143.~異世界、魔王の城、大広間~
しずか:そんな、私たち帰れないの?
スネ夫:ママ~~~!!
ジャイアン:か、かあちゃ~~~ん!!
ドラえもん:無責任な、あなたたちが勝手に
僕たちを召喚したんじゃないですか!
ソロモン:我らに帰らせる術がない、というだけだ
そなたらが帰れぬという訳では…
魔王ベルモデウス:詭弁を弄すな、ソロモン
ソロモン:も、申し訳ございませぬ
魔王はソロモンを窘めるとドラえもんたちを一瞥
144.
ドラえもんたち:ひ…
魔王の眼光に怯む4人
魔王ベルモデウス:ソロモン、お前に追加の命を課す
召喚研究を再開せよ
何をすべきかはわかっておるな?
ソロモン:御意のままに
魔王ベルモデウス:物資の調達はハルピュイアを使え
よいな、ハルピュイア?
ハルピュイア:了解っす
魔王ベルモデウス:次にサキュバス
この者達に部屋をあてがってやれ
サキュバス:仰せつかりました
145.
魔王ベルモデウス:ドラえもんとやら、おぬしら4人の
我が城での滞在を許そう
だが城の敷地外に出るは禁ずる
城の外の民達、特に年寄り連中には
未だ人間を忌み嫌う者も少なくない
安全を約束できぬ、故に出るな
ドラえもん:は、はぁ…
魔王ベルモデウス:そこのサキュバスを
おぬしらに就ける、何かあれば
この者に言うがいい
サキュバス:よろしくね
ジャイアン&スネ夫:は、はい!よろしくお願いします!
魔王ベルモデウス:して、子らよ
ドラえもん:何です?
魔王ベルモデウス:…すまなかったな
146.~異世界、魔王城内の客室~
サキュバス:部屋の準備が出来るまでここで寛いでて
ドラえもんたちにそう告げるとサキュバスは部屋を出て行った
ドラえもん:さて、みんなどうする?
ジャイアン:どうするって、俺たち帰れないんだろ?
ドラえもん:あのさぁ、ジャイアン
僕を誰だと思ってるんだい?
スネ夫:あ、そうか、ドラえもんには
便利な道具があるんだ
しずか:そうだったわ、心配して損しちゃった
ドラえもん:その通り!そして僕は
こんなものを持ってる!!
はい、どこでもドア~~~
147.
しずか:ドラちゃん、さすがよ!
ジャイアン:それでこそドラえもんだぜ!
スネ夫:やっぱりドラえもんは頼りになるな~
ドラえもん:ふふふ、まぁ、みんな安心してよ
ジャイアン:なんか安心したら
もっとここに居たくなってきたな
スネ夫:なぁ、ジャイアン、あのサキュバスさんって
女の人、綺麗だったよね
しずか:ちょっとスネ夫さん!
ジャイアン:おう、そうだな、スネ夫
しずか:タケシさんまで!
ドラちゃん、もう早く帰りましょ!
ドラえもん:はいはい、んじゃ、のび太君の部屋へ
ドラえもんはどこでもドアに向かって目的地を告げた
148.
どこでもドア:…ピ、ピ、ピピピ、ピピピピピピピピ
ドラえもん:あれ?
どこでもドア:ブーー!エラーコード98105
現在位置の取得に失敗しました
ドラえもん:あ……、み、みんな、大変だ
ここではどこでもドアが使えない
しずか:ドラちゃん、サイテー…
ジャイアン:ドラえもん、見損なったぜ!
スネ夫:ドラえもんって、いざって時に役に立たないよね
149.~異世界、"モヨリ集落"の近郊~
魔王城に最も近い拠点"モヨリ集落"を
人間たち連合軍は攻略中
その主戦場から離れた宿営地でのび太は居残り
のび太:なんで僕がこんなところに
居なくちゃいけないんだ!
