IS~大空を翔ける時代遅れの大馬鹿野郎~   作:ピーナ

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お久しぶりです。遅れた理由は後程。


第十五話 試合開始! VSセシリア・オルコット

一夏と金髪の試合は下馬評通り金髪の勝利に終わった。

結果はともかく、内容に関しては一夏は十分健闘したと言えると思う。

 

「さてさて、解説の更識刀奈さん、さっきの一戦どう見るっすか?」

「解説って……まあ、良いけどね。そうね、一人一人行きましょうか。まずはオルコットさん。入学したての代表候補生としては及第点と言った所でしょうね。射撃の技量も中々だし。でも、まだ完全に使いこなせてないみたいね」

「一夏も指摘してたけど、ビットを使いながら他の行動出来てないからな」

「そうね。完全に使いこなせれば偏向射撃っていってレーザーを曲げる事も出来るらしいし」

 

まあ、そこまで行くにはまだまだかかりそうだし、ここから本人の努力次第って所だろう。

 

「しかし、適性の高いオルコットさんであの扱いにくさ、果たして量産に向くのでしょうか?」

「確かにそうっすね~。オイラ達が暴走して会社の倉庫に死蔵されている物よりはマシだと思うっすけど、十分扱い辛いものっぽいっすね。まあ、その辺何とかするんじゃないっすか?」

 

この倉庫、作っても売り物にならない物がビックリするほど眠っている。ISの装備以外にも、戦闘機、戦車、軍艦など様々な物の装備が眠っている。一番多いのはIS。技術者達曰く「ISの装備が一番色々作れるから」らしい。

例えば、

「男のロマンと言えば大和だろ!」と言ってかなりの人数が関わった46センチ三連装砲(搭載する艦が無し)

46センチ三連装砲の余った砲身で作った拠点砲撃用IS砲『ギガ・マグナム』(反動の問題と発射時の爆風でSEが枯渇するので使い物にならない)

戦闘機のミサイルの搭載量増加を狙ったクラスターマイクロミサイル(性能が申し分ないが、価格が通常のミサイルの数十倍になるので買い手が付かない)

最高時速100キロを超えた高速戦車(価格はそこそこ高いが、それ以上に燃費が激悪で運用コストが悪すぎる)

などなど。

……まあ、社長を始め経営陣は「息抜きでより良い物を作れるのなら」と黙認をしているけど、絶対にただの趣味だと俺は思う。

 

「……なんか凄い事を聞いた気がするんだけど」

「気のせいと言いたいが、残念ながら気のせいじゃない。お蔵入りしたものが眠っている倉庫がウチにはあるんだよ。ていうか、1つのエリアって意味じゃそこが一番広いな」

「……どれだけ作ってるんですか」

「「さあ?」」

 

声を合わせて答える俺達。以前、俺も気になって最古参の技術者、通称長老(皆この名前で呼んでいるので俺は本名を知らない。ちなみに年齢は会長である俺の祖父さんと同じで今年70になるとの事)に聞いてみたが、「儂も知らん。掘り出せば戦前に作った物も出てくるじゃろうて」って返された。……たとえ見つけてもさびてて使い物にはならなさそうだよな、それ。

 

「でも、その暴走で使った技術やノウハウが回りまわって新作に役立つって事もよくあるっすよ~。クァドランのメイン武装の一つのマイクロミサイルだって、元々はここに有った物っすから」

「いや、確かによくあるけどさ、それ以上に使ってない物の方が多いだろうよ」

「自分の頭の中に有る物をすぐに作れる環境って最高っすよ?」

 

その辺はさっぱり分からん。

まあでも、経営陣や上層部が認めてるから良いのか。これも環境作りの一環って訳だ。

 

「新星インダストリーが技術者のメッカと呼ばれる一端を知った気がします」

「そうね。それじゃ、話を戻すわよ。織斑君は……まあ、今後に期待って所かな」

 

コメントし辛そうなカナ。まあ、初心者も良い所だしな。

 

「しかも、どうやら初期化と最適化を行わずに戦ったみたいですからね」

「アリーナの使用時間にも限りがあるし、仕方ない部分もあるけど、準備万端なら面白くなりそうだったわね」

「で、最後消化不良で終わったけど、あれはなんでなんだ?」

 

一夏の戦いは一次移行して、良い感じに一夏が切り込んだところで、何故か一夏のシールドエネルギーが切れて、終了した。

 

「確証はありませんが、恐らく、あのブレードから発せられていた光が原因かと」

「多分、高エネルギーの刃を形成してたのだよ思うっす。一撃必殺レベルの。その代償にエネルギーをドカ食いしたっすね」

「……なんか、纏めると織斑先生の現役の時の『暮桜』のワンオフ・アビリティみたいね」

「『零落白夜』ですね。いくら兄弟と言っても同じワンオフが発生した事例は今までないはずですが……」

「そこは、一夏が男だからとかじゃないか?」

「案外、ファーストシフトからワンオフを発生させるようにした実験機とかかもっすよ?」

 

