見ごたえあったよ!」

 

「私も各試合が終わった後の休憩時間で二回戦の模様は楽しませていただきましたが、誰も彼も尋常じゃないバトルセンスの持ち主でしたね。もっとも、ゲームシステムというバフありきの部分はあるわけですけど、でもあの勝負根性とチャンスの掴み方はさすがに先輩方、と言ったところでした」

 

「うんうん。正直私だったらノエルちゃんの投げた鉄球一発でアウトだった気がするよー」

 

「いやー、なんだかんだとそら先輩はこういう感じのゲームだと強キャラになってそうというか、早々に適応してセンスを見せてきそうと言いますか。そら先輩的にはどうです? 自分もやってみたいとかは思いましたか?」

 

「うーん、どうだろう? でもやってみたら楽しそうではあるよね。自分がどこまでやれるかは別としてさ。思いっきり体を動かして、自分じゃ使えない能力を駆使して闘えるんでしょ? それこそ漫画みたいに! 勝敗はともかく、一回やってみたくはあるよね」

 

 

ネタありだったんかw

積極的にばらしていくスタイルぅ!

珍しく今日は破天荒なところ見せてくじゃん

これでもネタ枠担当だから……

二回戦の二試合、どっちも毛色が違う凄さがあった

ノエスバの殴り合いからの、奇跡の逆転ファイターは凄かった

リアル火事場のクソ力だったよな、今更思い返すと

スバルの使う風真流がいちいちキン肉マンじみてるからマジで奇跡の逆転ファイター

今回も決め技ベル赤だったしなぁ

ベル赤というか、アガートラムというか

そらちゃんとらでんちゃんのバトルも観てみたい

というか、このゲーム遊んでみたい

一般発売はまだですか!

 

 

「なるほど、一般発売。しかしどうなんでしょうね、この仕組み。私は到底一般流通に乗せれるようにできる気はしないんですけれども」

 

「こよちゃんの作った専用システム使ってのゲームだから、さすがに一般発売はないんじゃないかなぁ。というより、あのステージへ入るためのダイブシステムが結構大がかりだもんね」

 

「そうですね。皆さんのイメージしやすいように言いますと、卵型のベッドを思い浮かべてもらえるとわかりやすいんじゃないでしょうか。おおよそシングルサイズのベッドに寝転んで、専用の各種装置を付けたうえで、卵型にふたが閉じていくことでダイブシステムは運用されています」

 

「一回入らせてもらったけど、システムが起動して気づいたらゲームの世界にいるんだよね。あれ、本当どうやってるんだろう……?」

 

「ダメージなんかも実際の肉体には全くフィードバックされていませんし、ただ精神的な疲労は結構あるみたいですけれども。番長に話を聞いてみましたけど、一試合するだけでライブを一時間ぶっ通しで踊り続けたくらいの疲労があるって言ってましたよ」

 

「そ、それは大変だ……!」

 

「さて、そら先輩に感想を貰ってばかりだと不公平なので、私も敗者復活の感想を述べさせていただければと思います。まずは敗者復活第一試合、ルーナ先輩とリオナのバトル。推される側と推す側のバトルは推す側が押せ押せで攻め立てて勝利を掴んだわけですけど、一つ言ってもよろしいでしょうか」

 

「なぁに?」

 

「あの技名は何なんだリオナー! 危なかった! 非常に危なかったんだからなぁー!」

 

 

なんていうか、少年探偵団の劇場版で見たことあるな、そんなの

あれは座るタイプだけどこっちは寝るタイプか

酸素カプセルみたいなイメージでいいんかな

合ってるんじゃね?

こんこよ驚異の科学力である。マジでフルダイブ型の仮想ゲーム作ってんじゃん

この仕組み、割としっかり構成できれば、真面目にVRMMORPGが実現する……?

マジかよ、頑張れこんこよ

楽しみすぎる

そして二回戦の感想だけど、なんからでんちゃんが言いたいことがあるらしい

らでんちゃん魂の絶叫である

 

 

「あっはっはっは! あれは面白かったよねー。アーカイブで見た時、一緒にいたルイちゃんと二人で大爆笑しちゃったよ」

 

「リアルタイムで実況してた私とトワ先輩は冷や汗だっらだらでしたよ! 本当に! お酒が欲しくなりました、切実に。やけ酒って奴です。まぁ、それはさておき、敗者復活第二試合はみこ先輩と我らが番長の闘いだったわけですが、こちらも大白熱でございましたね」

 

「やっと"マシーナリー"の真価を見せれると意気込んだみこちに、"サンダー"と"ダンス"を使った身体強化での肉弾戦で番長が競り勝つっていう凄い試合だったね」

 