ダンカン:そりゃ、君が秘密兵器だからじゃのう
のび太:…へ、へぇ、ぼ、僕が秘密兵器か~~~
ダンカン:そうじゃ、だから君はしばらく
ここで休んでなさい
のび太:へへ、それじゃぁ
のんびりさせてもらおうかなぁ
ダンカン、のび太の居る場所から退出
兵士:宥められましたか?
ダンカン:なんとかな、で、戦況はどうじゃ?
兵士:現状、膠着状態といったところです
150.~異世界、魔王城内、某所~
元の世界に帰れなくなったドラえもんたち
落胆するも為す術無し
魔王城での自由を許され、そのまま魔王城で過ごすこととなる
しずか:サキュバスさん、お聞きしたいことが
サキュバス:あら、何かしら?
しずか:お風呂ってありませんか?
サキュバス:お風呂?大浴場でいい?
しずか:はい、大丈夫です
サキュバス:ならこっちよ、連れて行ってあげる
しずか:ありがとうございます
よかった、ちゃんとお風呂があって
しずか:あの、お風呂って混浴なんですか!?
サキュバス:コンヨク?コンヨクってなぁに?
151.~異世界、魔王城の上空~
魔王城の上空を大きな荷物を抱えて飛ぶドラえもん、
スネ夫、ハルピュイア(ドラえもんとスネ夫はタケコプターとスーパー手袋を装着)
スネ夫:このお城、すごい広さだなぁ
ハルピュイア:でしょう、ただでさえ広くて
荷物を運ぶのが大変なのに
戦争のせいで人手が無くなっちゃってさぁ
手伝ってもらって、ホント助かるっすよ
ドラえもん:いえいえ、このぐらいだったら喜んで
ハルピュイア:しっかし、ドラえもん君、君ってすごい
ゴーレムっすねぇ、しゃべれる上に
そんな魔道具まで持ってるなんて
ドラえもん:いやぁ、それほどでも
ハルピュイア:ところで、他の二人はどうしたの?
スネ夫:しずかちゃんならお風呂に入りたいって
サキュバスさんのところへ
ジャイアンは一人にしてくれって
出て行っちゃいました
152.~異世界、魔王城の敷地の外れ~
広い庭の中、一人、たたずむジャイアン
ジャイアン:俺、帰れなくなっちまったのか…
これは、あんなことをした俺への
神様からの罰なんだ
しかもドラえもんやしずかちゃんまで
巻き込んじまって…
俺は一体どうすれば、うっうっうっ…
地面に突っ伏し、泣き伏せるジャイアン
ジャイアン:…そうだ、歌だ!俺には歌がある!
ドラえもんたちに歌を送ろう
それもとびっきりのやつを
よし、そうとなれば特訓だ!
ほげ~~~~~♪
153.
ジャイアンの歌の特訓、怪音が周辺に響く
オーク①:おい、オマエ!
不意に自分より体の大きなオーク達に声をかけられ、ジャイアンは驚く
ジャイアン:わっ!?
オーク①:オマエ、その声、どこで覚えた?
ジャイアン:声?俺は歌を歌ってんだ
オーク②:歌?歌ってなんだ?
ジャイアン:何だ、あんた達、歌も知らないのか?
歌ってのはこういうんだ
ボエ~~~~~♪
154.
ジャイアン:どうだ、これが歌だぞ
オーク達:……
ジャイアン:な、なんだよ、黙りこくっちゃって
オーク達:おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!
オーク①:オマエの声、すごい!
オーク③:何という声だ、こんな気分は初めてだ!
ジャイアン:だ、だから歌だって、ただの声じゃねぇって
オーク③:歌、だったな、いいぞ、オマエの歌、いいぞ!
155.
ジャイアン:ほんとか!?
