シータ(偽)で二代目仮面ライダーベイク   作:マ寿司ターロゴス

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ぶっちゃけ、今回で評価ダダ下がりすることを覚悟で書きました。


シータ…?

あれから、俺はあちこちを転々として過ごした。

相棒と共に、その日の寝床を見定めてから、食料を探す日々。

 

信じられないかもしれないが…寝床の方じゃなく、食料()が簡単に見つからない日が中にはあった。人通りが丸一日中多くて迂闊に拾えなかったって言うんだけど。

そんな日は少し遠出して川辺を探してみた。まぁ日によっては釣り人とかいて山にまで繰り出しもしたが。

 

一箇所に留まらないのは、仮面ライダー達や、ニエルブ等ストマック社の連中の目から逃れる為というのが主な目的だったが、それだけではない。

 

「ゆ、許してくれ!もうやらない!約束するっ!だから…だからァ!!」

 

「信用できるかよ」

 

ベイキング!

 

「ひっ、ひぃ!!ほ、本当だ!もう手を引く!!闇菓子にも手を出さない!嘘じゃな――」

 

「じゃあな」

 

フルブラスト!

 

「ウワァァァァァァァァァ!!!!」

 

凝縮されたエネルギーの弾丸に撃ち穿たれ、その全身を爆発四散させるグラニュート。

 

「……終わったか」

 

「ヤミ」

 

あれから俺は、多くのグラニュート(同族達)を手に掛けてきた。

色んな性格のやつらがいた。陽気なやつ、内気なやつ、計算高いやつ、見るからにバカっぽい性格をしてるやつ、中にはいきなり豹変するやつだっていた。

 

それでも、あいつらの中で、一貫して共通していたのは……闇菓子に手を出したことで、もう戻れない所まで堕ちてしまった所だった。

闇菓子を欲するあまり、必死に止めてくれたであろう肉親達をも振り切り、なんの罪もない人々を攫う化け物へと堕ち、最後には身をも滅ぼす。

 

あのビターガヴもそうだったけど、哀れとしか言いようがないよ。本当に。

 

『は、反省した!だから許してくれ!もう人間を拐わないって誓う!』

 

今回のように、命乞いをされたのだって初めてじゃない。あの時の俺はまだ甘かったんだ。

そいつの言葉を信じて、逃がして……また別の人間がその罪なき命を落としていた。

 

『お前……』

 

『んぁー?あー、あの時のシータ様モドキのグラニュートハンターか、見逃してくれてありがとよー』

 

『なんで……もう拐わないって、言ってたじゃねぇか……』

 

『あん?あんなの方便に決まってんだろ。馬鹿だなぁ』

 

騙されるのが悪い。簡単に信じたお前のせいだ。嘲るように言ったそのグラニュートを――激昂のままに殺害した時、俺は悟った。

 

あいつらの言葉は信用できない。一度でも闇菓子に手を染めた以上、ストマック社のバイト共は、一人残らず片付けなければならないのだと。

 

「俺は、本当なら仮面ライダーを名乗るには値しないんだろうな。……でも、そうだったとしても、俺は…俺は、仮面ライダーを名乗る。名乗りたいんだ」

 

憧れの英雄達のように、人々の毎日を守るために。

……ただのエゴだけどな。

 

「ヤミッ」

 

決意を新たに、歩みを進める。変身は維持したまま、ビルの屋上から俺を監視しているストマック家の眷属に目を向けた。

 

「……」

 

じっと見つめるフードの人物。

マスクに入ったスリットは赤。ということは、社長のランゴの差し金か。

 

ランゴ・ストマック。

祖父のゾンブ・ストマック、父のブーシュ・ストマックからストマック社を継いだ三代目社長にして、あのニエルブを含むストマックの兄弟達の長兄。実力もトップクラス……か。

 

バイトの持ってた端末の情報が正しければ、だがな。

 

「……」

 

「……」

 

フードと俺の目線がかち合う。

お互いを見つめ合う俺達は、どちらも一歩も引くことなく、ただただじっと目を合わせた。

 

やがてフードが立ち去って行き、俺もフードに向けていた目を戻し、再び歩き出す。

 

「ヤミ?」

 

「確かに、あいつを倒すのは簡単だ。けど……」

 

ヤミ(仮)の装填されたベイクマグナムを眺め、再びフードがいたビルの屋上へと目を向ける。

 

「今の俺じゃ、その親玉には敵わないだろうからな」

 

「ヤミ…」

 