「それにしても、なんと申し上げればいいのか、非常にみこ先輩らしい試合でもありました。"マシーナリー"で近代兵器を操っての猛攻に逃げ惑う番長を見て我が世の春、有頂天といったみこ先輩がやらかした大失敗。自ら兵器を使うための主電源を爆破した挙句、その後もいい感じに番長を追い詰めようかというところで自爆ボタンをポチー、という感じで」

 

「流石ホロライブのPON担当……」

 

「最後は番長の雷を纏った三日月蹴り、"紫電一閃"にてみこ先輩をぶっとばして終了、という感じでございました」

 

 

敗者復活は第一試合も第二試合も笑いどころいっぱいだった

さくらみこ:みこは笑えないにぇ

大空スバル:アーカイブ見たけどだいぶ面白かったぞ、みこち

さくらみこ:でゃまれ!

文字ででゃまれ打ってて草

ブランディング大事にしてるにぇ

キャラ大事にしててえらい

さくらみこ:やめろぉ!

 

 

「第三試合も凄かったねー。最初から怒涛の展開だったよ」

 

「番長の大技、リオナの分身、ぼたん先輩のヘッドショット二発から始まった闘いは、最初の激突から少しの間はリオナと分身がぼたん先輩と番長相手に攻めかかりリオナが押し押しで攻めかかっていましたが、ぼたん先輩も番長もあの猛攻を捌ききるという動きを見せておりました」

 

「リオナ、凄く近接戦闘上手になったよね。銃を持ったぼたんちゃん相手に互角の戦いしてたし、バフでバチバチのはじめちゃんも抑え込んでたし」

 

「そうですね。しかし最初に分身二人を落とされたのがここで響いたのか、一対一で臨んでいた番長の"雷光一閃"にてリオナの分身を倒されてしまいました。そしてドサクサに紛れてそのままぼたん先輩たちへの遠距離牽制を放つ番長。そこからがもう怒涛の展開パートツー、といった展開でしたね」

 

「リオナがテコンドーの技でぼたんちゃんを吹っ飛ばし、さらに分身を作って畳みかけようってところではじめちゃんの大技炸裂! って感じが凄かったよ!」

 

「昨日の夜、こより先輩に何か聞きに行ってると思ったら今日のこれでしたからね……。"サンダー"により生み出した磁力で砂鉄を操作し、ぼたん先輩とリオナを拘束して"神雷・閃華"による必殺の一撃にて勝利を持っていきました」

 

 

リオーナもマジ強かったよなぁ

銃持ったぼたんちゃんと二対一とはいえ互角の戦いしてたもんな

準備期間の雑談で特に格闘技したことなかったって言ってたから凄い

システムの補助があるとはいえ、センスの塊だった

それを言うなら番長もやべぇよな

敗者復活のヒーロー枠だった

バトルスタイルからもう仮面〇イダーだよな

轟はじめ:このままヒーロースタイルを追い求めていく!

つまり明日すばうVS番長になったらキン肉〇ンVS仮〇ライダーになるのか……

大空スバル:誰がキ〇肉マンだ!

番長の決め技、スパロボ感もあったなぁ

どっちみちヒーロー枠

 

 

「というわけで、振り返りはいったん終わりー! この後はー! 皆さんお待ちかねの、切り抜きターイム!」

 

「今回はこちらで選出したものではなく、各試合終了から17時くらいまでリスナーの方々に募集していた観たい切り抜きシーンの中から、特に応募が多かった場面を各試合一つずつ抽出して作成しております。こより先輩が隙間時間を縫って編集した珠玉の切り抜き達でございます。……本当、こより先輩、いつ休んでるんです?」

 

「あいこよちゃんに宿った並行世界のこよが協力してくれてるとはいえ、本当凄いよねぇ」

 

「あの並行世界のこより先輩っていう概念、私、未だに飲み込めてないんですけど、なんで先輩方あんなにすんなり受け入れてるんですか……。並行世界ですよ並行世界。並行って意味わかりますか? 並び合い交わらないって事なんですよ? 観測するならばまだしも、なんで並行世界の住人を自分とは言え自分の世界に呼び込んで活動させれてるんですか!?」

 

「不思議だよねー」

 

「先輩方がおおらかすぎる!」

 

 

