元々はpixivに置いていた物ですが、一部の作品を移行をすること決めてこちらへ投稿することに致しました。
作品としましてはアークナイツ、サルカズとサンクタの二人が事件での出会いをきっかけに数奇な運命へ巻き込まれていく物語となります。
オリジナル、かつ作品上で血と欠損の描写もありますので苦手な方はご注意ください。
-ラテラーノ近郊 森林-
銃声が絶え間なく鳴り響き、放たれた銃弾は私の身体と周辺の木々を掠めていく。
銃弾を躱しながら、握りしめた銃の装置が青く光ったのを確認するとロックを外してわざと追っ手の方へ向きながら後方へ飛び退いた。
突然自分から隙を見せるような動きをしたことに追っ手に微かな動揺が見えたが隙を逃す気はなくすぐに引き金を引こうとした。
その僅かな時間をつき、アーツ式の銃を手元を狙うように構え引き金を引く。
銃弾の形状へと変化した青いエネルギーは銃口から放たれ正確に追っ手の手を貫く。
銃を取り落として怯むのと同時に再度走りだして、確実に追手を振り切ったことを確認してから近くに見えた大木の根本に移動して通信機に手を掛けた。
「…無事か」
雑音が続いてから、受信音がなると同時に声が聞こえた。
「こっちはキャプリニーとして通れました、これまで通りやれそうですが…あなたはどうするんですか」
報告が済むと、声色が心配をするような物へとすぐに変わった。
相も変わらず他者の心配を優先する様子に安堵しながら答えた。
「合流するのが先になっただけだ、心配するな」
しばらくの間無音が続いたが、落ち着いた声が返ってきた。
「…分かりました、またカズテルで」
「あぁ、上手くやっていけ」
そう伝えた後に通信機を切り、緩めていた緊張を再度引き締めた。
自身を追ってきた部隊は幸いなことに二部隊のみ、それだけなら何とか無力化しつつ退避は出来る…だが、それからどうするかは全く想定もついていなかった。
「…まずは、この場を切り抜けるのが最優先か」
そう呟いてから、アーツの充填が済んで青い光が漏れている銃のロックを外す。
そして、遠目に見えていたサンクタの部隊が相談をしようと集まったタイミングに合わせて引き金を引いた。
「ちっ、どこに隠れた…」
いつでも撃てるように守護銃を肩に担ぐようにして持っていた男のサンクタが苛つきを隠さずに言った。
指揮を取っている隊長のサンクタにも聞こえたのか、慣れた様子で言葉を続けた。
「焦るな、まだ近くにはいるはず……」
いつもなら最後まで言う彼女が何かに気付いたかのように言葉を切ったことで他の三名の隊員も銃を構えて同じ方を見た。
視線の先にはこちらに近づいてくる青い光があった。
それがアーツによる物だと気付くと同時に全員がアーツに向けて銃を撃ち撃墜しようとする。
同時に、青い光が細かく分裂して全ての銃弾を撃ち落としていき、部隊全員に着弾して爆発を起こした。
「致命傷…ではない?」
大きく吹き飛ばされた後に身を起こした隊長が傷を見て呟いてしまう。
着弾した箇所は出血こそしていたが死に至る傷ではなく他の三名も気絶しているだけだった。
ただ無力化するためのアーツに感じた部隊長は銃を下ろして目の前の暗闇に向けて叫んだ。
「…教えてくれ!何のためにラテラーノまで来た!」
声が聞こえたのだろう、暗闇から出てきた黒いコートを着たサルカズの女は抜いていた剣を背中の鞘に納めていた。
警戒を解けたと判断して安堵した後に、もう一度聞こうとしたが…その質問は出来なかった。
暗闇から銃声が響くと同時に、女の左目と胸を正確に撃ち抜いた。
女は血を吐きながらも衝撃で地面に落ちた剣を抜こうとしたが、伸ばした左手を撃たれそのまま倒れ込んだ。
※
銃を下ろした女性のサンクタからは、敵意も攻撃する意思も感じていなかった。
それに応えて武器を納めていた為に、周囲に溶け込むアーツを使った隊員に気付いても対応が出来ずこちらが無力化されていた。
「っ……ぅ…」
角の根本から鋭い痛みが全身を駆け巡る。
この感覚を私は知っている、サルカズが他の種族として偽装するために己の角を削る痛みだ。
だが……これは違う、復讐…怒りによる行動。
どうにか抵抗しようとした、僅かに感覚がある右腕で止めようとしたがその前に三発目の弾丸が右手を貫いていた。
