109.~現世界、野比家~
夜分に野比家に押しかけた警察、ジャイアン・スネ夫・しずかの母
ジャイアン母:あんた!武をどこにやったんだい?!
スネ夫母:スネちゃまも帰ってこないざます!
しずか母:静香が来てるはずです、どうしたんですか?
警察:まぁまぁ、皆さん落ち着いて
のび太パパ:そうですよ、僕にもよくわからないんです
警察:えっと、旦那さん
ここらで聞き込みしたんですけどね
あなたが子供二人を怒鳴りつけてた、って
証言があるんですよ
それもゴルフクラブ振りかざして凄んでた、って
のび太パパ:そ、それは…
110.
警察:ちょっと失礼させてもらいますね
のび太パパ:あ、ちょっと!
警察:おや?子供靴がありますね
ジャイアン母:あ、それは武の靴じゃないか!
スネ夫母:スネちゃまの靴もあるざます!
しずか母:静香の靴も…静香は来てるのですよね!?
のび太パパ:だから、その…
警察:上がらせてもらいますよ
のび太パパ:待ってください、違うんです!
111.
警察:旦那さん、あんたの気持ちは判らんでもない
のび太パパ:だ、だから何だって言うんですか…
ジャイアン母、スネ夫母、しずか母も野比家に雪崩れ込む
ジャイアン母:武、いるんか?どこだい?
スネ夫母:スネちゃま返事してちょうだい!?
しずか母:あ、あれは静香のポシェット!
睨みつけるジャイアン母、スネ夫母、しずか母
のび太パパ:だから僕にもよくわからないんです
警察:旦那さん、ここでは何です
署まで来てもらえますか?
のび太パパ:……わかりました
112.~異世界、王都~
聖女:のび太様、まさか王都でお会いするとは
のび太:聖女様じゃないですか、こんなところで
聖女:のび太様こそ王都へはどういったご用事で?
のび太:偉い人たちに僕を紹介するって、聖女様は?
聖女:王都にいる枢機卿様から呼ばれまして
のび太:ふーん
聖女:のび太様、王都に呼び出された
心当たりはありますか?
のび太:偉い人たちに紹介するってんだから
そういうことでしょ?
聖女:他に何か伺っていることはありませんか?
のび太:他にはって、それだけですよ
113.
聖女:先日、私は魔族との戦争が始まる、と
告げられました
のび太:ほう
聖女:のび太様はおそらく戦争に行かれることに…
のび太:そしたらまた魔族を
ギッタンギッタンにしてやりますよ!
聖女:のび太様はよろしいんですか?戦争なのですよ?
殺し合うのですよ?
のび太:魔族なんていう奴らが悪いんだ
そのぐらい平気さ
聖女:そう、ですか…
私も、枢機卿様に呼ばれております
のび太様もご達者で
のび太:…ふん
114.~異世界、王城内の評議会議事室~
ダンカン:皆様、彼らがアレックス君とのび太君です
アレックス:皆様、初めまして、アレックスです
のび太:のび太です、よろしくお願いします
偉い人①:おぉ、この少年らが!
偉い人②:若くしてかなりの実力と聞いておるぞ!
王様:アレックス、のび太、よくぞ来てくれた
先の聖都での活躍は儂も聞いておる
二人ともその若さで大儀であった
のび太&アレックス:はは~~
115.
王様:さて、皆の者
魔族共はその数を大きく増やしたという
これは王国、いや我ら人間とって
由々しき事態である
しかし我々は聖都で魔族幹部の一人を討ち獲った!
この機を逃してはならぬ
今こそ魔族を根絶やしにしようぞ!
偉い人たち:王様万歳!
王様:アレックス、のび太、その方らにも
戦いに参加してもらおう
二人ともまだ若いが活躍を期待してるぞ
のび太&アレックス:はい!
116.~異世界、魔人の要塞~
魔人の隊長:要塞まで退却しろ、体勢を立て直すぞ!
魔人①:くそっ人間達め!
魔人②:は、早く逃げろ!
アレックス:魔族どもめ、逃がすか!
兵士達が魔人達を追いかけるも
魔人達は要塞内に逃げ込む
要塞の門は固く閉じられ、攻め込めそうもない
アレックス:ちっ、逃げこまれたか
ダンカン:これは長期戦になりそうじゃ
のび太:僕に任せろ!
ダンカン:の、のび太君、どうするつもりだい、?
のび太:この程度なら、くらえ、特大ファイアボール!
117.
のび太は単身で要塞に近づくと手を上に掲げ
巨大な火球を生成、要塞に向かって放った
緩やかな弧を描きながら巨大な火球が要塞の一角に接触する
ドォォーーーン
要塞の防壁が大きく吹き飛ぶ
魔人達:ぎゃぁぁぁ!
