ドラえもん のび太の異世界奇譚 戯曲篇   作:浪園

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魔族達とドラえもん達

143.~異世界、魔王の城、大広間~

 

しずか:そんな、私たち帰れないの?

 

スネ夫:ママ~~~!!

 

ジャイアン:か、かあちゃ~~~ん!!

 

ドラえもん:無責任な、あなたたちが勝手に

      僕たちを召喚したんじゃないですか!

 

ソロモン:我らに帰らせる術がない、というだけだ

     そなたらが帰れぬという訳では…

 

魔王ベルモデウス:詭弁を弄すな、ソロモン

 

ソロモン:も、申し訳ございませぬ

 

 

魔王はソロモンを窘めるとドラえもんたちを一瞥

 

 

 

144.

ドラえもんたち:ひ…

 

 

魔王の眼光に怯む4人

 

 

魔王ベルモデウス:ソロモン、お前に追加の命を課す

         召喚研究を再開せよ

         何をすべきかはわかっておるな?

 

ソロモン:御意のままに

 

魔王ベルモデウス:物資の調達はハルピュイアを使え

         よいな、ハルピュイア?

 

ハルピュイア:了解っす

 

魔王ベルモデウス:次にサキュバス

         この者達に部屋をあてがってやれ

 

サキュバス:仰せつかりました

 

 

 

145.

魔王ベルモデウス:ドラえもんとやら、おぬしら4人の

         我が城での滞在を許そう

         だが城の敷地外に出るは禁ずる

         城の外の民達、特に年寄り連中には

         未だ人間を忌み嫌う者も少なくない

         安全を約束できぬ、故に出るな

 

ドラえもん:は、はぁ…

 

魔王ベルモデウス:そこのサキュバスを

         おぬしらに就ける、何かあれば

         この者に言うがいい

 

サキュバス:よろしくね

 

ジャイアン&スネ夫:は、はい!よろしくお願いします!

 

魔王ベルモデウス:して、子らよ

 

ドラえもん:何です?

 

魔王ベルモデウス:…すまなかったな

 

 

 

146.~異世界、魔王城内の客室~

 

サキュバス:部屋の準備が出来るまでここで寛いでて

 

 

ドラえもんたちにそう告げるとサキュバスは部屋を出て行った

 

 

ドラえもん:さて、みんなどうする?

 

ジャイアン:どうするって、俺たち帰れないんだろ?

 

ドラえもん:あのさぁ、ジャイアン

      僕を誰だと思ってるんだい?

 

スネ夫:あ、そうか、ドラえもんには

    便利な道具があるんだ

 

しずか:そうだったわ、心配して損しちゃった

 

ドラえもん:その通り!そして僕は

      こんなものを持ってる!!

      はい、どこでもドア~~~

 

 

 

147.

しずか:ドラちゃん、さすがよ!

 

ジャイアン:それでこそドラえもんだぜ!

 

スネ夫:やっぱりドラえもんは頼りになるな~

 

ドラえもん:ふふふ、まぁ、みんな安心してよ

 

ジャイアン:なんか安心したら

      もっとここに居たくなってきたな

 

スネ夫:なぁ、ジャイアン、あのサキュバスさんって

    女の人、綺麗だったよね

 

しずか:ちょっとスネ夫さん!

 

ジャイアン:おう、そうだな、スネ夫

 

しずか:タケシさんまで!

    ドラちゃん、もう早く帰りましょ!

 

ドラえもん:はいはい、んじゃ、のび太君の部屋へ

 

 

ドラえもんはどこでもドアに向かって目的地を告げた

 

 

 

148.

どこでもドア:…ピ、ピ、ピピピ、ピピピピピピピピ

 

ドラえもん:あれ?

 

どこでもドア:ブーー!エラーコード98105

       現在位置の取得に失敗しました

 

ドラえもん:あ……、み、みんな、大変だ

      ここではどこでもドアが使えない

 

しずか:ドラちゃん、サイテー…

 

ジャイアン:ドラえもん、見損なったぜ!

 

スネ夫:ドラえもんって、いざって時に役に立たないよね

 

 

 

149.~異世界、"モヨリ集落"の近郊~

 

魔王城に最も近い拠点"モヨリ集落"を

人間たち連合軍は攻略中

その主戦場から離れた宿営地でのび太は居残り

 

 

のび太:なんで僕がこんなところに

    居なくちゃいけないんだ!