らんでんちゃんの真面目なところが出てる

まぁ、言うて俺らも流してるけどこんこよ大概おかしいからな……

こよちゃんはジャンルこよちゃんって思って例外に置かないと大変だぞらでんちゃん

さくらみこ:別にみこたちもわかってるわけじゃないけど、でもほら、こよだし

大空スバル:こよりの発明品に突っ込んでたらキリないぞ、らでん

大神ミオ:スバルが突っ込み放棄するレベル

響咲リオナ:ホロライブのドラ〇もん枠だと思ってます

白上フブキ:HOLOXはそういうもんだと思わないと大変だぞ、らでん

姫森ルーナ:考え出すと本当にきりがねーのら。感じるのら

怒涛の突っ込みで草

 

 

「ほらほら、切り抜き行くよー。まずは二回戦第一試合から! これは断トツで応募が多かった、スバルちゃん復活から決着までのシーン!」

 

「先輩方の怒涛の突っ込みに私も流石に冷静になりました。なってないけど。では切り抜きに参りましょう。二回戦第一試合、大空スバル先輩対白銀ノエル先輩の試合から、絶体絶命のピンチに覚醒して奇跡の逆転勝利を決めるスバル先輩のシーンです。では、どうぞ!」

 

 

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【配信アーカイブ:『ホロライブJP最強王決定戦 二回戦第一試合』より大空スバルの視点切り抜きを再生します】

【これは大空スバルの専用カメラより抽出して作成したハイライトです】

【本来FPS視点ですが、酔い防止の観点から状況を抽出・再構成したTPS視点でお楽しみください】

【それでは、配信アーカイブ:『ホロライブJP最強王決定戦 二回戦第一試合』より大空スバルの視点切り抜きをお楽しみください】

 

 

「しまっ……!」

 

 

 大空スバルの身体を覆っていた光が、消えた。

 MP切れだ。

 大空スバルの回避を支えていた"ダンサー"の能力発動を示す銀光が消えたことでそれを察知した白銀ノエルは、力いっぱい拳を握りしめた。

 

「チャンス、どーん!」

 

 鋭く一歩踏み込み、ノエルの拳が振りぬかれる。

 衝撃。

 腹部に走る衝撃に数舜遅れて体内から響く打撃音を聞きながら、スバルは自分の意思ならざる空中飛行を体験した。

 

 ……交通事故にあった時ってこんな感じなんかな。

 

 一瞬そんな益体もない事を考え、すぐに背中に感じる衝撃に志向が吹っ飛ぶ。

 一度、二度、三度、四度、五度。

 先ほどまでスバルが居た船の隣とさらにその隣にあった船の船室をぶち抜き、三つ隣にあった船室の外壁をぶち抜いたところで、停止。

 船室内に配置されていた家具を巻き込みながら倒れたスバルの頭上にあるHPバーは、残り数ミリの所まで減っていた。

 

 ……やべぇ、ダメだ、動けねぇ。

 

 それほどまでに、ノエルの一撃は重かった。

 これまで押せ押せで攻撃を仕掛けていたスバルを、気力毎根こそぎ砕いた拳。

 ホロライブに置いて、数少ない明確な戦闘職である騎士団の、団長。

 その肩書が伊達でないことを、スバルは今、己の身をもって味わっていた。

 

「ち、っくしょぉ……。まだ、まだだ……。負けて、られっか……」

 

 声を出し、体を起こそうとする。

 が、ダメ。

 力が入らない。

 

「負けられねぇ、だろ……。一回戦で、スバルみこちに勝ったんだ、から……。まだ負けてないなら、負けてられっか……っ!」

 

 力が入らない。

 立ち上がろうとするのに、腕が動かない。

 声だけで立ち向かおうとするも、それはただの空元気でしかない。

 だが。

 大空スバルが選んだ能力は、ここからが強い。

 

(がんばれー!)

(スバルちゃんまだまだいけるよー!)

(団長来てるぞ! 立てスバル!)

(まだやれる! あきらめるなー!)

 

「っ、なんだこれ、スバルの事を応援する声が、声援が聞こえてくる……。力が、みなぎって、来る……!」

 

 光る。

 "ダンサー"とは違う、黄金の光がスバルの身体から沸き上がる。

 それは敗北を示すHP全損の光ではない。

 外部からの応援を力と変える、"アイドル"の能力発動を示す温かい輝きだ。

 

「そう、だよな……! 負けらね、ねぇよな……!」

 

(立て! 頑張れスバルちゃん!)

(スバルならやれる! 行けるぞ!)

(うぉおーーー! スバル頑張れー!)

(いっけぇー! スバちゃん!)