これまで、何度もヒトプレスとやらの収集を妨害してやった訳だが。その度に何度もあのフード共を蹴散らしてやってるというのに、フードの数は一向に減らない。

 

ずっとおかしいとは思ってたが……まさかあいつらが単なる眷属に過ぎないとは予想もしてなかった。

企業相手なら人員減らしてやれば痛手になる!とか声高々に叫んでた俺が馬鹿みたいに思えたよ。

 

「やるなら、もっと力をつけてからだ」

 

恐らく、あの赤いガヴの仮面ライダーが主人公だとして、そのランゴってやつはラスボスの立ち位置にいるんだろう。

ライダー作品のラスボスを相手にすると考えると、この基本フォームだけじゃ分が悪過ぎる。せめて強化フォームくらい欲しいもんだ。

 

変身を解除し、ベイクマグナムを懐に収める。

 

「ヤミッ!」

 

掴んだヤミ(仮)を離してやれば、ヤミ(仮)は勝手に俺の肩へとよじ登って来た。

 

「すっかりそこが定位置だよな。お前」

 

「ヤーミ」

 

「フンス!ってか?わかりやすいやつだな」

 

ふっと口元が緩み、伸ばした指の腹でヤミ(仮)を撫でてやる。

気持ちよさそうに目を閉じるヤミ(仮)を可愛がりながら、路地裏へと入っていく。

 

あんまり言いたかないんだが、どうにもこの軍服みたいな格好だと目立つみたいだからな……とはいえこの姿はあくまで擬態だし、なんなら上から着ようにも人間界の金は無いわで一文無しなんだよな。

 

戸籍も無いっぽいからバイトも儘ならんし、毎日の飯は適当に拾った石で賄えるからまだマシとはいえ……せっかく人間界にいるんだから調理されたご飯も食べたいし。

 

「今手持ちどんくらいあんだろうな」

 

以前カツアゲしてきた不良から奪い取った虎柄の財布を取り出し、中の小銭やお札を数え始める。

えーっと、まず百円が一、二、三五八と八枚、十円とかはいっぱいあって、札は千円が一枚で……

 

その場に立ち止まって、黙々と財布の中身を数えていた俺だったが、背後からこの路地裏へと立ち入って来た何者かの気配を感じ、手を止める。

 

わざわざこんなとこを通って行くのか。言っちゃ悪いが、路地裏はまぁまぁ治安悪いし、財布はしまっといた方がよさげか。

 

財布を懐に戻し、壁際に立って目を閉じ、静かに通過待ちの姿勢を取った。

足音が一歩、また一歩と近付いて来て―――目の前で音が止まる。

 

なんだ…?

 

目を閉じていて見えねぇけど、目の前の誰かがこっちを向いたのがわかった。

 

「シータ」

 

「っ、…」

 

こいつ、今俺のことをシータって呼びやがった。ストマック社の手先か。

 

どんな顔してやがんだと目を開けてみれば……このシータの姿にめっちゃ似てる()が一人。

 

「……誰だ。お前」

 

「えっ…わ、私のこと、わからないの?」

 

「似てはいるな。けど、わからん。誰だお前」

 

「う、うそ。うそだよね?嘘に決まってる。ほ、ほら本当はわかるんでしょ?」

 

急にめちゃくちゃ荒ぶるじゃん。精神不安定なんかこいつ?

 

「わ、私、ほら、ジープだよ。ね、ね?わかるでしょ?」

 

いや、だから私だよ言われても知らんもんは知らんのよ。……まぁー、多分このシータの血縁ではあるんだろうがな。

 

シータの姉だか妹だか知らんけど、こいつも多分ストマック家の一員だよな。ジープ・ストマックとか、そんなとこか。

 

「っ!?」

 

「動くな」

 

懐ならベイクマグナムを取り出し、ジープのこめかみへと銃口を押し当てた。

 

「シータ……なに、してるの…?」

 

「ストマック社、この言葉に聞き覚えは?」

 

「ストマック社に聞き覚え……聞き覚え……覚え…フフ……そんなの、あるしかないじゃない!!」

 

「えっ」

 

唐突に激情を露わにするジープ。鬼のような形相に思わず一歩後ずさりするも、すぐに距離を詰められ、両手で掬い上げるように手を取られた。

 

「シータっ!私達二人で…ランゴ兄さんを見返してやろう!私達二人なら、きっとできるから…!」

 

「ランゴをって……あのランゴを?見返すとは…?」

 

ど、どういうことなんだ?こいつも、人間を拐ってたストマック社の一員じゃないのか?