 

ダンカン:そりゃ、君が秘密兵器だからじゃのう

 

のび太:…へ、へぇ、ぼ、僕が秘密兵器か~~~

 

ダンカン:そうじゃ、だから君はしばらく

     ここで休んでなさい

 

のび太:へへ、それじゃぁ

    のんびりさせてもらおうかなぁ

 

 

ダンカン、のび太の居る場所から退出

 

 

兵士:宥められましたか?

 

ダンカン:なんとかな、で、戦況はどうじゃ?

 

兵士:現状、膠着状態といったところです

 

 

 

150.~異世界、魔王城内、某所~

 

元の世界に帰れなくなったドラえもんたち

落胆するも為す術無し

魔王城での自由を許され、そのまま魔王城で過ごすこととなる

 

 

しずか:サキュバスさん、お聞きしたいことが

 

サキュバス:あら、何かしら?

 

しずか:お風呂ってありませんか?

 

サキュバス:お風呂?大浴場でいい?

 

しずか:はい、大丈夫です

 

サキュバス:ならこっちよ、連れて行ってあげる

 

しずか:ありがとうございます

    よかった、ちゃんとお風呂があって

 

 

しずか:あの、お風呂って混浴なんですか!?

 

サキュバス:コンヨク?コンヨクってなぁに?

 

 

 

151.~異世界、魔王城の上空~

 

魔王城の上空を大きな荷物を抱えて飛ぶドラえもん、

スネ夫、ハルピュイア(ドラえもんとスネ夫はタケコプターとスーパー手袋を装着)

 

 

スネ夫:このお城、すごい広さだなぁ

 

ハルピュイア:でしょう、ただでさえ広くて

       荷物を運ぶのが大変なのに

       戦争のせいで人手が無くなっちゃってさぁ

       手伝ってもらって、ホント助かるっすよ

 

ドラえもん:いえいえ、このぐらいだったら喜んで

 

ハルピュイア:しっかし、ドラえもん君、君ってすごい

       ゴーレムっすねぇ、しゃべれる上に

       そんな魔道具まで持ってるなんて

 

ドラえもん:いやぁ、それほどでも

 

ハルピュイア:ところで、他の二人はどうしたの?

 

スネ夫:しずかちゃんならお風呂に入りたいって

    サキュバスさんのところへ

    ジャイアンは一人にしてくれって

    出て行っちゃいました

 

 

 

152.~異世界、魔王城の敷地の外れ~

 

広い庭の中、一人、たたずむジャイアン

 

 

ジャイアン:俺、帰れなくなっちまったのか…

      これは、あんなことをした俺への

      神様からの罰なんだ

      しかもドラえもんやしずかちゃんまで

      巻き込んじまって…

      俺は一体どうすれば、うっうっうっ…

 

 

地面に突っ伏し、泣き伏せるジャイアン

      

 

ジャイアン:…そうだ、歌だ!俺には歌がある!

      ドラえもんたちに歌を送ろう

      それもとびっきりのやつを

      よし、そうとなれば特訓だ!

      ほげ~~~~~♪

 

 

 

153.

ジャイアンの歌の特訓、怪音が周辺に響く

 

 

オーク①:おい、オマエ!

 

 

不意に自分より体の大きなオーク達に声をかけられ、ジャイアンは驚く

 

 

ジャイアン:わっ!?

 

オーク①:オマエ、その声、どこで覚えた?

 

ジャイアン:声?俺は歌を歌ってんだ

 

オーク②:歌?歌ってなんだ?

 

ジャイアン:何だ、あんた達、歌も知らないのか?

      歌ってのはこういうんだ

      ボエ~~~~~♪

 

 

 

154.

ジャイアン:どうだ、これが歌だぞ

 

オーク達:……

 

ジャイアン:な、なんだよ、黙りこくっちゃって

 

オーク達:おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!

 

オーク①:オマエの声、すごい!

 

オーク③:何という声だ、こんな気分は初めてだ!

 

ジャイアン:だ、だから歌だって、ただの声じゃねぇって

 

オーク③:歌、だったな、いいぞ、オマエの歌、いいぞ!

 

 

 

155.

ジャイアン:ほんとか!?

