IS~大空を翔ける時代遅れの大馬鹿野郎~   作:ピーナ

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という訳でオリキャラ投入です。


第十三話 開発者来る

入学から一週間。時間が経つのは早い。

そして、女子の噂が広がるのも早い。新聞部であり情報通の薫子が言うには「二人目の男性操縦者は生徒会長と付き合っているらしい」と言うのがもう学園中で流れているんだとか。

俺からしてみたら、噂になるの早えな~位にしか思わない。しかし、それをその時そばに居た虚に言ったら「……今のお二人を傍から見たら、ただのバカップルですよ」と言われた。つまりはかなり露骨だったらしい。

その言葉にカナは顔を赤くして恥ずかしそうにしてたけど、まあ、俺達のあふれる思いが行動になってるだけで気にする事は無いだろう。別に校則違反でもないし。

さて、今日の放課後はついにクラス代表決定戦と俺のエキシビションマッチのある日だ。しかし、俺はお昼から、特設アリーナにいる。理由は昨日の晩に遡る。

 

 

 

昨日、夕飯を食べ終えてカナが大浴場に行っている内にシャワーを浴びてのんびりしていたら、電話がかかって来た。相手は悠樹。

 

「もしもし、何の用だ、悠樹」

『久しぶりっす、兄貴。用件は、エクスカリバーの新装備の事っすよ』

「新装備? 正直、案が多すぎて、俺全部は把握してねえぞ?」

 

ISの開発部だけでなく、俺がお世話になった戦闘機の開発部門、新型機の開発チーム、同級生や後輩たちの思いつくまま装備案が提出された。書類で50センチくらい積めるくらい。

 

『今回のは、新型機開発の奴を流用、ダウンサイジングした奴っすよ』

「OK、何か大体把握した。俺が来る前に優先してた奴だから、アーマードだな?」

『そうっす。最後の微調整を兄貴に聞いておこうと思って掛けたっす』

「微調整? 何だそれ?」

『簡単に説明すると、アーマードは増加装甲なのは分かってるっすね?』

「新型機の方でそれは理解してる」

『だから、普通は足が遅くなるっす』

「まあ、当たり前だな」

 

機体を重くしているんだから、機動系統のある程度の悪化は仕方ない事だ。

 

『一応、最低限で抑えられるようにオイラ達も努力したっすよ~。んで、最終調整ってのは、実はちょっといじくればそれをチャラに出来るようにしたっす』

「……やっぱ、お前らとんでもねえわ」

『褒め言葉として受け取っておくっす』

「まあ、でもなんかデメリットもあるんだろ」

 

起動性能そのままで火力アップなんていうそんなに都合のいい話は無い。

 

『まあ、その辺は仕方ないっすよ。少しばかり大食いになるだけっすよ』

「具体的には?」

『現状の試合モードで、継戦時間は通常の8割位を想定してるっす。リミッターを切れれば、問題ないんすけど……』

 

エクスカリバーにはエネルギー源が二つある。1つはISの元であるコア。もう一つは外部搭載した、エンジン。ISの試合用の物はISコア以外のエネルギー源の使用をレギュレーションで禁止している。(装備を稼働させるためのバッテリーやエネルギーキャパシターは別)

搭載は禁止していないので積んでいる状態は問題ない。

 

「実際、8割がどの程度なのか実験してみないとな。今はデフォルトのままで良い」

『了解っす。あ、そうそう。明日試合があるんすよね?』

「ああ、あるな」

『それに間に合わせるように、明日の午後、そっちに送るっす。ちょうどミデアで内部の建築資材を送る予定だったらしいっすから。調整の為にオイラも付いて行くつもりっす。ついでに試合も観るっすよ~』

「おいおい、特設はウチの管轄になってるからお前も入れるけど、試合はIS学園の敷地内だ。入れねえぞ」

『その辺は解決済みっすよ~。実はっすね、IS学園、IS委員会からウチの会社と美星に要請があったっす。内容は「男性操縦者のフォローのための男性技術者の派遣」っす』

 

その辺、学校や委員会も考えてくれてるのな。もしかしたら、それ以外の思惑もあるのかもしれないけど。

 

『フォローなんで男性操縦者に近い年齢が求められて、技術者として卓越したものを持っている事が条件にされたっす。後、ウチのクァドランのアフターサービスもあるっすね』

 

IS学園の訓練機はラファール・リヴァイブ、打鉄、クァドランの三機種ある。割合は4:4:2となっている。薫子は「クァドランはあんまり受けが良くないんだよねえ。特に一年生に。逆に二年、三年の操縦科の上位生徒なんて軒並みクァドランばっかり使ってるからね~」との事。これが理由のすべてとは言わないけど、一部ではあると思う。一番デカいのは金が掛かるって事だろうけど。

 

「んで、お前に白羽の矢が立ったわけだ。この辺の年代でISの技術者として食ってける男なんてお前位なもんだろ」

『オイラとしてはいろんな物に興味を持って勉強した結果なんすけどね~。んで、明日編入試験を受けるんすけど、それを兄貴の試合観てからにしてもらおうかなと思ってるっす。実質パスしたもんっすけどね』