オーク①:本当だ、俺たち、オマエのみたいな
気合の声上げることある
でも、オマエの歌、俺たちのよりずっとスゴイ
オーク④:俺、お前の歌、気に入った
オーク⑤:俺もだ、もっと聞かせてくれ
ジャイアン:じ~~ん
ジャイアンは目に涙を浮かべ顔をほころばせる
ジャイアン:もちろんだ、心の友たちよ
いくらでも歌ってやる!
魔王城郭の片隅、ジャイアンリサイタルが幾度と催された
156.~異世界、"モヨリ集落"近郊、人間たち連合軍の宿営地内の司令所~
将軍:ダンカン殿、なぜ、のび太少年を出さぬのだ!?
他国からの援軍も来ているのだぞ?
ここで我が国の力を見せねば!
枢機卿:そうですよ、ここは将軍に従い
のび太少年を出すのです
ダンカン:しかし彼はまだ幼く危険です
枢機卿:ダンカン殿、私は枢機卿の次席ですよ?
ダンカン:……わかり申した
~異世界、"モヨリ集落"外縁~
戦場に立つのび太、その手には打ち直されたゴライアスの剣が握られる
のび太:やぁやぁ我こそはゴライアスを倒した
野比のび太なるぞ!
今日の我が剣は血に飢えている
魔族共、覚悟しろ!
157.~異世界、魔王城、城門内~
オークたちの要望でジャイアンはオークたちと引き合わされる
サキュバス:ご指名の坊やを連れてきたわよ
オーク①:サキュバス様、ありがとうごぜぇます
ジャイアン、オマエにこれを渡したくてな
いままで、オマエの声を聞かせてくれた礼だ
ジャイアン:だから声じゃ無くて歌だっつーの
オーク①:そうだ歌だったな、わるかった
オーク①は石の首飾りをジャイアンに渡した
オーク①:俺たちも同じの持ってる
ジャイアン:おう、ありがとうよ
158.
オーク①:じゃぁ、俺たち、もう行く
ジャイアン:行くって、どこへ行くんだよ?
サキュバス:モヨリって場所よ、今
ちょっとまずい状況になってるの
ジャイアン:戦いに、行くのか?
オーク①:…そうだ
ジャイアン:なぁ、また会えるよな?
俺の歌、また聞いてくれるよな?
オーク①:……あぁ、のび太って奴を倒して
俺たち戻ってくる
ジャイアン:のびた?あんた、今
のび太って言ったよな?
のび太がここにいるのか?
イタ、アイタタタタ!
顔を歪めるジャイアン、サキュバスが彼の二の腕を強く掴んでいる
サキュバス:あんた、のび太を知ってんの?
159.~異世界、魔王城内、地下室~
突如、拘束され魔王城内の地下室に
連れてこられたドラえもんたち
そこで"のび太"の存在を聞き、一同は大きく驚く
ドラえもん:僕たちの話も聞いて下さい!
しずか:そうです!!こんなのは勝手すぎです!
サキュバス:黙りなさい!!
ドラえもん一同:うぅっ…
サキュバス:アンタ達には聞きたいことが山ほどあるわ
暫くはここに居ること
安心なさい、食事と着替えぐらいは
持ってきてあげるから
そう言い放って部屋を出るサキュバス
カチャリと扉の施錠の音がした
ジャイアンがガタガタと扉を開けようとするも、埒明かず
ジャイアン:くそっ開かない、閉じ込められた
160.
しずか:サキュバスさんが言ってたのび太さんって
やっぱりあののび太さんよね
ドラえもん:特徴は僕たちの知ってるのび太君だけど…
スネ夫:でも、戦争で暴れ回ってるなんて
のび太らしくないんじゃないかな
ドラえもん:そうなんだよなぁ…
スネ夫:格好がそっくりな同じ名前の別人かもよ?
ジャイアン:なぁ、俺は行くぜ、モヨリってところへ!
スネ夫:ちょっと、ジャイアン本気かい!?
ジャイアン:あぁ本気だ
のび太がいるかもしれねぇんだぞ!