 

オーク①:本当だ、俺たち、オマエのみたいな

     気合の声上げることある

     でも、オマエの歌、俺たちのよりずっとスゴイ

 

オーク④:俺、お前の歌、気に入った

 

オーク⑤:俺もだ、もっと聞かせてくれ

 

ジャイアン:じ~~ん

 

 

ジャイアンは目に涙を浮かべ顔をほころばせる

 

 

ジャイアン:もちろんだ、心の友たちよ

      いくらでも歌ってやる!

 

 

魔王城郭の片隅、ジャイアンリサイタルが幾度と催された

 

 

 

156.~異世界、"モヨリ集落"近郊、人間たち連合軍の宿営地内の司令所~

 

将軍:ダンカン殿、なぜ、のび太少年を出さぬのだ!?

   他国からの援軍も来ているのだぞ?

   ここで我が国の力を見せねば!

 

枢機卿:そうですよ、ここは将軍に従い

    のび太少年を出すのです

 

ダンカン:しかし彼はまだ幼く危険です

 

枢機卿:ダンカン殿、私は枢機卿の次席ですよ?

 

ダンカン:……わかり申した

 

 

~異世界、"モヨリ集落"外縁~

戦場に立つのび太、その手には打ち直されたゴライアスの剣が握られる

 

 

のび太:やぁやぁ我こそはゴライアスを倒した

    野比のび太なるぞ!

    今日の我が剣は血に飢えている

    魔族共、覚悟しろ!

 

 

 

157.~異世界、魔王城、城門内~

 

オークたちの要望でジャイアンはオークたちと引き合わされる

 

 

サキュバス:ご指名の坊やを連れてきたわよ

 

オーク①:サキュバス様、ありがとうごぜぇます

     ジャイアン、オマエにこれを渡したくてな

     いままで、オマエの声を聞かせてくれた礼だ

 

ジャイアン:だから声じゃ無くて歌だっつーの

 

オーク①:そうだ歌だったな、わるかった

 

 

オーク①は石の首飾りをジャイアンに渡した

 

 

オーク①:俺たちも同じの持ってる

 

ジャイアン:おう、ありがとうよ

 

 

 

158.

オーク①:じゃぁ、俺たち、もう行く

 

ジャイアン:行くって、どこへ行くんだよ?

 

サキュバス:モヨリって場所よ、今

      ちょっとまずい状況になってるの

 

ジャイアン:戦いに、行くのか?

 

オーク①:…そうだ

 

ジャイアン:なぁ、また会えるよな?

      俺の歌、また聞いてくれるよな?

 

オーク①:……あぁ、のび太って奴を倒して

     俺たち戻ってくる

 

ジャイアン:のびた?あんた、今

      のび太って言ったよな?

      のび太がここにいるのか?

      イタ、アイタタタタ!

 

 

顔を歪めるジャイアン、サキュバスが彼の二の腕を強く掴んでいる

 

 

サキュバス:あんた、のび太を知ってんの?

 

 

 

159.~異世界、魔王城内、地下室~

 

突如、拘束され魔王城内の地下室に

連れてこられたドラえもんたち

そこで"のび太"の存在を聞き、一同は大きく驚く

 

 

ドラえもん:僕たちの話も聞いて下さい!

 

しずか:そうです!!こんなのは勝手すぎです!

 

サキュバス:黙りなさい!!

 

ドラえもん一同:うぅっ…

 

サキュバス:アンタ達には聞きたいことが山ほどあるわ

      暫くはここに居ること

      安心なさい、食事と着替えぐらいは

      持ってきてあげるから

 

 

そう言い放って部屋を出るサキュバス

カチャリと扉の施錠の音がした

ジャイアンがガタガタと扉を開けようとするも、埒明かず

 

 

ジャイアン:くそっ開かない、閉じ込められた

 

 

 

160.

しずか:サキュバスさんが言ってたのび太さんって

    やっぱりあののび太さんよね

 

ドラえもん:特徴は僕たちの知ってるのび太君だけど…

 

スネ夫:でも、戦争で暴れ回ってるなんて

    のび太らしくないんじゃないかな

 

ドラえもん:そうなんだよなぁ…

 

スネ夫:格好がそっくりな同じ名前の別人かもよ?

 

ジャイアン:なぁ、俺は行くぜ、モヨリってところへ!

 

スネ夫:ちょっと、ジャイアン本気かい!?

 

ジャイアン:あぁ本気だ

      のび太がいるかもしれねぇんだぞ!

