ドラえもん のび太の異世界奇譚 戯曲篇   作:浪園

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決戦、魔王城

182.~異世界、魔王城、玉座の間~

 

魔王ベルモデウス:ダメだ

 

ドラえもん:はぇっ?あの、ええっ!?

 

魔王ベルモデウス:子供は戦場に出さん

 

ドラえもん:な、何でも聞いてくれるんじゃ

      ないんですか?

 

魔王ベルモデウス:サキュバスよ、

         余はそんなことを言ったか?

 

サキュバス:いいえ、おっしゃってません

 

ドラえもん:ふ、普通、ここは

      そういう流れじゃないですか!

 

魔王ベルモデウス:サキュバス、つまみ出せ

 

サキュバス:さ、ドラえもん殿、出口はこちらですよ

 

 

サキュバスはドラえもんを羽交い締めにして玉座の間の外へ引きずっていく

 

 

ドラえもん:ちょっと!まって!ねぇ!

      空気読みましょーよーーー!

 

 

ドラえもん、強制退出

 

 

 

183.~異世界、魔王城、東棟~

 

ドラえもん:と、言うわけで、僕たちはまた

      閉じ込められてしまいましたー

 

しずか:ちょっと、ドラちゃん!

 

ジャイアン:なにやってんだよ、ドラえもん!

 

スネ夫:僕はのび太と戦うの反対だったけどさぁ…

 

サキュバス:あんた達、こうでもしないと

      また勝手なことしかねないからね

 

ドラえもん:さらに、監視役までいまーす

 

サキュバス:当たり前でしょ

      地下室に大穴開けたの忘れたの?

      あのとき、あたし

      すっごい怒られたんだからね!

      オーク達、しっかり見張ってるのよ

 

オーク②&③:任せてくだせぇ

 

 

 

184.~異世界、モヨリ集落の外れにある診療所~

 

人間たち連合軍はもぬけの殻となったモヨリ集落を制圧、そのまま駐留

 

 

兵士①:先生、のび太の様子は?

 

軍医:相変わらずだね

   起きてても食事にはほとんど手をつけず

   ときおり何かブツブツと呟いてるんだ

   気味が悪いよ

 

兵士②:のび太の居る部屋は離れでしたよね?

 

 

兵士達は診療所の離れに向かう

 

 

兵士①:よう、のび太

 

のび太:……

 

兵士②:オマエは米が好きだって聞いてな

    ここ、魔人の集落だろ、米が余りまくってんだ

 

のび太:……

 

 

 

185.

兵士①:だから、たんと食わせてやるよ!

 

 

兵士はそう言うと、米をのび太のアタマにぶちまけた

 

 

兵士②:前からテメェは気に食わなかったんだよ!

 

のび太:……

 

兵士①:ざまぁねぇな、コメバミ!

 

???『……これは、コメ?』

 

のび太:……これは、コメ?

 

兵士②:そうだ!虫まで湧いてやがった

    オマエにぴったりだ!

 

 

 

186.

???『そうだ、これのせいだ、俺が全てを失ったのは』

 

のび太:そうだ、これのせいだ、僕が全てを失ったのは

 

兵士①:おい、オマエ、何を言ってるんだ?

 

???『俺はこんなモノを寄越せなど言ってない…』

 

のび太:僕はこんなモノを寄越せなど言ってない…

 

兵士②:なんか、おかしいぞ、こいつ

 

???『あいつらは俺を助けたんじゃない…

    騙したんだ…』

 

のび太:あいつらは僕を助けたんじゃない…

    騙したんだ…

 

兵士①:や、やばくないか……?

 

???『ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』

 

のび太:ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

 

兵士②:ま、まずいって、に、逃げるぞ!

 

 

 

187.

兵士①:軍医殿、の、のび太の様子が!!

 

軍医:のび太君がどうかしたのか?

 

兵士②:あ、でも、俺たちは、その、何も…

 

 

軍医が離れの方へ向かうと、病衣姿ののび太が近づいてくる

 

 

のび太:ねぇ、僕の服と剣はどこ?

 

 

のび太は軍医の胸ぐらをつかみ、捻じり上げる

 

 

軍医:し、診療所の、保管室、に…

 

のび太:わかった、ありがとう

 

 

のび太は軍医を投げ捨てると診療所に入っていった

 

 

~異世界、モヨリの集落外の森~

 

のび太:……魔王、待ってろよ

 

 

のび太は独り呟くと、森の奥に消えていった

 

 

 

188.~異世界、魔王城、幹部室~

 

人間たち連合軍は、散発的かつ多方面から

魔王城に攻撃を仕掛け、すぐ撤退する、と

いった遊撃戦を繰り返していた

 

 

魔王軍の伝令:報告、東門の敵軍、撤退しましたが

       当方に負傷者あり!