しずか:私も行ってもいいと思う
人違いだったら、その時はその時よ
スネ夫:……え、あ、うん、みんなが行くなら
僕も行ってもいいかな
ドラえもん:よし、行こう、モヨリへ
161.
ドラえもん:まずはここから脱出しないと
通り抜けフープ!
ドラえもんはフープを壁に取り付ける、が、無反応
ドラえもん:あれ?
ぬ、抜け穴フープ!! → 無反応
抜け穴ボールペン!!! → 無反応
ドンブラ粉~~~~~~!!!!
とう!
ドンブラ粉を体に振りかけ地面にダイブするドラえもん
がしーーん
普通に地面に激突
しずか:ドラちゃん、大丈夫?
162.
スネ夫:ドラえもん、ここ、異世界
ドラえもん:どうやら、この世界のモノや空間を
変化させる道具は使えないみたいだね…
ふっふっふ、いいだろう…
異世界だか何だか知らないが、22世紀の
科学の力を見せてやろうじゃないか!
ジェットモグラ~からのビッグライト~~!
行け~~~!
どこーーーん!
ビッグライトで人間大の大きさになったジェットモグラが
地下室の壁を破壊、爆音を上げてトンネルを掘っていく
ドラえもん:どうだ~!これが22世紀の科学だ!
しずか:ちょっとドラちゃん、気付かれちゃうわよ!
ドラえもん:おっといけない、さ、みんな早く
ドラえもんたち4人は地下室に開いたトンネルに入っていった
163.~異世界、魔王城、城門外~
ジェットモグラのトンネルは魔王城の城門外まで通じた
ドラえもん:よし、脱出できたぞ
ジャイアン:みんな、モヨリまで急ぐぞ!
ドラえもん:……
ジャイアン:おい、何ぼさっとしてるんだよ、早く行くぞ
スネ夫:ねぇ、ジャイアン、そのモヨリって
どこにあるのか知ってるのかい?
ジャイアン:いや、知らねぇよ
スネ夫:じゃぁ、どうやってモヨリまで行けばいいのさ
ジャイアン:えっ、オークのおっさんたちは
もう向かってるんだろ?
スネ夫:そのオークって人たちはどこにいるの!?
164.
ドラえもん:ねぇジャイアン
そのオークの人たちのモノ
何か持ってない?
ジャイアン:それなら、こいつをもらったな
ジャイアンは石の首飾りを示す
ドラえもん:警察犬三輪車~~~!
ドラえもん:この鼻の部分に首飾りの匂いを嗅がせて
警察犬三輪車:クンクンクン…
ドラえもん:あとは自動的に匂いを追ってくれる
警察犬三輪車が城の反対側、森の方へ動き出す
ドラえもん:こっちか、よし、行こう
ドラえもんたちは警察犬三輪車の後を追う
165.~異世界、モヨリ集落入口~
スネ夫:ふう、やっと着いた
ジャイアン:もっと早く走れねぇのかよ
ドラえもん:三輪車なんだから仕方ないよ
そして警察犬三輪車はさらに集落中央へとドラえもんらを導く
~異世界、モヨリ集落中央~
オーク②:ぐふっ
のび太:何だい、口ほどにもない奴らだな
???『もっとこいつらを痛めつけてやれ』
???『魔族共が相手だ、遠慮なんかするなよ』
のび太:しかし困ったなぁ、この剣
前のより全然切れないぞ
のび太を囲むオークたち、皆、傷つき、疲弊し、怨めしくのび太を睨む
ドラえもん:あ、あれはのび太君?!
166.
ジャイアン:おーい、のび太ぁ!
のび太:ん?この声は?
オーク①:よそ見してんじゃねぇ!
オーク①が振下ろすこん棒を、のび太は片手で受止めると
反対の手をオークに押し当て、魔法を詠唱
発動した魔法に吹き飛ぶオーク、そのオークに駆け寄るジャイアン
ジャイアン:おい、アンタ、大丈夫か?
