IS~大空を翔ける時代遅れの大馬鹿野郎~   作:ピーナ

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本作の新星インダストリーは色々作っています。


第十二話 新星インダストリー驚異の技術力!

放課後になって、俺達は特設アリーナに向かった。今は、アリーナの管制室に居る

 

「それにしても、広いわね~」

「確かに。学校に提出された資料によると、一般的な物より、面積は1,5倍程になっていますね」

「新装備のテストが一番の目的ですからね。面積は余裕をもって作ったらしいんですよ。それと、本社から送られて来るものはここに直接空輸する予定なので、離着陸場所という意味合いもあります。だから……」

 

アイシャがコンソールを操作すると、アリーナの地面が動きだし、大きな穴が開いた。そこには……

 

「発射台? ロケットでも、飛ばすんッスか?」

「流石にロケットを打ち上げる意味は無いですよ、フォルテ先輩。アレはイサムのもう一つの専用機『エクスカリバー』を発進させるための物です」

「戦闘機のカタパルトなのね」

「そうです。予定だと輸送機は飛行艇を使うので、海に着水させて、海に面した搬入口から機体ごと入れるようになっています」

 

その説明に何人かがハテナを浮かべている。浮かべていないのは、虚と薫子の技術者畑の二人だ。

 

「アイシャ、飛行艇って何?」

 

代表してマリアが聞く。

 

「あー、飛行艇って言うのは飛行機の種類だよ。……なんて、説明すればいいかな、イサム?」

「そうだな。まず、飛行機のカテゴリの中に水上機ってのがある。『飛ばねぇ豚はただの豚だ』の名言を吐いた世界一カッコいい豚が乗ってた奴を思い浮かべてもらえればいい。飛行艇ってのはそれをかなり大きくしたものだ。構造上の違いとかもあるけど、その辺は今は割愛する。そいつらの特徴は水面で離着陸が出来る事。ここは四方を海に囲まれているからな。着陸の場所には困らねえよ」

「新星インダストリーの飛行艇となると、『ガルダ』ね! でも、あれって横幅500m越えじゃなかったっけ。ここ、かなり大きいから入るだろうけど」

「全長も300mオーバーの通称、『空飛ぶクジラ』ですからね」

 

虚の言う通称を活かした、ガルダの宣伝機はまんまデフォルメされたクジラのペイントがされている。これが各国の航空祭に行くと子供たちに大人気なのだ。

 

「ここへの輸送に使う奴は、しまう場所の事を考えて両翼を折りたためるように一部を再設計したものですから、大丈夫です」

「……ていうか、薫子ちゃんも虚ちゃんも詳しいわね」

「まあ、技術者志望としてはそういうのにアンテナ伸ばさないとね」

「それと、ガルダは昨年に有名になる事件がありましたから」

 

ああ、あったな。多分、虚の言ってる奴はあれだろう。

 

「事件?」

「ええ。去年台風が来た事で、日本に向かっていた、豪華客船が浸水したという事故があったのを覚えていますか?」

「うん」

「それの救出に向かったのが新星インダストリーが持っていた、ガルダだったんです。高波の中、着水して救命ボートに移っていた客船の乗員乗客を全員救助したっていう話です」

 

これで、ガルダのセールスはかなり伸びた。陸、海どちらにでも離着陸できる汎用性、大きな輸送量、高波をものともしない安定性。欲しがるところはそれなりにある。ただ、売りに出した機体は燃費が悪い。といっても、スピードを出さなければ太平洋横断位なら出来るけど。まあ、ここの輸送で使うだろうウチが使っているのはそんなんと縁遠いのだが。

後、とんでもない値段がする。国力の無い国が買うと国が傾く位。

 

「軍関係者には『空飛ぶ空母』って呼ばれる位の搭載能力持っていますからね。事実、アメリカ空軍は発着艦能力を付与して空母機能を持たせていますし」

「現行のサンダーボルトなら30機程度なら搭載できるしな。本質は輸送機なんだけど。……っていうか、虚詳しいな」

 

技術部の本気によって、飛行機にしては破格の防御力(テストでは200ミリ砲の直撃や空対空ミサイルの直撃にも航行には影響されないほど)を持っているから、戦闘能力もそこそこあったりする。