「……素直に死んでろ、サルカズ」
「ぁ、ぐ……」
気絶から覚めた男のサンクタが、切り落とした私の角を持ちながら憎しみを感じさせる目でこちらを見ながら言った。
撃たれた手から飛び散った血が右目に入り視界が赤く染まって行く、その中で見えたのは力なく伸びる右腕と根本から切られたサルカズの角だった。
「………サルカズだから…だと…」
もし自分が部下を止めていたら、少しでも動けていたら…彼女は凄惨な目に遭わずに済んだのではないか。
目の前で起きてしまったことを認められず、絞りだすような声で呟いた。
彼女に敵意はなく殺意など僅かにも感じなかった。
殺し合う必要などない状況で彼女の身体を弾丸は何の躊躇いもなく貫いた上に角まで切り落とした。
この光景を見た瞬間、隊長の脳裏には友好関係を持ち今も連絡を取っているサルカズの友人、いつかの任務で不手際が起きた時に必要な物を調達してくれたサルカズの住人達が浮かんでいた。
これを許していいのか…サルカズだからというだけで、こんな仕打ちが許されるのか。
見習いの頃から隊長となった今も抱き続けていたラテラーノの正義に対しての疑念が、目の前の出来事によって確信となり…彼女の中の正義は崩壊した。
「は、サルカズがラテラーノに来ようとするから……隊長?」
満足したような様子の隊員は何の気兼ねもなく帰ろうと思い声をかけたが、その隊員が最後に見たのはラテラーノの教会ではなく深い憎しみの籠った眼差しと、黒く染まって行く翼と光輪だった。
「……達者でな」
まだ気絶から覚めない二人への申し訳なさを押し殺して、隊員と別れを告げた後に血塗れの彼女を背負い近くにあった洞窟まで移動した。
赤く染まった上着を脱いだ後に、上着を小刀で裂いて包帯代わりにしながら全身の傷の応急処置を始めた。
胸と目の傷は深く、間に合わないことへの不安が大きかったが見殺しにはしたくないと必死に手当てをする。
「…な、ぜ……助け、る…」
両手の傷を塞いだところで少し意識が戻った彼女の目に光はなく、消えかけている声だったが確かに聞こえた。
「…私は…サルカズが悪だとは思わないからです ほとんどのサンクタがそう思わないからいつも異端扱いですけどね」
そう言うと、いつ限界が来てもおかしくないというのに彼女は微かに笑みを浮かべた気がした。
その様子を見て、まだ希望が潰えた訳ではない…そんな気がしてより一層手を尽くした。
「………ここまで手を施しても、駄目なのか」
どうにか胸の傷を塞ごうと手を尽くしていたが、出血が止まることはなく彼女の血色も悪くなっていく一方だった。
諦めるしかないのか…そんな考えが浮かんで手の力が抜けかけた時、彼女の視線が洞窟の暗がりに向いていることに気付いた。
つられて視線を向けると、炎のような揺れ方をする赤い光が少しずつこちらに近づいてきていた。
アーツユニットの輝きか、それとも得体の知れない何かなのか…強い恐怖心に呑まれかけたがどうにか持ち直して銃を光の方へ向けた。
近づいてくるほどに銃を持つ手が震えたが、その予感とは裏腹に暗闇から伸びてきた爪は警戒は無用と言うように私の手を優しく包み込んだ後に声が響いた。
「お前の思うような事はせぬ、案ずるな」
その言葉と共に目の前に現れたのは、龍族の物と見て分かる形状をした赤い角を持ち口から漏れている炎が反射し光を放っている銀色の鱗に覆われた龍だ。
前足だと思っていた爪は、翼に付いていたものであり先程の様子を見るに手足のように扱える物に見えた。
いきなり現れたことに呆然としていたが、応急処置の途中であることを思い出して慌てて視線を戻すと、彼女の傷口に爪が優しく当てられ少し経ってから炎が灯る。
何をしたのか聞こうとしたが、いち早く察したように言葉を続けた。
「治癒のためのものだ、だが…治しきることは出来ぬ。傷が深すぎる」
そう言い切られ手から力が抜けそうになった、しかし、すぐに提案が続いた。
「…負傷した箇所を我の身で埋めればこの者は助かる。だが…本来の姿とはいかぬであろうな」
自身の身で埋める、それが何を意味するのか言われずとも分かった。
それを口にしていいものか迷ってしまい、言葉に出来なかったが…その話を聞いていたのか彼女はゆっくり視線を動かし龍を見た。