 

しずか:私も行ってもいいと思う

    人違いだったら、その時はその時よ

 

スネ夫:……え、あ、うん、みんなが行くなら

    僕も行ってもいいかな

 

ドラえもん:よし、行こう、モヨリへ

 

 

 

161.

ドラえもん:まずはここから脱出しないと

      通り抜けフープ!

 

 

ドラえもんはフープを壁に取り付ける、が、無反応

 

 

ドラえもん:あれ?

      ぬ、抜け穴フープ!!  →  無反応

      抜け穴ボールペン!!! →  無反応

      ドンブラ粉~~~~~~!!!!

      とう!

 

 

ドンブラ粉を体に振りかけ地面にダイブするドラえもん

がしーーん

普通に地面に激突

 

 

しずか:ドラちゃん、大丈夫?

 

 

 

162.

スネ夫:ドラえもん、ここ、異世界

 

ドラえもん:どうやら、この世界のモノや空間を

      変化させる道具は使えないみたいだね…

      ふっふっふ、いいだろう…

      異世界だか何だか知らないが、22世紀の

      科学の力を見せてやろうじゃないか!

      ジェットモグラ~からのビッグライト~~!

      行け~~~!

 

 

どこーーーん!

ビッグライトで人間大の大きさになったジェットモグラが

地下室の壁を破壊、爆音を上げてトンネルを掘っていく

 

 

ドラえもん:どうだ~!これが22世紀の科学だ!

 

しずか:ちょっとドラちゃん、気付かれちゃうわよ!

 

ドラえもん:おっといけない、さ、みんな早く

 

 

ドラえもんたち4人は地下室に開いたトンネルに入っていった

 

 

 

163.~異世界、魔王城、城門外~

 

ジェットモグラのトンネルは魔王城の城門外まで通じた

 

 

ドラえもん:よし、脱出できたぞ

 

ジャイアン:みんな、モヨリまで急ぐぞ!

 

ドラえもん:……

 

ジャイアン:おい、何ぼさっとしてるんだよ、早く行くぞ

 

スネ夫:ねぇ、ジャイアン、そのモヨリって

    どこにあるのか知ってるのかい?

 

ジャイアン:いや、知らねぇよ

 

スネ夫:じゃぁ、どうやってモヨリまで行けばいいのさ

 

ジャイアン:えっ、オークのおっさんたちは

      もう向かってるんだろ?

 

スネ夫:そのオークって人たちはどこにいるの!?

 

 

 

164.

ドラえもん:ねぇジャイアン

      そのオークの人たちのモノ

      何か持ってない?

 

ジャイアン:それなら、こいつをもらったな

 

 

ジャイアンは石の首飾りを示す

 

 

ドラえもん:警察犬三輪車~~~!

 

ドラえもん:この鼻の部分に首飾りの匂いを嗅がせて

 

警察犬三輪車:クンクンクン…

 

ドラえもん:あとは自動的に匂いを追ってくれる

 

 

警察犬三輪車が城の反対側、森の方へ動き出す

 

 

ドラえもん:こっちか、よし、行こう

 

 

ドラえもんたちは警察犬三輪車の後を追う

 

 

 

165.~異世界、モヨリ集落入口~

 

スネ夫:ふう、やっと着いた

 

ジャイアン:もっと早く走れねぇのかよ

 

ドラえもん:三輪車なんだから仕方ないよ

 

 

そして警察犬三輪車はさらに集落中央へとドラえもんらを導く

 

 

 

~異世界、モヨリ集落中央~

 

 

オーク②:ぐふっ

 

のび太:何だい、口ほどにもない奴らだな

 

???『もっとこいつらを痛めつけてやれ』

 

???『魔族共が相手だ、遠慮なんかするなよ』

 

のび太:しかし困ったなぁ、この剣

    前のより全然切れないぞ

 

 

のび太を囲むオークたち、皆、傷つき、疲弊し、怨めしくのび太を睨む

 

 

ドラえもん:あ、あれはのび太君?!

 

 

 

166.

ジャイアン:おーい、のび太ぁ!

 

のび太:ん?この声は?

 

オーク①:よそ見してんじゃねぇ!

 

 

オーク①が振下ろすこん棒を、のび太は片手で受止めると

反対の手をオークに押し当て、魔法を詠唱

発動した魔法に吹き飛ぶオーク、そのオークに駆け寄るジャイアン

 

 

ジャイアン:おい、アンタ、大丈夫か?