 

「整備課の人間にとって、新星インダストリーはメッカと言っても過言ではありませんから、そこを調べるのは普通ですよ」

「そういうものか?」

「お膝元の美星で過ごした私達には実感が湧かないわね。情報なんて噂で流れるし、横のつながりで先輩やクラスメイトから色々聞けるもの。まあ、クラスメイトと言ってもクラスが半分揃わないなんて高等部だとざらにあるらしいし」

「それは割とマジだぞ。多分、去年一年で全員そろったのって合わせて一月に満たなかったと思うぜ」

 

全員そろうのは始業式、終業式、各種イベント事、定期テスト位だな。

だから、会わない奴はとことん会わないし、会う奴は毎日のように顔を合わせる。

こんな感じの美星は基本的にテストで点を取れていれば単位は貰えるし、生徒が所属しているところも、補習で効率を悪くするくらいならという事で、テスト前には卒業生達が勉強を教えたりしている。まあ、一種の伝統としてこれは会社内で受け継がれている。

 

「……それ、学校としてどうなの?」

「どうなんだろうな? カナ達にとっちゃそう思うかもしれないけど、俺達にとっては当たり前だからな」

「私も、アメリカの代表候補生に任命されるまでは美星に居たけど、それが普通だと思ってたわ」

 

中等部はほんの一部だけど、高等部となると大半の生徒はどこかに所属してるからな。所属していない生徒はウチの研究職狙いで大学への進学一本に絞っている生徒位か。そいつらでも仮所属みたいな形で、主に休日などの学校の影響の出ない時に仕事をしている。

 

「そう聞くと、美星学園って、新星インダストリーの予備軍みたいな物ね」

「あながち間違ってねえな」

「ていうか、その通りでしょ」

 

建学の理念が『世界に通用する人材の育成』なんて書かれているけどこんなんは建前。本当の所は『新星インダストリーの未来を担う人材の育成』といった所だ。その事を考えると予備軍の表現は間違ってないか。

まあ、調理学科とか関係ない学科もあるけど。

 

「まあ、美星の事はこのくらいでいいだろ。とっとと始めようぜ、カナ」

「そうね。……一曲私と踊ってくれるかしら?」

「こんな野蛮なダンスなら喜んで」

 

 

 

俺とカナはそれぞれの専用機を纏ってアリーナに降り立つ。

 

「やっぱり全身装甲(フルスキン)なのね」

 

全身装甲は新星インダストリー製のISの特徴としてあげられる。

ISの防御はシールドエネルギーで行われるから、装甲はあまり意味がない。

しかし、『クァドラン』を始めとするわが社のISは全て全身装甲になっている。理由は操縦者保護を超えるGを軽減する、耐G、抗Gのためと武装の搭載量の増加のため、それと、万が一の防御のためと表向きにはなっている。

本当の所は、「全身装甲の方がなんかカッコいいじゃん」っていう開発陣と「肌やボディラインが見えるのが嫌」と言ったテストパイロットだったミリアさんの意見が一致したかららしい。

ただ、エクスカリバーにはもう二つ理由がある。

 

「結構、全身装甲気に入ってるんだけどな。……正直、目のやり場に困るんだよ。普通のIS」

 

これは俺だけじゃなく、世間一般の男性の意見だと思う。

 

「それはウチのお父さんも言ってたなあ。やっぱり意識しちゃう?」

「当たり前だろ。カナはスタイル良いし、それに何より俺はお前に心底惚れてるからな。意識すんなって方が無理な話だ」

「は、恥ずかしい事言わないでよ!」

 

照れるカナ。やっぱ、カワイイよな。

 

『はいはーい、イサム君もなっちゃんもいちゃつくのは部屋に戻ってからにでもして、模擬戦始めるわよ』

 

管制室の薫子からのアナウンスに我に返った様子のカナ。さて、集中しないとな。

 

『それじゃあ、開始!』

 

合図とともに、俺達は武器を呼び出す。カナは大振りのランス。そこに内蔵された機関砲を発射してくるから、仕込みランスか。一方、俺のは、

 

「新作装備?」

「ああ、性能はお楽しみといった所だ」

 

