ドラえもん のび太の異世界奇譚 戯曲篇   作:浪園

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贖罪の時

214.~異世界、魔王城、庭~

 

ドラえもん:の、の、のび太君!?

 

黒の聖女:のび太君?あぁ、この凶星のことか?

 

ドラえもん:凶星ってなんです!?

      のび太君を氷漬けにしておいて!

 

黒の聖女:死んではおらんぞ

     少々、大人しくしててもらうだけじゃ

 

ドラえもん:で、でも、そんな状態じゃ…

 

黒の聖女:マグマにでも放り込まん限り

     あの凶星の時間は留め置かれる

     放っておいても何も問題ないわい

     して、ソロモン、ベルモデウスに会えるか?

 

ソロモン:はい、黒の聖女様、謹んで

     我らがベルモデウスに取り次ぎ致します

 

黒の聖女:では、頼む

 

 

 

215.~異世界、魔王城、玉座の間~

 

玉座の間の中央に魔王は立つ

そこに黒の聖女が入場、歩を進める

黒の聖女が近づいてきたところで、魔王が片膝を着く

 

 

魔王ベルモデウス:今代のベルモデウスに御座います

 

黒の聖女:汝とは初見であるな、よく励んでいると聞く

     褒めて使わす

 

魔王ベルモデウス:ありがたき

 

 

ドラえもん:あの女の子、すごい子なんですか?

 

ハルピュイア:僕も初めて会ったっすけど

       伝説級の方っすよ

 

ドラえもん:伝説級?

 

ハルピュイア:千年前、僕たちは"勇者"って奴のせいで

       絶滅寸前まで追い詰められたんっす

       でも、そんな僕たちを助けてくれたのが

       あの黒の聖女様っす

 

ドラえもん:へぇ、あの子、子供に見えるけど

      何歳なんです?

 

ハルピュイア:ドラえもん君、女性の年齢の話題は

       タブーって知ってる?

 

 

 

216.

黒の聖女:しかし、今代のベルモデウスよ

     バイオリンの契約を履行するなら

     もっと早くせよ、此度の様では遅すぎるぞ

 

魔王ベルモデウス:バイオリンの契約、ですと?

 

黒の聖女:なんじゃ?知らんのか?

 

魔王ベルモデウス:バイオリンはシキタリとして

         嗜んでおりましたが

         契約と言うに関しては…

 

黒の聖女:儂を呼ぶ契約であること、失伝しておるのか?

 

魔王ベルモデウス:め、面目御座いませぬ…

 

黒の聖女:む…、ベルモデウス以外の者が使えぬようにと

     このようにしたが失敗だったかの…?

 

 

 

217.

黒の聖女:ベルモデウスよ、あののび太と言う輩

     禍々しいオーラを持っておったが、何者じゃ?

 

魔王ベルモデウス:投降した者の話を聞く限り

         最近になって、突如、現れたらしく

         素性等はわかりませぬ

         しかし、そこのドラえもん達の

         友人のようで

 

黒の聖女:あの童らは、何者なのじゃ?

 

魔王ベルモデウス:我々が召喚にて

         呼び出した者達に御座います

 

 

魔王は黒の聖女にドラえもん達を紹介、

併せてソロモン以外の四天王等の魔王部下と

黒の聖女とで面識が成立

 

 

 

218.

黒の聖女:その召喚の際に使った物はまだあるか?

 

ソロモン:はい、保管してございますが

 

黒の聖女:では、見てみたいの、持ってきてくれるか?

 

 

ドラえもんら召喚時の道具が運ばれ

それらを黒の聖女は見分

と、召喚魔方陣を描いたインクの入った小瓶を

黒の聖女はつまみ上げる

 

 

黒の聖女:…何じゃ?このインクは?

 

ソロモン:聖都でゴライアスがのび太と一戦を交えまして

     その際にゴライアスに付着していた

     血を混ぜて作ったインクですが…

 

黒の聖女:…ソロモン、お前、よくそんなモノ作ったな…

 

 

 

219.