 

のび太:あれぇ?ジャイアンじゃないか、久しぶりだね

    何だい、君も死んじゃったの?

    もしかして死刑になっちゃったとか?あははは!

 

ジャイアン:…う、うるせぇ!おい、のび太

      もうやめろ!お前はこんなことする奴じゃ

      なかっただろう!?

 

のび太:そうはいかないんだよジャイアン

    僕には使命があるんだ

 

 

 

167.

オーク③:くっちゃべってんなよ!

 

 

今度はオーク③が攻撃を仕掛けるが、のび太は難なく回避

そのままオークに切り付ける、と、裂傷にオークはもんどり打つ

 

 

のび太:こいつらを鏖にする、っていう大事な使命がね

 

ジャイアン:のび太、てめぇ!

 

のび太:あぁ、ジャイアン

    君にはお礼を言わないとね、君のおかげで

    僕はこんなに素晴らしい体を手に入れられたよ

    さてと、ジャイアンそこからどいて、じゃないと

 

 

のび太が手を上に挙げながら魔法を詠唱、掌に巨大な火球が生成される

 

 

のび太:君も巻き添えになっちゃうよ?

 

 

 

168.

ドラえもん:ドカン!

 

 

ドラえもんは空気砲を発射、衝撃波がのび太に直撃、のび太は弾き飛ばされた

 

 

のび太:な、何するんだよ、ドラえもん

    痛いじゃないか!

 

ドラえもん:その声で、その姿で僕の名を呼ぶな!

 

のび太:感動の再会シーンじゃないか

    何だって言うんだよ?

 

ドラえもん:うるさい!

      お前は、のび太君なんかじゃない!

 

のび太:はぁ?僕はのび太だよ

    僕を忘れたのかい、ドラえ

 

ドラえもん:ドカーン!!

 

 

再び衝撃波がのび太に直撃、さらに大きく後方へ吹き飛ぶのび太

 

 

のび太:に、二度も僕を撃ったな、もう許さないぞ!

 

 

 

169.

オーク④:待て、オマエの相手、あいつらじゃない

     俺らオーク!

 

オーク⑤:そうだ、俺らオークをなめるな!

 

のび太:しつこいんだよ、デカブツども!

 

 

のび太の前に満身創痍のオーク達が立はだかる

ジャイアンの足下で倒れていたオーク①も立ち上がる

 

 

ジャイアン:おい、だめだ、寝てろって

 

オーク①:…ジャイアン、すまねぇ

     もうお前の歌、聞けねぇ

 

 

ジャイアンを払いのけ、のび太の方へ向かっていくオーク①

 

 

ジャイアン:ま、待てよ

 

オーク①:サヨナラだ、ジャイアン

     オマエの歌聞けて、嬉しかったぞ

 

 

 

170.

オーク①:オマエら、俺らオークの底力を見せてやるぞ

     気合だ、声を上げろ!

 

他のオーク達:ボウア、ボウァ、ボゥア、ボゥァ!

       ヴォヮァァァッッッ!!

 

ジャイアン:…オマエら、歌なら、歌なら

      今、聞かせてやるよ!

      おれはジャイアーン、がーきだいしょー♪

 

のび太&ドラえもん&しずか&スネ夫:うぎゃーーー!

 

 

のび太&ドラえもん&しずか&スネ夫、失神

 

 

ジャイアン:み、みんな、どうしたんだ?

 

オーク①:やっぱりオマエの歌ってやつ、すごい

 

オーク④:でも、コイツらみんな、何で倒れたんだ?

 

 

 

171.

オーク①:ジャイアンの頼みでも無理

     あいつ、ゴライアス様の仇

 

ジャイアン:そんなこと言わずに助けてやってくれ

      友達なんだ

 

 

離れた位置で失神しているのび太の処遇を巡り、オーク達とジャイアンは問答

 

 

オーク①:じゃぁ、相撲で決める

     相撲でジャイアン勝ったら…

 

オーク⑤:オマエら、危ねぇ、伏せろ!

 

 

危険を察知したオーク達がジャイアン、ドラえもん、

しずか、スネ夫に覆い被さった次の瞬間

幾多の矢がヒュンヒュンと彼らに降り注いだ

 

 

ダンカン:先の轟き

     やはりオーク共の雄叫びであったか!

