214.~異世界、魔王城、庭~
ドラえもん:の、の、のび太君!?
黒の聖女:のび太君?あぁ、この凶星のことか?
ドラえもん:凶星ってなんです!?
のび太君を氷漬けにしておいて!
黒の聖女:死んではおらんぞ
少々、大人しくしててもらうだけじゃ
ドラえもん:で、でも、そんな状態じゃ…
黒の聖女:マグマにでも放り込まん限り
あの凶星の時間は留め置かれる
放っておいても何も問題ないわい
して、ソロモン、ベルモデウスに会えるか?
ソロモン:はい、黒の聖女様、謹んで
我らがベルモデウスに取り次ぎ致します
黒の聖女:では、頼む
215.~異世界、魔王城、玉座の間~
玉座の間の中央に魔王は立つ
そこに黒の聖女が入場、歩を進める
黒の聖女が近づいてきたところで、魔王が片膝を着く
魔王ベルモデウス:今代のベルモデウスに御座います
黒の聖女:汝とは初見であるな、よく励んでいると聞く
褒めて使わす
魔王ベルモデウス:ありがたき
ドラえもん:あの女の子、すごい子なんですか?
ハルピュイア:僕も初めて会ったっすけど
伝説級の方っすよ
ドラえもん:伝説級?
ハルピュイア:千年前、僕たちは"勇者"って奴のせいで
絶滅寸前まで追い詰められたんっす
でも、そんな僕たちを助けてくれたのが
あの黒の聖女様っす
ドラえもん:へぇ、あの子、子供に見えるけど
何歳なんです?
ハルピュイア:ドラえもん君、女性の年齢の話題は
タブーって知ってる?
216.
黒の聖女:しかし、今代のベルモデウスよ
バイオリンの契約を履行するなら
もっと早くせよ、此度の様では遅すぎるぞ
魔王ベルモデウス:バイオリンの契約、ですと?
黒の聖女:なんじゃ?知らんのか?
魔王ベルモデウス:バイオリンはシキタリとして
嗜んでおりましたが
契約と言うに関しては…
黒の聖女:儂を呼ぶ契約であること、失伝しておるのか?
魔王ベルモデウス:め、面目御座いませぬ…
黒の聖女:む…、ベルモデウス以外の者が使えぬようにと
このようにしたが失敗だったかの…?
217.
黒の聖女:ベルモデウスよ、あののび太と言う輩
禍々しいオーラを持っておったが、何者じゃ?
魔王ベルモデウス:投降した者の話を聞く限り
最近になって、突如、現れたらしく
素性等はわかりませぬ
しかし、そこのドラえもん達の
友人のようで
黒の聖女:あの童らは、何者なのじゃ?
魔王ベルモデウス:我々が召喚にて
呼び出した者達に御座います
魔王は黒の聖女にドラえもん達を紹介、
併せてソロモン以外の四天王等の魔王部下と
黒の聖女とで面識が成立
218.
黒の聖女:その召喚の際に使った物はまだあるか?
ソロモン:はい、保管してございますが
黒の聖女:では、見てみたいの、持ってきてくれるか?
ドラえもんら召喚時の道具が運ばれ
それらを黒の聖女は見分
と、召喚魔方陣を描いたインクの入った小瓶を
黒の聖女はつまみ上げる
黒の聖女:…何じゃ?このインクは?
ソロモン:聖都でゴライアスがのび太と一戦を交えまして
その際にゴライアスに付着していた
血を混ぜて作ったインクですが…
黒の聖女:…ソロモン、お前、よくそんなモノ作ったな…
219.
黒の聖女:アナリシス
黒の聖女が呪文を唱えると、小瓶から文字のような記号が流れ出す
黒の聖女:……
黒の聖女の眉間にしわが寄る
黒の聖女:…あ、あ、あ、
ソロモン:聖女様?
黒の聖女:あんのバカ兄がぁぁぁ!
ソロモン:せ、聖女様?
ドラえもん:どうしたんですか?
黒の聖女:あののび太とやら、"化身の秘術"の賜じゃ
220.
ドラえもん:"ケシンノヒジュツ"って何です?
黒の聖女:数多の人間を用いて作った依り代から
神に近き力を持つ者を成す術よ
ドラえもん:そんなこと出来るんですか?