黒の聖女:アナリシス

 

 

黒の聖女が呪文を唱えると、小瓶から文字のような記号が流れ出す

 

 

黒の聖女:……

 

 

黒の聖女の眉間にしわが寄る

 

 

黒の聖女:…あ、あ、あ、

 

ソロモン:聖女様?

 

黒の聖女:あんのバカ兄がぁぁぁ!

 

ソロモン:せ、聖女様?

 

ドラえもん:どうしたんですか?

 

黒の聖女:あののび太とやら、"化身の秘術"の賜じゃ

 

 

 

220.

ドラえもん:"ケシンノヒジュツ"って何です?

 

黒の聖女:数多の人間を用いて作った依り代から

     神に近き力を持つ者を成す術よ

 

ドラえもん:そんなこと出来るんですか?

 

黒の聖女:我ら一族なら出来る、が、難点もある

     一つ、依り代に込める魂の問題

     かの依り代に込められるは

     子供の、しかも学は無く動きも鈍い

     愚かで弱き者の魂でなくてはならん

     よくもまぁ、そのような魂を見つけたもんじゃ

     あのアホ兄め、それだけは褒めてやる

 

 

 

221.

黒の聖女:更に一つ、必要な人間の質と数

     依り代に用いる人間は

     皆、同じ心情を持っておらねばならぬ

     此度のそれは、人間たちが魔族と呼ぶ

     ベルモデウスやフェンリルらに対する憎悪

     そして用いられた数は見た限り

     10人や20人では到底足らぬ

 

しずか:姿形が私達の友達ののび太さんに

    似ているのですが、それは?

 

黒の聖女:依り代の姿形は込められた魂に準ずるんじゃ

     かの依り代に込められし魂こそ

     お主らの友人のものであろう

 

しずか:のび太さんはもっと優しくて

    あんな人じゃありませんでした

 

黒の聖女:化身の秘術で作られた者はな

     依り代の素となった人間らの

     心情を汲むような事をすればするほど

     精神が依り代側に染まっていくんじゃ

 

 

 

222.

黒の聖女:のび太とやらの始末、愚兄に責任を取らせよう

 

ドラえもん:お兄さんって方はいったい…?

 

黒の聖女:愚兄は亜空間に閉じ込めたはずなのじゃが

     どうやら綻びがあったようじゃ

 

ドラえもん:何故、閉じ込めたので?

 

黒の聖女:1000年前の勇者の話は知っておるな?

 

ドラえもん:はい、ハルピュイアさんから少し聞きました

 

黒の聖女:その勇者とやらが我が兄"ロキ"じゃ

 

魔王ベルモデウス:は?

 

ソロモン:何と?

 

ハルピュイア:どういうことっす?

 

サキュバス:聖女様、ご説明を

 

 

 

223.

黒の聖女:人間たちが崇めている父母神を知っておるか?

 

ソロモン:はい、人間たちの信教は把握しておりますが

 

黒の聖女:その父母神、儂の両親じゃ

 

魔王達一同:!!

 

黒の聖女:この世界の天と地と海は父が

     草木や動物たちは母が

     そして兄が人間を作った

     ところが、この人間

     天災や他の動物との生存競争に弱くてな

     文明を築くどころか、数すら増やせんかった

     そんな人間を保護すべく

     草木、動物、人間を参考に

     儂がお前達やフェンリルらを作った

 

魔王達一同:く、黒の聖女様が、我々を!?

 

黒の聖女:で、お前達の祖先の頑張りのおかげでな

     人間は数を増やし、文明と呼べるものを

     築くに至った

 

 

 

224.

黒の聖女:そして、文明が築かれるにつれ

     人は信心を持つようになる

     その信心の対象となったのが

     お前達やフェンリル達じゃ

     災厄やらから人間らを護ったのは

     他でもない、お前達じゃからな

     しかし、兄ロキは、創造主たる自分を差し置き

     お前達が人間の信心の対象となったが

     面白くなかったのじゃと、で、

     兄自らがお前達のせん滅にかかったのが

     1000年前の出来事じゃ

 

ソロモン:我々はそんな理由で滅ぼされかけたのですか…

 

黒の聖女:おまけにお前達への差別意識まで

     人間らに植え付けおった

     そこで儂と両親とで

     兄を亜空間に封じ込めたんじゃ

     儂の身内のしでかしたこと、今更ながら、許せ

 

 

 

225.

