ドラえもん のび太の異世界奇譚 戯曲篇   作:浪園

3 / 7
聖都の戦い

65.~異世界、聖都、雑居区域~

 

聖都に魔獣襲来、のび太は魔獣たちと戦う

 

 

ヴォーパルラビット:キキィッ!

 

のび太:く、狙いが定め辛い!これでもか!

 

ヴォーパルラビット:キィィィッ!

 

 

ヴォーパルラビットに翻弄されるものび太はなんとかこれを倒す

 

 

アレックス:てこずってるようだな

 

のび太:へんだ、そっちはどうなのさ

 

アレックス:俺はこれを機に冒険者ランクの昇級を狙うぜ

      お前はせいぜいウサギと遊んでな!

 

 

 

66.~異世界、魔王城から聖都の間~

 

魔獣たちを止めるため魔王軍は聖都に向かう

 

 

ハルピュイア:先遣隊から伝令!

       フェンリル様、人間拠点に到達!

 

ソロモン:ゴライアス、急ぐぞ!

 

ゴライアス:わかっておる!ソロモン、フェンリル様の

      眷属達の相手はおぬしに任せたい

 

ソロモン:うむ、眷属達は数が多い、任せよ

     フェンリル様は頼んだぞ

 

ゴライアス:おうよ!ハルピュイア

      おぬしの手勢を借りるぞ

 

ハルピュイア:了解っす

 

 

 

67.~異世界、聖都の雑居区域~

 

冒険者ランクアップに逸るアレックスは

聖都に入り込んだ魔獣たちを切り伏せていく

 

 

ジャック:アレックス、ペースが速すぎる!

 

メアリー:このままでは魔力が持ちませんわ!

 

アレックス:ごちゃごちゃ言ってるんじゃねぇ

      これはチャンスなんだよ、黙って俺に従え!

      次の獲物はアレだ!

 

 

十数メートル先のレッサーベアに狙いを定める

 

 

アレックス:行くぞぉぉ!

 

 

 

68.

 

アレックスはレッサーベアに突進するも

目前に黒い影が立ち塞がり、それを遮る

黒い影、ソロモンがアレックスに言い放つ

 

 

ソロモン:小僧、これ以上の殺生は控えてもらうぞ

 

アレックス:なんだ、お前は?

 

ソロモン:お前に答える必要はない

     此度の事は我らが抑える

     小僧も命が惜しかろう、去るが良い

 

アレックス:へっ、そういう訳にはいかないんだよ!

 

 

アレックスはソロモンに剣を向ける

 

 

 

69.

 

ソロモンは錫杖の石突を地面に撃ちつけた

コーーン

乾いた音が高らかに響くや、ソロモンを中心に衝撃波が放射状に広がる

 

 

アレックス:ぎゃ!

 

 

衝撃波をまともに浴びて吹き飛ぶアレックス

出遅れていたジャックとメアリーも衝撃波の片りんを浴びてたじろぐ

 

 

ジャック:く、な、なんだ今のは

 

アレックス:はぁ、はぁ、き…

 

メアリ―:アレックス、大丈夫ですか?

 

アレックス:今日のところはこの辺にしといてやる!

 

ジャック&メアリー:??

 

 

アレックスは逃げ出した

 

 

 

70.~異世界、聖都の大通り①~

 

一方…

 

 

獣王フェンリル:そこを退けぃ、ゴライアス!

 

ゴライアス:退きませぬ!

 

獣王フェンリル:ならば押し通ってくれるわ!

 

ゴライアス:受けて立ちましょうぞ!

 

 

獣王の突進、ゴライアスはこれを受止める

ゴライアスの両足が電車道の轍を作るも、獣王の突進速度は落ちていく

ゴライアスを十数メートル押し込み、獣王の足止が叶う

 

 

 

71.

獣王フェンリル:うぬぅ…

 

ゴライアス:このゴライアス

      力ならば貴方様に引けは取りませぬ

 

獣王フェンリル:ならば、こうしてくれよう!

 

 

その牙と爪を使おうとフェンリルは上体を振り上げる

 

 

ハルピュイア:今っす!全員突撃!

 

ハルピュイア隊:行けぇぇぇ!

 

 

隠れていた羽や翼をもつハルピュイアの部下数十名が

一斉にフェンリルに纏わりつく

 

 

 

72.

ハルピュイア:持ち上げろぉ!

 

獣王フェンリル:ぐっ、貴様たち!