黒の聖女:我ら一族なら出来る、が、難点もある
一つ、依り代に込める魂の問題
かの依り代に込められるは
子供の、しかも学は無く動きも鈍い
愚かで弱き者の魂でなくてはならん
よくもまぁ、そのような魂を見つけたもんじゃ
あのアホ兄め、それだけは褒めてやる
221.
黒の聖女:更に一つ、必要な人間の質と数
依り代に用いる人間は
皆、同じ心情を持っておらねばならぬ
此度のそれは、人間たちが魔族と呼ぶ
ベルモデウスやフェンリルらに対する憎悪
そして用いられた数は見た限り
10人や20人では到底足らぬ
しずか:姿形が私達の友達ののび太さんに
似ているのですが、それは?
黒の聖女:依り代の姿形は込められた魂に準ずるんじゃ
かの依り代に込められし魂こそ
お主らの友人のものであろう
しずか:のび太さんはもっと優しくて
あんな人じゃありませんでした
黒の聖女:化身の秘術で作られた者はな
依り代の素となった人間らの
心情を汲むような事をすればするほど
精神が依り代側に染まっていくんじゃ
222.
黒の聖女:のび太とやらの始末、愚兄に責任を取らせよう
ドラえもん:お兄さんって方はいったい…?
黒の聖女:愚兄は亜空間に閉じ込めたはずなのじゃが
どうやら綻びがあったようじゃ
ドラえもん:何故、閉じ込めたので?
黒の聖女:1000年前の勇者の話は知っておるな?
ドラえもん:はい、ハルピュイアさんから少し聞きました
黒の聖女:その勇者とやらが我が兄"ロキ"じゃ
魔王ベルモデウス:は?
ソロモン:何と?
ハルピュイア:どういうことっす?
サキュバス:聖女様、ご説明を
223.
黒の聖女:人間たちが崇めている父母神を知っておるか?
ソロモン:はい、人間たちの信教は把握しておりますが
黒の聖女:その父母神、儂の両親じゃ
魔王達一同:!!
黒の聖女:この世界の天と地と海は父が
草木や動物たちは母が
そして兄が人間を作った
ところが、この人間
天災や他の動物との生存競争に弱くてな
文明を築くどころか、数すら増やせんかった
そんな人間を保護すべく
草木、動物、人間を参考に
儂がお前達やフェンリルらを作った
魔王達一同:く、黒の聖女様が、我々を!?
黒の聖女:で、お前達の祖先の頑張りのおかげでな
人間は数を増やし、文明と呼べるものを
築くに至った
224.
黒の聖女:そして、文明が築かれるにつれ
人は信心を持つようになる
その信心の対象となったのが
お前達やフェンリル達じゃ
災厄やらから人間らを護ったのは
他でもない、お前達じゃからな
しかし、兄ロキは、創造主たる自分を差し置き
お前達が人間の信心の対象となったが
面白くなかったのじゃと、で、
兄自らがお前達のせん滅にかかったのが
1000年前の出来事じゃ
ソロモン:我々はそんな理由で滅ぼされかけたのですか…
黒の聖女:おまけにお前達への差別意識まで
人間らに植え付けおった
そこで儂と両親とで
兄を亜空間に封じ込めたんじゃ
儂の身内のしでかしたこと、今更ながら、許せ
225.
黒の聖女:して、近日中に兄への行動を起こす
ベルモデウスも同行せよ
ドラえもんとやら、おぬしらも来てもらうぞ
ドラえもん:わかりました
魔王ベルモデウス:お待ち下さい
私めはこの城から出られませぬが
黒の聖女:そうじゃったな、では
黒の聖女は魔王に手をかざす
パシュン
魔王の中で何かが消失する
黒の聖女:これでベルモデウスも城の外へ出られる
226.
魔王ベルモデウス:おお、これで…、不躾ながら、聖女様
黒の聖女:なんじゃ?
魔王ベルモデウス:余は、いや、私らは何故
城から出られぬ身に?
黒の聖女:ベルモデウス、汝らを兄の封印の
鍵としたからじゃ
魔王ベルモデウス:私が鍵?
黒の聖女:流石に兄を永久に閉じ込めはせぬ、時が来れば
兄の封を解く、が、時が来ぬ限りは解かぬ
ベルモデウス、汝はそのための鍵よ
この点についても失伝しておるのか?