そして、掠れたままの声で続けた。
「…なんであれ、構わない…実行してくれ…」
しばらく静寂が続いたが、龍の言葉が静寂を破った。
「…その前に名を聞かせてくれ。お前達の名を知らねば呼ぶことも出来ぬ」
そう言われて、私も彼女に名を伝えていなかった事に気付き、互いの状態も忘れ視線を交わした。
視線を交わしたまま、私は彼女へ名を伝えた。
「レヴィア・アンゲル、レヴィアとでも呼んでくれ」
「…レイカ・グレイシャ、好きな呼び方で良い」
互いの名を伝え終えるのを待っていたのか、私達が名を伝えた後に龍も名乗った。
「獣主の一体、龍主の蝕炎龍シャレア。それが我の名だ」
--翌朝--
その後、気を失っていたのだろう。
いつのまにか朝になりレヴィアは私の肩に寄りかかる状態で眠っていた。
傷は塞がっていたがまだ微かに痛みは残っていたので、顔を動かして確かに目の前にいたシャレアと名乗った龍を探したがすでに姿形もなく洞窟の奥にも気配を感じなかった。
もういないのか…そう思った時、洞窟の外で草を掻き分ける音が洞窟の外から聞こえた。
「……なんの音だ」
こちらに近づいてくる音に、彼女が回収してくれていた剣を握り警戒していたがそれは杞憂だった。
昨夜の戦闘が誰かに見えていたのか、報告を受けたロドスのオペレーターが捜索をしてここを探し出したのだ。
彼女も目を覚まし通信機で会話をしているオペレーターを見ると、安堵するような表情を浮かべてから立ち上がってそのオペレーターと話をしにいった。
連絡を受けた他のオペレーターが合流し相談をした結果、ロドス本艦へ向かいそこで治療を受けることになった。
誰があの夜のことを伝えたのか、その疑念を胸の内に残したまま。
-ロドスアイランド本艦 治療室-
ヘリが到着するや否や、私は治療室へ行くことになった。
傷が治っていることではなく抑制剤を打たないまま時間が経っていたために感染の進行の様子を調べる必要がある…と医療オペレーターからは説明されたからだ。
ロドスについた時にいつの間にか手元からなくなっていた剣と銃の行方、レヴィアが今は何をしているのかなど、気になることは多かったが今は感染状態の確認が優先だと静かに部屋で待っていた。
実際のところ、ラテラーノに移動商売に行く仲間の護衛で移動していた時に手元に一本だけあった抑制剤を打ったのがもう一週間も前なので進行している不安があったのは確かだったから。
しばらくして扉が開くと、小柄なコータスの少女とフードのついたコートに黒いバイザーのついた覆面をした人が来た。
「済まない、待たせてしまったか」
覆面をした人が手元に持っていた資料をコータスの少女に渡した後にこちらを見た。
覆面越しで表情も見えないが、静かで落ち着いた声を聞くと感染の進行に対する不安が少し和らいだ気がした。
「いえ、大丈夫です…えっと…」
「自己紹介をしていませんでしたね こちらはドクター、鉱石病の研究や戦術指揮などを取ってくれています 私はアーミヤと言います」
年齢は年下なのに、様々な経験をしてきたと雰囲気から分かり敬語になりそうになったが彼女は私の気持ちを案じるように言葉を続けた。
「いつも通りで大丈夫ですよ、その方が私も話しやすいですから」
彼女と話していると、カズデルで仲の良かった友人を思い出すようで気を張る必要はないなと感じた。
私とアーミヤの話が終わってから、ドクターは彼女に声を掛けて資料を受け取り本題となる話を始めた。
「検査から、最後の抑制剤の注射が一週間前と随分経っているが進行状況はその時から変動が見られない。それについて何か思い当たることはあるか?」
思い当たること、そう聞かれて悩んでしまったが昨夜の出来事を思い出した。
あの提案が秘匿されるべき物とは言っていないものの、シャレアは姿を消している以上話していいのか悩んでしまったがロドスなら信頼が置けると思い話す事にした。
「…その提案を受け入れてからですか。鉱石病の発作も落ち着いてきたのは」
洞窟に行くまでの経緯とその後について一通り話し終えてからアーミヤが考え込むように呟いていた。
獣主が表に出てくる前例があまりないだけでなく、そういった提案は例自体がないのだろう