 

 

ハルピュイア隊に上半身を持ち上げられるフェンリル、

フェンリルは後足の爪を地面に食い込ませ踏ん張る

 

 

ゴライアス:せりゃぁ!

 

 

ゴライアスはフェンリルにタックル、その後脚を刈る

 

 

獣王フェンリル:ぬぉ!

 

 

獣王フェンリルの体が完全に地面から離れる

 

 

 

73.

ハルピュイア:みんな、いくよぉ!

 

ハルピュイア隊:うおぉぉぉ!!

 

 

フェンリルの巨体がぐんぐんと高く持ち上げられる

 

 

ゴライアス:いかなフェンリル様とて

      地にその足が着かねば

      その力、存分に振るえますまい!

 

獣王フェンリル:おのれぇぇぇ放さぬかぁぁぁ!

 

ゴライアス:ハルピュイア、後は頼んだぞ!

 

ハルピュイア:お任せっす!

 

 

四肢をばたつかせ、上空に運ばれていくフェンリル

それを見届けるゴライアス

 

 

ゴライアス:ぐっ

 

 

ゴライアスは声を漏らすや片膝をつく

彼の体を覆う硬い外殻、その胸部には蜘蛛の巣模様のヒビが走る

 

 

 

74.

アレックス:くそ、何なんだ今の奴は

      魔人まで来やがったのか

      しかもあの術、洒落になんねぇ

      まずい、まずいぞ、このままじゃ

      ランクアップにはもっと魔物を倒さないと!

 

 

大通りを一人でうろつくアレックス

 

 

アレックス:お、あいつは、怪我してるみたいだ

      チャンス!

 

 

定めた敵の背後から、アレックスは剣を叩き込む

 

 

アレックス:くらえ!

 

 

カキーン

剣は弾き返された

 

 

 

75.

ゴライアス:背後から奇襲か、悪くない

      戦いとはそういうものだ

 

 

アレックスの不意打ちを受けたゴライアスは、ゆっくりと立ち上がる

 

 

ゴライアス:戦う気分ではないが、刃を向けられた以上

      戦士として応えねばなるまい

      小僧、覚悟せぃ!

 

アレックス:ひい、で、でかい!

 

 

アレックスはゴライアスを見上げる

 

 

アレックス:か、かか、かかって、きょい!

 

ゴライアス:む?

 

アレックス:か、かかって、こ、こにゃいなら

      こ、こっちきゃらいくじょ!うりゃぁ

 

ゴライアス:…

 

 

 

76.

 

きーん!

ゴライアスはアレックスの剣筋をまともに受ける

 

 

ゴライアス:…

 

アレックス:えい、やぁ、とぅぁぁぁ!

 

 

かきーん、かきーん、かきーん、

アレックスの剣撃はゴライアスの外殻に全て弾かれる

 

 

ゴライアス:……もう止せ

 

アレックス:うりゃぁ、とうぅ、せゃぁ!

 

ゴライアス:止せ、と言っておろうが!

 

アレックス:ひ!

 

 

ゴライアスは一喝、アレックスは尻もち

 

 

 

77.

ゴライアス:小僧、ここに貴様の居場所はない、引け!

 

アレックス:なん、だ、と、ちくしょぉぉぉ!

 

 

構えを解いたゴライアスに、アレックスは尚も切り込む

 

 

ゴライアス:蛮勇な、そのような戦いぶりではいずれ

      無駄死にぞ!

 

アレックス:うりゃりゃりゃりゃぁぁぁ!

 

ゴライアス:…死に急ぐか、ならば、いっそこの場で!

 

 

 

78.~異世界、聖都の大通り②~

のび太:えい!

 

レイジングボア:ピギィィィッ!

 

 

響く断末魔、のび太はレイジングボアを切り捨てる

のび太はこれまでも冒険者ギルドから

多くの討伐クエストをこなしてきたが

今回の魔獣襲来だけでも、かなりの数の魔獣を屠った

 

 

のび太:ここら辺のモンスターは今ので最後かな?

 

???『も……ま…くども…た…せ』

 

???『ま……………ち………た…ら………ぞ』

 

のび太:!何々!?今の声?

 

 

のび太の脳裏に響いた謎の声

と、同時に聞き覚えのある声が大通りにつんざいた

 

 

 

79.~異世界、聖都の大通り①~

アレックス:いやだぁぁぁ!