     敵は手負いぞ、皆の者、ぬかるなよ!

 

 

先に響いたオークらの雄叫びを聞きつけ

この場に駆けつけた人間たち連合軍

数多の矢を射かけると余勢を駆ってオークらに向かっていく

 

 

 

172.

ハルピュイア:させないっすよ、みんな攻撃開始ぃ!

 

 

ドラえもんたちを追ってきた魔王軍も同じく

オークらの雄叫びを聞きつけ

この場に急行、人間たち連合軍に空から礫の雨を降らせる

 

 

ハルピュイア:サキュバス、今のうちにオーク達を!

 

サキュバス:急いで、撤退よ、その子達も連れて帰るわ

      早く!

 

オーク①:め、面目ねぇ、サキュバス様

 

ハルピュイア:ちょっ、サキュバス、あっちに

       のび太っぽいのが倒れてるけどぉ?!

 

サキュバス:捨て置きなさい、今は全員の安全が優先よ!

 

 

魔王軍はドラえもん・しずか・ジャイアン・スネ夫を回収して後方へ下がっていく

 

 

兵士①:魔王軍、退却していきます

 

ダンカン:おのれ逃げるか、皆の者、敵はすぐそこじゃ!

 

 

 

173.

ハルピュイア:みんな、もういっちょー!

 

 

再度ハルピュイア隊が礫の雨を降らす、堪らず人間たち連合軍は足を止める

 

 

ダンカン:くっ、空じゃ、空を射よ!

 

ハルピュイア:おっと、僕たちも逃げるっすよー

 

 

ハルピュイア隊も飛び去っていく

 

 

ダンカン:不覚、逃げられたか!

 

兵士②:ダンカン殿、あれを!!

 

 

地面に数本の矢が刺さるすぐ脇で横たわるのび太、数名の兵が彼に駆け寄る

 

 

兵士③:のび太を発見、呼吸・心拍共に有り

    気絶しているだけのようです

 

 

魔王軍は撤退、モヨリの戦いは人間たち連合軍の勝利に終わった

 

 

 

174.~異世界、魔王城~

 

ドラえもんたちはのび太との通謀を疑われるも

オーク達の証言とサキュバスによる再鑑定の結果、潔白、日常へ

 

 

しずか:ダメだわ、やっぱり眠れない…

 

 

眠れないしずか、魔王城内を散策しているとドラえもんと遭遇

 

 

しずか:ドラちゃんじゃない、ドラちゃんも眠れないの?

 

ドラえもん:うん…

 

しずか:ねぇ、ドラちゃん、私達、どうなるのかしら?

 

ドラえもん:それは僕にもわからないよ…

 