「まあ、確かに」

 

どっちかと言うと、形式的な奴だな。俺も同じ。まあ、高卒の俺には復習みたいなもんだったけど。

 

「で、何時くらいになるんだ?」

『そうっすね……お昼はミデアの中で済ませれば良いし、1時に着くようにはするっす』

「なら、昼以降の授業はサボりだな。ま、一般教科だったし、良いか」

 

後で織斑先生に連絡して許可取っとかないとな。

 

『後、オイラの姉貴になる人にも会いたいっすね~』

「それくらいお安い御用だ。とびきりの美人だから、惚れんなよ?」

『兄貴の彼女を獲る気なんてさらさらないっすよ。兄貴に殺されたくないっす。……しかし、祖父ちゃんに行くんなら、お前も将来の嫁を見つけてこいって言われたっす』

「はは、祖父さんらしいな」

 

ウチは大企業の一族にしては珍しく、全員が恋愛結婚。祖父さんは曾祖父さんの友人の娘さんを紹介された、見合いに近い物だけど、そこで祖父さんが一目ぼれして、猛アタックの末結婚したって、祖母ちゃんが言ってたし。

 

『そうっすね~。まあ、それは追々考えていくっす。んじゃ、明日のお昼に』

「ああ、待ってるぜ」

 

 

 

という訳で、俺は織斑先生に許可をもらい、アリーナに居る。

 

「楽しみね、イサムの弟君」

「そうですね」

「……いや、何で二人が居るんだよ」

 

何故かカナと虚の二人が居る。

 

「建前と本音があるけど、どっちが聞きたい?」

「本音はなんとなく察しが付くから、建前から」

「新星インダストリーから来る物品の検閲よ。この時期は先生方も忙しいから私達が請け負う事にしたの。私達各学年の首席で優等生だから、信頼されてるし」

「なるほどな。それで、本音は?」

「イサムの弟君に会って、挨拶したかったから」

「私は整備課の人間として、あの機体を作った人に会ってみたいからですね」

 

虚のはまだ、向学の意志がある感じだけど、カナのは完全に私欲だよな。

 

「まあ、良いけどさ。……おっ、来たな。通信回線を開けてっと」

『兄貴、もうすぐ着くっす。着陸許可をください』

「はいよ。アリーナに被害ださねえようにな」

『今日くらい天候が良ければオートで降ろせるっすから、問題ないっすよ~』

「確かにな。んじゃ、待ってるぜ」

『了解っす~』

 

 

 

数分後、ミデアは無事に着陸、俺達はミデアに乗り込む。

機体の人が乗るエリアには髪の上半分を白、下半分を赤にした白衣を着た奴だけが居た。

 

「よう、悠樹」

「1週間ぶりっす、兄貴。それで、後ろの美人のどっちが兄貴のコレっすか?」

 

小指を立てながら、そう聞いてくる悠樹。にやけ顔むかつくな。

 

「こっち。こっちが俺の彼女の更識刀奈。んで、もう一人が刀奈の従者でここの整備課の3年主席の布仏虚」

「ども、兄貴の弟の大村悠樹っす。気軽に悠樹と呼んでくれれば良いっすよ~。武器のメンテから機体の製作までなんでもお任せっす」

「更識刀奈よ。よろしくね、悠樹君」

「布仏虚です。……気になってたのですが、その髪色は染めているんですか?」

「あー、これは若気の至りっすよ。中学の時、学園祭でコスプレ喫茶をやる事になって、リアリティを求めるためにオリジナルのヘアカラーを作ったんすけど、その試作品が強力すぎて、色が他の物を使っても効かなかったんすよ」

「元はこいつのお袋と同じで赤毛だったんだけどな。その時白く染めて、それっきりだ」

 

ちなみに、その後ちゃんとしたのも作ったし、直せるっちゃ直せるのだが、悠樹本人が気に入ったし、インパクトが強いから覚えやすいだろうからと言う理由で直していない。美星に髪色についての校則も無いしな。

 

「ちなみに、この髪色にはちゃんとした名前があるっす」

「なんですか?」

「一人源平合戦。命名は兄貴の友達のアルトさんっす」

 

初めて聞いた時はよく分からなかったが、アルトが「運動会とかで紅白で分けるだろ? その紅白の語源は源平合戦の源氏と平家の旗の色から来てるとされているんだ」と説明された。

歌舞伎の家のアルトらしい発想だなと思った。そこで一人歌合戦っていかん辺りがさ。

 

「さて、さっさと作業を始めますか~。兄貴」

「はいよ」

 

俺は首に提げていた待機状態のエクスカリバーを悠樹に手渡した。

 