魔王ベルモデウス:お、お恥ずかしながら…
227.
黒の聖女:ベルモデウスよ、"アディフォラ"の
魔法は心得ておるな?
魔王ベルモデウス:はい、習得しております
黒の聖女:"アディフォラ"はベルモデウスの名を
継ぐ者しか使えぬ魔法
これを兄の封印の間で使うことで
兄の封印が解ける
魔王ベルモデウス:あの魔法に
そのような意味があったとは…
黒の聖女:兄の封を解くもう一つが
ベルモデウスの名を持つ者が討たれること
そのような仕様にした訳ではない、が、
後に然様な方法でも封印が解けることが判った
故に、これらが起きることを避けるべく
ベルモデウスをこの城に縛り付けた
228.~異世界、魔王城、庭~
それから数日間、人間たちからの攻撃はピタリと止んだ
これを機に、ドラえもん達とリザードマン兵達が
魔王城の庭に集まり、氷漬ののび太は
ドラえもんの四次元ポケットに納まることになった
最終的にはアレックス、ソロモン、魔王、黒の聖女も合流
黒の聖女はそれまでと異なり白の装束を身に纏う
黒の聖女:すまぬな、こいつを書かせておったら
時間がかかった
黒の聖女が3通の封書を示す
ドラえもん:聖女様、それは一体?
黒の聖女:此度の戦、和平に向かわせたい
その交渉カードとして、投降した者らに
"捕虜となり苦しい立場にいる"と、
切々と書かせた、まずは聖都に行く
229.~異世界、聖都の外壁にある門~
ドラえもん一行は聖都前に到着
黒の聖女:ソロモン、此度の交渉はお前が担え
ソロモン:かしこまりました
アレックス、リザードマン兵、ソロモン、黒の聖女が
聖都の門に近づくや、門番達が躍り出てくる
と、すかさずアレックスが叫ぶ
アレックス:こ、交渉に来た
ダンカン殿からの手紙もある!
ここに居る魔人たちに戦う意思はない
入れてくれ!
聖都の門番:お前はアレックス
してこの封書のサインは……?
確かにダンカン殿のもの
わかった、入って待て
230.
黒の聖女達が聖都に入って数時間が経過、
門の中からリザードマン兵、ソロモン、黒の聖女と、更に
その後ろに筋骨隆々とした中年男性と仙姿玉質な女性が出てきた
ソロモン:ベルモデウス様、永らくお待たせしました
ご無礼を
魔王ベルモデウス:よい、で、交渉の塩梅は
どうだったのだ?
ソロモン:投降者のうち
メアリーなる者は現王の姪に当たり、また
ダンカンなる者は王国の元騎士団長とのこと
交渉の手応えは十分に感ぜられました
王国との直接交渉の可能性も小さくはないかと
魔王ベルモデウス:うむ、ご苦労であった
ところで、後ろの二人は?
231.
黒の聖女:儂の父と母じゃ
魔王ベルモデウス:こ、これはご無礼を
黒の聖女:大聖堂の内陣に
父母が休む神域に繋がる魔方陣があってな
兄の許に向かうに
一緒に来てもらうことにした
父神:ベルモデウスとやら、愚息が迷惑をかけたな
母神:うちの子がごめんなさいね
魔王ベルモデウス:い、いえ、お、恐れ入ります
黒の聖女:では、兄の許に参るかの!
232.~異世界、道中の森~
父神:ところでエリス(=黒の聖女)、一つ聞くが、
黒の聖女:何です、父上?
父神:その口調はなんだ?
黒の聖女:ここ1000年ほどを下界で過したところ
気付けば、こうなっておりました
母神:1000年の間、何をしていたのです?
黒の聖女:布教をしておりました
母神:布教?
黒の聖女:1000年前、兄ロキは、自らを崇め、
ベルモデウスやフェンリルらを悪とする
教えを立てました
これを覆すべく、父上と母上を主神とし
ベルモデウスやフェンリルらと
調和すべし、との教えを世に広めんと
この1000年の間、努めてきました
尤も、調和の道については未だ成りませぬ
233.~異世界、のび太が異世界転移時に目覚めた神殿~
一行は神殿の最奥に到達、その壁の扉には魔方陣の模様
黒の聖女:この扉の向こうに兄、ロキがおる
しずか:この先にのび太さんを狂わせた人が…
スネ夫:のび太、お前の仇は討ってやるからな!