 

ソロモン:…報告ご苦労、人間どもめ小癪な真似を

 

サキュバス:負傷者がいるのね

      私、病棟に顔出してくるわ

 

ハルピュイア:んじゃ、僕はちょっと辺りを

       見回ってくるっす

 

 

~異世界、魔王城近郊、モヨリ集落への道中の森林~

 

魔王城に遊撃戦を仕掛けた帰りのダンカン隊

 

 

メアリー:魔人たちの追っ手はいませんわ

 

ダンカン:うむ、皆の者、モヨリの拠点まで戻るぞ

 

 

 

189.

ガサガサッ

突然、路傍の草陰からのび太が出てきた

 

 

のび太:やあ、ジャック

 

ジャック:やあ、ではない、君は自分の状況が

     わかってるのか?

 

のび太:魔王を倒しに行こうと思ったら迷っちゃってさ

 

アレックス:あのなぁ、のび太

      お前に逮捕令状が出てんだよ

 

のび太:僕に?なんで?

 

ダンカン:しらばっくれおってからに

     身に覚えがあろう!

     軍医殿に対する暴行

     そして、無断での部隊離脱じゃ!

 

 

 

190.

のび太:あははははは、なぁんだ、そんなことか

    僕がこれから魔王を倒してくるからさ、許してよ

 

ダンカン:ふざけおって、もうよい!

     軍令に基づき、のび太君、君を逮捕する!

 

 

ダンカン隊がのび太を取り囲む

 

 

ダンカン:御託なら軍法会議で聞いてもらえ!

 

のび太:ねぇ、邪魔しないでくれないかな?

 

ダンカン:おとなしくお縄にかかるんじゃ!

 

 

のび太にダンカン隊が一斉に飛びかかった

 

 

 

191.~異世界、魔王城、東の城門~

 

コボルト兵①:負傷者の収容、完了しました

 

コボルト隊長:判った、哨戒は継続、油断するな

 

 

ジャック:す、すまない、助けてくれ…

 

コボルト兵②:な、人間、何しに来た!

 

アレックス:待ってくれ、俺たちは投降する!

 

メアリー:ダンカン様、大丈夫ですか?気を確かに!

 

ダンカン:ぅ……ぁ……

 

コボルト隊長:衛生兵を呼び戻せ!重傷者だ!

 

ジャック:あぁ、恩に着る…

 

 

 

192.

コボルト隊長:おい、何があった?

 

アレックス:のび太、って名前を聞いたことあるか?

 

コボルト隊長:……ああ、お前らの仲間の名だろう?

 

アレックス:そうなんだけど、色々あってね

 

コボルト隊長:…わかった、お前らの投降を受け入れよう

       だが、その"色々"を話してもらうぞ

 

 

アレックス達の投降から少しして…

 

 

のび太:お、ここが魔王城でよさそうだ

 

コボルト兵②:また人間か、何だ、お前も投降か?

 

のび太:アレックス達4人には道案内のお礼を言わないと

 

 

 

193.~異世界、魔王城、幹部室~

 

魔王軍の伝令:き、緊急、!東門より侵入者!

 

ソロモン:侵入者?東門の敵は

     引いたのではなかったのか?

 

魔王軍の伝令:そ、それが…

 

 

~異世界、魔王城、庭~

 

魔王城の庭を進むのび太、彼を上空から見下ろすハルピュイア

 

 

ハルピュイア:待つっす

 

のび太:あれ?君、聖都で会ったよね、名前は、え~っと

 

ハルピュイア:君、のび太っていうんすね

 

のび太:…そうだけど、何か用?

 

ハルピュイア:僕さぁ…戦うの

       あんまり得意じゃないんすよね

       だから、ゴライアスの旦那を倒した君に

       僕が勝てるわけがないんっすよ、でも

 

 

 

194.

ハルピュイア:こうでもしないと気が済まないっす!

       ガストーン!

 

のび太:うわっ!

 

 

ハルピュイアから放たれた突風と礫を、のび太はもろに浴びる

 

 

のび太:やい、痛いじゃないか、降りてこい!

 

ハルピュイア:いやっすよ

 

のび太:空からなんて卑怯だぞ、撃ち落としてやる!

    えーい!ファイアボール!