「まずは量子変換しながら、ちゃちゃっと調整からだね~。えーっと、操縦ログは……ふむふむ、なるほど。兄貴~、射撃の方、カチッっと来てないんじゃないっすか?」

「なんとなく、反応が鈍いなとは思ったな」

「これは一月ちょっと前の兄貴のデータで組んだ奴っすからね~。慣れて来たから、本来の反応速度で出来るようになって来たんすよ」

「直感で動けるようにはなってきたな」

 

ISが俺を理解して、俺に合わせてくれるってのはこういう事なのかと、身を持って理解した。

 

「そのせいで、ISの方の火器のプログラムの処理を超えたんっすね~。ぶっちゃけ、兄貴にはこれ、要らんでしょ? 所詮は機械的に最適なターゲットのチョイスをするだけっすし」

「勝手に相手のISにロックがかかるのは確かにウザイな」

 

一対一ならそこまで問題ないけど、複数戦になると当てないって事も選択肢に入れる事が出来る。マニュアルの方が応用性が効くのは間違いない。

 

「その辺、ポカシャカっとしてっと。反応系は全部微調整だな~。もにゅがもにゅもにゅってなる感じで~。んでここをぎゅいーんと」

 

いよいよ本領発揮だな。

 

「ねえ、イサム。悠樹君の言語がカオスになって来たんだけど」

「あれは、アイツが作業に没頭してるときは独り言が擬音に浸食されてくんだよ。あれが出たら、アイツは本気になってる」

「言ってる独り言の意味は分かりませんが凄い作業スピードですね。恐らくあれほどのスピードで出来るのはほんの一部でしょう」

「虚はどうなんだ?」

「やろうと思えばできなくは無いでしょう。コンスタントにやるなら、あれほどは出来ませんけどね」

 

似たような事アイシャが言ってたな。確か「悠樹の凄い所はトップスピードを維持できる体力と集中力。速さだけなら負けない自信があるけど、あの速さを悠樹と同じくらい続けるのは無理ね」だったか? そう言うのはよく分からんけど。コイツの集中力が凄いってのは理解できる。

 

「そうだ、悠樹。アーマードの説明、頼む」

「ほいさ。アーマードは新星インダストリーが新しい装備の形として考えたものっす」

「新しい装備の形ですか?」

「そうっす。全身装備、オーバーコートウエポンと名前が付けられてるっす。ISの上に着る増加装甲と思ってもらえれば良いっす。アーマードはその第一陣、重装甲、重火力に特化した装備っす。アホみたいに大量のマイクロミサイルとそれを管制するプログラム、それと、新技術のエネルギー転換装甲が搭載されているっす」

「マイクロミサイルは有名だけど、エネルギー転換装甲って言うのは?」

「エネルギーを流す事で強度を上昇させる装甲っす。これとPPBでアーマードは強固な防御力を持ってるっす。エネルギーの消耗が多いからエネルギーキャパシターの搭載したアーマードでしかまだ実用化出来ない物っすけど」

 

PPBと違って、装甲の部分にエネルギーを掛けるだけだから、扱いやすそうだな。

 

「まあ、防御兵装は保険と思ってるからな。んで、どれくらいの攻撃耐えれるんだ?」

「一応、クァドランの腕にあるガトリング砲位は楽勝っすね。PPBも使えば肩部のインパクト・カノンも耐えるっすよ」

「……それは、一応というレベルではないのでは? クァドランのインパクト・カノンと言えばISの高威力砲の代名詞ですよ」

「らしいっすね。まあ、今の所エクスカリバーの専用装備っすし、良いんじゃないっすかね? レア開発チームが搭載する気満々っすけどね」

「世界シェア譲る気無いわね……」

「オイラ達はやりたいようにやってるだけっすけどね~」

 

技術部全員がそう言うが、世界最大級の企業と言うバックボーンからの豊富な資金力、優秀な設備と人員、自由が出来る環境があってこその躍進だと思う。

まあ、祖父さんも伯父さんもシェアを譲る気などないだろうけどさ。あの人らは巷では経営の神とか言われてるらしいし。俺等からしたら、気の良い祖父さんや伯父さんって感じだしな。俺達や従兄弟達の俺等世代には多分そう思われてるんじゃねえかな?

 

「まあ、とりあえず、俺はこれを使えば良いんだろ?」

「そうっす。良いデータを頼むっすよ~」

「期待せずに待っとけ」

 

これで、圧倒させてもらうか。景気よくぶっ放してさ。




最近スランプ気味です。
本作に関してはストックがあるのでこのペースでの更新は大丈夫なのですけど。気分転換に新作でも考えるかな~。


ミデア

出典 『機動戦士ガンダム』

言わずと知れたマチルダさんが乗っていたアレ。ドムにコクピットは壊されない。
出した理由は「アリーナを作るための資材ならともかくISの装備を運ぶのにガルダ居るか?」と思ったから。それで、思いついたのがミデア。
垂直離着陸も可能なので狭くて足場も良くない(飛行場に比べて)アリーナに降ろすには最適なのでは? と思いました。


次回は……実はまだ戦闘に入りません。ごめんなさい。
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