IS~大空を翔ける時代遅れの大馬鹿野郎~   作:ピーナ

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……バレバレですね~。
いや、ある意味二択なんですけどね。でも……分かるでしょ?


第十一話 聖剣の名を持つIS

今日もISに関しての基本知識の授業が行われていく。前で教鞭をとっているのは山田先生。カナ曰く山田先生はあがり症らしい。今も時々詰まりながら授業を進めていく。

 

「という訳で、ISは宇宙での作業を想定しているので操縦者を護るために全身を特殊なエネルギーバリアーで包んでいます。また、生体機能を補助する役割もあり、ISは常に操縦者の肉体を安定した状態に保ってくれます」

 

個人的に、これがISの一番凄い所だと思う。操縦者の生体機能の補助。基本的に戦闘機は性能と共に操縦者の負担が増す。ましてや、人類がほとんど未踏である宇宙の活動を目的としたISなんだから、操縦者への負担も大きいだろう。操縦者の事を考えたこの機能を俺は素晴らしいと思う。それにこの機能は色々使い道がありそうだし。兵器なんかじゃない、もっと平和な使い道が。

 

「先生、それって大丈夫なんですか? なんか、体の中をいじられているみたいで、怖いんですけれど……」

 

まあ、『生体機能の補助』なんて書かれたら、確かに怖い印象は受けるか。でも、体の状態を数値化するのって結構普通の事だと思う。体温計や血圧計だってそうなんだから。

それで、それを正常に戻すのもまあ、薬とか色々あるし。

ISが凄いのはそれら全てをISがやってしまうって所。

 

「そんなに難しく考える必要はありませんよ。そうですね、皆さんはブラジャーをしていま……」

 

……なんか、俺が聞いてはまずい気がするから、聞き流す方向で行こう。

 

「え、えっと、いや、その、お、織斑君達はしてないですよね。わ、わからないですよね、この例え。あ、あはは……」

 

まあ、仕方ないよな。去年までは女性しかいなかったわけだし、例えが女性関連になるのは。

しかし、こんな感じの俺達がちょっと聞くと問題がありそうなことがこれからもありそうだな。

その辺を聞き流しても大丈夫なくらいは勉強しておかないとな。一般科目の勉強があんまり要らないから、そっちの方に勉強の時間を割けるし。

 

 

 

次の時間の初め、織斑先生が一夏に、

 

「お前のISだが準備が掛かる。予備機が無いので、学園が用意するとの事だ」

「へ?」

 

ああ、この反応理解できてないな。

 

「せ、専用機⁉ 一年の、この時期に⁉」

「つまりそれって政府からの支援も出てるって事で……」

「いいなぁ、私も早く専用機欲しいなぁ」

 

他のクラスメイトは理解しているようで、口々に感想を言う。

 

「はあ……、大村、説明してやれ」

「俺っすか? 了解っす。いいか一夏、ISはISの根本の部分になるコアが居るんだが、それを作れるのは開発者の篠ノ之束博士だけで、その博士がこれ以上の開発を拒否しているから467という絶対数が有って、それを国、企業、研究機関にそれぞれ割り振られてるって訳だ。今回は男性操縦者のデータ収集の名目で専用機を用意されたんだろうよ」

「大村の解説通りだ。理解できたか?」

「なんとなく……。なら、イサムには機体は無いのか?」

「大村はすでに持っている。こいつの後ろ盾の企業が用意した」

「企業?」

「ああ。IS関連の業績世界一位の大企業、新星インダストリー。その創業者一族の人間だからな。所謂御曹司って奴だ」

 

織斑先生の言葉に一瞬静かになった教室。でも、静かになったのはほんの一瞬で、

 

「「「「「えええええ~!!!!!」」」」」

 

クラスが驚きの声に包まれた。うるせえ……。

 

「織斑先生、それは少し違うっす。俺は確かに創業者一族ですけど、後を継ぐ位置にはいないですし、会社でも一社員です」

「ほう、その一社員のために委員会と交渉して専用のアリーナを作らせるか?」

「ウチの技術者(変態)共が、次から次へと武器を作るからそれをテストしないといけないんすよ。ただでさえ、俺の専用機のせいでウチの持ってたコアが一個潰されてるんですから、データだけでは元を取れないんすよ。多分、祖父さんや伯父さん、対外的には会長や社長の方が良いか。その辺りは、俺がここに居る間に元以上を取る気でいると思いますよ?」

 

つーか、あれの本生産が始まれば、こんなの本格的にはした金になるだろう。それに、多分あのアリーナは何年かの寄付金を纏めてって所もあるだろう。

 

「いーさー、名前はなんていうの?」

「機体名か? エクスカリバーだ」

「「「「「なんで、カタカナ名⁉」」」」」

「あー……機体名を決める時にアーサー王物語が置いてあったから」

「適当だね~」

「ウチはその辺適当だそ。『五月雨』に代表される、ウチの雨の名前の付く銃器は雨宮さんが設計したから雨を付けてるし」

 