のび太:あれぇ?ジャイアンじゃないか、久しぶりだね
何だい、君も死んじゃったの?
もしかして死刑になっちゃったとか?あははは!
ジャイアン:…う、うるせぇ!おい、のび太
もうやめろ!お前はこんなことする奴じゃ
なかっただろう!?
のび太:そうはいかないんだよジャイアン
僕には使命があるんだ
167.
オーク③:くっちゃべってんなよ!
今度はオーク③が攻撃を仕掛けるが、のび太は難なく回避
そのままオークに切り付ける、と、裂傷にオークはもんどり打つ
のび太:こいつらを鏖にする、っていう大事な使命がね
ジャイアン:のび太、てめぇ!
のび太:あぁ、ジャイアン
君にはお礼を言わないとね、君のおかげで
僕はこんなに素晴らしい体を手に入れられたよ
さてと、ジャイアンそこからどいて、じゃないと
のび太が手を上に挙げながら魔法を詠唱、掌に巨大な火球が生成される
のび太:君も巻き添えになっちゃうよ?
168.
ドラえもん:ドカン!
ドラえもんは空気砲を発射、衝撃波がのび太に直撃、のび太は弾き飛ばされた
のび太:な、何するんだよ、ドラえもん
痛いじゃないか!
ドラえもん:その声で、その姿で僕の名を呼ぶな!
のび太:感動の再会シーンじゃないか
何だって言うんだよ?
ドラえもん:うるさい!
お前は、のび太君なんかじゃない!
のび太:はぁ?僕はのび太だよ
僕を忘れたのかい、ドラえ
ドラえもん:ドカーン!!
再び衝撃波がのび太に直撃、さらに大きく後方へ吹き飛ぶのび太
のび太:に、二度も僕を撃ったな、もう許さないぞ!
169.
オーク④:待て、オマエの相手、あいつらじゃない
俺らオーク!
オーク⑤:そうだ、俺らオークをなめるな!
のび太:しつこいんだよ、デカブツども!
のび太の前に満身創痍のオーク達が立はだかる
ジャイアンの足下で倒れていたオーク①も立ち上がる
ジャイアン:おい、だめだ、寝てろって
オーク①:…ジャイアン、すまねぇ
もうお前の歌、聞けねぇ
ジャイアンを払いのけ、のび太の方へ向かっていくオーク①
ジャイアン:ま、待てよ
オーク①:サヨナラだ、ジャイアン
オマエの歌聞けて、嬉しかったぞ
170.
オーク①:オマエら、俺らオークの底力を見せてやるぞ
気合だ、声を上げろ!
他のオーク達:ボウア、ボウァ、ボゥア、ボゥァ!
ヴォヮァァァッッッ!!
ジャイアン:…オマエら、歌なら、歌なら
今、聞かせてやるよ!
おれはジャイアーン、がーきだいしょー♪
のび太&ドラえもん&しずか&スネ夫:うぎゃーーー!
のび太&ドラえもん&しずか&スネ夫、失神
ジャイアン:み、みんな、どうしたんだ?
オーク①:やっぱりオマエの歌ってやつ、すごい
オーク④:でも、コイツらみんな、何で倒れたんだ?
171.
オーク①:ジャイアンの頼みでも無理
あいつ、ゴライアス様の仇
ジャイアン:そんなこと言わずに助けてやってくれ
友達なんだ
離れた位置で失神しているのび太の処遇を巡り、オーク達とジャイアンは問答
オーク①:じゃぁ、相撲で決める
相撲でジャイアン勝ったら…
オーク⑤:オマエら、危ねぇ、伏せろ!
危険を察知したオーク達がジャイアン、ドラえもん、
しずか、スネ夫に覆い被さった次の瞬間
幾多の矢がヒュンヒュンと彼らに降り注いだ
ダンカン:先の轟き
やはりオーク共の雄叫びであったか!