 

ゴライアス:安心せい、苦しませはせぬ

 

 

剣を徒に振回すアレックス

彼の剣はメトロノームの様に左右に揺れる

そんなメトロノームのリズムを測るかのように

ゴライアスは大剣をアレックスに振り下ろそうとする

が…

ガコォッ!!

ゴライアスは背後から衝撃を受けてつんのめる

 

 

ゴライアス:ぬぉ!?

 

 

ゴライアスは受け身をとるとすぐに立ち上がり、周りを見渡す

 

 

 

80.

ゴライアス:……この短時間に

      二度も背後を取られるとは不覚

      それも子供にとはな!!

 

のび太:アレックス、逃げて!

 

アレックス:の、のび太!あ、後は頼んだ!!

 

 

アレックスは逃げ出した

 

 

ゴライアス:小童、なかなか良い打ち込みだったぞ

 

のび太:僕は思いっきり切り込んだんだけどね

 

ゴライアス:来い、稽古をつけてやる!

 

 

 

81.

のび太:やぁぁぁ!

 

 

のび太は、ゴライアスに飛込み剣を振り下ろす

ゴライアスはそれを難なく受け止め、弾き返す

弾き返されるや、着地と同時にのび太は再跳躍

ゴライアスに斬りつける、が、阻まれる

 

 

のび太:くっ、ダメか!

 

ゴライアス:迅く剛い、が、粗く拙い、所詮は小童の剣

      守りはどうだ?こちらから行くぞ!

 

 

巨体に似合わぬ速度でのび太との間合を詰めると

ゴライアスは唐竹に大剣を揮う

 

 

 

82.

のび太:わっ!

 

 

ゴライアスの斬撃をのび太は紙一重で払う

 

 

ゴライアス:払ったのはよい判断だ!

      受止めておったら

      剣ごと真っ二つであったぞ!

 

のび太:褒めてくれてアリガ、うっ!

 

 

ゴライアスは体当たり

のび太は鍔競りに受止めるも受けきれない

背後へ大きくよろけるのび太に、ゴライアスは更に斬り込む

 

 

ゴライアス:ほら、気を抜くなよ、刻まれてしまうぞ!

 

のび太:くっそ

 

 

 

83.

 

ゴライアスの連撃を剣でいなして躱し続けるのび太

しかし全てを躱しきれない

躱しきれなかった剣撃の切っ先が

のび太の全身を薄皮一枚で切り裂いていく

気付けば、のび太の体は真っ赤に染まる

 

 

のび太:おいっ、遊んでるでだろ!

 

ゴライアス:言ったであろう、稽古をつけてやる、と

 

のび太:そうかい、でも僕は

    こういうことだってできるんだ!

    ファイアボール!!

 

 

のび太の手から放たれ火球がゴライアスの巨躯に直撃、爆炎が上がる

 

 

のび太:どうだい、お前みたいに大きければ外さないぞ!

 

 

 

84.

 

薄れゆく煙幕から浮かび上がるはゴライアスの巨体

 

 

のび太:えぇ!?

 

ゴライアス:はっはっは!魔法までこの威力か!

      効いたぞ!小童!我が肌を焦がすとはな!

 

のび太:な、なに?この人!?

 

ゴライアス:問答は無用、さぁ続けるぞ!

 

 

言うや否や八双に剣を構え、ゴライアスはのび太に突進

 

 

のび太:わわ、ガストーン!!

 

ゴライアス:小癪な!

 

 

ゴライアスは大剣の一振りで魔法の突風塵を掻き消す

 

 

 

85.

のび太:な!

 

ゴライアス:さぁ、こちらの番だ!

 

 

ゴライアスはのび太に肉迫し、片手で大剣を横薙ぐ

のび太はジャンプ、これを躱す

 

 

ゴライアス:翼持たずして宙に逃げるは愚策!

 

 

宙に浮いたのび太の体にゴライアスの回し蹴りが極まる

 

 

のび太:が、はっ…

 

 

ゴライアスに蹴とばされ

のび太は真っ直ぐ水平に吹き飛び

そのまま大通り沿いの建物に叩きつけられた

 

 

 

86.

のび太:な、なんの、これしき…

 

ゴライアス:尚、立ち上がるか!

      貴様の名を聞いてやろう!

 

のび太:教えてなんか、やる、もんか!

 

ゴライアス:其れは残念、ならば力尽くで!

 

のび太:やってみろよ!

 

ゴライアス:応よ!次は無いぞ!

 

 

ゴライアスは、再度、八双に構え、のび太に向かってくる

 

 

 

87.