その辺の真実は気が向いたら聞いてみるか。俺にはあまり関係無い事だしな。虚や悠樹辺りは気になってそうだけど。

 

『大村、出番だ。準備は出来ているな』

「もちろんっす」

『なら、出撃しろ。オルコット、織斑の順でやってもらう』

「了解」

 

織斑先生との通信を終えて俺は立ち上がり振り返る。

 

「んじゃ、ちょっと行ってくるわ」

「頑張ってくださいね」

「活きの良いデータを所望するっす」

「活きの良いデータって何だよ」

 

データに活きもなにもないだろ。

 

「分かってないっすね~。活きの良いデータってのは、新開発や改造し甲斐のあるデータって事っす。新鮮な素材の方が料理し甲斐があるって、幸兄が言ってたっす」

「いや、一幸(かずゆき)の言葉を言われても知らねえよ」

「その、一幸さんというのは?」

「俺達の従兄弟だよ。親父は三兄弟の三男なんだけど、下の伯父さんの息子で俺と同い年。今は……何してるんだろうな?」

「ホント、何してるんっすかね?」

「行方不明か何かなんですか?」

「いや、そんな大したものじゃねえよ。中学くらいから食材探しの旅って言って出かけるんだよ。高校上がってからは二輪の免許取って行動範囲が格段に広がったから普通に一月連絡無いとか余裕であるし」

 

放浪癖とも言える。

ちなみに一幸の伯父さんはレストランを開きながら、美星の調理学科を教えている。アイツも将来、店を開くなり継ぐなりするんだろう。……想像できねえけど。

 

「食材探しという事は料理がお上手なんですか?」

「幸兄の料理は超美味いっすよ。それに洋の東西を問わずに大概の物は作れるっす」

「その内、俺達はこっちの宿舎に来るだろうし……メシスタントとして呼び寄せるか」

「良いっすね~、それ。今晩にでも連絡入れておくっす」

 

アイツもそろそろ、地に足着いた生活しねえと彼女も出来ねえしな。

 

「いいんでしょうか……」

「いいのいいの。さて、余計な話はこの辺にして、行きますか」

「イサム!」

 

カナに呼び止められたので俺はまた振り向いた。そこで抱きつかれ、キスをされる。いや、この一週間結構な回数して来たけど、それは俺達の部屋で二人っきりの時だけだった。人前ってのは無かったはずだ。

 

「おおー、この上なくアツアツっすね~」

「今まで人前でのキスはありませんでしたが、基本的にお二人はバカップルですから」

 

外野が何か言っているけど、全然頭に入ってこない。

……ちょっと前にミシェルが「心の奥から好きだと言える人との時間は言い方はアレだけど自分で思っている以上に中毒性がある。周りが目に入らない程度にはな」って言ってたけど、マジだったな。その時間をを手放したくない。

そこそこ長いキスをしてからカナは俺の唇を離した。

 

「これはね、イサムが絶対勝つっておまじないだよ」

「って事はカナは勝利の女神って訳か。世界一カワイイ俺の女神の為にも、是が非でも勝たないとな」

「……変わったっすね~、兄貴。ここに来る前はあんなキャラじゃなかったっすけど。もうちょい硬派なイメージっす」

「いえ、硬派なところは硬派だと思いますよ。ただ、お嬢様関連のみ凄く緩くなられてるだけかと。まあ、お互い10年間片想いでしたから、その辺は仕方ないのだと思いますよ」

「そうっすね~」

「しかし、このままでは他の人に迷惑が掛かりますね。お二人とも、イチャつくのは部屋に帰ってからにしてください。時間が押してますので」

「う、虚ちゃん!」

「りょーかい。んじゃ、行って来るぜ」

 

そう言って、俺は更衣室を後にした。にしても、そんなにイチャついて……いたな。人前なのに。自制が効きにくくなってきてるのか? まあ、仲間内の前位は良いか。

 

 

 

「大村さん」

 

俺がアリーナに出てきて、少ししてから金髪は現れた。

 

「何だ?」

 

話しかけられたので俺はエクスカリバーの顔の部分の装甲を上に挙げて、顔を出す。

 

「先週の事、謝罪させていただきます。本当に申し訳ありませんでした」

 

あー……、そういやそんな事もあったな。

今日までの間にカナに「私の為に怒ってくれるのは嬉しいけど、私は気にしていないから、謝ったら許してあげてね」と言われた。だから、もうその事は俺の中では水に流していた。

 

「生徒会長も俺ももう気にしてねえよ。ちゃんと謝罪もしてくれたから、この件は終わりって事で」

 