ドラえもん:…スネ夫、のび太君、死んでないって
黒の聖女:ベルモデウス、この魔方陣に
アディフォラを発動せよ
魔王は扉に描かれた魔方陣の中央に手を当てて唱える
234.
魔王ベルモデウス:アディフォラ!
魔王がアディフォラを唱えると、扉がゆっくりと開く
すると扉の向こうから声が漏れる
神様 :やったーーー、開いたーーー!
(以下、ロキ)これでこの退屈な場所ともお別れだーー!
いやぁ、でも早かったな
やっぱり僕って優秀?
ドラえもん:みんな行くよ!
ドラえもんがそう叫ぶとしずか、ジャイアン、スネ夫が
開いた扉から亜空間に飛び込んだ
235.~異世界、亜空間~
ドラえもん:やい、お前、のび太君に何てことを!
しずか:あなたのせいで
のび太さんはおかしくなったのよ!
ジャイアン:のび太をあんなのにしたのはお前か!
スネ夫:証拠もあるからな、逃がさないぞ!
ロキ:ん?君たちは誰?
ドラえもん:この、のび太君の、友達だ!
ドラえもんは氷漬ののび太をロキの前に突きつける
ロキ:あぁ、この子か、知ってる知ってる
236.
ドラえもん:僕たちののび太君を返せ!
ロキ:ここから出られるようになったし
その子ならもういいよ、返す返す
スネ夫:そういうことじゃないんだよ!
しずか:元の、元の優しいのび太さんに戻して!
ロキ:あー、それは無理かな、諦めて
ジャイアン:ふざけんじゃねぇぞ、この野郎!
ジャイアンがロキに殴りかかる、が、その殴りかかる拳を
ロキは軽くいなし、ジャイアンは無様に転がる
ロキ:…君たち、僕が誰だか分かってんの?
父神:ロキよ、いい加減にしろ
237.
父神:自分の立場を弁えろ、それが出来ず拳で語るなら
この父が相手になってやる
ボキボキと拳を鳴らしながら、父神がロキに言う
ロキ:と、父さん、どうしてここに?
黒の聖女:ご自分の胸に聞いて下され、兄上
母神:エリスから聞きました
「化身の秘術」使ったそうですね?
ロキ:エリス、母さんまで…
母神:そして、また下界に戦乱を起こしたことも
父神:ロキ、素直に責任を取り、謝るんだ!
ロキ:…え、あ、あの、ごめんなさい…
ロキ、早々に戦意を喪失
238.
黒の聖女:兄上、「化身の秘術」の依り代
如何に作った?
ロキ:僕の信者達の夢で、僕がお告げをして作らせた
けっこう時間がかかったんだぞ!
黒の聖女:兄上の信者、ですと?
ロキ:そうさ、人間を作ったのは僕なんだからね!
でも、ここんところおかしいんだ
僕が夢に入り込める人間が殆ど居ないんだ!
黒の聖女:兄上、兄上が下界に残した教えは
ここ千年をかけ、儂がひねり潰しましたじゃ
ロキ:なんだって!?エリスなんて事をしてくr
母神:ロキ、黙りなさい!
ロキ:は、はい…
239.
黒の聖女:兄上、戦乱の責については後に問いますじゃ
先に、この禍々しき「化身の秘術」の賜
どう致す?
迂闊に処せば、強大なアンデッドと成り果て
真の災厄になりかねますぞ?
ロキ:放っておけばいい、きっと100年も経たずに
肉体と魂が拒絶反応を起こして崩壊するし
それなら、アンデッドにもならないんじゃない?
ドラえもん:そ、そんな、元ののび太君に戻してよ!
ロキ:だから無理なの!やれることと言ったらせいぜい
肉体と魂を分離して崩壊を防ぐことぐらいなの!
240.
ロキ:いい?生きている体から魂を抜くにはね
その魂にとって、もっと合う別の体が必要なの!
その別の体に魂を移し替えるんだよ!
本来、魂と肉体は1対1の関係
どんな体でもいい訳じゃないんだ!
ドラえもん:そうなんですか?
父神:うむ、ロキの言っている通りだな
ロキ:そんな体、どこかにあるのかい?
