「はい! 次は…高橋くん!」
「はい! ぼくのなまえは―――」
―ここは、夜見山第二小学校。今日は記念すべき入学式。
体育館での式を終え、今は教室で自己紹介の時間だ。
「はい! 次は……黒川くん!」
話すことはできないが、一応立つ。
「黒川君はちょっと病気で、みんなと話すことはできないけれど…みんな仲良くしてくださいね!」
ぺこりとお辞儀する。
「はい! 次は…」
よかった。少し好奇の視線にさらされている気がしなくもないが、サラっと言ってくれたおかげで、みんな特に気にしていないようだ。唯一心配だったことだけど、案外楽に学校生活を送れるかもしれないな。
――――――――――
(翌日)
「や~いや~い」
「なんかしゃべってみろよ~~」
「クチナシだ~クチナシ~」
…前言撤回。速効でうるさいやつらに捕まった。しかもベタな三人組。リーダー各一人に取り巻き二人。オレのことクチナシだの言って面白がっている。
まあ、僕はオトナだからこんなのは相手にしないけど。
「あ? なににらんでんだよ~!」
「やるのか~!?」
「クチナシのくせに生意気だ~!」
あれ? にらんでた?
ヤバいな…。なんか思いのほか僕はムカついていたらしい…。まさしく火に油状態。
…ってうわ!
「なんかもんくあるのかよ~!」
リーダー格の茶髪に胸倉を掴まれた。殴られるかも…ッて思った瞬間、
「や、やめろ!」
声が聞こえた方を見ると、一人の男の子がリーダーの奴をにらんでいる。リーダーは僕を放して、その男の子の方へ向かう。その雰囲気に圧倒されたのか、男の子は少し下がった。
「弱い者いじめは…やめろ…」
それでも懸命に自分の主張を訴える。
「なんだと~!」
リーダーが男の子の胸倉をつかんだ瞬間、僕は能力を使った。
「(やめろ!)」
僕に支配された男の子は大きな声を上げる。その勢いと声量にリーダー、および教室にいた全員が後ずさる。
額の汗を感じながら、僕は言葉の構成を考える。
「(そんなことして何になるって言うんだ!)」
「(文句があるなら一人で言えばいいじゃないか!)」
「(寄ってたかって一人をいじめるなんで卑怯だ!)」
一呼吸入れる。
「(お前の方が生意気だ!!)」
教室に残響がひびいた。
「な、なんだよ…」
リーダーは戦意を下げながらも、引き下がらない。男の子の方は、この静寂に包まれている教室の雰囲気を不審に思いながら、さっきの出来事を知らないながらも、力強く
「こんなことはやめよう」
しっかり、はっきりと言い放った。
…うん。リーダーを筆頭に、三人組も戦意喪失したし…。ここら辺でいいか。
僕は、二人に近づきふたりの手をとる。
「「?」」
そして、無理やり握手の形を取らせる。
「「!」」
二人とも戸惑っているようだが、ほんの数秒の後笑顔になった。
そして、僕はノートに字を描き、それを二人に見せる。
『あらためて じこしょうかい』
二人とも戸惑いながらも、僕の提案に乗ってくれた。
「ぼくは…風見(かざみ) 智彦(ともひこ)」
「オレは勅使河原(てしがわら) 直哉(なおや)!!」
『よろしく』
「「(おう!)(うん!)」」
よかった。これで一件落着だ。今度こそ本当に楽しい学校生活が遅れそうだ。
…風見 智彦 と 勅使河原 直哉?
…かざみ ともひこ と てしがわら なおや?
…カザミ トモヒコ ト テシガワラ ナオヤ?
僕の顔から血の気が失せた。
「だいじょうぶ! またこいつになにかされてもぼくがなんとかするから!」
「な…なんだと!」
「なんだよ!」
ちがう…ちがうんだよ…。そうじゃなくて…。
「は~い! みなさん席についてください! さんすうのじゅぎょうをはじめますよ!」
「「「「はーい!」」」」
そんな先生の言葉を聞いても、僕は動けなかった。
足が震えているのがはっきりわかった。
後もう一つわかったことは…
もうすでに、僕が現象に引きずり込まれつつあるってことだ。
みなさん、こんにちは!黒眼鏡です。
とうとう登場した原作組!
テッシ―と風見!
黒眼鏡はアニメしか見ていないけれど、小学校からの腐れ縁と言っていたので、これは使うしかない!!と思って出しました。
次回
いずれ来るであろう現象に怯えつつも小学校生活を過ごす雪人。
そんな彼の新たな世界での日常。
お楽しみに!