If I could turn back time 作:暇をなくした暇人の集
制服の採寸が終わったので、外で待っていたハグリットと教科書を買いに行くことにした。
魔法界では魔法がかかった本が主流らしく、本好きの私にとっては実に興味深いところだ。
まあ、魔法界の物価を知らない故にお金の余剰を本に回せるかは分からないが。
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魔法界に足を踏み入れてから初めての夕日がダイアゴン横丁の屋根に沈み始める頃、ようやく買い物が終わった。
書店での教科書代は店主が割り引いてくれたので半額で済んだ。どうやらハリーのサインは割引クーポンとして使えるらしい。ハリーはサインするのをかなり嫌がっていたが、店主の押しの前では無駄な抵抗だったようだ。
・・・タダならなんでも利用すれば良いのに、というのは、貧しさからの良くない考え方なのだろうか。
そして問題だったのは杖屋だ。オリバンダーという老人の経営する店に買いに行ったのだが、どうやら私とハリーの杖が特殊だったらしい。
その杖は不死鳥の尾羽を芯に、オイルが塗り込まれた味わい深い色のマホガニーだ。
販売した杖全てを記憶するオリバンダーによると、ハリーと私の杖、そしてヴォルデモートの杖が同一の不死鳥の尾羽から作られているらしい。彼が言うには、杖の選定の儀式は所持者らの運命に大きく関わるらしい。もっとも、ヴォルデモートという人物を今日知った身からすれば、「そうなんだ」ぐらいのものである。
・・・ハグリットは少し落ち込んでいたが。まあ、分からなくは無い。あの話し方から察するに、ハリーの両親とハグリットは友人だったのだろう。複雑な気持ちになるのも仕方が無い。
「悪いが俺はは仕事で明日の入学式には付き添えねえ。
だからホグワーツ特急の切符は絶対に無くすんじゃねえぞ。」
「分かったわ。・・・え、キングズ・クロス駅9と4分の3番線って何?0.75ってこと?」
「残念だけどハグリットはもうどっかに行っちゃったよ。」
ハリーにそう言われ周りを見回してみたが、ロンドンの雑踏の中にあの巨体を見つけることは出来なかった。
「ああもう!!どうしろってのよこれ!!」
「まあ、9番線に行けばどうにかなるんじゃないかな。フクロウを連れた大荷物の人を探して付いていけば良いと思うよ。」
「フクロウ愛好家の団体旅行が無いことを祈ってるわ。」
まあ、いざとなったら院長に聞けば良い。
そのあと当日の待ち合わせ場所を決め、私たちは別れた。
さて、これで私は晴れて魔法世界の一員となったわけだが、どうも実感が無い。これまでのことが全て夢でしたと言われても納得できるほどに。
まあ、たまには夢のような生活を楽しむとしよう。
"孤児院暮らしの不幸な少女"よりも"魔法世界の新入生"の方が楽しいに決まっているのだし。