 

~~~♪

 

 

しずか:あら、この音って、バイオリン?

 

ドラえもん:う~ん、あっちの方から聞こえるけど

 

 

 

175.

バイオリンらしき音の方に歩みを進める二人、とある部屋の扉の前にたどり着く

 

 

ドラえもん:この音、やっぱりバイオリンだね

      この部屋から聞こえるけど

 

しずか:誰が弾いてるのかしら?

 

ドラえもん:しっかし、ぷぷ、このバイオリン

      下手くそだなぁ、ぷぷぷぷぷ

 

しずか:ちょ、ドラちゃん、くすくす

    そんなこと言っちゃだめよ、くすくすくす

 

魔王ベルモデウス:言ってくれるではないか

 

 

部屋の扉が開き、扉の向こうから現れたのは魔王

 

 

ドラえもん&しずか:くぁwせdrftgyふじこlp

 

魔王ベルモデウス:…まぁ良い、立ち話もなんだ、入れ

 

 

 

176.

魔王に促され、引きつった表情で部屋に入るドラえもん&しずか

 

 

魔王ベルモデウス:のび太とやらと、やり合ったそうだな

 

ドラえもん:…あれは、あれはのび太君じゃありません

 

魔王ベルモデウス:おぬしらの知るのび太とは

         別人だったのか?

 

ドラえもん:いいえ、あいつはのび太君でした

      でも、のび太君じゃない

 

魔王ベルモデウス:支離滅裂だな

 

ドラえもん:……

 

魔王ベルモデウス:……どうだ、おぬしらも飲むか?

 

 

魔王は棚からブドウ酒とグラスを取り出すと2人に尋ねる

 

 

しずか:あ、結構です

 

魔王ベルモデウス:飲めるときに飲んでおけ

         遠慮はいらんぞ

 

 

 

177.

しずか:…あの、私達は帰れず、ここで、このまま……

 

魔王ベルモデウス:既に失ってしまった部下も少なくない

         余は、おぬしらを

         守ってやれぬかもしれぬ

 

しずか:そんな…

 

魔王ベルモデウス:まぁ、おぬしらは人間の子だ

         身柄が人間の手に渡ったとて

         よもや処断されることはなかろう

         …が、過去に余らが保護した後に

         人間社会に帰った者が、結局は、

         人間社会より葬られたこともあった

         と聞く、故にそう簡単におぬしらを

         放り出すこともできぬ

         それに帰りたいのであろう?故郷に

 

しずか:はい

 

魔王ベルモデウス:ならば、帰してやらんとな

 

 

 

178.

魔王ベルモデウス:とはいえ

         余はこの城から出ることが出来ぬ

 

ドラえもん:え、お城から出られない?

 

魔王ベルモデウス:うむ、出ようとすると

         透明な壁の様なものがあってな

 

しずか:何故ですか?

 

魔王ベルモデウス:その様に運命づけられている

         とだけ答えておこうか

 

ドラえもん:そんなこと僕たちに言っていいんですか?

 

魔王ベルモデウス:部下達はみな知っておる

         何ら問題はない

         そんな部下達が必死に戦っている中

         余に出来ることといえば

         のんきにこいつを弾くことのみよ

 

 

魔王はバイオリンを構える

 

 

しずか:バイオリン、お好きなんですね

 

魔王ベルモデウス:冗談を申すな

         あの音を聞いたのであろう?

         余にも騒音にしか聞こえんわ

 

 

 

179.

魔王ベルモデウス:ところで、おぬしらは

         バイオリンを知っているのか?

 

ドラえもん&しずか:え?まぁ、はい

 

魔王ベルモデウス:バイオリン、これは代々この城で

         受け継がれてきたものだが

         領内にあるはこれ1挺のみ

         これについてを知るは

         余の他におらぬ、故に余の

         バイオリンは全くの独学

         おぬし達の酷評も仕方有るまい

 

しずか:いや、そんなこと、わ、私なんかよりも

    ずっとお上手でしたわ!

 

魔王ベルモデウス:む、源静香とやら、おぬし

         バイオリンを弾けるのか

         ならば一曲所望しよう

 

しずか:え、ホントですか!?

 

ドラえもん:しずかちゃん、やめて!

 

しずか:いいじゃない、せっかくだし

 

ドラえもん:い・い・か・ら・や・め・て

 

しずか:ドラちゃん、顔が怖いわよ…

 

 

 

180.

しずか:お好きじゃないのに

    なんでバイオリンを弾かれるのです?

 

魔王ベルモデウス:代々のシキタリでな、この曲

 

 

魔王は二人に譜面を見せる

 

 

魔王ベルモデウス:この曲をこのバイオリンで

         弾けるようにならねばならんのだが

         全くダメだ、尤も、先代も

         弾けなかったと聞いておるがな

 

しずか:ドラちゃん、なんとかしてあげられない?

 

ドラえもん:う~ん、期限付きになっちゃうけど

      音楽家ライセンス~~~

 

しずか:その道具、前に私達も使ったわね

 

ドラえもん:これ、どうぞ

 

魔王ベルモデウス:何だ、これは?

 

ドラえもん:これからバイオリンの練習するときは

      これを着けるといいですよ

 

 

 

181.~異世界、魔王城、客間~

 

それから暫くして

 

 

サキュバス:ドラえもん、ベルモデウス様がお呼びよ

 

 

~異世界、魔王城、玉座の間~

 

サキュバス:ドラえもん殿をお連れしました

 

ドラえもん:何か御用でしょうか?

 

魔王ベルモデウス:おぬしから渡されたこのカード

         (音楽家ライセンス)を着けて以来

         バイオリンの調子が良くてな

 

ドラえもん:それはよかった

 

魔王ベルモデウス:何か褒美を取らさねばなるまい

         何を望む?

 

ドラえもん:では

 

魔王ベルモデウス:何だ?

 

ドラえもん:僕たちをのび太君と戦わせてください!

 

 

 

 

 

 

 

 

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