のび太:どうだ魔族ども!さぁ、ダンカンさん突撃を!
ダンカン:…あ、あぁ、総員、突撃!
兵士達:おお!
多くの兵士が要塞に突入、要塞は瞬く間に陥落した
118.
兵士:聖女様が慰労に来て下さったぞー
のび太:やぁ、聖女様、魔族を沢山倒してやったぞ
聖女:聞き及んでおります
のび太:どうだい、僕は強いだろ?
聖女:のび太様…
のび太:なんだい?
聖女:今回、犠牲となった魔族には
非戦闘員が多くいたそうです
のび太:!?
聖女:武器を持たない多くが犠牲になったのですよ!?
のび太:そ、そんな…
119.
のび太:そんなことどうだっていいだろ!
聖女:!?
のび太:魔族なんて一匹残らず滅ぼしてしまえばいい!
聖女:のび太様、何てことを…
のび太:は?何てこと、だって?
僕が間違ってるってのか?
アレックス:おい、のび太!落ち着け!
のび太:僕は落ち着いてるさ!変なのはお前達の方だ!
ダンカン:のび太君!いい加減にしなさい!
のび太:なんだと!?お前こそ黙ってろ!
120.
ダンカン:なっ!そ、その言葉使いはなんじゃ!
のび太:僕のおかげだぞ!こんなに早く
要塞を落とせたのは!
ダンカン:非戦闘員ごと吹き飛ばすなんぞ褒められん!
のび太:非戦闘員?何度でも言ってやる、魔族なんt
聖女:もう結構です!
一同:……
聖女:皆様、此度の戦いはお疲れさまでした
ダンカン:せ、聖女様…
聖女:皆様に父母神の御加護があらんことを
では、失礼します
聖女、退出
121.
アレックス:おい、のび太!聖女様、帰っちまったぞ!
のび太:僕が悪いってのか!?
アレックス:あぁ、そうだ、お前が悪い!
のび太:僕は悪くない!
アレックス:いいや、お前が悪い!
のび太:なんだと!正しいのは僕だ!
のび太、抜刀
アレックス:ぐっ、や、やるか?
122.
ダンカン:のび太君、止めなさい!
のび太:どけよ、そいつ、魔族のスパイだぞ
ダンカン:いいから、剣を収めなさい
のび太:は?何言ってるんだよ?
魔族のスパイを退治するってんだから
いいでしょう?
ダンカン:仕方あるまい…
ダンカンは剣を按じる
のび太:ダンカンさん、僕は
魔人の四天王の一人を倒したんですよ?
123.
ダンカン:そうじゃのぅ、じゃが、周りを見てみよ
のび太の目に映ったのは、
怯えながらも武器に手をかけた兵士と杖を構える魔術師たち
のび太:…あぁそうかい、お前ら勝手にしろ!
のび太は憮然とした態度で宿営地へと足を向ける
兵士:おい!待てよ、ガキ!
ダンカン:よい、彼はまだ子供じゃ
今回の事は大目にみよう
……しかし、困ったもんじゃのぅ
ダンカンは小さく嘆息
124.
前線を離れ一人で宿営地へ向かうのび太
のび太:あいつらぁぁ!あぁぁぁ、腹が立つ!
ザン!
のび太の背後から、満身創痍の魔人が切りかかった
が、のび太はそれを間一髪かわす
魔人:くそ!損じたか!
のび太:びっくりしたなぁ
何だ、君、傷だらけじゃないか
魔人:仲間の、みんなの仇!お前だけでも!
のび太:君、痛いだろう?苦しいだろう?
安心して、僕が、今、楽にしてあげるよ
のび太は大上段に剣を振り上げた
125.
のび太:ありがとう、君のおかげで
少しは気分が落ち着いたよ
のび太の足元には動かなくなった魔人
のび太:あぁ、気分がいい、強いってこんなに爽快なんだ
???『…ま…はつ…いぞ…ぞくをほろぼ…』
???『…ぞくのいないせ…いのび…な…で…る』
のびた:ふふふ、そうだね…
僕は強い、誰よりも強いんだ
あははははははははははははは
126.~異世界、魔王の城、玉座の間~
玉座にもたれる魔王、その前で跪くソロモン
ソロモン:前線の要塞、人間共に堕とされてございます
魔王ベルモデウス:ゴライアスもやられたな
彼奴の状態はどうだ?
ソロモン:いまだ意識は戻りませぬ
ゴライアスとて胸を貫かれては…
魔王ベルモデウス:そうか
ソロモン:ゴライアスの仇を討たせよ、と
一部のオーク達が喚いておりますが?