 

 

のび太は大きな火球を生成、ハルピュイアに放り投げる

が、ひと羽ばたきしてハルピュイアは火球を回避

 

 

ハルピュイア:こ~んなノロノロ魔法

       僕には当たらないっす!

 

 

 

195.

ドーーーン

避けられたファイアボールが地面に着弾、爆発する

 

 

ハルピュイア:ひゃあ!

 

 

爆風がハルピュイアを吹き飛ばす

煽られ、制御を失ったハルピュイアは墜落

 

 

のび太:さぁ、もう一度行かせてもらうよ

    特大ファイアボーーール!!

 

 

のび太の手から、さらに巨大な火球が

ハルピュイアに放たれた

翼を羽ばたかせ、彼女はその場を離脱しようとするが…

 

 

ハルピュイア:イタッ!

 

 

墜落時に翼を折ってしまったハルピュイアは飛ぶことができない

 

 

 

196.

ソロモン:トルネード

 

 

ハルピュイアの前に割って入ったソロモンが竜巻を起こす

のび太の火球は竜巻によって空高くへ弾き飛ばされた

 

 

ソロモン:大丈夫か、ハルピュイア?

 

ハルピュイア:へへ、ちょっと翼をやっちゃったっす…

 

ソロモン:サキュバスも直に来る

     そうしたら手当してもr

 

 

ドドーーーン

先ほど竜巻に弾き飛ばされた火球が

魔王城の東棟付近に着弾

爆発し東棟の一部が崩落

 

 

ソロモン&ハルピュイア:あ…

 

のび太:言っとくけど、僕だけのせいにしないでよね

 

 

 

197.~異世界、魔王城、東棟~

 

ドドーーーン、ガラガラガラガラ

東棟の壁の一部が崩落、オーク達は逃げ惑い、転んで足を捻ってしまう

 

 

しずか:大丈夫ですか?

 

オーク②:この程度、大丈夫

 

スネ夫:いやぁ、これは大変だ

    安静にしてたほうがいいですね

 

ジャイアン:そうだぞ、俺たちが誰か呼んできてやるよ

 

ドラえもん:お、お二人はここで待っててください

 

オーク③:そうなのか?わかった

 

 

崩落した個所から出て行くドラえもん達一行

 

 

オーク②:あいつら、いいやつらだな

 

オーク③:あぁ、ほんとだな

 

 

 

198.~異世界、魔王城、庭~

 

ソロモン:おい、何故お前のファイアボールは

     爆発するのだ?

 

のび太:知らないよ、魔法を習い始めたの最近だもの

 

ソロモン:普通は爆発なんぞせんぞ

     滅茶苦茶だな、お前は…

     まあ何だ、俺もこういう芸当ができてな

 

 

ソロモンは錫杖を小さく振る、と、

ビュガガガガ

突風と礫が巻き起こり、のび太に襲い掛かった

 

 

のび太:イタタタッ!え?い、今のってガストーン?

 

ソロモン:ご名答

 

のび太:魔法使うのに何も唱えてなかったじゃないか!

 

ソロモン:貴様も百年ほど魔法の修練を積めば、

     この程度なら詠唱無しで使えるようになれるぞ

 

 

 

199.

のび太:ふん、そんなことできなくったっていいやい!

    ファイアボ

 

 

ビュガガガガ

突風と礫がのび太に直撃、のび太の詠唱が中断

 

 

のび太:ファイ

 

 

ビュガガガガ  → のび太の詠唱が中断

 

 

のび太:そういうの辞めてくれない!地味に痛いんだよ!

 

ソロモン:すまんな、しかし、こちらも勝ちたくてな

 

のび太:馬鹿にしやがって、僕は魔法だけじゃないぞ!

 

 

のび太は剣を構えるとソロモンに向かう

対してソロモンは錫杖を振る

ビュガガガガ、ビュガガガガ

のび太はガストーンを剣で打ち払いながら

ソロモンとの距離を詰める

 

 

ソロモン:むっ!ガストーン!

 

 

 

200.

迫るのび太に対し、すかさずソロモンは詠唱

先ほどまでとは段違いの威力のガストーンが発動した

と、のび太は野球のバットが如く剣をバックスイング

そして、迫りくるガストーンに対して剣をフルスイング

バキャーン!

のび太の剣は折れ、礫の数個を自身の体に受けるも、

ガストーンの礫の幾つかを、のび太は見事、打ち返した

 

 

ソロモン:ぐあっ!

 

 

のび太の打球(礫)がソロモンの頭部に直撃!

 

 

のび太:どうだい?