のび太:フリーズ!

 

 

突進するゴライアスの足下が凍り付く

 

 

ゴライアス:!?

 

 

ゴライアスは氷り付いた石畳に足を滑らす

転倒を堪えるも巨体が祟ってバランスが取れない

のび太の眼前にゴライアスの胸部に刻まれた蜘蛛の巣模様が迫る

 

 

のび太:やぁっ!

 

 

のび太は身体能力に任せて跳躍、蜘蛛の巣模様の中央に剣を突き出した

 

 

 

88.

ゴライアス:ゴフッ

 

 

ゴライアスの左胸にのび太の剣が突き刺さる

 

 

のび太:前に、似たようなことをされてね

 

ゴライアス:み、見事、だ…

 

 

剣が左胸に突き刺さったままゴライアスは崩れ、のび太にもたれかかる

のび太の全身の傷から流れる血がゴライアスにべたりと付く

 

 

のび太:うわ、重!

 

 

のび太がゴライアスを蹴とばすと、

その巨体がのび太の体から離れてどうと倒れる

 

 

のび太:へん、さっきのお返しだ!

 

 

 

89.

 

横たわるゴライアスを見下ろすのび太

 

 

のび太:…ふふ、あは!

    この僕が、こんな大きい奴を倒したんだ!

    やった、やった、やったぁぁ!!

 

 

勝利に酔うのび太の脳裏に再び謎の声が響く

 

 

???『はは…す…………い…まじん…たお……ぞ』

 

???『…っともっ…ま…くども…ち………て……』

 

のび太:え?え?え?また、何!?

 

 

 

90.~異世界、聖都の雑居区域~

 

ソロモンとその部下たちは聖都に入るや、

魔獣たちに睡眠や拘束の魔法をかけて無力化、

ゴライアス隊が魔獣たちを街の外に運び出す

 

 

ソロモン部下:フェンリル様の眷属の方々は

       もういないようです

 

ソロモン:わかった、我らも退却するぞ

 

ハルピュイア:ソロモ~ン!

 

ソロモン:ハルピュイアか、フェンリル様はどうだ?

 

ハルピュイア:今、みんなで運んでるんだけどさ

       それが困ったことになってるっす

 

ソロモン:何だ?

 

ハルピュイア:えっとね

 

 

 

91.~異世界、聖都の上空~

フェンリル:貴様ら、放さぬか!

 

 

吊り上げられながらも、もがき抵抗するフェンリル

 

 

ハルピュイア隊員①:フェンリル様、暴れんで下さい!

 

ハルピュイア隊員②:ふぇんれ様、落ちら、危な!

 

ハルピュイア隊員③:ガァッガァッ!

 

ハルピュイア:み、皆、頑張るっす!

       今、ソロモンを呼んでくるから!

 

 

 

92.~異世界、聖都の雑居区域~

ハルピュイア:てなことになっちゃってるっす

 

ソロモン:そ、そうか

 

ハルピュイア:で、魔法の得意なソロモンに

       どうにかしてもらいたいっす!

 

ソロモン:しかしフェンリル様に俺の魔法は

     なかなか効かぬぞ?

 

ハルピュイア:でもこのままだとフェンリル様

       落っこっちゃうっすよ

 

ソロモン:それもマズいな

     わかった、どこまでできるかわからないが

     ひとまず、俺をフェンリル様の許に届けてくれ

 

ハルピュイア:やたっ!ありがとっす

       じゃ、ソロモン、行くっすよ

 

 

ハルピュイアはソロモンを連れてフェンリルの許へ

 

 

 

93.~異世界、聖都上空~

フェンリル:我はフェンリルなるぞ、貴様ら放さぬか!

 

ハルピュイア隊④:フェンリル様、落ち着きを!

 

ハルピュイア隊⑤:落っそ、フェリル様、だめ!

 

ハルピュイア隊⑥:ピィッピィッ!

 

フェンリル:えぇぃ、放せというのが聞こえんか!

 

ハルピュイア:よかった、フェンリル様は無事っすね

 

ソロモン:フェンリル様、どうかご静謐に!眷属の方々は

     我々が退避させましてございます!

     此度はどうか我々と共にお戻り下され!

 

 

 

94.

フェンリル:黙れ!ソロモン!其方まで戯れ言を!

 

ソロモン:致し方ございませぬ

     フェンリル様、ご無礼を!

     スリープ!