黒の聖女:して、近日中に兄への行動を起こす

     ベルモデウスも同行せよ

     ドラえもんとやら、おぬしらも来てもらうぞ

 

ドラえもん:わかりました

 

魔王ベルモデウス:お待ち下さい

         私めはこの城から出られませぬが

 

黒の聖女:そうじゃったな、では

 

 

黒の聖女は魔王に手をかざす

パシュン

魔王の中で何かが消失する

 

 

黒の聖女:これでベルモデウスも城の外へ出られる

 

 

 

226.

魔王ベルモデウス:おお、これで…、不躾ながら、聖女様

 

黒の聖女:なんじゃ?

 

魔王ベルモデウス:余は、いや、私らは何故

         城から出られぬ身に?

 

黒の聖女:ベルモデウス、汝らを兄の封印の

     鍵としたからじゃ

 

魔王ベルモデウス:私が鍵?

 

黒の聖女:流石に兄を永久に閉じ込めはせぬ、時が来れば

     兄の封を解く、が、時が来ぬ限りは解かぬ

     ベルモデウス、汝はそのための鍵よ

     この点についても失伝しておるのか?

 

魔王ベルモデウス:お、お恥ずかしながら…

 

 

 

227.

黒の聖女:ベルモデウスよ、"アディフォラ"の

     魔法は心得ておるな?

 

魔王ベルモデウス:はい、習得しております

 

黒の聖女:"アディフォラ"はベルモデウスの名を

     継ぐ者しか使えぬ魔法

     これを兄の封印の間で使うことで

     兄の封印が解ける

 

魔王ベルモデウス:あの魔法に

         そのような意味があったとは…

 

黒の聖女:兄の封を解くもう一つが

     ベルモデウスの名を持つ者が討たれること

     そのような仕様にした訳ではない、が、

     後に然様な方法でも封印が解けることが判った

     故に、これらが起きることを避けるべく

     ベルモデウスをこの城に縛り付けた

 

 

 

228.~異世界、魔王城、庭~

 

それから数日間、人間たちからの攻撃はピタリと止んだ

これを機に、ドラえもん達とリザードマン兵達が

魔王城の庭に集まり、氷漬ののび太は

ドラえもんの四次元ポケットに納まることになった

最終的にはアレックス、ソロモン、魔王、黒の聖女も合流

黒の聖女はそれまでと異なり白の装束を身に纏う

 

 

黒の聖女:すまぬな、こいつを書かせておったら

     時間がかかった

 

 

黒の聖女が3通の封書を示す

 

 

ドラえもん:聖女様、それは一体?

 

黒の聖女:此度の戦、和平に向かわせたい

     その交渉カードとして、投降した者らに

     "捕虜となり苦しい立場にいる"と、

     切々と書かせた、まずは聖都に行く

 

 

 

229.~異世界、聖都の外壁にある門~

 

ドラえもん一行は聖都前に到着

 

 

黒の聖女:ソロモン、此度の交渉はお前が担え

 

ソロモン:かしこまりました

 

 

アレックス、リザードマン兵、ソロモン、黒の聖女が

聖都の門に近づくや、門番達が躍り出てくる

と、すかさずアレックスが叫ぶ

 

 

アレックス:こ、交渉に来た

      ダンカン殿からの手紙もある!

      ここに居る魔人たちに戦う意思はない

      入れてくれ!

 

聖都の門番:お前はアレックス

      してこの封書のサインは……?

      確かにダンカン殿のもの

      わかった、入って待て

 

 

 

230.

黒の聖女達が聖都に入って数時間が経過、

門の中からリザードマン兵、ソロモン、黒の聖女と、更に

その後ろに筋骨隆々とした中年男性と仙姿玉質な女性が出てきた

 

 

ソロモン:ベルモデウス様、永らくお待たせしました

     ご無礼を

 

魔王ベルモデウス:よい、で、交渉の塩梅は

         どうだったのだ?