敵は手負いぞ、皆の者、ぬかるなよ!
先に響いたオークらの雄叫びを聞きつけ
この場に駆けつけた人間たち連合軍
数多の矢を射かけると余勢を駆ってオークらに向かっていく
172.
ハルピュイア:させないっすよ、みんな攻撃開始ぃ!
ドラえもんたちを追ってきた魔王軍も同じく
オークらの雄叫びを聞きつけ
この場に急行、人間たち連合軍に空から礫の雨を降らせる
ハルピュイア:サキュバス、今のうちにオーク達を!
サキュバス:急いで、撤退よ、その子達も連れて帰るわ
早く!
オーク①:め、面目ねぇ、サキュバス様
ハルピュイア:ちょっ、サキュバス、あっちに
のび太っぽいのが倒れてるけどぉ?!
サキュバス:捨て置きなさい、今は全員の安全が優先よ!
魔王軍はドラえもん・しずか・ジャイアン・スネ夫を回収して後方へ下がっていく
兵士①:魔王軍、退却していきます
ダンカン:おのれ逃げるか、皆の者、敵はすぐそこじゃ!
173.
ハルピュイア:みんな、もういっちょー!
再度ハルピュイア隊が礫の雨を降らす、堪らず人間たち連合軍は足を止める
ダンカン:くっ、空じゃ、空を射よ!
ハルピュイア:おっと、僕たちも逃げるっすよー
ハルピュイア隊も飛び去っていく
ダンカン:不覚、逃げられたか!
兵士②:ダンカン殿、あれを!!
地面に数本の矢が刺さるすぐ脇で横たわるのび太、数名の兵が彼に駆け寄る
兵士③:のび太を発見、呼吸・心拍共に有り
気絶しているだけのようです
魔王軍は撤退、モヨリの戦いは人間たち連合軍の勝利に終わった
174.~異世界、魔王城~
ドラえもんたちはのび太との通謀を疑われるも
オーク達の証言とサキュバスによる再鑑定の結果、潔白、日常へ
しずか:ダメだわ、やっぱり眠れない…
眠れないしずか、魔王城内を散策しているとドラえもんと遭遇
しずか:ドラちゃんじゃない、ドラちゃんも眠れないの?
ドラえもん:うん…
しずか:ねぇ、ドラちゃん、私達、どうなるのかしら?
ドラえもん:それは僕にもわからないよ…
~~~♪
しずか:あら、この音って、バイオリン?
ドラえもん:う~ん、あっちの方から聞こえるけど
175.
バイオリンらしき音の方に歩みを進める二人、とある部屋の扉の前にたどり着く
ドラえもん:この音、やっぱりバイオリンだね
この部屋から聞こえるけど
しずか:誰が弾いてるのかしら?
ドラえもん:しっかし、ぷぷ、このバイオリン
下手くそだなぁ、ぷぷぷぷぷ
しずか:ちょ、ドラちゃん、くすくす
そんなこと言っちゃだめよ、くすくすくす
魔王ベルモデウス:言ってくれるではないか
部屋の扉が開き、扉の向こうから現れたのは魔王
ドラえもん&しずか:くぁwせdrftgyふじこlp
魔王ベルモデウス:…まぁ良い、立ち話もなんだ、入れ
176.
魔王に促され、引きつった表情で部屋に入るドラえもん&しずか
魔王ベルモデウス:のび太とやらと、やり合ったそうだな
ドラえもん:…あれは、あれはのび太君じゃありません
魔王ベルモデウス:おぬしらの知るのび太とは
別人だったのか?
ドラえもん:いいえ、あいつはのび太君でした
でも、のび太君じゃない
魔王ベルモデウス:支離滅裂だな
ドラえもん:……
魔王ベルモデウス:……どうだ、おぬしらも飲むか?