 

フェンリル:小賢しい!貴様の魔法なぞ効かぬわ!

 

ソロモン:私めが魔力、全て注がせていただきますぞ

     御免!

     うおりゃーーー!

 

フェンリル:ぬぬ!?あ、ぅ、ぐぁ…

 

ソロモン:ぐぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ!

 

フェンリル:な、あ、ぅ、Zzz、Zzz

 

ハルピュイア:さっすがソロモン!

 

 

 

95.

ソロモン:ハァ…ハァ…

 

ハルピュイア:ソロモン、大丈夫?

 

ソロモン:魔力を殆ど使ってしまったが、なんとか、な

     ところでゴライアスはどうした?

 

ハルピュイア:あ、まだ下に居るっす

 

ソロモン:なら迎えに行ってやろう

     あいつ、また拗ねるぞ

 

ハルピュイア:アハハハ、かもしれないっすね、みんな、

       ゴライアスの旦那を迎えに行くから

       2~3人ついてきて

 

 

ソロモンとハルピュイアはゴライアスの許に…

 

 

 

96.~異世界、聖都の大通り①~

アレックス:ダンカンさん、こっちです

 

ダンカン:急ごう、のび太君が心配じゃ

 

アレックスoO(いくらのび太でも

      あんな巨人が相手じゃ…

      くそっ、俺はなんであいつを独りに!)

 

ダンカン:む、あ、あれは!

 

アレックス:な、の、のび太!?

 

 

のび太を見つけ駆け寄るダンカンとアレックス

 

 

 

97.

ダンカン:のび太君!大丈夫か?血まみれじゃないか!

 

のび太:傷は浅いです

    見た目ほどじゃないんで大丈夫です

 

アレックスoO(こ、こいつ、なんて奴だ…)

 

ダンカン:ところでのび太君

     そこに倒れてるのは、き、君が?

 

のび太:はい、僕が倒しました

 

アレックス:さ、最初は俺が戦っていたんです

 

のび太:そうだけど、アレックスは逃げたじゃないか

    倒したのは僕だぞ!

 

アレックス:よ、弱らせたところで

      俺は応援を呼びに行ったんだ

 

ダンカン:わかったわかった、二人とも落ち着きなさい

     しかし…これは魔王軍の幹部では?

 

 

横たわるゴライアスを見てダンカンは驚く

と、上空から悲鳴にも似た声

 

 

 

98.

ソロモン:ゴライアス!

 

ハルピュイア:旦那!

 

ソロモン:小僧、これは貴様の仕業か!

 

アレックスoO(こ、この魔人はさっきの!)

 

のび太:そうだけど、文句ある?

 

ソロモン:その男は我らが同胞、返してもらうぞ!

 

のび太:なんだい!返してなんかやるもんか!

 

ソロモン:敗者を辱めるが人間の流儀か!?

 

のび太:僕が勝ったんだ、僕の自由にさせてもらうさ!

 

ソロモン:小僧!

 

アレックス:おい、やめろ!刺激するな!

 

 

 

99.

ダンカン:わかり申した、この巨人の身柄

     引き渡しましょう

 

のび太:ちょ、ダンカンさん?!

 

ダンカン:ここは私に任せなさい

 

のび太:そんなぁ…

 

ソロモン:御仁、傷み入る

 

ダンカン:但し、こちらの質問に応えてもらおう

     正直にな

 

ソロモン:……承ろう

 

ダンカン:まず、此度の騒動、うぬらの仕業か?

 

ソロモン:断じて違う

 

 

 

100.

ダンカン:ならば、うぬらは何故ここに?

 

ソロモン:フェンリル殿を止めるために

 

ダンカン:フェンリル!?獣王が来てたのか!?

 

ソロモン:フェンリル殿は我々が諫め

     既に退いて戴いておる

 

ハルピュイア:ゴライアスの旦那が

       フェンリル様を止めてくれたんっす!

 

ダンカン:ゴライアス?

 

ハルピュイア:そ、その巨人のこと!

 

ダンカン:ほぅ、では、なぜ獣王は攻めてきた?

 

ソロモン:…詳しくは聞いておらぬ

 

 

 

101.

ダンカン:ふむ…では、この巨人について聞こう

     この巨人、ゴライアスといったな

     魔人軍の幹部だな?

 

ソロモン:……うむ、ベルモデウス様直属の

     四天王が一人である

 

ダンカン:うぬらは?