ドラえもん:元ののび太君の体があれば、大丈夫ですね?
ロキ:あぁ、そうさ、だけど体が壊れてたり
病気や老化で助からない状態でもダメだからね!
※:飽く迄、異世界での話です
241.
ドラえもん:因みに、魂の移し替えってのをすると
他に何がどうなるので?
ロキ:知らないよ、やったことないもの
ドラえもん:…じゃぁ、その魂の移し替えをお願いします
ロキ:だから、そのための体がどこにあるの!?
ドラえもん:ここに
ドラえもんがポケットからのび太の骨箱を取り出す
ロキ:なんだよこれ、こんなんじゃ
無理に決まってるだろ!
242.
ドラえもん:タイム風呂敷~~~!
のび太君の遺骨をタイム風呂敷で包んで、と
しばらくの時間が経過の後、のび太の体が完成
ロキ:これって…?
ドラえもん:これがあれば
魂の移し替ってできますよね?
ロキ:あ、あぁ、できるんじゃないかな…
ドラえもん:では、お願いします
243.
ロキが地面に描いた魔方陣の中央に
現世界ののび太と異世界ののび太の体が据え置かれる
ロキ:それじゃぁ、行くよ、えぇい!
魔方陣が輝くと、その光が異世界ののび太に集まる
その光は現世界ののび太に移り、しばらくすると光が潰えた
ロキ:ふう、成功したよ、これでいい?
ドラえもん:……
ロキ:言うとおりにしたんだぞ、何か言えよ!
ドラえもん:……
ドラえもんはロキを無視して現世界ののび太の体を凝視
244.
のび太:……ん、一面、真っ白だ、って
え?僕、また死んじゃった?
ドラえもん:のび太君、気がついた?
のび太:ど、ドラえもん、何でここに?
ま、まさかドラえもんまで死んじゃったの?
ドラえもん:そんなこと無いよ、それより
この人達を見て、のび太君はどう感じる?
のび太:この人達?
ドラえもんの背後には魔王、ソロモン、リザードマン達
245.
のび太:特に何も、ていうか、ちょっと怖い、かな…
しずか:あの人達が憎いとか恨んだりしてない?
ジャイアン:ぶん殴ってやろうなんて気にならないよな?
スネ夫:そうだよな、怖いよな、あの人達、怖いよな?
ドラえもん:ホントにあの人達を傷つけようとか
思ってないよね?
のび太:当たり前だよ、だって怖いもん
ドラえもん:よかった、臆病で弱虫なのび太君だ
のび太:何だよ、酷いじゃないか!
ドラえもん:うん、僕たちの知ってる優しいのび太君だ
お帰り、のび太君!
246.
のび太は立ち上がり、魔王、ソロモン達に近づく
のび太:あの、ソロモンさん、ですよね?
ソロモン:ふん、名前を覚えてもらって光栄なことだ
のび太:あの、酷いことして、ホントにごめんんさい
ソロモン:ゴメンですむか、貴様のせいで我々は!
のび太:ホントに、ひっく、ホントに、ごめんなさい
ソロモン:ゴライアスだって、未だ目覚めぬのだぞ!
のび太:ひっく、ごめなさ、うわぁぁぁん!!
ソロモン:ふざけるな、泣きたいのはこちらだ!
魔王ベルモデウス:…そのぐらいにしておけ、ソロモン
ソロモン:しかし、ベルモデウス様!
247.
魔王ベルモデウス:のび太、とか言ったな
我らに害をなしたのは貴様では無く
そこなもう一人の貴様だ、
ということは、理解してはいる
とはいえ、我らはお前に対する
わだかまりを捨てきれぬ
のび太:ひっく、ぐすっ
魔王ベルモデウス:貴様の涙、受け入れよう
…二度と我らの前に姿を現すなよ
そう言うと魔王は踵を返す
ドラえもん:あ、魔王様、お詫びと言っては何ですが、
248.
ドラえもん:お医者さんカバン~~~!
これ、持って行って下さい
前にソロモンさん達の治療に使えたので
こちらの世界でも使える道具です
お城には、まだ沢山の怪我人がいましたよね
これでみんなを治してあげて下さい
魔王ベルモデウス:そうか、では
ありがたく使わせてもらおう
ドラえもん:どうぞ、あ、あとバイオリンの件ですが
249.