魔王は棚からブドウ酒とグラスを取り出すと2人に尋ねる
しずか:あ、結構です
魔王ベルモデウス:飲めるときに飲んでおけ
遠慮はいらんぞ
177.
しずか:…あの、私達は帰れず、ここで、このまま……
魔王ベルモデウス:既に失ってしまった部下も少なくない
余は、おぬしらを
守ってやれぬかもしれぬ
しずか:そんな…
魔王ベルモデウス:まぁ、おぬしらは人間の子だ
身柄が人間の手に渡ったとて
よもや処断されることはなかろう
…が、過去に余らが保護した後に
人間社会に帰った者が、結局は、
人間社会より葬られたこともあった
と聞く、故にそう簡単におぬしらを
放り出すこともできぬ
それに帰りたいのであろう?故郷に
しずか:はい
魔王ベルモデウス:ならば、帰してやらんとな
178.
魔王ベルモデウス:とはいえ
余はこの城から出ることが出来ぬ
ドラえもん:え、お城から出られない?
魔王ベルモデウス:うむ、出ようとすると
透明な壁の様なものがあってな
しずか:何故ですか?
魔王ベルモデウス:その様に運命づけられている
とだけ答えておこうか
ドラえもん:そんなこと僕たちに言っていいんですか?
魔王ベルモデウス:部下達はみな知っておる
何ら問題はない
そんな部下達が必死に戦っている中
余に出来ることといえば
のんきにこいつを弾くことのみよ
魔王はバイオリンを構える
しずか:バイオリン、お好きなんですね
魔王ベルモデウス:冗談を申すな
あの音を聞いたのであろう?
余にも騒音にしか聞こえんわ
179.
魔王ベルモデウス:ところで、おぬしらは
バイオリンを知っているのか?
ドラえもん&しずか:え?まぁ、はい
魔王ベルモデウス:バイオリン、これは代々この城で
受け継がれてきたものだが
領内にあるはこれ1挺のみ
これについてを知るは
余の他におらぬ、故に余の
バイオリンは全くの独学
おぬし達の酷評も仕方有るまい
しずか:いや、そんなこと、わ、私なんかよりも
ずっとお上手でしたわ!
魔王ベルモデウス:む、源静香とやら、おぬし
バイオリンを弾けるのか
ならば一曲所望しよう
しずか:え、ホントですか!?
ドラえもん:しずかちゃん、やめて!
しずか:いいじゃない、せっかくだし
ドラえもん:い・い・か・ら・や・め・て
しずか:ドラちゃん、顔が怖いわよ…
180.
しずか:お好きじゃないのに
なんでバイオリンを弾かれるのです?
魔王ベルモデウス:代々のシキタリでな、この曲
魔王は二人に譜面を見せる
魔王ベルモデウス:この曲をこのバイオリンで
弾けるようにならねばならんのだが
全くダメだ、尤も、先代も
弾けなかったと聞いておるがな
しずか:ドラちゃん、なんとかしてあげられない?
ドラえもん:う~ん、期限付きになっちゃうけど
音楽家ライセンス~~~
しずか:その道具、前に私達も使ったわね
ドラえもん:これ、どうぞ
魔王ベルモデウス:何だ、これは?
ドラえもん:これからバイオリンの練習するときは
これを着けるといいですよ
181.~異世界、魔王城、客間~
それから暫くして
サキュバス:ドラえもん、ベルモデウス様がお呼びよ
~異世界、魔王城、玉座の間~
サキュバス:ドラえもん殿をお連れしました
ドラえもん:何か御用でしょうか?
魔王ベルモデウス:おぬしから渡されたこのカード
(音楽家ライセンス)を着けて以来
バイオリンの調子が良くてな
ドラえもん:それはよかった
魔王ベルモデウス:何か褒美を取らさねばなるまい
何を望む?
ドラえもん:では
魔王ベルモデウス:何だ?
ドラえもん:僕たちをのび太君と戦わせてください!