 

ソロモン:同じく四天王の一人、ソロモン

 

ハルピュイア:同じくハルピュイア

 

ダンカン:四天王のうちの三人が出てきたのか!

 

ソロモン:フェンリル殿とその眷属方を

     止めようというのだ

     我ら三人が応ずるは是非もなし

 

 

 

102.

ダンカン:そこまでの戦力を出しながら

     うぬらは聖都を攻めぬと?

 

ソロモン:先も言った、我らが任は

     フェンリル殿を止めること

 

ダンカン:獣どもと共闘の間違いでは?

 

ソロモン:斯様な街に攻め込むなんぞ無用千万!

 

ダンカン:何じゃと!

 

ソロモン:何度でも言うてくれるわ!

     貴様らの街なんぞ我らには何ら価値はない!

 

ダンカン:我らとうぬら、各地で小競ってるを

     知らぬではあるまい!

 

ソロモン:すべて我らの領内でのこと

     非は貴様らにある!

 

 

 

103.

ダンカン:うぬらの領だと?ほざくなよ

     そんなもの1000年前に我らが切り取り済よ

 

ソロモン:1000年も前のことを

     さもありなんと持ち出すとは愚かよの

 

ダンカン:負け犬が遠吠えおるわ!

 

ソロモン:過去の栄光に縋るのなら縋るがよい!

     我らは1000年前とは違うのだ

     かの戦いの後

     我らはフェンリル殿らと盟を結んだ

     そして永きの時を経て我らはともに栄を成し

     かつてを超える程の同胞と暮らしを得たのだ

 

ダンカン:かつてを超える、じゃと?

 

ハルピュイア:そうっす!今のあんたたちなんか

       どうだっていいっす!

 

ダンカン:そ、そのような世迷い事、信じられるものか!

 

ソロモン:信じたくなければ信じなくともよい

 

ダンカン:ふ、ふん…

 

 

 

104.

ソロモン:もうよいか?ゴライアスは

     引き取らせてもらうが?

 

のび太:へーんだ、いやだね!

 

ソロモン:小僧!何を言う!

 

アレックス:ダンカンさん、この状況はまずいです!

      さっきこの魔人と戦いましたが

      かなりの強さです

      しかも今は一人じゃない!

 

ダンカン:む?

 

ソロモン:わ、我らはゴライアスのようにはいかんぞ!

 

ハルピュイア:そ、その通りっす、かかってくるっす!

 

のび太:あぁ、やってやるさぁ!

 

アレックス:おい、お前はもう黙ってろ!

      ダンカンさん、どうにかして下さい!

 

 

 

105.

ダンカン:ソロモンとやら、約束じゃ、連れて帰るがいい

 

のび太:えぇぇ!?

 

ソロモン:ダンカン、といったか?感謝しよう

 

ダンカン:だが、この巨人の大剣は預からせてもらうぞ

     戦利品は必要じゃ

 

ソロモン:…ああ、持っていけ、行くぞ、ハルピュイア

 

ハルピュイア:うん、さ、旦那、一緒に帰るっすよ

 

 

ゴライアスを担ぎ、ソロモンとハルピュイア達は飛び去って行く

 

 

 

106.

のび太:ダンカンさん、ひどいや

    あの巨人は僕が倒したんだぞ!

 

ダンカン:まぁまぁ、のび太君、ランクアップの

     推薦状を書いてやるから

 

のび太:ランクアップ、ですか?

 

ダンカン:そうともよ、魔人共の幹部を倒したんじゃぞ?

 

のび太:まぁ、それなら…

 

ダンカン:アレックスの推薦状も書いてやらんとな

 

アレックス:ほ、本当ですか!

 

 

 

107.

のび太:え?アレックスも!?

 

ダンカン:アレックスも戦っていたのだろう?

 

のび太:そうですけど…

 

ダンカン:ならばアレックスもじゃ

 

アレックス:よっしゃー!

 

のび太:でも、最後は僕一人で…

 

ダンカン:のび太君、手柄の独占はよくないぞ

 

アレックス:そうだぞ、のび太!

 

のび太:そんなぁ、………あ!

 

ダンカン:どうした、のび太君?

 

のび太:僕の剣、あの巨人に刺さったまんまだ!

 

 

 

108.~異世界、どこかの森の深遠の深遠の深遠~

ロリババァ:こ、ここはどこじゃ

      完全に迷ってしまったぞ

      というか、儂の出番なさすぎんか?

 

 

 

ロリババァは方向音痴

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。