切り替えは大事だ。ずっと引きずっても良い事はあまりない。反省をしてすっぱり切り替えて次に進む。これが大事だ。

今回の金髪、いや、もうオルコットで良いか。彼女がやるべき事は反省して今後気を付ける事だと思う。

 

「……分かりました。しかし、試合は試合。全力でいかせていただきますわ!」

「はいよ。まあ、やれるだけやりますか」

 

装甲を降ろして戦う準備を整える。

 

『両者、準備は良いな。始め!』

 

織斑先生の合図と共にオルコットはレーザーライフル『スターライトMK3』を発射する。俺はそれをあえて受け止める。

 

「ふむ、これ位なら14~5発位なら耐えれるな」

 

キャパシターの残量を確認しながらそう呟いた。ていうか、悠樹を始めた開発チームはなんて物作ってんだよ。

 

「な、なんて装甲ですの⁉」

 

動揺をしながらも攻撃の手を緩めないオルコット。と言っても攻撃自体は素直だから読みやすいから避けやすい。

 

「くっ、ブルーティアーズ!」

 

ビットでのオールレンジ攻撃か。そもそも戦闘機でのドッグファイトって後ろからの攻撃がほとんどだから、むしろ後ろからの攻撃の方が慣れてるんだよな。

避けながら少し高い位置を取る。この高さなら競技場が見渡せるな。

 

「んじゃ、そろそろ行きますか! アーマード、フルバースト!」

 

それと共にアーマードの増加装甲部分の各所から大量のマイクロミサイルが発射される。

これのロックオンのプログラムは悠樹謹製の完全オリジナル。

出ているビット四つとオルコットをロックオンした大量のミサイルが襲い掛かる。

 

「キャアーーー!!!」

『しょ、勝者、大村勇』

 

とりあえず、初戦はこんなもんだろ。しかし、アーマードパックにミサイル仕込みすぎだろ。

 

 

 

「お前の言う活きのいいデータってのは取れたのか?」

 

戻ってきて早々に悠樹にそう聞いた。

今はピットに居るのだけど、更衣室にいたカナ、虚、悠樹の三人がこっちに移ってきている。

 

「思ったより動きが阻害されてないっすね~。変形機構の方でも使ってほしかったっす」

「コーチの私から見ても遜色ない動きだったと思うわよ?」

「ありがとよ。変形機構の方は狭いとこで使ってらんねえよ。一応二戦目の為の手の一つとして残しときたいし。とりあえず、最初の一発はわざと食らって転換装甲のデータを取ったけど」

「あれくらいの威力の攻撃ならPPBも必要なかったすね。でも、そもそもアーマードは防御力が優れている訳っすし、早い内に普通の装甲に転用したいとこっすね」

「その辺はデータ集めた次第って所ですか。しかし、転用はクァドランくらいでは? 全身装甲はクァドランくらいですし」

 

まあ、普通のISの装甲って腕と脚の部分位だからな。そこに被弾を集中させる技術があるなら素直に避けろって話だよな。

 

「まあ、別の何かに使うかもしれないっすし、やれることはやるっす」

 

言葉の裏に最新鋭機の強化フラグが立ってる気がするのは俺だけじゃないはずだ。

 

「そろそろ、二戦目か? んじゃ、もう一試合頑張ってきますか」

「オイラはちょっと、アリーナに併設されてるっていう、整備室の方に行ってくるっす。許可はさっき千冬さんに貰ったっす」

「おまっ、俺の応援は⁉」

「そんなもん、しなくても勝てるっしょ? イギリスのオルコットさん? 彼女を基準にしたら」

 

いやまあ理屈ではそうなんだろうけどさ。

 

「お前そんな薄情だったか?」

「オイラの中の優先順位は兄貴の応援より、整備室がどんなのか見てくるのが上なだけっすよ」

「そうかい。まあ、その信頼に応えるさ」

「んじゃ、行ってくるっす~」

 

そう言って悠樹はピットを後にした。

 

「そういや、アイツが突然整備室に現れたらそこに居る人ら驚くんじゃないか?」

 

IS学園は原則女子ばかりで同年代の男子は俺と一夏だけ。そこに突然同年代の新たな男子が現れたら騒ぎが起きそうな感じがする。

 

「大丈夫、今日はこのアリーナ貸切だから」

「整備課も別の所で活動中ですので鉢合わせは無いかと」

「そうだと良いけどさ。んじゃ、もう一試合頑張って来るぜ」

「行ってらっしゃい、イサム」

「頑張ってください、イサムさん」

 

彼女と彼女の幼馴染で俺の中ではここでの数少ない友人の一人、しかも美人にここまで言われたら張り切らないわけには行かないよな。残りの試合も全力で行きますか!




更新が遅れた理由は、ストックがまだいくつかあるのですが、この先ちょっといった所で筆が止まっているのです。それがある程度進んでからと考えていたら一月経ってしまいました。次回も開くかもですが、よろしくお願いします。
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