五月雨なんか、五月に設計したから雨宮さんが「今まで『雨』つけとるし、そやなあ……五月雨でええやん」って言って決まったらしいからな。皆、名前で時間を使うより別の事した方が良いって考える人達だし。

しかし、『エクスカリバー』の初陣がイギリス相手とは皮肉が利きまくってるな。

エクスカリバーの出典であるアーサー王物語、ひいては主役であるアーサー王は今イギリスのあるブリテン島の土着民族ブリトン人の王だ。そして、アーサー王が戦うのはアングロサクソン人、つまり今のイギリス人、イングランド人の祖先に当たる民族で、アーサー王はその侵攻を撃退している。という様な内容らしい。俺は読んでいないから聞きかじっただけだが。

実はエクスカリバーの名前に決まったのはもっとしっかりした理由がある。

エクスカリバーはアーサー王の武器であり、アーサー王が武器を取る理由はアングロサクソン人の侵攻からの抵抗だと俺は思っている。エクスカリバーはいわば抵抗の象徴だ。

俺がISに乗れるのはこの理不尽なまでの女尊男卑の世界への抵抗っていうのがふさわしいんじゃないか? なら、男である俺の専用機は世界への抵抗の象徴になりうるんじゃないか? まあ、聖剣の名を持ち出すには余りにも世俗にまみれた理由だが相応しい名前だと俺は思っている。

 

 

 

 

その後、昨日今日と何かと一夏と一緒に行動していた篠ノ之さんが篠ノ之博士の妹と分かり、クラスが驚いたり、かと思いきや、その篠ノ之さんが拒絶を見せて、その騒ぎが沈黙したりと色々あった。

ただ、専用機の事であの金髪が絡んでくる気がしたから、俺は授業が終わると共に教室を後にした。俺の直感は結構役に立つからな。

それに、授業終わりすぐなら、教室の周りに他のクラスの生徒がいないから移動もしやすいし。

 

「イサム、早いね」

 

食堂に向かう途中に偶然カナに会った。まあ、立地上一年の教室が三階で二年の教室が二階にあるから、必然といえば必然なのだが。そのまま二人で食堂に向かう。

 

「何か、面倒事が起こりそうだったから、さっさと教室出て来たんだよ」

「なにかあったの?」

「織斑先生が、一夏に専用機が渡されることを言ったんだよ。その時に俺にも専用機がある事がバレたから、なんらか言ってくると思うんだよ。絡まれんのは面倒だし、逃げた」

「織斑君の専用機……ね」

 

少し含んだものの言い方をするカナ。

やはり、カナは努力の末に専用機を得たからこそ、苦労も無く専用機を手に入れた俺達には複雑な感じなのだろうか?

 

「……やっぱ、データの為とはいえ、簡単に専用機を渡されるのは複雑か?」

「えっ? ……まあ、少しはそう思うけど、私が考えてるのは別の事よ」

「別の事?」

「ご飯を食べながら話すわ。……イサムには聞いてもらいたい話だし」

 

俺の予想とは違ったが、予想より重い話になりそうだ。

 

 

 

「イサムには初めて会った時に言ったよね、私には妹が居るって」

 

俺達は食堂に着いて、お昼を買ってから、席に着いた。ちなみに、カナは洋食ランチセット、俺は日替わり昼定食。食堂の人に聞いたら「朝の日替わりは『日替わり定食』昼のは『日替わり昼定食』夜のは『日替わり夕食』になって全部違う」との事だ。……色々楽しめるし、これで良いんじゃないか?

話を戻そう。

 

「ああ、覚えてる。確か一個下だから、俺と同級生になるのか?」

「そうよ。その子、簪ちゃんも私と同じ日本代表候補生で専用機持ちなんだけど、専用機を持ってないのよ」

「何か、矛盾が生じてるぞ」

「正確に言うと、専用機が開発途中で放棄された未完成機なんだよ。なんでか分かる?」

「色々理由は考えられるが……」

 

開発元の不祥事、予算切れ、開発の難航……多分、考えればいくらでも出てくると思う。

 

「答えは、政府と研究所が織斑君のISの開発を最優先にして、簪ちゃんのISを打ち切ったから」

「なるほどな」

 

そりゃ、カナにとっては思う所もあるわ。大事な妹の専用機開発が打ち切られて、その代わりの機体が大した努力もせずに手に入る奴がいるんだから。

つーか、政府ももうちょい余裕のあるところに依頼しろよ。研究所も二つやれないなら、後から来た方を断れよ。

 

「で、その妹さんのISはどうなったんだ? そのまま、放置って訳にはいかんだろ?」

「うん。だから今、簪ちゃんは独力で制作中なの」

「……へっ? 一人で作ってるってのか?」

「ほとんど手付かずだったのを一からね」

 

それは、無茶を通り越して無謀ってものだ。ISを含め、何かを作るのに一人で出来る事はたかが知れている。たしかに時間と労力を惜しまなければ、いつかは完成するだろう。しかし、妹さんは開発者じゃない。操縦者だ。力を注ぐベクトルを間違ってると思う。