魔王ベルモデウス:聞いておる、早まらせるなよ
ソロモン:はっ
魔王ベルモデウス:まったくフェンリルと言い
オーク達と言い…
ソロモン:しかし、こちらとて
打つべき手は打たなくては…
魔王ベルモデウス:確かに、このままではジリ貧か
127.
ソロモン:ベルモデウス様
魔王ベルモデウス:なんだ?
ソロモン:召喚の儀の許可を頂きたく
魔王ベルモデウス:今更、召喚だと?
召喚の研究を命じてから
数十年以上の間、貴重なエーテルが
召喚にどれだけ費えたか忘れたか?
ソロモン:耳の痛い限りで
魔王ベルモデウス:これまで召喚できたものと言えば
何の動物とも判らぬ骨や
木や陶器の破片といった
芥ばかりだったではないか
128.
ソロモン:それが、今までとは事情が異なりまして
魔王ベルモデウス:…言うてみよ
ソロモン:口惜しくもゴライアスは
人間の少年に討たれました、が
その体には血が付着
そして剣も刺さっておりました
魔王ベルモデウス:…ふむ
ソロモン:付着の血を含ませたインクで魔法陣を描き
刺さっていた剣を核として
魔方陣を励起したところ
今までにない強力な反応が得られてございます
129.
魔王ベルモデウス:見込みはあるのだな?
ソロモン:左様で
魔王ベルモデウス:…1000年前
人間共の"勇者"とやらは召喚によって
現れたと、いう話だったな
ソロモン:人間共の間でそう伝わっている
というだけで真偽のほどは如何とも
魔王ベルモデウス:不気味よの
ソロモン:しかし、我が軍の損耗は小さくありませぬ
補強を召喚に拠るも仕方なしかと…
魔王ベルモデウス:わかった、召喚を許可しよう
130.~異世界、魔王の城、大広間~
部屋の床面には魔法陣が描かれ、その中心には一振の剣が刺さる
サキュバス:これが召喚の魔法陣なのね、
思ったより小さいわね
ソロモン:魔法陣の作成に希少な血を用いているのだ
インクの量に限りがある、徒に大きくできぬ
サキュバス:大丈夫なの?
ソロモン:エーテル無しではあったが
実験を幾度と繰り返し
その結果の全てが今までとは全く違うのだ
かつての様にはならない、はず
だと思わないわけでもない
サキュバス:なんか頼りないわね
ソロモン:そう言ってくれるな
これでも最善を尽くしたのだ
サキュバス:そう言うことにしてあげるわ
131.
ソロモン:ベルモデウス様、召喚の儀の準備
整ってございます
魔王ベルモデウス:…うむ、此度の召喚のエーテルは
これにて賄え
ソロモン:あり難き
ソロモンはエーテルを受取ると
これを魔法陣中央の剣に注ぐ
暫くすると魔法陣がぼうっと輝き始め
光の粒子が舞い始めた
と、魔法陣は爆発的な閃光を放ち
大広間全体が光に包まれる
サキュバス:た、確かに今までとは違うわ!
ソロモン:どうだ!何が出る!?
その眩さに怯む魔王たちを尻目に
魔法陣は徐々に輝きを失う
大広間に訪れる静寂、魔法陣内には5つの影
132.
魔王城の大広間にドラえもんら4人とのび太の骨箱が顕現
ドラえもん:こ、ここは?
しずか:何が起きたの?
ジャイアン:おぉ?
スネ夫:うわぁぁぁ!
ソロモン:"△×※×※◇△〇☆×"
魔王ベルモデウス:"☆?×!〇◇?〇×"
魔王たちを見るとスネ夫は悲鳴を上げた
133.
サキュバス:"×?!※$◇!〇☆※"
ハルピュイア:"?×〇※××※△"
ドラえもん:あ、あんたたちは何者だ!
魔王ベルモデウス:"%×〇△※☆☆☆☆#$"
ソロモン:"×!△◇☆☆×△☆"
しずか:ドラちゃん…
ドラえもん:この人たちは一体…
いや、そもそも人、じゃない?
ドラえもんの陰に隠れるしずか達
魔王たちは困惑の表情で互いに顔を見合わせながら話し込む
134.
スネ夫:ドラえもん、ここはきっと異世界だ
ドラえもん:異世界?なにそれ?
スネ夫:最近、流行ってるんだよ
ドラえもん:流行ってるって何よ、それ?
ソロモン:"!※#?!×△◇△%#"
魔王ベルモデウス:"※◇?☆△※※◇"
スネ夫:多分、僕らはこの人たちに召喚されたんだよ
ドラえもん:何のために?
スネ夫:それはわからないよ
135.
サキュバス:"$※?#◇◇!☆×!"
ハルピュイア:"?△!◇$$※☆?◇"
ドラえもん:この人たち、敵意はないみたいだけど
しずか:何を言ってるのか全然わからないわ
ドラえもん:それなら、ホンヤクコンニャク~~~!