銃を構え、円軌道を描きながらの射撃戦が始まる。お互い連射の利く銃なので、削りあいになる。

 

「まさか、ビームマシンガンとはね……流石は超一流技術者の巣窟」

「コスト高すぎて試作段階だけどな」

 

エクスカリバーの主兵装である試作30ミリビームガンポッド『流星一式』は俺の弟である悠樹が以前から考えていたのをこの機会に試作したらしい。

 

「ビームなんて世界中探してもどこも採用してないわよ?」

「らしいな」

 

悠樹が『これがオイラの本気だぜ!』って言ってたし。個人的には実弾の信頼性も捨てがたいんだけどな。ビームはロマンがあるしまあいいか。

 

「そっちもその水の壁でこっちのが通らないしさ」

「壁なんて言わないでよ。水のヴェールよ」

「……なるほどな。それを捲って誓いのキスって訳か。全力で行くぜ!」

「だから、恥ずかしいの禁止!」

 

そう言いながら攻撃を激しくするカナ。……顔は真っ赤だけどな。被弾しそうになるけど、

 

「これ位ならいけるだろ」

 

ととある兵装で防ぐ。

 

「嘘っ⁉」

「ホントだ。説明はこの後でな。んじゃこっちから行くぜ!」

 

その言葉共に、俺は突撃する。ISを俺の一番慣れ親しんだ戦闘機に変形させて。

 

「ええっ⁉」

 

驚きの声を上げながらもカナは攻撃をする。多少のダメージは気にしない。いつも通りの対IS戦をするだけだ。

超音速飛行をする際に発生する問題の一つにソニックブームがある。これは飛行の時に発生する大音響の事だ。今では研究が進み、今はそれほど大きな音は発生しなくなった。

では、ソニックブームは何によって生まれるか? それは、超音速で発生する衝撃波からだ。いくら研究によって大音響が軽減されたと言っても、機体から発生する衝撃波は無くならない。

俺達はそれを最大限に生かす。ぶつかるギリギリの所を通過し、衝撃波を当てる。ISは熟練した乗り手であるほど、飛行のためのPICをマニュアルで操縦している。それを衝撃波で乱す。アリーナ内でも効果は十分だが、洋上などだと、気流が複雑なので更に効果を発揮する。

戦闘機の場合、通り過ぎた後、すぐさまハーフクルビットと言うべき機動で機首を180度転換させて、機銃やミサイルで撃墜と言う方法なのだが、今の俺はISを乗っているから、戦闘機モードの状態から、足のスラスターを進行方向に向け、急減速をし、手を出しそこにガンポッドを持つ。

 

「一式、バーストモード」

 

現在、エクスカリバー最高の攻撃力を誇るのはこの流星一式のバーストモードからの集束ビーム砲。それで体勢を崩したカナを狙う。

これで勝てたら良かったけど……そう上手くはいかないか。

 

 

 

「くぁー、負けた~」

「そりゃ、こっちは代表候補生だからね。そう簡単には負けられないよ」

 

試合は結局俺の負け。反省会をするために管制室に戻って来ていた。

 

「と言っても、刀奈は学園最強。落ち込む事無いッスよ」

「むしろ、あそこまで戦えてたら十分じゃない?」

「そうですね。少なくとも今の一年ではトップだと思います」

 

上からフォルテ、薫子、虚の順にフォローを入れる。まあ、良い勝負はしたと自分でも思う。だけど、それで満足しちゃ成長は望めない。

 

「さて、それじゃ、色々機体の説明をしてもらいましょうか」

「了解。言っても、どこから説明したものか……」

「先輩たちに質問してもらえば?」

「グッドアイディアだ、アイシャ。という訳でどんと来い」

「それじゃ、一番、黛薫子行きます! あのIS変形したけど何なの?」

 

おおう、根本から来たな。

 

「あれは……何なんだろうな? 弟の悠樹を始めとした開発スタッフの暴走の結果だ。一応便宜上ヴァリアブル・インフィニット・ストラトス、略してVISって呼んでる。変形機構が理由の一つで全身装甲になってる。まあ、俺としても飛行機型の方が慣れ親しんでるし、あれのお蔭で大分操縦が上手くなったよ」