 

「応援、してもらったなら……応えないと、だもんな!」

 

 輝きが増す。

 スバルの頭上に浮かぶHPとMPのメーターが急激に回復を始めた。

 バフだ。

 応援の心が、気持ちが、意思が。

 "アイドル"の能力を通じ、大空スバルの全てを底上げする。

 

「行くかっ! スバ友、行くぞ! うぉおおおおお!!!!!!」

 

「スバちゃん!?」

 

「ノォエェルぅぅぅぅぅぅぅうううううう!!!!!!!」

 

 輝きがスバルの身体を超え、船室すらも輝かせる。

 その光に慌てたノエルが走り出そうとしたところで、立ちあがったスバルが勢いよく駆けだした。

 

「喰らえぇぇえええええ!!!!」

 

「んぐっっっっ!?」

 

 打撃だ。

 疾走の勢いを乗せた拳をノエルに向かって放ち、ガードの為に掲げられた円盾をぶち抜いて、そのまま胸をぶん殴って吹っ飛ばす。

 真っすぐ飛んでいくノエルの姿に先ほどの自分を想起しつつ、"ダンス"の銀光を残光としながら空中を走る。

 

「ああああああっっっっ!」

 

「んぎぃいいいい!!!!!」

 

 殴る、殴る、殴る。

 足を止め、至近距離でノエルを殴る。

 いつの間にか装備しなおしてた円盾によるガードを殴り壊し、振り下ろされるメイスを腕でパリィして弾き飛ばす。

 腕と腰の回転を速めて嵐のように殴り、ノエルの攻撃を紙一重で躱してカウンターをぶち込む。

 

 ……行ける!

 

 思い、拳を握る。

 メイスの大振りではスバルを捕らえられないと見たか、やや大ぶりの振り払いをスバルが避けたのに合わせ、ノエルの手からメイスが手放される。

 そこにあるのは、無防備に腕が開かれた体だ。

 

 ……行く!

 

 行った。

 メイスを捨てたノエルの拳が振り戻されて打撃してくるのをかいくぐり、カウンターでノエルの胸を殴る。

 破壊音。

 

 ……行った!

 

 ノエルの胸当てを破壊した事で、暴力的な揺れ方をする膨らみが解放される。

 その揺れのせいか、胸元から何かが飛び出て――割れた。

 

「やべ、ぺこらっちょのダイスが!」

 

「何だか知らないけど身体が軽いぜ!」

 

 輝きが増す。

 ノエルの"ラッキー"がファンブルに終わり、スバルの能力が強化されたのを示す光だ。

 

(やれ! スバル!)

(団長倒せるぞ!)

(おっぱいぷるんぷるん!)

(スバちゃんにない揺れが凄かった!)

(もっかい殴ろう!)

(勝てるよ!)

 

 ……なんか違うの混ざってたな!?

 

 声が聞こえる。

 応援と、それ以外の欲望も詰まっていたが、何はともあれスバ友たちからの声だ。

 光る。

 輝く。

 ノエルの動きが見える。

 何をしようとしているのか。

 何がしたいのか。

 それが手に取るようにわかるのを感じながら、次なる攻撃の為踏み込み――はじき返された。

 

「がふっ!?」

 

 浮遊感。

 腹をぶん殴ってきたノエルの拳を避けられないととっさに後ろに飛んだものの、ダメージはでかい。

 

 ……まだ行ける!

 

 甲板の上で踏ん張り、ノエルに反撃をすべく顔を上げる。

 巨大な機械でできた腕がノエルについていた。

 

「……は?」

 

 ノエルのHPは全損寸前。さっきまではギリギリ三割程度残っていたのが、もうゼロに近い。

 すなわち目の前にある非常識な絵面は、ノエルが能力を用いて作り出したものだ。

 

「こよちゃん特製、"マッスルガントレット"! 行くよスバちゃん、勝負だぁあああああ!!!!!」

 

「こよりぃぃぃいいい!!!!! なんつーもん作ってるんだお前ぇええええええ!!!!!!」

 

 叫ぶ。

 しかしここで勝負は投げない。投げるわけがない。

 足に力を入れ、"ダンサー"のバフを意識しながら走る。

 狙うは、カウンター。

 あのバカでか拳を掻い潜り、懐に入って一撃だ。

 

「"風真流"――――」

 

 言葉に意思を乗せる。

 大事なのはタイミング。そして姿勢だ。

 真っすぐに振りぬいてきた巨大なノエルの左拳を前に、こちらの右足を大きく踏み込ませ、身体を低く沈める。さらに上半身を拳から逃がすように斜めに倒しつつ、左側に捻転。

 真っすぐ伸ばした右手の平を左手で握り、後ろ側に引く事でさらに上半身をねじり――拳を躱す。

 紙一重の距離を拳が抜ける。

 風圧。

 それが当たってれば敗北していたのを物語る風を顔に受け、髪を靡かせながらスバルが睨むのは、ノエルの腹だ。

 鍛えられ、薄い脂肪の下にギチギチに詰まった腹筋を見据えながら、捻った体を元に戻す勢いで、腕を振る。

 それは、居合だ。

 その動作そのものをダンスと見立て、"ダンサー"による銀光がスバルの手を輝かせる。

 手刀の形に固めた右手が、銀の軌跡を残して横一文字に振りぬかれる。

 すなわち。

 