    WBC最多優勝国出身者のバッティングは!?

 

 

 

201.

フラフラとよろけるソロモン、そのまま力なく両手、両膝をつく

 

 

のび太:イタタタ、流石に今のデッドボールは

    キツかったな

    ん?ボールじゃなくて石か

    石だと何になるんだ?

 

ソロモン:ぐ……うう……

 

ハルピュイア:そ、ソロモン、無理しちゃダメっす!

 

のび太:あー、剣も折れちゃったか、真っ二つだ

 

ハルピュイア:ぼ、僕達はもう戦えないっす、降参っす

 

のび太:戦えなくても魔族には止めを刺さないとね

    ファイア

 

しずか:のび太さん!!

 

のび太:ボールって、ああっ!しずかちゃんじゃない!

 

 

不意にのび太の手から離れた火球、

ソロモンとハルピュイアの近くに着弾して爆ぜると

その爆風に2人は薙がれ吹き飛ぶ

 

 

 

202.

ドラえもん達:うわっ

 

 

駆けつけたドラえもん達も爆風に軽く煽られる

同時にサキュバスも現れ、

倒れたままのソロモンとハルピュイアに駆け寄る

 

 

サキュバス:ふたりとも…、よかった、息は、ある

      ドラえもん、みんな、お願い

      二人を助けるの手伝って!

 

 

~異世界、魔王城、とある部屋~

 

のび太とソロモン達の戦いを、魔王は窓越しに見る

窓の外へ手を出そうとするも、透明な何かに阻まれる

 

 

魔王ベルモデウス:部下達が倒れたと言うに

         何もしてやれぬ

         見てるだけしか出来ぬとは

         腑甲斐ないものよ

         ……せめて、これを成し遂げれば

         慰め程度にはなるか?

 

 

狂おしく魔王はバイオリンを奏で始める、

かつてとは違う美しい音色で

 

 

 

203.~異世界、魔王城、庭~

 

ドラえもん:お医者さんカバン~~!

      しずかちゃん、これでソロモンさん達を!

 

しずか:わかったわ

 

のび太:ねぇ、なんで魔族なんか助けようとしてるのさ?

    みんな、僕の魔王退治を手伝いに

    来てくれたんじゃないの?

 

しずか:わたし、のび太さんキライ

 

のび太:えっ…?

 

ジャイアン:のび太、お前とは絶交だ!

 

スネ夫:もう漫画もゲームも貸してやらないからな!

 

のび太:ジャイアンとスネ夫まで、どうしたんだよ?

 

 

 

204.

ドラえもん:みんな、間違ってるよ

 

のび太:ドラえもん、みんなにもっと言ってやって!

 

ドラえもん:あいつはのび太君なんかじゃないんだから!

 

のび太:ど、ドラえもんまで!

 

ドラえもん:スーパー手袋、名刀電光丸

      ヒラリマント、空気砲!

 

 

ジャイアンはスーパー手袋と名刀電光丸を

スネ夫はヒラリマントを、ドラえもんは空気砲を装備

 

 

のび太:えっ、なに?僕とやる気?君たちが?

 

ジャイアン:お前こそ、剣が折れてるけど大丈夫か?

 

のび太:このぐらいハンデがないとね

 

スネ夫:ハンデをくれるなんて

    のび太みたいに優しいじゃないか

 

 

 

205.

のび太:僕が勝ったら、僕はのび太だって認めてもら

 

ドラえもん:ドカン

 

のび太:ぐぇ!

 

 

空気砲の衝撃波がのび太に直撃、のび太は後方に吹っ飛ぶ

同時にジャイアンとスネ夫がのび太に突撃

 

 

のび太:やったな~!ファイアボール!

 

スネ夫:ヒラリマント!

 

 

のび太のファイアボールは大きく逸れる

 

 

ジャイアン:のび太!俺が相手だ!

 

 

ジャイアンとのび太が切り結ぶ

 

 

 

206.

折れた剣を力任せに振り回す剣風ののび太は

ジャイアンが握る電光丸の前にあっさりと敗れる

尻もちをついた状態ののび太に

ジャイアンは電光丸の切っ先を突き付ける

 

 

ハルピュイア:なかなかやるじゃないっすか、あの子たち

 

ソロモン:全くだ、戦えぬなど、うそぶきおって…

 

しずか:よかった、二人とも気が付いたんですね

 

 

ジャイアン:俺たちの勝ちだ、のび太

 

のび太:……ひっく、うっうっうっ

 

スネ夫:泣き落としなんて通じないぞ!