ささ、みんな食べて
ホンヤクコンニャクを食べるドラえもん達
ドラえもん:僕の言ってることわかりますか?
ソロモン:おお言葉が通じたぞ、どういう魔法なのだ?
ドラえもん:魔法じゃなくて科学です
ソロモン:カガク?タヌキの獣人族には
その様な技があるのか?
ドラえもん:タ、タヌキ?ぼ、僕は
タヌキなんかじゃなーい!
136.
ぶち切れドラえもん、魔王たちと悶着したが紙面の都合上、省略
ドラえもん:い・い・で・す・か?僕は、猫型ロボット!
ハルピュイア:そのロボットってのは
ゴーレムみたいのもんっすか?
サキュバス:ゴーレムにしては随分と小さいわね
喋れるっていうのも
ドラえもん:えーっと、だからなんていうか
ジャイアン:もうドラえもんは
ゴーレムってことにしちまえよ
ドラえもん:そう言われても、
ジャイアン:ところでスネ夫、ゴーレムってなんだ?
スネ夫:ロボットみたいなもんだよ
ジャイアン:おう、ロボットみたいなもんか
137.
スネ夫:皆さんが僕たちを召喚したんですよね
ソロモン:その通りだ
スネ夫:ということはですね、なんというかその
ソロモン:言いたいことがあるなら言ってみよ
スネ夫:僕たちに凄い能力とかあったりするんですよね?
ソロモン:凄い能力、だと?
スネ夫:わざわざ僕たちを召喚したってことは
そういうことでしょ?
ソロモン:サキュバス、鑑定を!
サキュバス:わかったわ、坊やたち、ちょっといいかな?
138.
サキュバスは両腕をスネ夫の首に絡めるとそのまま抱きしめ
その妖艶な体をスネ夫に押し付ける
スネ夫:うひゃぁ!
ドラえもん:ちょ、ちょっと、あんた!
しずか:まぁっ!
ジャイアン:おい!スネ夫!
スネ夫に続き、サキュバスは他の三人も同様に抱きしめた
のぼせ上がる4人を解放すると、彼女は首を横に振る
サキュバス:ゴーレムの子の鑑定はできなかったけど
他の3人は普通の人間の子供
特別な能力は何も無いわ
ソロモン:そ、そうか
139.
サキュバス:それどころか魔力すら無いわね
がっくりと膝をつくスネ夫
スネ夫:そんなぁ、異世界に来たのに
チートも魔法も無いなんて!
しずか:スネ夫さん、元気出して
ドラえもん:あの、僕たちはなぜ
召喚なんてされたんですか?
ソロモン:それは
魔王ベルモデウス:人間共との戦争の駒として使うためよ
しずか:戦争?そんなことできません!
スネ夫:そうだよ!チートが無いんだから無理だよ
戦争なんて!
ジャイアン:お?あ?
ドラえもん:みんなにそんなことさせないぞ!
140.
魔王ベルモデウス:当然だ、おぬしらの様な子供を
戦場に送るか
ドラえもん:えっ?
魔王ベルモデウス:しかしサキュバスよ、そこの
ゴーレムの鑑定は出来なんだな?
ドラえもん:僕の名前はドラえもんだ
ゴーレムなんて呼ぶな!
魔王ベルモデウス:そういえば名を聞いてなかったな
他の者の名は何というのだ?
しずか:源静香です
スネ夫:骨川スネ夫…
ジャイアン:剛田武だ、ジャイアンと呼んでくれ
ハルピュイア:で、このちっちゃい箱は何っすか?
ハルピュイアがつま先でのび太の骨箱を小突く
141.
ジャイアン:やめてくれ!
ハルピュイアの足下から骨箱を攫うジャイアン
ハルピュイア:うわ!びっくりしたなぁ
ジャイアン:こ、これは俺の、俺たちの心の友だ!
ハルピュイア:は?その小さい箱がお友達?
ジャイアン:そうだ、だ、だから乱暴に扱わないでくれ!
ハルピュイア:どういうことっす?
魔王ベルモデウス:ハルピュイア、その辺にしておけ
何か事情があるのだろう
ハルピュイア:はいっす…
ジャイアン:……
142.
しずか:あの…
魔王ベルモデウス:源静香といったか?何だ?
しずか:私たちは元の世界に帰れるのですよね!?
魔王ベルモデウス:どうなのだ?ソロモン
ソロモン:いや、そ、それは、
魔王ベルモデウス:応えよ!
ソロモン:……現段階での召喚の儀は呼ぶのみ
スネ夫:え?
しずか:それって
ジャイアン:まじか、
ソロモン:どうもこうもない
我らはそなたらを還す術を持たぬ!