 

ソロモン:投降者のうち

     メアリーなる者は現王の姪に当たり、また

     ダンカンなる者は王国の元騎士団長とのこと

     交渉の手応えは十分に感ぜられました

     王国との直接交渉の可能性も小さくはないかと

 

魔王ベルモデウス:うむ、ご苦労であった

         ところで、後ろの二人は?

 

 

 

 

231.

黒の聖女:儂の父と母じゃ

 

魔王ベルモデウス:こ、これはご無礼を

 

黒の聖女:大聖堂の内陣に

     父母が休む神域に繋がる魔方陣があってな

     兄の許に向かうに

     一緒に来てもらうことにした

 

父神:ベルモデウスとやら、愚息が迷惑をかけたな

 

母神:うちの子がごめんなさいね

 

魔王ベルモデウス:い、いえ、お、恐れ入ります

 

 

黒の聖女:では、兄の許に参るかの!

 

 

 

232.~異世界、道中の森~

 

父神:ところでエリス(=黒の聖女)、一つ聞くが、

 

黒の聖女:何です、父上?

 

父神:その口調はなんだ?

 

黒の聖女:ここ1000年ほどを下界で過したところ

     気付けば、こうなっておりました

 

母神:1000年の間、何をしていたのです?

 

黒の聖女:布教をしておりました

 

母神:布教?

 

黒の聖女:1000年前、兄ロキは、自らを崇め、

     ベルモデウスやフェンリルらを悪とする

     教えを立てました

     これを覆すべく、父上と母上を主神とし

     ベルモデウスやフェンリルらと

     調和すべし、との教えを世に広めんと

     この1000年の間、努めてきました

     尤も、調和の道については未だ成りませぬ

 

 

 

233.~異世界、のび太が異世界転移時に目覚めた神殿~

 

一行は神殿の最奥に到達、その壁の扉には魔方陣の模様

 

 

黒の聖女:この扉の向こうに兄、ロキがおる

 

しずか:この先にのび太さんを狂わせた人が…

 

スネ夫:のび太、お前の仇は討ってやるからな!

 

ドラえもん:…スネ夫、のび太君、死んでないって

 

 

黒の聖女:ベルモデウス、この魔方陣に

     アディフォラを発動せよ

 

 

魔王は扉に描かれた魔方陣の中央に手を当てて唱える

 

 

 

234.

魔王ベルモデウス:アディフォラ!

 

 

魔王がアディフォラを唱えると、扉がゆっくりと開く

すると扉の向こうから声が漏れる

 

 

神様   :やったーーー、開いたーーー!

(以下、ロキ)これでこの退屈な場所ともお別れだーー!

      いやぁ、でも早かったな

      やっぱり僕って優秀?

 

ドラえもん:みんな行くよ!

 

 

ドラえもんがそう叫ぶとしずか、ジャイアン、スネ夫が

開いた扉から亜空間に飛び込んだ

 

 

 

235.~異世界、亜空間~

 

ドラえもん:やい、お前、のび太君に何てことを!

 

しずか:あなたのせいで

    のび太さんはおかしくなったのよ!

 

ジャイアン:のび太をあんなのにしたのはお前か!

 

スネ夫:証拠もあるからな、逃がさないぞ!

 

ロキ:ん?君たちは誰?

 

ドラえもん:この、のび太君の、友達だ!

 

 

ドラえもんは氷漬ののび太をロキの前に突きつける

 

 

ロキ:あぁ、この子か、知ってる知ってる

 

 

 

236.

ドラえもん:僕たちののび太君を返せ!

 

ロキ:ここから出られるようになったし

   その子ならもういいよ、返す返す

 

スネ夫:そういうことじゃないんだよ!

 

しずか:元の、元の優しいのび太さんに戻して!

 

ロキ:あー、それは無理かな、諦めて

 

ジャイアン:ふざけんじゃねぇぞ、この野郎!

 

 

ジャイアンがロキに殴りかかる、が、その殴りかかる拳を

ロキは軽くいなし、ジャイアンは無様に転がる

 

 

ロキ:…君たち、僕が誰だか分かってんの?