「――――"振袖草"!!!!」

 

「っっっっっっっ!!!!!!」

 

 ノエルの身体が腹の位置で上半身と下半身に真っ二つとなり――光となって消えていった。

 

「……勝った!」

 

 倒れる。

 精魂尽き果て、甲板の上で大の字に倒れた後、まっすぐに腕を天に向かって突き出した。

 

「勝ったぞ、みんな!!!!!」

 

 

【配信アーカイブ:『ホロライブJP最強王決定戦 二回戦第一試合』より大空スバルの視点切り抜きを再生しました】

【ご視聴いただきありがとうございました。またのご利用をお待ちしております】

-------------------

 

 

昨日の振り返りと感じが変わってる……

昨日は俯瞰してんだったのに、今日は完全にスバちゃん視点じゃん

内心の声とか、どう拾ってんだ

わからん……

俺らの応援、あんな風に聞こえてたんだなー

復活したスバちゃんを見た時の、団長の顔も良かった

驚きと喜びと残念さが絶妙にブレンドされてたな

驚き二割、喜び六割、残念さ二割という流石名誉アヒージョ

白銀ノエル:推しのかっけぇシーンなんてどんだけ見てもいいもんだ

響咲リオナ:わかる

そして奇跡の復活から、怒涛の攻めでノエちゃん撃破まで

おっぺぇからこぼれ出るダイスが壊れてスバルちゃん超強化

からの、化け物ガントレット召喚

からの、手刀一閃!

団/長になってしまわれた……

 

 

「相変わらず、やってることがキン肉〇ンなんですよね、スバル先輩」

 

「なんだっけ、なんかすごい力で不利を覆して勝つんだよね」

 

「最近アニメで新しい作品も放映されてましたので、そら先輩も是非。漫画も頭空っぽにして読めるいい作品ですよ」

 

「スバルちゃんもあんまりにも今回の大会で言われるから気になってるって言ってたなぁ」

 

 

奇跡の逆転ファイターだから……

下ネタもいっぱいあるけど小学生みたいなのが多いからなぁ

ねねちは大好きそう

ゆでたま理論は面白い

この大会もだいぶゆでたま理論だけど

大体気合と根性と各々の判断で技作られてるからな

 

 

「さて、では次の切り抜き。二回戦第一試合と同じタイミングで行われていた敗者復活戦の第一試合、ルーナ先輩とリオナの試合から選ばれた切り抜きです。視点はリオナ側で、シチュエーションは四人のリオナ対大量のルーナイトさんたちです。一番多かったリオナ分身のシーンは流石にコンプライアンス的にNGが出ましたので悪しからず」

 

「まぁ、うん……そうだよね」

 

「ちなみに、今日の敗者復活第三試合後、こより先輩に呼び出しを受けて、そこでちょーっとばかりお説教を受けたみたいです。基本的に、色々なものに引っかからないようにオリジナルで技名つけた必殺技を用意する場合は事前にこより先輩に相談のうえでそういう技を実装するわけですが、今回は完全にノリと勢いでやりましたからね、リオナ。余談ですが、番長の技もあれ、アドリブで名前を付ける奴とちゃんと事前にモーションとして入れ込んでるやつがあります。敗者復活第三試合のラストで放ったのはアドリブです」

 

「はじめちゃん、技名のセンスいいよね」

 

「これも余談ですが、リリカと奏に厨二センスー、ってめっちゃくちゃ煽られて喧嘩していました。仲が良くてよろしい事でございます」

 

「喧嘩するほど仲がいいって言うもんね」

 

「そういう事です。では、改めてリオナ視点、四人のリオナVS百人のルーナイトをお届けいたします」

 

「一大アクション巨編な映像だから楽しんでいってね!」

 

 




というわけで、また日付をまたいでしまいました、申し訳ない。
大会二日目を振り返るインタールド、その前編でございました。

後は残り四試合分の振り返りとして三人称での小説パート執筆と、三日目に行われる準決勝の組み合わせ、および試合会場決めの話が残ってます。

頑張って来週の土曜日に間に合うよう書きます……。

それでは今回もお読みいただきありがとうございました。良ければ感想など書いていただけると嬉しいです。
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