 

「し、シータ?」

 

不信感マックスで、訝しげに顔を覗き込むと何故だか不安そうな表情が返ってくる。

それも、ただ不安なだけじゃない。強い怯えと、何かを強く拒絶するかのような恐怖の渦巻いた表情だ。

 

なんだこいつ……さっきからわかんねぇやつだな…?

 

表情どころか全身から漏れ出るレベルの喜びを露わにしたかと思えば、信じたくないというかのような顔をして、怯えたかと思ったら血気盛んになって、かと思えばまた怯えてる。

 

……情緒不安定過ぎるだろ。

 

はっきり言って、不気味としか言いようがなかった。

今だってベイクマグナムを握る手を震わせないように、必死に力を込めてるくらいだ。

 

心の奥底から滲み出てきた未知(・・)への恐怖が、肉体へと染み渡っていくのを感じた。

 

「人間を、どう思う」

 

「しぃ、た?なに…を」

 

発せたのは一言だけ。

なにも取り繕えず、ただただ本質だけを突いた俺の問いに、この()は……なんと返すのか。

 

「人間なんて…人間なんて……今はどうでもいいでしょッ!」

 

……………。ほえー…そ、やっぱりか。

 

シータなら、わかるよね…?そうだよね?等と宣う()に、目が細まる。

 

さっきまで怯えてたのが馬鹿みたいだ。

 

『なんでだよ…なんでそこまで人間なんかに拘るんだよ!?たかだか別の生きモンだろうがッ!』

 

……。いつか言われた言葉が脳裏をよぎる。

 

確かに、とも思う。

そりゃそうだ。ヒトのことを何も知らないグラニュートからすれば、人間なんてそうとしか思えんだろうさ。

俺だってそのグラニュートの端くれ。その気持ちも理解できる。

 

けど、けどな。

俺はグラニュートであると同時に……元人間でもあるんだよなぁ、これが。

 

「俺は」

 

それにな……

 

「シータ…?」

 

俺は……

 

「俺は、仮面ライダーだ……仮面ライダー、ベイクだ」

 

なりたいんだよ。かっこよくて、大好きな、憧れたあのヒーロー達みたいに。

 

……まぁ、なんだ?

色々長々考え込んじまったけど、結局のとこ、俺の目的にゃなんの変わりもないって訳だ。

 

もう一度、ジープとかいうやつに目を向ける。

 

何かを察したように、必死にしがみついて来たこいつは、震えた体を隠そうともしない。

それどころか、俺の背中に回された腕だけじゃなく、頭も、胸も、足だってガタガタのガクブルだ。

 

「……こいつ」

 

姉か、妹か。ぶっちゃけどっちなんだろうなぁ。

さっきからシータ…シータ…ってぶつぶつ呟く以外何も口にしなくなりやがったし……やりにくいったらありゃしない。

 

どこからどう考えても闇菓子にどっぷりなこいつは、ここで倒すべき。頭ではわかっちゃいんだけどな……チッ。

 

「――ぇ…ぁ?」

 

ズドンという銃撃音と共に、ジープの足下へと突き刺さる一つの弾丸。

ちなみにコンクリ貫通して煙上がってる。相変わらず威力ヤバ。

 

「……」

 

「なん…っぁ、しぃた…」

 

顔を青ざめさせていくジープ。

震える腕を振り払い、そのこめかみへと銃口を突きつける。

 

「ランゴを見返すだのなんだの言ってたが、それは本気か?」

 

「わた…わたし」

 

目がグラグラと揺れるジープ。

見せつけるように引き金へ乗せた指に力を入れていく。

 

「どうした?さっきの威勢はどこに行ったんだぁ?……ま、そんな事はどうでもいい。俺が聞きたいのは、一つだけだ」

 

「お前が考えてるだろうその手段に、闇菓子が――引いては拐われた人々が関わらないのか……それとも否、か」

 

「もし、その人を模した頭で、人間を都合よく利用しようと考えているのなら、だ」

 

発砲寸前の位置まで指を動かした。

 

「お前の墓場、ここにしてやるよ」




えー、ここまで投稿が遅れたことについてですが……シータぁ♡のキャラがいまいち掴めませんでした。マジでこれにつきます。

ぶっちゃけ何とか書き上げたのはいいものの、これでよかったんかなぁとも思ってますし、キャラのエミュも微妙としか言えないです……
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