 

父神:ロキよ、いい加減にしろ

 

 

 

237.

父神:自分の立場を弁えろ、それが出来ず拳で語るなら

   この父が相手になってやる

 

 

ボキボキと拳を鳴らしながら、父神がロキに言う

 

 

ロキ:と、父さん、どうしてここに?

 

黒の聖女:ご自分の胸に聞いて下され、兄上

 

母神:エリスから聞きました

   「化身の秘術」使ったそうですね?

 

ロキ:エリス、母さんまで…

 

母神:そして、また下界に戦乱を起こしたことも

 

父神:ロキ、素直に責任を取り、謝るんだ!

 

ロキ:…え、あ、あの、ごめんなさい…

 

 

ロキ、早々に戦意を喪失

 

 

 

238.

黒の聖女:兄上、「化身の秘術」の依り代

     如何に作った?

 

ロキ:僕の信者達の夢で、僕がお告げをして作らせた

   けっこう時間がかかったんだぞ!

 

黒の聖女:兄上の信者、ですと?

 

ロキ:そうさ、人間を作ったのは僕なんだからね!

   でも、ここんところおかしいんだ

   僕が夢に入り込める人間が殆ど居ないんだ!

 

黒の聖女:兄上、兄上が下界に残した教えは

     ここ千年をかけ、儂がひねり潰しましたじゃ

 

ロキ:なんだって!?エリスなんて事をしてくr

 

母神:ロキ、黙りなさい!

 

ロキ:は、はい…

 

 

 

239.

黒の聖女:兄上、戦乱の責については後に問いますじゃ

     先に、この禍々しき「化身の秘術」の賜

     どう致す?

     迂闊に処せば、強大なアンデッドと成り果て

     真の災厄になりかねますぞ?

 

ロキ:放っておけばいい、きっと100年も経たずに

   肉体と魂が拒絶反応を起こして崩壊するし

   それなら、アンデッドにもならないんじゃない?

 

ドラえもん:そ、そんな、元ののび太君に戻してよ!

 

ロキ:だから無理なの!やれることと言ったらせいぜい

   肉体と魂を分離して崩壊を防ぐことぐらいなの!

 

 

 

240.

ロキ:いい?生きている体から魂を抜くにはね

   その魂にとって、もっと合う別の体が必要なの!

   その別の体に魂を移し替えるんだよ!

   本来、魂と肉体は1対1の関係

   どんな体でもいい訳じゃないんだ!

 

ドラえもん:そうなんですか?

 

父神:うむ、ロキの言っている通りだな

 

ロキ:そんな体、どこかにあるのかい?

 

ドラえもん:元ののび太君の体があれば、大丈夫ですね?

 

ロキ:あぁ、そうさ、だけど体が壊れてたり

   病気や老化で助からない状態でもダメだからね!

 

 

※:飽く迄、異世界での話です

 

 

 

241.

ドラえもん:因みに、魂の移し替えってのをすると

      他に何がどうなるので?

 

ロキ:知らないよ、やったことないもの

 

ドラえもん:…じゃぁ、その魂の移し替えをお願いします

 

ロキ:だから、そのための体がどこにあるの!?

 

ドラえもん:ここに

 

 

ドラえもんがポケットからのび太の骨箱を取り出す

 

 

ロキ:なんだよこれ、こんなんじゃ

   無理に決まってるだろ!

 

 

 

242.

ドラえもん:タイム風呂敷~~~!

      のび太君の遺骨をタイム風呂敷で包んで、と

 

 

しばらくの時間が経過の後、のび太の体が完成

 

 

ロキ:これって…?

 

ドラえもん:これがあれば

      魂の移し替ってできますよね?

 

ロキ:あ、あぁ、できるんじゃないかな…

 

ドラえもん:では、お願いします

 

 

 

243.

ロキが地面に描いた魔方陣の中央に

現世界ののび太と異世界ののび太の体が据え置かれる

 

 

ロキ:それじゃぁ、行くよ、えぇい!