 

「しかも、なまじある程度やれちゃうだけの能力を持っているのよね」

「どういう事だ?」

「代表候補生の機体を整備してくれる人たちに聞きにいったり、虚ちゃんの教科書を借りたりして自主的に勉強してたのよ。元々、プログラミングは得意だし。多分、現時点の技術的な能力だけで言ったら一年だとトップレベル、同等の力がありそうなのはアイシャ位でしょ。全学年含めてもこの学園でも10本の指に入るでしょうね」

 

それで、操縦技量が代表候補生クラスとか、無茶苦茶凄いじゃねえか。

 

「でも、何でそこまで何でもやりたがるんだ?」

「それは私が原因なのよ」

「どういう事だ?」

「朝に言ったでしょ、私の専用機の事。あれをごり押ししてるのは他ならぬ日本政府なのよ。元々『よく出来る姉』って事で簪ちゃんはコンプレックスに感じていたのよ。ウチの家族は私は私、簪ちゃんは簪ちゃんで見ていたけど、何も知らない人はやっぱり、比べて見ちゃうのよ」

 

それはある程度は仕方ないよな。どうしても身近な兄弟姉妹を比較対象にするのは。

 

「って事は、カナが一人で専用機が作ったのなら自分も、って訳か」

「そういう事よ。……私としては、作りかけの機体を二か月ちょっとで動かせる所まで持っていっただけで十分凄いと思うわよ」

「確かに。俺の機体も最高峰の設備と弟を始めとしたチームに、空いていた人間をかき集めた人海戦術+ほぼ不眠不休の作業だったけど、それでも動かすまでに二週間以上はかかったしな。限られた時間の事と一人でやってる事を考えると破格だな」

「なんとかしたいんだけど、簪ちゃん、頑固な所あるから。仲は良い方だと思うんだけど、この問題が出てからはあんまり話してなくて……。私からも話しかけ辛いし」

「思ったら一直線って所はお前に似てるんだな。俺としても妹さんの体が心配だし、なによりカナの辛そうな顔は見たくないからな。なんとか協力したいんだけど……。妹さんの事何も知らないからなあ」

 

知ってたら、何か方法を考えるんだけどな。

 

「かんちゃんは、特撮とかロボットとか男の子が好きそうなヒーローものが好きだよ~」

 

いつの間にか来ていた本音(+アイシャとマリア)がそう話しかけてきた。

 

「女の子としては結構変わった好みだな。いや、いまなら、イケメン俳優とかかっこいいキャラとかも居るか」

「そっちの方には興味無くて、純粋にロボットとかヒーローが好きなだけだよ。変形とか合体とか」

「変形と合体か……。本音、やっぱり君もカナの妹さんの事が心配か?」

「うん……。かんちゃんは努力家で、なっちゃんに負けない位凄いんだけど、自分ではそれに気付けてなくて、まっすぐで不器用だから、頑張るしか知らなくて、今回はいつも以上に無茶をしてるから心配で、でも私じゃ力不足でどうしようもなくて……」

 

ここまで考えてくれる人がそばに居る。妹さんは本当に良い環境に居ると思う。

 

「1つだけ、何とかできるかもしれない方法を考えた。本音、協力してくれるかい?」

「うん! それで、私は何をすればいいのかな?」

「来週の俺の試合に連れて来てくれればいい。それで、俺の機体に興味を持つはずだ。ネタは……今日の放課後のカナとの訓練を見に来てくれたら分かると思う。ここまでが第一段階だ」

「それで、アリーナはどこ使う?」

「今日、何処が開いてるんだ?」

 

俺がカナにそう聞くと何故か溜め息を吐いたアイシャ。

 

「イサム、会長や社長がここに会社の施設作ってるでしょうが。そこを使えば良いのよ」

「……完全に抜けてたぜ。そうだな、特設アリーナを使うか。今回は俺とアイシャがシステムを開けるとして、カナ達もセキリュティに登録もしておくか。祖父さんたちも好きに使っていいって言ってたし」

 

祖父さんは俺や従兄弟達孫を大切には思っているが、忙しい身だし、それを中々行動では示せない。親父や伯父さん達もそうだ。そんな不器用だから、自分達が子供達に出来る事は出来うる限り最高の環境を与える事だと思っている。道を作り、整備するのが親父たちの考える親の大人の仕事なのだろう。だから今はまだ甘えておこう。

 

「……いいの?」

「いいの。あの施設の全権は俺とアイシャが持ってるんだから、どっちかがOKすれば良いんだよ」

「何かするにしても人手も足りないからねー。協力してもらったらちゃんと相応の報酬も出してもらえるし、悪くないでしょ?」

 

という訳で、ここまでにIS学園で知り合って話したメンバー(カナ、本音、虚、薫子、フォルテ)の登録をする事になった。マリアはどうやら、マックスさんがアリーナを作る際に登録したらしく、すでにされていた。

放課後、頑張りますか。




何とかこのまま一週間の内に一回は更新していくペースで居たいですね~。
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