 

 

 

207.

のび太:前の世界で、僕があんな目に遭ったのは

    君たちのせいだというのに、君たちは

 

ジャイアン&スネ夫:!!!

 

のび太:この世界でも、僕に酷いことをするんだね…

 

ジャイアン:いや…これは…

 

スネ夫:そ…そんなつもりじゃ…

 

 

狼狽え、後ずさるジャイアンとスネ夫

 

 

のび太:ガストーン!

 

ジャイアン:うわっ!

 

 

ガストーンの礫がジャイアンの剣を握る手に直撃

電光丸がジャイアンの手からこぼれる

 

 

 

208.

のび太:いただき!

 

 

のび太は電光丸を奪うと、ジャイアンに一撃、

彼を昏倒させると、続いてスネ夫の前に掌を向ける

 

 

のび太:ドカーン!

 

スネ夫:ヒラリマント!

 

のび太:何してるんだい?スネ夫

 

 

のび太は叫びはしたものの突っ立ったまま

スネ夫はヒラリマントを振上げるも空振り

がら空きのスネ夫の胴に電光丸が打ち据えられる

のび太は崩れるスネ夫からヒラリマントをも奪う

 

 

 

209.

のび太:ねぇ、僕の勝ちでいいよね

 

ドラえもん:ドカーン

 

のび太:ヒラリマント!

 

 

空気砲の衝撃波がのび太から逸れる

 

 

のび太:これで僕は本物ののび太だって認めてくれる?

 

ドラえもん:認めない

      お前みたいなのがのび太君だなんて

      僕は絶対に認めないぞ!

 

 

 

210.~異世界、魔王城、とある部屋~

 

緩やかに譜面の曲を奏でる魔王

最後の音が消え去ると、部屋に余韻が満ちる

 

 

魔王:シキタリと言われ疎んじておったが

   遂に叶ったか…

   もう、思い残す事はない

   余も客を迎える準備をせねばな!

 

 

~異世界、鬱蒼とした森のとんでもない深遠の深遠~

 

ロリババァの体の周辺に光の粒子が舞う

粒子は徐々に増え、ロリババァの全身を包むまでに

 

 

ロリババァ:ほう、ベルモデウスよ、儂を呼ぶか

 

 

シュン

彼女の小さな体が、光の矢が如く空へ飛翔した

 

 

 

211.~異世界、魔王城、庭~

 

ビシャーーン

のび太とドラえもん達の間に雷撃が落ちる

雷撃が落ちた場所にはロリババァ

 

 

ロリババァ:ここも久しぶりじゃの

 

ソロモン:く、黒の、聖女様?

 

ロリババァ  :久しいの、ソロモン

(以下、黒の聖女)

 

ソロモン:はい、何百年ぶりにございましょう

 

黒の聖女:ところでソロモンよ、あのガキは何者じゃ?

 

 

のび太の前に黒の聖女が立ちはだかる

 

 

ソロモン:のび太とかいう人間の子供

     いや、化け物、ですかな?

 

黒の聖女:その禍々しきオーラ

     いつぞやの凶星の正体は貴様か!

 

 

 

212.

黒の聖女:ベルモデウスが儂を呼んだ理由

     聞くまでもない!

 

のび太:あのね、お嬢ちゃん

    お兄さん、魔王を倒さないといけないんだよ

    だから、そこをどいてくれる?

 

黒の聖女:ふん、断る

 

のび太:言っておくけど、お兄さん、すっごい強いんだよ

    君なんかよりずっと大きい人にも

    勝ったんだからね

 

黒の聖女:それは威勢が良いの

     じゃが、この先には行かせん

 

のび太:あっそ、まぁいいよ

    君なんかじゃ、たかが知れてるし

 

 

のび太が黒の聖女の横を抜けようとすると、のび太の腕を黒の聖女が掴む

 

 

のび太:ちょっと、君、離してよ!

 

黒の聖女:先には行かせん、と言うたはずじゃが?

 

 

 

213.

のび太:離せって!

 

 

がっちりと腕を掴む黒の聖女をのび太は振りほどこうとするが、びくともしない

 

 

のび太:ち、小さい女の子だからって容赦しないぞ!

 

 

のび太は電光丸を振り上げる

 

 

黒の聖女:クライオジェン

 

 

黒の聖女が掴むのび太の腕にビキビキと氷が張り始め

瞬く間に、のび太の全身を氷が覆っていく

 

 

のび太:うわ、な、何?

 

 

ピキーーン!

のび太の全身が氷漬けとなった

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