 

 

魔方陣が輝くと、その光が異世界ののび太に集まる

その光は現世界ののび太に移り、しばらくすると光が潰えた

 

 

ロキ:ふう、成功したよ、これでいい?

 

ドラえもん:……

 

ロキ:言うとおりにしたんだぞ、何か言えよ!

 

ドラえもん:……

 

 

ドラえもんはロキを無視して現世界ののび太の体を凝視

 

 

 

244.

のび太:……ん、一面、真っ白だ、って

    え?僕、また死んじゃった?

 

ドラえもん:のび太君、気がついた?

 

のび太:ど、ドラえもん、何でここに?

    ま、まさかドラえもんまで死んじゃったの?

 

ドラえもん:そんなこと無いよ、それより

      この人達を見て、のび太君はどう感じる?

 

のび太:この人達?

 

 

ドラえもんの背後には魔王、ソロモン、リザードマン達

 

 

 

245.

のび太:特に何も、ていうか、ちょっと怖い、かな…

 

しずか:あの人達が憎いとか恨んだりしてない?

 

ジャイアン:ぶん殴ってやろうなんて気にならないよな?

 

スネ夫:そうだよな、怖いよな、あの人達、怖いよな?

 

ドラえもん:ホントにあの人達を傷つけようとか

      思ってないよね?

 

のび太:当たり前だよ、だって怖いもん

 

ドラえもん:よかった、臆病で弱虫なのび太君だ

 

のび太:何だよ、酷いじゃないか!

 

ドラえもん:うん、僕たちの知ってる優しいのび太君だ

      お帰り、のび太君!

 

 

 

246.

のび太は立ち上がり、魔王、ソロモン達に近づく

 

 

のび太:あの、ソロモンさん、ですよね?

 

ソロモン:ふん、名前を覚えてもらって光栄なことだ

 

のび太:あの、酷いことして、ホントにごめんんさい

 

ソロモン:ゴメンですむか、貴様のせいで我々は!

 

のび太:ホントに、ひっく、ホントに、ごめんなさい

 

ソロモン:ゴライアスだって、未だ目覚めぬのだぞ!

 

のび太:ひっく、ごめなさ、うわぁぁぁん!!

 

ソロモン:ふざけるな、泣きたいのはこちらだ!

 

魔王ベルモデウス:…そのぐらいにしておけ、ソロモン

 

ソロモン:しかし、ベルモデウス様!

 

 

 

247.

魔王ベルモデウス:のび太、とか言ったな

         我らに害をなしたのは貴様では無く

         そこなもう一人の貴様だ、

         ということは、理解してはいる

         とはいえ、我らはお前に対する

         わだかまりを捨てきれぬ

 

のび太:ひっく、ぐすっ

 

魔王ベルモデウス:貴様の涙、受け入れよう

         …二度と我らの前に姿を現すなよ

 

 

そう言うと魔王は踵を返す

 

 

ドラえもん:あ、魔王様、お詫びと言っては何ですが、

 

 

 

248.

ドラえもん:お医者さんカバン~~~!

      これ、持って行って下さい

      前にソロモンさん達の治療に使えたので

      こちらの世界でも使える道具です

      お城には、まだ沢山の怪我人がいましたよね

      これでみんなを治してあげて下さい

 

魔王ベルモデウス:そうか、では

         ありがたく使わせてもらおう

 

ドラえもん:どうぞ、あ、あとバイオリンの件ですが

 

 

 

249.

ドラえもん:あのカード(音楽家ライセンス)は

      期限付きなので、そのうち

      元の演奏に戻ってしまうかと…

 

魔王ベルモデウス:それは残念だな

 

黒の聖女:ならば今後は儂が

     バイオリンの指南をしてやろう

 

魔王ベルモデウス:それは、ありがたき事で

 

黒の聖女:儂の指導は厳しいからな?

 

魔王ベルモデウス:いや、そこは、お手柔らかに

         では、黒の聖女様、我らはこれにて

         失礼いたします

 

 

魔王が一礼して頭をもたげると

魔王と黒の聖女は示し合わしたように共に笑みを交わす

 

魔王一行、亜空間より退出

 

 

 

250.