ドクターも獣主について書かれた資料を見ていたが不思議そうに首を傾けていた。
「獣主が人を助ける…どれも資料にはない例で未知な物ではあるが、サルカズでありながらドラコのような見た目になっているのはその影響かもしれない」
資料を閉じた後に私に視線を戻したドクターはそう言い切った。
切られたはずの角と傷だらけになった尻尾が新しい物になっているのは、目が覚めてから角に触れた時に違和感を持ったため納得のいく答えに感じた。
それについて言及した時、検査結果の資料を捲っていたアーミヤが何か思い当たるところがあるのか開いていたページはそのままに私を見た。
「そうでした、検査結果に…源石以外の反応が検出されていたんです」
そう言って渡された資料を見ると、確かに検出された物に不明と書かれた欄があった。
資料にある源石融合率は鉱石病による物、ならばそれ以外…何かないか思考を巡らせる前にその答えが目の前に現れた。
突然胸の辺りから炎が湧き出して、紋章のような模様が浮き出ると同時に小さな羽獣が私の膝の上に現れた。
その姿は確かに、あの時提案を持ちかけて来た獣主当人なのだが…
「……小さいな」
その呟きが聞こえたのかムキになったように小さな火を出しながら抗議してきた。
「小さいとはなんだ、これでも獣-」
小さい翼でも爪は健在で足を引っ掻こうとしてきたが、その前にドクターが羽獣を持ち上げて横の椅子に移動させた。
その後、アーミヤの方に視線を移した。
「源石ではない反応の正体、もしかすると…」
アーミヤもその予感がしたのだろう、頷いて突然出てきた羽獣を一瞥してから私を見た。
「…レイカさん、この子について調べれば貴女の変化についても繋がると思います。このままロドスに滞在、治療をしながらロドスのオペレーターとして行動するのはどうでしょうか」
先程までの柔らかい雰囲気から一点して真剣な表情で問いかけてきたアーミヤと視線を合わせた。
治療と検査をしつつロドスのオペレーターとして動く…これは大きな決断であり私のこれからを左右する物だとすぐに分かった。
今の私の状態は不明瞭であり、すぐにはカズデルには戻れない…それならばロドスで治療をしつつ解明をしていく。
それが懸命であり私の未来となるのなら…断る理由などありはしない。
「…分かった、ならば…これからもここに滞在させてほしい」
私の返答を聞いて、アーミヤはドクターと視線を一度合わせた。
「決まり、だな」
「はい、ケルシー先生も受け入れてくれると思います」
短いやり取りの後に視線をこちらに戻して柔らかい雰囲気に戻った彼女は微笑みを浮かべながら続けた。
「もちろん構いません、レイカさん。それと…」
アーミヤも呼び方に悩んでいたのか、そこで詰まったが羽獣と変わらない大きさのシャレアは元の姿を思わせる大きな態度で言った。
「シャレアで良い」
「分かりました、改めて…これからよろしくお願いします レイカさん、シャレアさん」
こうして、私とシャレアのロドスでの生活が始まった。
こちらでは、オリジナルオペレーターの二人について今回は記載します。
今後はその都度保管する設定についてまとめていきますので、ぜひお楽しみください。
レイカ・グレイシャ
カズデルで傭兵をしていたサルカズ
父親の傭兵稼業を継いで生活をしていた
事件後はロドスで治療をしながら、獣主の影響で変質をした炎のアーツとドラコのような姿、傭兵の経験を活かして前衛オペレーターとしてロドスに加入した
レヴィア・アンゲル
元サンクタの部隊長
サンクタでありながらサルカズの友人がいることで、ラテラーノのサンクタからは異端扱いされていた
事件をきっかけに部隊を殉職という形で脱退、己の使命をもう一度見直すためにロドスでオペレーターとして生きることに決めた
シャレア
獣主の一体である龍主を名乗った銀色の龍
治癒と攻撃が可能な炎と強靭な手足と尻尾、鎧の役割を果たす銀の鱗を持つ
人間のことは興味のある対象として見ている
ラテラーノ近郊の洞窟で身を休めていたところで、入ってきた女のサルカズの様子を見て助けてやるべきだと思い自身と融合させることで命を助けた
肉体を保てず一度は消滅したが、小さな羽獣のような姿で復活
レイカ・グレイシャと共に行動する