異世界の歌姫(ディーヴァ)    作:弾暴

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11章:茜色の夕暮れと、交錯する唇

文化祭の最終日。一日中続いた喧騒が、少しずつ静けさに変わり始める夕暮れ時だった。クラスのカフェの片付けも一段落し、クラスメイトたちは打ち上げへと向かっている。僕は、最後に教室に残って、忘れ物がないか確認していた。窓の外では、茜色の夕焼けが、空と校舎を深く染め上げていた。

 

「未来、まだ残ってたのか?」

 

背後から、優斗の声が聞こえた。振り返ると、彼は僕のすぐ後ろに立っていた。片付けで埃まみれになったTシャツ姿。額には汗が光っている。彼の瞳が、夕焼けの色を映して、いつもより深く、そして熱を帯びているように見えた。

 

「うん。忘れ物がないか確認してただけ」

 

僕がそう言って、散らかった机の上を見渡すと、一番奥のテーブルの上に、誰かの生徒手帳が置き忘れられているのが見えた。

 

「あ、これ、誰かの忘れ物かな?」

 

僕は、思わずそれに手を伸ばした。ほとんど同時に、優斗も「ほんとだ」と呟き、同じ手帳に手を伸ばした。僕たちの指先が微かに触れ合った。ひやりとした指先と優斗の温かい手のひらの感触が、僕の神経を刺激した。

 

「あっ、ごめん……!」

 

僕は慌てて手を引っ込めた。その僕の手を、優斗が絡め取るように強く握った。彼の表情は、夕焼けの光の中で、一層真剣なものに見えた。彼が何を考えているのか、僕には分からなかった。ただ、心臓が大きく脈打つのが聞こえるだけだった。

 

「……優斗?」

 

困惑した僕の声が2人しかいない教室に響く。そして、彼の顔が、そのまま僕に近づいてくる。僕は、目を閉じることも、逃げることもできず、ただ彼の行動を見つめることしかできなかった。

柔らかい、そして熱い感触が、僕の唇に触れる。一瞬、世界が止まったかのように感じた。優斗の唇が僕の唇に押し付けられている。彼の息遣いが、すぐそこに感じられた。身体が石のように固まる。心臓が、喉の奥から飛び出してしまいそうなほど激しく脈打っていた。彼の唇は、夕焼けのように熱く、そして戸惑う僕の心を、さらに混乱の渦へと引きずり込んだ。それは、あまりにも唐突で、予期せぬ出来事だった。

優斗は唇を離すと、僕の瞳を覗き込んだ。彼の瞳は、何かを後悔しているように揺れていたけれど、その奥には、抑えきれない情熱が宿っているようにも見えた。

 

「ごめん……。俺……」

 

優斗は、それ以上何も言えず、僕から目をそらして、気まずそうに顔を赤らめた。僕の頭は完全に真っ白になった。何も考えられない。ただ、全身の血が逆流するような感覚と、唇に残る生々しい熱だけがあった。こんなこと、僕の人生で一度も経験したことのない、あまりにも唐突で、あまりにも衝撃的な出来事だった。

 

「っ……!」

 

僕は、言葉にならない嗚咽を漏らし、優斗の胸を突き飛ばした。優斗はよろめいて数歩後ずさる。僕は彼に背を向け、考えるよりも早く、教室を飛び出していた。背後から優斗が何か叫んだような気がしたが、僕の耳には届かなかった。ただ、一目散にこの場から逃げ出したかった。夕焼けに染まる廊下を、僕は無我夢中で駆け抜けた。

実は現在12話くらいまで執筆中なのですが、作者の手の中には10話時点で幸せを謳歌している未来が泣きながら懇願する姿が見えます。このまま幸せルートまで駆け抜けようか……しかしながら長年このサイトを読み続けている私は知っています。曇り大好きにちゃにちゃ民が多いという事を。ては運命を左右する……かもしれないアンケートのお時間です。

  • 何いってんだ主人公なんて曇らせるもんだろ
  • 主人公曇るのは当たり前。周りも曇らせろ!
  • 路線変更!知らない内に周りだけが曇ってる
  • 多分選ばれない。みんな幸せハッピーエンド
  • 多次元宇宙!全部書きな(作者にムチ打ち)
  • しらね。作者の好きにしなよ←オススメ★
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