ドラえもん:あのカード(音楽家ライセンス)は
期限付きなので、そのうち
元の演奏に戻ってしまうかと…
魔王ベルモデウス:それは残念だな
黒の聖女:ならば今後は儂が
バイオリンの指南をしてやろう
魔王ベルモデウス:それは、ありがたき事で
黒の聖女:儂の指導は厳しいからな?
魔王ベルモデウス:いや、そこは、お手柔らかに
では、黒の聖女様、我らはこれにて
失礼いたします
魔王が一礼して頭をもたげると
魔王と黒の聖女は示し合わしたように共に笑みを交わす
魔王一行、亜空間より退出
250.
黒の聖女:ところで父上、母上、迷惑ついでに
もう一つ、儂の願いを聞いて下さいませぬか?
父神:なんだ?
黒の聖女:この子らは、ベルモデウス達が召喚にて
呼び出した異世界の者達
この子らを故郷に帰してやりたく
父上と母上のお力をお貸し戴きたい
母神:あら、そうなの?
そこの女の子、ちょっといらっしゃい
しずか:私、ですか?
しずかが母神の元に近づくと、母神はしずかをそっと抱きしめる
251.
母神:あら、ホントね
黒の聖女:この者らを帰してやること、叶いますか?
父神:どこの次元の世界かわかるか?
母神:えーっと、どこら辺かしらね?
そう言うと、亜空間内をうろうろと歩き回る父母神
母神:ここら辺りかしら?
父神:どれどれ?
父神はそう言うと、何も無い空間に指を突き立て、引き裂き始める
父神:ぐぬぉぉぉ!
父神の唸り声とともに空間に大きな穴が開いた
252.~現世界、時空間~
父神:お、こんなとこに出たぞ、ここでいいか?
ドラえもん:あぁ、え~っと、出来れば…
ドラミ:お兄ちゃーん!
ドラえもん:ドラミじゃないか
ドラミ:もう、やっと見つけた
ドラミじゃないかじゃないわよ
虫のしらせアラームが鳴ったから
あちこち探したけど
お兄ちゃんの反応がどこにも無いんだもの
心配したわよ
ドラえもん:ごめんごめん、ところで僕たちを
のび太君の部屋まで送ってくれる?
ドラミ:いいわよ、さ、みんな私のタイムマシンに乗って
ドラえもん:父神さん、ありがとうございました
父神:うむ、達者でな
ドラミのタイムマシンに乗り、ドラえもん達一行はのび太の部屋へ
253.~現世界、野比家、のび太の部屋~
壁に寄りかかって座るのび太のパパとママ
うつろな表情のママの手には0点のテストが握られる
パパ:出木杉君のおかげで不起訴になったけど
周りには迷惑かけちゃったなぁ
この町にも居辛くなっちゃったし
会社には辞表を出さないと
ママ:……
パパ:のび太も、ドラえもんまでいなくなってしまって…
なんでこうなっちゃったんだろう…
ママ:……
ガタガタッ
のび太の机が小刻みに揺れ、引出しが勢いよく開く
254.
のび太:パパ、ママ、ただいま!!
パパ:の、のび太?
ママ:のびちゃ~~~ん!!
抱き合うのび太、パパ、ママ
彼らを見つめるドラえもん達
ドラえもん:おっと、のび太君が生き返った
なんて知れたら大変だ
もしもボックス~~~!
もしものび太君が死んでない
世界になったら!
もしもボックス:ジリリリリリリリ
ママ:のびちゃん、このテストの点は何です!
パパ:こら!のび太!
のび太:ど、ドラえもん、助けて~~~!!
255.~異世界、魔王城、病棟ICU~
ゴライアス:……こ、ここは?
サキュバス:ゴライアス、気がついたの!?
ハルピュイア:だ、旦那~~~~~~!
~異世界、魔王城、とある部屋~
ソロモン:ベルモデウス様
ゴライアスの意識が戻りました!
魔王ベルモデウス:おお、そうか!
黒の聖女:ベルモデウス、バイオリンの稽古中じゃぞ
魔王ベルモデウス:む、そうでしたな
黒の聖女:よい、ゴライアスを見舞ってやれ
魔王は黒の聖女に一礼し、ゴライアスの許へ
Fin
読了、ありがとうございます
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