 

ISはイメージが大事らしい。しかし、人型の物が飛ぶというイメージは結構難しい物だ。変形してくれたおかげで、大分イメージが掴め、ISの操縦に慣れれたから、人型の時の操縦の上達にもつながった。

 

「次は私、二番、更識刀奈よ。蒼流旋のガトリングを防いでたのは何なの?」

「それは私が答えます。アレは我が社開発の第三世代兵装ピンポイント・バリアシステム。略してPPBです。最新型のクァドランでテストしていたのですけど、更にデータをという事で、エクスカリバーにも搭載されました。イメージインターフェイスを介して装甲上にエネルギーバリアを張る事が出来る物で。防ぐだけでなく。拳やガンポッドに纏わせて、打撃武器にも出来ます。エネルギー消費が大きくなりますが、全身にバリアを張る事も一応出来ます。欠点は装甲上にしか発生しないので、全身装甲が前提になるのと、攻撃を予測する読みと反射神経が要るので、使い手を選ぶ事ですね」

「ですが、比較的扱いやすそうな第三世代兵装ですね」

「量産機に搭載するものですからね~」

 

ちなみに俺のはクランとクァドラン・レアが集めたデータを調べて、よりよく改良したものになっている。これからも少しずつアップデートされてくだろう。

 

「では、三番目は私、布仏虚が行かせていただきます。あのガンポッドですか? アレはビームですよね?」

「そうだな。試作30ミリビームガンポッド『流星一式』。どうせならこの際新しい装備をガンガン載せてデータ取ろうぜって事で、載せられたんだよな」

「悠樹の暴走だよね~。元々ビームは考えてたらしいけど」

「暴走って……お前が言うなよ、アイシャ。マルチパーパス・コンテナユニットだったか? パッケージの仕事をそのコンテナに任せて、搭載物の変更だけで済ませようって奴」

「暴走言うな! まだ試作品すら完成してないんだから! 悠樹の一週間の突貫作業で作ったのと同じにしないでよ」

「……なんか、さらっと聞いちゃいけない事が聞こえた気がするわ」

「それなら気にするな、マリア」

「名前くらいどうってことないよ。内容は世界一強固なブロックで守られた本社のデータベースと私の頭の中にしかないんだし」

 

新星インダストリー本社のセキュリティはネット的にも物理的にも強固な防壁で守られている。最新鋭の技術とマクロスからもたらされたオーバーテクノロジー、OTM(オーバーテクノロジーオブマクロス)の流出を避けるためだ。

 

「質問は……こんなものかな? それじゃ、明日からのメニューは……まあ、射撃型の基礎を徹底しようかな。VISの機動はイサム自身が作るしかなさそうだからね。人型の時は射撃メインだから、そこをしっかり身につける事が大事だよ」

「だな。土台のしっかりできてない建物は簡単に崩れるからな。基礎はしっかりしねえと。……んじゃ、今日はこの辺にしとくか」

 

明日から、やる事も決まったし、一週間頑張りますか。




ちゃんとバルキリーらしさをISに持たせた戦闘シーンになっていたか不安です。
一応、戦闘中に変形させる流れを作れたのがこの作品を上げるための自分の中での最低条件だったので、自分なりに頑張りました。


ガルダ

出典 『機動戦士Zガンダム』

本作を書く上で、新星インダストリーとIS学園の間をいろいろ運ぶための機体を用意しないとと思った時に偶然見ていた劇場版Zガンダム第一部に搭乗していたアウドムラから着想。
原則としてマクロスは宇宙空間でのお話なので大気圏内の輸送機なんて存在しないのでこうなりました。
ガンダム内でのガルダはまさしく『どうかしている機体』。最大積載量9800トン(積めるかどうかは別にして単純計算でガンダム160機以上)で航続力に制限がほぼ無し。地球連邦軍の本拠地だったジャブローにあるMSの大半を二機で収容できた事から輸送機として破格の性能を誇る。
本作ではそこまで無茶苦茶な性能は無い物の、それでもその大きさからISの移動母艦として面白いんじゃないか? と思っています。
ただし、今後出番があるかは未定。


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