黒の聖女:ところで父上、母上、迷惑ついでに

     もう一つ、儂の願いを聞いて下さいませぬか?

 

父神:なんだ?

 

黒の聖女:この子らは、ベルモデウス達が召喚にて

     呼び出した異世界の者達

     この子らを故郷に帰してやりたく

     父上と母上のお力をお貸し戴きたい

 

母神:あら、そうなの?

   そこの女の子、ちょっといらっしゃい

 

しずか:私、ですか?

 

 

しずかが母神の元に近づくと、母神はしずかをそっと抱きしめる

 

 

 

251.

母神:あら、ホントね

 

黒の聖女:この者らを帰してやること、叶いますか?

 

父神:どこの次元の世界かわかるか?

 

母神:えーっと、どこら辺かしらね?

 

 

そう言うと、亜空間内をうろうろと歩き回る父母神

 

 

母神:ここら辺りかしら?

 

父神:どれどれ?

 

 

父神はそう言うと、何も無い空間に指を突き立て、引き裂き始める

 

 

父神:ぐぬぉぉぉ!

 

 

父神の唸り声とともに空間に大きな穴が開いた

 

 

 

252.~現世界、時空間~

 

父神:お、こんなとこに出たぞ、ここでいいか?

 

ドラえもん:あぁ、え~っと、出来れば…

 

ドラミ:お兄ちゃーん!

 

ドラえもん:ドラミじゃないか

 

ドラミ:もう、やっと見つけた

    ドラミじゃないかじゃないわよ

    虫のしらせアラームが鳴ったから

    あちこち探したけど

    お兄ちゃんの反応がどこにも無いんだもの

    心配したわよ

 

ドラえもん:ごめんごめん、ところで僕たちを

      のび太君の部屋まで送ってくれる?

 

ドラミ:いいわよ、さ、みんな私のタイムマシンに乗って

 

ドラえもん:父神さん、ありがとうございました

 

父神:うむ、達者でな

 

 

ドラミのタイムマシンに乗り、ドラえもん達一行はのび太の部屋へ

 

 

 

253.~現世界、野比家、のび太の部屋~

 

壁に寄りかかって座るのび太のパパとママ

うつろな表情のママの手には0点のテストが握られる

 

 

パパ:出木杉君のおかげで不起訴になったけど

   周りには迷惑かけちゃったなぁ

   この町にも居辛くなっちゃったし

   会社には辞表を出さないと

 

ママ:……

 

パパ:のび太も、ドラえもんまでいなくなってしまって…

   なんでこうなっちゃったんだろう…

 

ママ:……

 

 

ガタガタッ

のび太の机が小刻みに揺れ、引出しが勢いよく開く

 

 

 

254.

のび太:パパ、ママ、ただいま!!

 

パパ:の、のび太?

 

ママ:のびちゃ~~~ん!!

 

 

抱き合うのび太、パパ、ママ

彼らを見つめるドラえもん達

 

 

ドラえもん:おっと、のび太君が生き返った

      なんて知れたら大変だ

      もしもボックス~~~!

      もしものび太君が死んでない

      世界になったら!

 

もしもボックス:ジリリリリリリリ

 

 

ママ:のびちゃん、このテストの点は何です!

 

パパ:こら!のび太!

 

のび太:ど、ドラえもん、助けて~~~!!

 

 

 

255.~異世界、魔王城、病棟ICU~

 

ゴライアス:……こ、ここは?

 

サキュバス:ゴライアス、気がついたの!?

 

ハルピュイア:だ、旦那~~~~~~!

 

 

~異世界、魔王城、とある部屋~

 

ソロモン:ベルモデウス様

     ゴライアスの意識が戻りました!

 

魔王ベルモデウス:おお、そうか!

 

黒の聖女:ベルモデウス、バイオリンの稽古中じゃぞ

 

魔王ベルモデウス:む、そうでしたな

 

黒の聖女:よい、ゴライアスを見舞ってやれ

 

 

魔王は黒の聖女に一礼し、ゴライアスの許へ

 

 

Fin




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